昨日の森田実さんの「2005年森田実政治日誌[505]」に紹介されていた、文藝春秋新年号、関岡英之氏の寄稿です。OCR処理でおこしました。前半部と一番最後のしめの段落だけをご紹介しておきます。
関岡英之氏は話題の本「拒否できない日本」の著者です。
※なお、文中で引用されている投票日当日の朝日の社説については前に掲示板に投稿しているので参考にしてください(投票日3日前から投票日翌日まで全文保存してあります)。僕の感想としては、関岡氏が引用している部分は前後の文脈からすると批判、あるいは注意喚起の意味を含めたセンテンスのように読めなくはないですが、、。
関連
「「(年次改革要望書を)見たこともありません」の竹中の大嘘答弁、小泉は「思い過ごし」とはぐらかし、それを報道しないマスゴミ。」
TVで暴言を吐いた竹中大臣へ 私の論文を「妄想」呼ばわりする根拠は何なのか 関岡英之
本誌先月号に、私は「警告リポート奪われる日本」というタイトルの小論を寄稿し、郵政民営化の背後には、米国保険業界の意向を受けた米国政府からの圧力があったことを指摘した。
先月号発売後、十一月十三日に放映されたテレビ朝日の番組「サンデープロジェクト」において、徳本栄一郎氏の「竹中平蔵が総理大臣になる日」とともに拙稿が採り上げられた。私はその放映を見逃したが、本誌編集部から録画が送られてきて、この件についての原稿を依頼された。
番組の該当部分は竹中平蔵総務大臣と司会の田原総一朗氏のやりとりの冒頭で、概略は次の通りである。
田原氏「ふたつとも何を書いているのかというと、郵政民営化はアメリカが仕掛けたんじゃないか、特にアメリカの保険業界が簡保を民営化させたいということで、竹中さんはアメリカの要望にそって民営化したんじゃないか、特にそれがアメリカの年次改革要望書に出てると……(中略)……どうも裏にアメリカの要望、思惑があるんじゃないかと言われてるんですが」という問いかけに対し、竹中大臣は即座に「あまりに稚拙な妄想」と断定した。そのあとのやりとりは以下の通りである。
田原氏「マスコミがたいした根拠もなく、勝手におもしろおかしく書いてんだと、こういうたぐいですね」
竹中氏「たいした根拠というか、なんの根拠もなく」
田原氏「なんの根拠もなくね。わかった」
拙稿で私が根拠としたのは米国政府の公式文書である。しかもインターネットで公開されているものなので、誰でも検証することができるはずだ。もし拙稿になんらかの事実誤認があるならご指摘頂き、当方が納得できれば訂正することはやぶさかではないが、「妄想だ」、「根拠がない」と捨てぜりふを言い放つだけではこちらも返す言葉がない。
答弁を一変させた竹中大臣
郵政民営化にまつわる米国の圧力について指摘したのは私だけではない。私のような無位無冠のライターが騒いだだけなら一笑にふせば済むかもしれないが、郵政民営化法案審議の過程において、国政の場でも指摘されているのだ。国会議事録として正式に記録に残され、国民に公開されている。
例えば今年六月七日の衆議院の郵政民営化に関する特別委員会で、当時自民党森派の衆議院議員だった城内実氏と竹中大臣との間で以下のようなやりとりがあった。
城内委員「次の質問は、アメリカ政府の対日イニシアチブ、対日要求についてでありますけれども、……(中略)……日本の国民の関心が低いのに比べて、なぜかアメリカ政府、そしてまた在日米国商工会議所さらには米国生命保険協会が、累次にわたり、いろいろな形で郵政民営化についての要求をしているというふうに伺っております。……(中略)
そこで質問ですけれども、郵政民営化準備室が発足したのが昨年の四月ですから、この昨年の四月から約一年間、現在に至るまで、郵政民営化準備室に対する、米国の官民関係者との間で郵政民営化問題についての会談、協議ないし申し入れ等、こういったものが何回程度行われたのか、教えていただきたいと思います」
竹中国務大臣「昨年の四月二十六日から現在まで、郵政民営化準備室がアメリカの政府、民間関係者と十七回面談を行っているということでございます」
城内委員「十七回ということは、これはもう月に一回はこういう形で、アメリカの方で早く民営化してくれと言ってきているということであって、かなりの頻繁な数ではないかというふうに私は思っております」
このとき竹中大臣は城内議員に対しては「妄想だ」などと言い放つことなく、郵政民営化の背後に米国の圧カがあることをみずから認めている。
しかしその後、通常国会の衆議院本会議で五票という僅差の可決となり、参議院での採決が予断を許さない緊迫した情勢になって以降、焦燥の度を強めた竹中大臣の答弁は一変する。
八月二日の参議院の郵政民営化に関する特別委員会では、民主党の桜井充参議院議員との間で以下のようなやりとりがあった。
桜井充委員「……要するにアメリカ政府からいろんな要望を受けると、それに従ってこうやって法律が整備されてきております。このことを踏まえてくると、果たしてこの民営化というのは国民の皆さんのための改正なのか、米国の意向を受けた改正なのか分からなくなってくるということでございますが、竹中大臣、いかがでしょう」
竹中国務大臣「……ここで読み上げる、読み上げていただくまで私は、ちょっと外務省には申し訳ありませんが、アメリカのそういう報告書、見たこともありません」
本誌先月号でも紹介したが、二〇〇三年十月二十四日付けの米国政府の年次改革要望書には次のような記述がある。
《V-D.民営化 米国政府は、二〇〇七年四月の郵政民営化を目標に、小泉首相が竹中経済財政・金融担当大臣に簡保、郵貯を含む郵政三事業の民営化プランを、二〇〇四年秋までに作成するよう指示したことを特筆する》
米国政府が公式文書で自分自身の名前をわざわざ特記しているのに、担当大臣たる本人がそれを見たこともないなどということがありうるのだろうか。
次に掲げるのは、〇四年十月十九日の衆議院予算委員会での民主党の小泉俊明衆議院議員(当時)の質問に対する竹中大臣の答弁の議事録である。
小泉(俊)委員「……そこで、この中に出てきます年次改革要望書、これはアメリカから来る文書でありますが、ここに、添付資料の資料一に、実は、この年次改革要望、どの程度これがちゃんとされているかというのを確認する文書がちゃんとここに出ています。ことしの六月八日に、日米間の規制改革及び競争政策イニシアティブに関する日米両国首脳への第三回報告書というものであります。それがこの資料一であります。これはどこからとったものじゃないですよ。在日米国大使館のホームページで公開されている公式文書であります。そこで、この規制改革イニシアティブの第三回報告書、この文書というのは、麻生総務大臣、竹中大臣、当然これは御存じですよね」
麻生国務大臣「ファクトシートのことだと思いますが」
竹中国務大臣「存じ上げております」
やはり、ご存じだった。麻生大臣だって知っている。主要閣僚が知らないことなどありえないのだ。桜井議員の質問に対して「見たこともありません」と答えてしまったのはいかにもまずかった。「記憶にありません」と答えればよかったのに。
権力とマスメディアの癒着
それにしても解せないのは、竹中大臣の国会答弁でのこうした矛盾を、日本のマスメディアが一切追及しようとしないことである。冒頭にふれたテレビ番組でも、田原総一朗氏は、広く一般に公開されている公式文書である年次改革要望書の内容を検証しようともせず、あたかも申し合わせたかのように竹中大臣の「たいした根拠というか、なんの根拠もなく」という発言に、鸚鵡返しで「なんの根拠もなくね。わかった」と即座に結論づけた。こうした権力と報道のあられもない癒着ぶりに、私は昨今の我が国のとめどない退廃を感じる。
衆議院特別委員会で、郵政民営化準備室が米国の関係者と十七回も会っていたという、核心に触れる重大な証言を竹中大臣から引き出した城内実前衆議院議員は、自己の良心に従い、国民の代表としての信念を貫き、総裁派閥である森派でただひとり、衆議院本会議で反対票を投じた。その結果、国政の場から追放された。
自分に従わずに正論をはく者を弾圧し、刺客を放って政治生命まで絶つというのは、控えめに言っても恐怖政治だ。にもかかわらず新聞各紙は、それを批判するどころか、むしろ小泉批判を封殺する方向へ世論を誘導した。特に非道かったのが朝日新聞だ。
例えば八月十二日の社説で「党のリーダーが最優先の公約にしている政策なら、反対派を排除してでも実現しようとするのは当然だろう」、続く八月二十三日の社説でも「一つの法案に反対した前議員を容赦なく追いつめる。非情と映るやり方ではあっても、自民党を政策本位の政党に作り替える剛腕だと評価もできる。それが内閣支持率の上昇につながっているのだろう」と手放しで礼讃している。
もともと体制寄りと認知されている読売や産経ならともかく、日頃は反権力を標榜している朝日までもがこうした論調を打ち出せば、その波及効果は絶大である。九月六日の社説「自民優勢『あと一年』で選ぶのか」で、朝日はついに小泉総理の任期延長待望論まで流し始めた。投票日以前の段階である。これが世論操作でなくて何だと言うのか。さらに、亀井静香氏や田中康夫氏が新党立ち上げを模索していた微妙な時期に、両氏の発言を捏造する事態まで引き起こした。そして投票日当日、朝日は社説で次のように書き、取り返しのつかない致命的な汚点をジャーナリズムの歴史に残した。
「小泉首相はこれまで見たこともない型の指導者だ。……単純だが響きのいいフレーズの繰り返しは、音楽のように、聴く人の気分を高揚させる」
まるで中国の毛沢東や、北朝鮮の金正日の礼讃記事を読むようではないか。
総選挙直後に、城内実氏がテレビで「自分は郵政民営化法案のなかみをきちんと勉強してしまった。もしまじめに勉強しなければ、こういう結果にはならなかったかもしれない」と語るのを、私は胸が張り裂けるような思いで聞いた。
『正論』十二月号に「敗北すれども我が志は死なず」という城内氏のインタビューが掲載されている。氏は人権擁護法案についてもその問題性を見抜き、「真の人権擁護問題を考える懇談会」の事務局長として中心的役割を果たしてきたことがうかがえる。城内氏は中央官庁(外務省)出身だけに、法律の条文の行間に潜むリスクを見抜くだけの高いリテラシーを体得していた。まだ若く、このまま失ってしまうにはあまりにも惜しい人材だ。
城内氏のインタビューによると、「真の人権擁護問題を考える懇談会」の会長は平沼赳夫氏、座長は古屋圭司氏、幹事長は衛藤晟一氏、事務局次長は古川禎久氏で、全員が郵政民営化法案に反対している。それは偶然ではなく、真の国益を守るという明確な国家観を備えた、真性保守主義の立場を堅持している政治家たちが結集しているからだと城内氏は述べている。誠にその通りだと深く共感する。
しかしマスメディアは、法案や年次改革要望書をみずから検証しようともせず、反対した自民党議員たちに「族議員」や「守旧派」などといった無責任なレッテルを貼って悪役に仕立てあげた。
国民の代表として真剣に審議に取り組み、誠実に責務を果たそうとした国会議員が報われるどころか、理不尽にも粛清されてしまうところに、いまの日本の政治とマスメディアの底知れない病理がある。こんな異常な状況では、まともな国会議員が日本からいなくなってしまうに違いない。
(途中略)
米国による日本改造
その後、日本の政権は細川内閣、羽田内閣とたらい回しになり、悪夢の東京サミットからちょうど一年後の九四年七月に自社さ連立による村山内閣が発足。それから間もない十月に在日米国商工会議所が対日要望事項を発表。これが「日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組み」の一環として設置された規制緩和・競争政策等作業部会に採用され、年次改革要望書として定例化したというわけである。
年次改革要望書誕生のいきさつをこうして検証してみると、日本の政治が迷走、混乱するなか、米国に足もとを見られ虚をつかれた感は否定できない。「米国による日本改造」としか形容しようがない日米二国間の異常なメカニズムと、その強力な媒体である年次改革要望書は、戦後日本の歴史的転換点というべき激動と混乱のなかで、米国に手を突っ込まれて日本の政治システムのなかにしっかりと装填された。その渦中で、五五年体制最後の首班となった宮沢総理に引導を渡したのが、小泉純一郎郵政大臣だったのである。
それから十二年、因果はめぐって小泉氏が総理の座につき、郵政を唯一の争点とした総選挙で党内批判勢力を一掃しつつ歴史的勝利をおさめ、米国流の民間人政治任用やトップダウン型意思決定という統治手法と、衆院の三分の二を制する巨大与党に支えられた「二〇〇五年体制」を確立した。
小泉総理は来日したブッシュ大統領を京都の鹿苑寺金閣に案内した。金閣の初層には、この建築の施主、足利義満の僧形木像が安置されている。足利義満は、朝廷の勅許も無しに「日本国王」を僭称し、当時世界最大の帝国、明の皇帝に対して卑屈な「臣下の礼」をとったことから、その追従外交を非難されてきた人物だ。ブッシュ大統領の見ている前で、足利義満像に合掌してみせた小泉総理の胸中に去来したのは、いったいどんな思いだったのだろうか。
以下、資料。「国会会議録検索システム」からの国会会議録です。(公開は1週間~10日後)
162-衆-郵政民営化に関する特別…-9号 平成17年06月07日
平成十七年六月七日(火曜日)
午前九時開議
(略)
○二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城内実君。
○城内委員 自由民主党の城内実でございます。
私は、昨年九月の基本方針策定以来、党の郵政関係合同部会、三十数回ございましたけれども、ほぼ大体九割以上、一〇〇%近く出席したわけでございますが、その中で、私自身もいろいろな意見、疑問点をぶつけました。一番申し上げたかったのは、やはり二点でございます。
一つは、国民すなわち利用者にとってサービスがよくなるか、それとも悪くなってしまうのか、ユニバーサルサービスは維持できるのか、こういった点。そして二つ目には、二十七万人、そしてパートの方も入れると四十万人の方が、これは生身の人間ですが、携わっているこの郵政、これに引き続き誇りを持って仕事を続けていくことができるかどうかということであります。国家公務員として、公共のために仕事をしたいという思いから郵便局に勤めている方々がほとんどであるわけであります。この二点が非常に私は重要であるというふうに思っております。
そしてまた、もう一つ、私は、関係合同部会、竹中大臣に対しまして、外資規制という問題についてどうなのかということを質問させていただきました。きょうは、この外資規制、そして時間があればアメリカ政府の対日要求について質問させていただきたいと思いますが、本題に入る前に、私の地元の話をさせていただきたいと思います。
私の地元は浜松市とその周辺の十二市町村でございますが、その大部分がことし七月一日、合併になります。そして二年後に政令指定都市になるわけですけれども、合併したその浜松の約六割、六二%が山村であります。テレビでも話題になった水窪町、水窪に小和田駅というところがありまして、そこに郵便局の方が、飯田線に乗って小和田駅でおりて、そこからさらに歩いて運んでいる、そういう実情がテレビで話題になった。まさにその水窪町を含む十三市町村が私の選挙区であるんですが、先週土曜日に地元に帰りまして、龍山村というところで国政報告会を行いました。
龍山村というのは、人口約千二百人弱、四百二十八世帯の過疎地であります。昨年三月末をもって小学校が一校なくなり、統廃合が進んでおりますし、同様に、昨年三月末をもって農協の龍山村瀬尻支店が閉ざされることとなりました。今この龍山村にある金融機関は竜山郵便局だけになりかねない状況です。
その方々のいろいろな意見を聞いた結果、やはり何とかこの郵政民営化を阻止してくれないか、阻止できないにしても、三事業一体で金融機関だけ残してほしい。そしてさらに、こういう発言もありました。コンビニエンスストアにするなんというような話があるけれども、これはそこで商店をやっている方ですが、自分の店のすぐ先の郵便局でみそとかしょうゆとかお酒とか売られたら大変困る、そういうような切実な話もございました。
私は、そういう山村の方々、本当に大変苦労して厳しい環境の中で生活している方々のこういった訴えを聞いて、やはり日本というのは、都市部に住んでいる人だけじゃなくて、こういった人たちの声も聞かなきゃいけないと意を強くして、東京に戻ってきたわけでございます。
そこで、本題に入りますけれども、この郵政特別委員会に私、委員として参加しまして、いろいろ話を聞きましたら、どうも大臣を初め、総理も含めて、経営判断、経営者の自由な判断、そういう言葉が非常に耳につく、耳に入るんですね。
私は、例えば郵便局の設置基準にしても、また安定的な代理店契約、そしてこの代理店契約の延長、そして基金、この四つの問題についてちょっと過去の答弁を見てみましたら、例えば六月三日、松野頼久議員に対する小泉総理の答弁はどうなっているかというと、私は、ふえるところもあるし、減るところもある、それは否定しない、中略ですが、リストラする、統合再編する、減らす点、これはやはり経営者の判断を尊重しなきゃいけないと思う、そういう答弁もございました。
また、五月二十七日、宮下一郎議員に対する竹中大臣の答弁、これは安定的な代理店契約の問題についてですけれども、今までの二万四千という、通常の大手のコンビニの三倍ぐらいのネットワークを全国に持っている、それが強みであるから、それを手放すというようなことは経営者のインセンティブとしてなかなか想定しがたい、そのようにおっしゃっておるわけであります。
そしてまた、代理店契約の延長について、五月三十一日、石井啓一議員に対する伊藤大臣の答弁では、かかる契約を締結するかどうかは、民営化後の会社の企業価値の最大化を追求する経営陣の経営判断によるところとなります、そういう答弁であります。
私は、関係合同部会でも何度も発言したんですが、経営者といってもいろいろいるわけでございます。例えば、カリスマ性のある、大変経営能力のある方として、ダイエーの中内さんあるいは西武の堤さん、そういった方もいらっしゃるわけでありますし、ヤオハンの大社長もおりました。いろいろな経営者がいると私は思うんですが、本当にこういう大きな会社、これから公共性のある会社については、皮肉を込めて言いますけれども、西武の堤さんとかダイエーの中内さんのような大変企業力のあってすばらしい方にやっていただかないとなかなかうまく黒字にならないんじゃないかなと。そういう方ですら会社を傾けるというふうに私は何度も関係合同部会で申し上げた次第でございます。
株式会社というのは、市場原理でございますから、やはり何といっても、経営者が株主から拠出された資本を管理運用して、その利益を株主に配当という形で還元すること、これがまさに株式会社の仕組みではないかと思うんです。ですから、私は、もし私が株主でありましたら、やはり配当をふやしてほしい、そして経営陣でありましたら、できるだけ取締役の給料やボーナスに利益のふえた分を回してほしい、そういうふうに判断するはずであります。ですから、株主がだれかということが一番大きな問題ではないかというふうに思うわけであります。
十数年後に郵貯会社、生命保険会社が完全民営化されるというわけでありますけれども、そこで大臣にお尋ねしたいのは、郵政民営化法案では、今申しましたように全株を処分するという義務が課せられておりますけれども、郵貯銀行等の体力が弱って株価が下がってくれば、例えば長銀の例があるように、株を買い占めして支配するということがあるのではないかというふうに私は考えております。
現に郵貯を民営化したニュージーランドの例がございますけれども、結局、オーストラリアの資本に買い取られて、そして国営の金融企業がなくなって、わざわざニュージーランド・ポストが一〇〇%子会社のキウイバンクを設立したというような例があるかと思います。
このような外国の失敗例に学べば、郵貯銀行等の株式等については一定の外資規制を設けることが必要ではないかと私は思います。私の理解では、公社であれば外資規制はできますけれども、WTO協定上、サービス貿易一般協定上、外資規制はできないというふうに理解しておりますが、その点についてお答えいただきたいと思います。
〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
○竹中国務大臣 城内委員、冒頭で龍山村の例を御紹介くださいました。私も和歌山の田舎の出身でありますので、そのような城内委員の事例、私なりにお伺いしまして、しっかり胸にとめ置いて改革を進めなければいけないと思っております。
それで、経営判断が重視されるということで、株主の関係が重要だという御指摘がございました。
もちろん経営判断は重視されるわけですけれども、それでも、社会的な機能が果たせるような枠組みは枠組みとしてしっかりとつくっているつもりでございます。例えば、ユニバーサルサービスを郵便について義務づける、義務づける見返りとして、しっかりと利益を稼げるそのリザーブエリアは今のまま残す、また金融についても基金を活用できるような仕組みをつくる等々、そういう意味では、経営の判断を重視しながら社会的な機能を同時に残すんだというのが全体の設計になっているところでございます。
そこで、お尋ねの株主の外資等々の規制の問題でございますけれども、この郵便貯金銀行、郵便保険会社におきましては、商法の一般的な規定を活用しまして、それで敵対的買収に対する防衛策を講じることとしているところでございます。郵便貯金銀行、郵便保険会社に関する直接の外資規制は、御指摘のように設けておりません。
これは、国際的な協定の問題もありますが、さらに、民営化の趣旨にかんがみまして、今般の法案において特別の措置を講ずるのではなくて、一般の民間企業と同様に、商法の規定を適用した防衛策を講ずるべきであるという考え方に基づくものでございます。
敵対的買収に対する防衛策、これは今、大変各方面で関心を呼んでおりますし、それにつきましては、五月の二十七日に経済産業省、法務省がガイドラインを発表したというふうに承知をしています。このガイドライン等に基づきまして、例えば東京証券取引所が今後、上場の基準、開示基準のルールをつくっていくというふうに予定していると思いますが、そのルールづくりが進められている今途上でございます。
このため、郵政民営化後の新会社における買収への防衛策につきましても、今後、さまざまなルールの整備状況や投資家の反応等も勘案しました上で、最終的には、新会社の設立の際に、まさに経営者にも適切に判断をしていただいて、最も有効かつ適切と考えられる方法を講ずることになるというふうに思います。
○城内委員 私、四月七日の第二十二回郵政関係合同部会でも同じような質問をさせていただきまして、竹中大臣から、敵対的買収への防衛策として、今おっしゃったのは議決権制限株式への強制転換条項のことだと思いますが、そういうものがあるから大丈夫だよというようなニュアンスの御答弁をいただいたんです。
ただ、今、竹中大臣が経済産業省と法務省でガイドラインをつくったというふうにおっしゃいましたけれども、この五月にできたガイドラインについて、この敵対的買収防衛策については、その中身は、これが過剰に認められてしまうと経営者の保身に利用されるということから、一般的に、無制限に認められるものではなくて、極めて限定的にしなさいよ、そういうような内容であったというふうに理解しております。そして、特に、企業価値が高まるか下がるかとか、あるいはどれだけ多くの株主がその買収を敵対的と見るのか、あるいは戦略的で株主にとってもプラスの買収と見るのか、そういう厳しい基準を置いた上で、何でもかんでも敵対的買収を防止するんだといって措置できないというふうに私は理解しておりますが、その点について、経済産業省の方から御答弁をいただければと思います。お願いいたします。
○舟木政府参考人 お答え申し上げます。
先月二十七日に、経済産業省と法務省が共同しまして指針を策定したところでございます。この指針は、企業買収に対します過剰防衛を防止するとともに、企業買収や企業社会の公正なルールの形成を促すことを目的としておりまして、適法性かつ合理性の高い買収防衛策のあり方について示したものでございます。
この指針、三つの原則を示しておりまして、まず企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、それから事前開示・株主意思の原則、それから必要性・相当性の原則、この三つの原則のもとでいろいろな具体例も示しておるところでございます。
この指針の目的としますところは、適法性かつ合理性が高い平時導入型の買収防衛策を提示することでございまして、先生がおっしゃいましたように、過剰な防衛策にならないようにというのが一つのポイントでございます。
○城内委員 今、適法性、合理性という話がございますが、ちょっと一点確認したいんですけれども、企業価値を高めるもの、そして株主の共同利益を向上させる、確保できるものであれば、これは敵対的買収とはみなされないという理解でよろしいでしょうか。
○舟木政府参考人 お答え申し上げます。
敵対的買収につきましては、この指針の前提といいますか、この指針をつくる際に参考にいたしました、企業価値研究会による検討というのがなされたわけでございますが、その際には、敵対的買収は、買収されようとする企業の経営者が同意をしない買収というふうに定義をしておるところでございます。
○城内委員 ということは、やはり議決権制限株式への強制転換条項があるといっても、こういった形で合理性がなかったりする場合は結局は買収され得るということであって、それは外資であっても同じであるというふうによくわかりました。
次に、伊藤金融大臣にお尋ねしたいんですけれども、同じように、四月に東京証券取引所が、敵対的買収防衛策の留意事項という、これも同じようなガイドラインだと思いますけれども、上場企業に対して発出した文書があるというふうに伺っています。
この中身も同じように、原則として企業価値あるいは株主共同の利益を損なうかどうかという基準でやるべきであって、何でもかんでも敵対的買収だといって規制はできない、いずれにしても、最終的には株主が判断すべきであるというような内容だというふうに伺っておりますが、その中身について御説明をいただきたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答えをいたします。
敵対的買収に対する防衛策については、さまざまな議論があるところでございますが、今委員から御指摘がございましたように、四月の二十一日、東証から上場会社に対しまして、防衛策を導入する場合における投資者保護の観点から留意事項を通知したものと承知いたしております。
当該留意事項におきましては、敵対的買収防衛策の導入に際しまして、株主・投資者への十分な適時開示を行うこと、発動、解除及び維持条件が不透明でないこと、買収者以外の株主・投資者に不測の損害を与える要因を含むものでないこと、議決権行使による株主の意思表示が機能しないこととなるスキームでないこと、こうしたことが事項として示されているわけであります。
さらに東証からは、先ほど竹中大臣からも御答弁がございましたが、経済産業省そして法務省によって取りまとめられたガイドラインの内容でありますとか、あるいは、関係各方面の議論を参考に、市場開設者として投資者保護の観点から、今後、上場規則及び開示制度の整備を行う予定と聞いておりますので、金融庁といたしましては、投資者保護の観点から、関係省庁とも連携をしつつ、証券市場の制度の構築に努めてまいりたいと考えております。
○城内委員 御説明ありがとうございます。
ただ、やはり結論として、郵貯銀行等の株主に、どれだけ企業価値を高めるものであっても、例えば外資であったら拒否できますよということはできない。株主が外資はあくまでも拒否しますよという総意があれば別ですけれども、企業価値を高める、あるいは共同利益につながるということであれば、外資企業による買収というのは当然できて、完全に防止することは困難であるということが非常によくわかったわけであります。
郵貯は国民共有の財産であるというふうに私は考えるんですけれども、我が国の発展にまさに役立てるべきでありまして、こうした考えに立つと、利用者の利便性、ユニバーサルサービスなど、これは国が関与しているからこそ維持できるものであって、私は、外資がそのような点を配慮するとはとても考えられないんです。
例えば、カルロス・ゴーンさんがもしそういった株主になったり会社の社長さんになって、さっき申しました龍山村の郵便局、赤字で、そのままユニバーサルサービスで生命保険そして貯金、これを、では赤字でもそこにそういうサービスを残しておくのかなというと、非常に私は疑問に思います。投資家として、郵貯銀行等の収益性の向上や財務の健全性といったものを重視して判断するのが当然だと私は思います。
政府は、外資による買収がこのような防衛策によって防げるというようなニュアンスのことをおっしゃっているように感じるんですけれども、私は、これは事実に反するのではないかなというふうに思う次第でございます。
それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。
最近のアメリカの例で、こういった戦略的買収あるいは敵対的買収といったものが幾つかあったと思います。オラクルとかクエストの例がありますけれども、経済産業省にお聞きしたいんですけれども、こういった買収はどれくらいの割合で失敗しているのか、あるいは成功しているのか。この点について、私の理解では、こういうものは恐らく八割、九割ぐらい成功していないと余り役に立たないんじゃないかなと思うんですけれども、ぜひその数字を示していただきたいと思います。
○舟木政府参考人 お答え申し上げます。
買収対象企業の経営者が反対をしている、いわゆる敵対的買収に関しまして、これは民間の調査でございますが、アメリカにおきましては、一九九九年から二〇〇四年までの間で、およそ四〇%がこの敵対的買収に失敗をしている、それからおよそ三五%が成功をしている、それから残りの二五%が、買収を仕掛けた者ではなくて、そういう人ではない第三者により買収をされているというような数字がございます。
○城内委員 こういった買収防止策が進んでいると言われているアメリカですら、成功率が三五%、そして失敗率が四〇%という非常に愕然たる数字なんですが、我が国においてはまだまだこういった実例もございませんし、先般のライブドアとニッポン放送、フジテレビをめぐる争いでも、裁判をやると負けてしまう、こういう状況でございますので、私は本当に、外資がどっと入ってきて、さんざん買いたたいて、利益だけ吸い取って後去っていくというようなことが非常に心配なわけでございます。
それでは、時間も余りありませんので、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
次の質問は、アメリカ政府の対日イニシアチブ、対日要求についてでありますけれども、私は、ここ数年、我が国の郵政民営化問題について、アメリカが相当高い関心を示しているんだなというふうに思っております。これは非常に日本の国民の関心が低いのに比べて、なぜかアメリカ政府、そしてまた在日米国商工会議所さらには米国生命保険協会が、累次にわたり、いろいろな形で郵政民営化についての要求をしているというふうに伺っております。
例えば、アメリカ政府は、九四年の日米保険合意で簡易保険商品の拡大についての協議開催を取りつけ、また九五年には簡易保険を廃止してくれというようなことを要求したというふうに伺っております。そしてまた、昨年来、在日米国商工会議所や米国生命保険協会は、我が国の郵政民営化について、節目節目にいろいろな形で、民営化を早くやってくれというふうに言ってきていると承知しております。
そこで、質問ですけれども、郵政民営化準備室が発足したのが昨年の四月ですから、この昨年の四月から約一年間、現在に至るまで、郵政民営化準備室に対する、米国の官民関係者との間で郵政民営化問題についての会談、協議ないし申し入れ等、こういったものが何回程度行われたのか、教えていただきたいと思います。
○竹中国務大臣 昨年の四月二十六日から現在まで、郵政民営化準備室がアメリカの政府、民間関係者と十七回面談を行っているということでございます。
○城内委員 十七回ということは、これはもう月に一回はこういう形で、アメリカの方で早く民営化してくれと言ってきているということであって、かなりの頻繁な数ではないかというふうに私は思っております。
次の質問に移ります。
それでは、米国生命保険協会がございますけれども、先ほど申しましたように、これまで累次にわたり郵政に関し要望を行っているということでありますけれども、この米国生命保険協会が、昨年から現在まで、郵政民営化に関してどのような内容の声明を出しているのか、そしてそれは大体何回ぐらい出しているのかについて、竹中大臣より御答弁いただきたいというふうに思います。
〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
○竹中国務大臣 お尋ねの米国生命保険協会でございますが、昨年来、郵政民営化に関連をいたしまして、完全なイコールフッティングが確立するまでは郵便保険会社は新商品の発売を認められるべきではない等の主張をする声明等を出していると承知をしております。同協会のホームページによれば、昨年三月以降現在まで、九回の声明等を発出したものというふうに承知をしております。
内容についてということですので、もう少しお話しさせていただきますと、米国生命保険協会は、郵政民営化法案に関し、五月十七日付で、この協会は引き続き日本の郵政民営化法案に懸念と期待を表明すると題する表明を発表したというふうに承知をしております。
声明でありますけれども、郵便保険会社と民間事業者との公平な競争条件に関しまして、幾つか述べております。郵便保険会社の業務拡大の客観的基準が不透明である、業務拡大のプロセスにおいて利害関係者が意見を述べる機会が保証されるべきである、移行期において郵便保険会社の規制監督に総務省がかかわるべきではない、地域貢献基金がどのように使われるかが明確でない等の懸念を述べるとともに、小泉内閣の取り組みを支持しまして、日本政府とのさらなる対話を期待するというふうに述べていると承知をしております。
○城内委員 それでは、大臣にお尋ねしたいんですが、こういったアメリカの要望について、大臣としてはどのように評価されているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○竹中国務大臣 これはもう、内外問わずいろいろな御意見がございます。私たちは、民間でできることは民間でやるという基本的な考え方、それを徹底することがやはり国民の経済厚生を一番高めるんだという観点からこの改革に取り組んでおりますので、これは多方面に御議論はいただきたいというふうに思いますが、我々としては、だれがどうこう言ったからということではなくて、国民の経済厚生を高めるために改革を行うという点、一貫してそれに基づいて改革を進めているつもりでございます。
○城内委員 今、竹中大臣、だれがどうこう言ったからということでなく改革を進めていくというふうにおっしゃったわけでありますけれども、今議論している郵政民営化関連法案の中身、内容で、アメリカの要求に全く沿えなかったものというのはあるのでしょうか。そこをもしおわかりでしたら答えていただきたいと思います。
○竹中国務大臣 アメリカの要求というのを詳細に、ですから、だれがどう言ったからこうするということではないわけですから、アメリカの言っていることを詳細に、正直言って検討しておりません。
ただ、一例としてすぐに思いつくのは、今ちょっと申し上げましたけれども、完全なイコールフッティングが確保されるまで郵便保険会社は新商品の発売を認められるべきではないという主張をしているわけですが、これは我々の今の制度設計とはやはり違っているわけですね。
私たちは、経営の自由度をできるだけ持っていただこう、もちろんイコールフッティングは大事だけれども、透明性、公正性のあるプロセスを経て、段階的にやはり業務拡大をしていっていただこうというふうに考えているわけであります。そこに民営化委員会の公正なプロセスを経て、そのことをしっかりやっていこうというわけでございますから、先方がどういう趣旨で言っているのかはともかくとしまして、そこは、文面を解する限りはやはり違っているというふうに思っております。
○城内委員 今、大臣、イコールフッティングの話をされましたが、私から見れば、例えばアメリカの要求には、特に、郵便保険と郵便貯金事業の政府保有株式の完全売却が完了するまでの間、新規の郵便保険と郵便貯金商品に暗黙の政府保証があるかのような認識が国民に生じないよう十分な方策をとるといった記述がありますが、閣議決定の郵政民営化の基本方針には、完全売却とか暗黙の政府保証といった記述がないんですが、なぜか不思議と今の法案には、これは六十二条とか百九条だと思いますが、こういう措置が盛り込まれてしまっているという不思議な現象が起きております。
そしてまた、昨年から、冒頭申しましたように、郵政民営化準備室は米国関係者と累次にわたり話をしてきている。十七回とかおっしゃいましたけれども、ただお茶飲み話をしているわけじゃないと思うんですね。こういった米国の業界は日本の郵政民営化をかなり細かくチェックしているというふうに思われるんです。
そしてまた、声明を発表しています。それを、いや、余りそういうのはこだわらずに、詳細は余り詰めていませんというようなニュアンスの御答弁がございましたけれども、私は、恐らく準備室の方々はそういったアメリカのいろいろな声明やら申し入れについては一応きちっと精査しているんじゃないか。したがって、さっき申しましたような完全売却とか暗黙の政府保証というような、こういう話になってきているんじゃないかなというふうに感じるわけです。
そういうことで、日米の両国の正式な協議の場である日米規制改革イニシアチブを反映して、私は、どうしても米国に相当譲歩してしまった法案になっているのではないかというふうに疑いを強くしているわけであります。
一方、では、国民に対して我が国政府が行った郵政民営化のタウンミーティングというのはたった三回。アメリカとは毎月一、二回、いろいろな形で協議している。何かちょっとどっちがどっちなのかなという感じがするわけでありまして、こういうことを言うのは大変申し上げにくいわけでありますけれども、やはり郵政民営化というのは、我が国の将来に、そして冒頭に申しましたように、日本の国民、利用者、そして郵政事業に携わってこられている方々二十七万人、パートも入れて四十万人の生身の人間がやっている話でございますので、特定の他国の意向に左右されては決してならないと私は思う次第でございます。
したがいまして、自立的な議論が必要であるというふうに私は認識しておりますが、最後に、私のこの考えについて、竹中大臣から一言御見解をいただきたいと思います。
○渡辺政府参考人 済みません、大臣が後ほどきちんとお答えを申し上げますが、十七回の対談をしましたうち、十回は私でございます。財務省、USTRそれから公使、随分いろいろな方がお見えになりました。そして、一貫しておっしゃっていたことは、英語流で言いますと、レベル・プレーイング・フィールドをくれ、これが完成するまでは新商品を出すべきではないというお話でございました。
私は、相手方には一貫してこういうことを申し上げています。そういうことを決めるのはあなた方ではないし、私でもない。これは郵政民営化の委員会がそれを判断するのであって、法律上、民営化委員会の御判断に従う話であるので、そこまでに話をしておきましょうということに一貫しております。
○竹中国務大臣 城内委員から二点、完全売却等々の内容がそれに近いではないかというような御指摘だったと思いますが、これは何度か御答弁申し上げましたように、きちっと国との関係を切ろうという我々独自の考えに基づいているものでありますので、その点、御理解いただきたいと思います。
タウンミーティング三回ということですが、私たちは、私自身、地方懇に、二十一カ所でそういったテレビ出演を含めた会合を持たせていただいたりしておりまして、国民との対話というのはしっかりと重視をしてきたつもりでございます。
そういった意味で、あくまでも国民のために郵政民営化を行うという観点からしっかりと対処をしておりますので、ぜひその点、御理解を賜りたいと思います。
○城内委員 何度も言いますけれども、利用者である国民、そして郵政に携わっている方々が生身の人間であるということを繰り返し申し上げまして、アメリカとの同盟関係、安全保障は重要でありますけれども、この分野については、やはりきちっと国民の利益を第一に考えていただいて改革を進めていただきたいというふうに思う次第であります。
以上で終わります。
(略)
162-参-郵政民営化に関する特別…-12号 平成17年08月02日
平成十七年八月二日(火曜日)
午前九時開会
(略)
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。今日は、だれのための郵政民営化なのかについて小泉総理に御質問させていただきたいと、そう思います。
午前中に片山幹事長からるる質問がございました。そこの中でいろいろな御答弁がございましたが、これまでの答弁と基本的に変わってはいないんだろうと、そ
う思います。結果的に、今回の法律は、今まで成功してきた日本のビジネスモデル、三事業一体であるというビジネスモデルを壊すということにこれは間違いな
いことであって、これは今日の御答弁の中でるるありましたが、いずれにしても、最終的には、保険と銀行とを両方とも株の完全売却をするということは三事業
一体の形態を壊していくことにつながっていくことであって、何ら法律上新しいものが担保されたというものではないんだろうと、そういうふうに認識していま
す。
そこの中で、世界の、いろいろと国会で質問させていただく中で、竹中大臣からの御答弁は割と推測で物を言われている点が私は多かったと、そ
ういうふうに思っています。そういう中で、今日は、世界の実態を改めて検証した上で、その点について世界でどういうことが起こっているのかを国民の皆さん
にきちんとした形で知っていただきたいと、そう思います。
まず、郵便なんですが、実は調べてみて驚いたことに、アメリカは郵便に関しては米国郵
便庁がこれは国営で行っております。ですから、民営化民営化と、小泉総理がおっしゃっている民間でできることは民間でと、市場原理のアメリカであっても実
は郵便、米国郵便庁、国営でやっているということでございます。この点について総理はどうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 郵便については、これは極めて公共性が高く、また多くの国におきまして、その郵便法というものに対しては、多くの
国民がその必要性十分認めているという点から、今回の郵政民営化法におきましても義務付けをしっかりとしているわけであります。また、外国の例におきまし
ても、同じ郵便局ということにいたしましても、日本の郵便局とまた外国の郵便局とにおいて比較する場合にも、貯金の規模とか保険の規模とかいう点について
はおのずとそれぞれ国の違いがあるということも承知しております。
しかし、今回の民営化法におきまして、国民がどうしても必要なサービス、例え
ば郵便配達等につきましてはこれを特殊会社として設置基準等義務付けておりますので、そういう外国例を参考にしながら、この郵便事業のどうしても不可欠な
部分においては今後ともしっかりそれが維持され、国民の利便に支障がないように様々な配慮をしているところでございます。
○櫻井充君 今極めて大事な御答弁がございました。つまりは、公共性が担保されるように、そのためには国営でなければならないということだったんだろうと思います。
その意味で、今度は、米国の場合には郵便貯金というまず国営の貯蓄機関がありません。そのために一体アメリカでどういうことが起こってきているのか。総
理、金融排除という言葉を御存じでしょうか。そして、アメリカでは実は一千百万の世帯の人たちが銀行の口座を持てないと、そういう実態について御存じで
しょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、今日の答弁の前に櫻井議員が質問された議事録を全部読んでおりますので、承知しております。
○櫻井充君 ありがとうございます。
そこの中で、ちょっと皆さんに見ていただきたいと思いますが、(資料提示)なぜ問題になるのかという
と、実は低所得者の方々が口座を持てないということになります。その低所得者の方々が口座を持てないというのは、実はまた後でお示ししますけれども、口座
手数料というものを必要としているがために、口座手数料というのが必要なために、アメリカでは実は一千百万世帯の人たちが口座を持てません。
こ
の口座を持てないということになると一体どういうことが起こってくるのかと。これは、一番分かりやすい例で申し上げますと、年金が受け取れない。年金を今
まで皆さんは、国民の皆さんは銀行、郵便局に振り込まれてきたであろう、そういったものが受け取れなくなってきてしまうとか、それからクレジットカードが
持てないとか、そういった問題が起こってきています。
アメリカの場合は、これは郵便だけ、貯金の問題だけではなくて、医療保険制度でいいます
と、その医療保険制度でいうと民間の保険会社が中心になってきています。そのために低所得者の方と高齢者の方と保険に入れないという、そういう問題がござ
いました。そのために国でメディケア、メディケードという保険制度をつくって、それでもなおかつ五千万人の人が医療保険制度に加入できない。私は医者です
けれども、医者として本当にこういう現状を放置できないんじゃないかと、そういうふうに思います。そこの中で、今自己破産のナンバーツーは、アメリカの場
合、ナンバーツーは実は医療保険が払えない人たちなんです。つまりは、そういう医療保険も民間でやるべきものでない。これは本当、この国の医療保険制度は
極めてすばらしいわけですけれども、それと同じようなことが実は金融の現場でも起こっているということなんですね。
で、こういうことが日本でこれから起こり得るんではないのだろうかと。竹中大臣はこの間、現時点ではとおっしゃいました。それは、現時点では郵便貯金があるからそのことは起こらないんです。
ところが、ちょっと別なパネルお願いできますか。(資料提示)しかし、これは郵便貯金だけでなくて、民間の金融機関を調べてみると、ここにございますけれ
ども、口座手数料がA銀行の場合には三百十五円とか、もうどこの銀行も最近は口座手数料を取るようになってきています。しかも、大事な点は、残高が少ない
人たちに限ってだけこういう形で口座手数料を取っているということなんです。そして、もう一つは、この外資系を見てください。ここは実は、五十万円以下の
場合には月々二千百円も手数料取っているんですね。これだけの負荷を、負担が国民の皆さんに発生する、だから口座が開設できないことになるわけです。
そこで、厚生労働大臣にお尋ねしますが、こういうような状況になってもし口座が開設できなくなったような場合には、日本の皆さんはどうやって年金を受け取れることができるんでしょうか。
○国務大臣(尾辻秀久君) 年金の支給、受給については、郵便局の窓口というのは大変お世話になっておるところであります。
今口座のお話
がございましたけれども、口座はまだ銀行でもつくれますから銀行にお願いしてということもありますが、実はどうしても現金でもらいたいという方がおられま
して、その現金でもらいたいという方は銀行の窓口のみで今現金で受給していただくという仕組みにもなっております。
したがって、申し上げており
ますことは、年金の受給、支給に関して郵便局の窓口というのは大変重要な今役割を果たしていただいているということでございますから、これはもう今後とも
その役割を果たしていただかなきゃ年金をお預かりする立場から困るというふうに申し上げたいと存じます。
○櫻井充君 口座が持てなくなる可能性があるわけです。
そして、もう一つ申し上げますが、銀行は利益を上げて、銀行は利益を上げて税金を
払っているというお話をされます。しかし、今までの郵政公社というのは、これは利益を上げていないんです。利益を上げていないがゆえに今の口座手数料など
必要としていないんです。それからもう一つは、これからお話、またお話しさせていただきますが、振込手数料も安く済んでいるのは利益を上げない郵政公社だ
からできるんです。
そして、銀行が、銀行がこれから税金を払うとおっしゃいますが、例えば、今のような口座手数料を取るとか振込手数料が引き上
げられるとか、そういうものを国民の皆さんに負担をツケ回して、そしておっ付けて、それが結果的には国に入ってくるから、税金を納めるんで、これは本当に
国民の皆さんにとっていいんですよという説明をされますが、実際は税金の原資になるのは国民の皆さんの負担でして、これは隠れた大増税だと私は思っている
んですね。ここは極めて大事なことなんです。
それは、もう一つ御説明いたしますが、振込手数料の方ちょっと出して、もう一枚、振込手数料の方を
見ていただきたいと思いますが、(資料提示)今は、郵便局は例えば一万円までであれば七十円で済んでいます。そして、十万円までであったら百二十円で済ん
でいるんです。これは同行支店あてと同じところで見てくると、三百十五円、七十円のところが三百十五円掛かるんです。そして、今度は五百二十五円、十万円
になると五百二十五円掛かるんです。つまり、これだけ銀行は振込手数料を引き上げているから利益を上げて、だから税金を払っているんですよ。税金が、税金
がですよ、郵便局が利益を上げて払うという、その原資は何かというと、結局は国民の皆さんにツケ回しているんじゃないですか。
もう一点申し上げておきますけれども、じゃ何でこの三万円を超えたところで、銀行はですよ、銀行は三百十五円から五百二十五円。これ全部三百円を境に二百十円ずつこれ上がっているんですね。
これ、何で二百十円ずつ上がっているか御存じですか、竹中大臣。
○国務大臣(竹中平蔵君) 印紙税だと思います。
○櫻井充君 そうです。
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと一点、是非申し上げさせていただきたいんですが、今のちょっと表で、郵便局通常七十円と書いておりましたけれど
も、この通常というのは、これ翌日以降の振り込みになると聞いております。比較しております銀行の方は、これは電信でありますので、これはスピードがかな
り違うわけでございます。ちなみに、郵便局も電信は二百十円で、先ほどの、今の某地方銀行と同じ数字であるというふうに承知をしております。
あ
と、口座手数料についても、私は、櫻井委員の金融排除をこの国で起こしてはいけないという問題意識は、これは私も共有をしているつもりでございます。た
だ、ちょっと事実関係だけ申し上げますと、アメリカでは大変深刻な金融排除があるという御認識だと思いますが、その中で、口座手数料が高いから口座が持て
ないというふうに言っているのはその中の一割だという数字が連銀によって示されております。だから、ほかの要因もやっぱりあるということなんだと思いま
す。
また、口座手数料について、日本の口座手数料につきましても、今確かに口座手数料を取るところ出てきていますけれども、一方でほとんどの銀
行において無料の、口座手数料が無料のものというのは引き続き存続しておりますので、そうした点も踏まえまして、現状においてそういう問題が民間部門でも
ないのではないかということを先般申し上げたところでございます。
しかし、今後そういうことが起こらないように政府として注意しなきゃいけないという櫻井委員の問題意識は私も同感でございます。
○櫻井充君 なぜ今民間で口座手数料を取らないところがあるのかといえば、これは郵便貯金があるからなんですよ。郵便貯金で取っていないからこそ銀行もそこのところに合わせてきているということなんですよ。ここのところは勘違いしないでいただきたいなと、そう思います。
それからもう一つ、確かにその翌日送りになるのかもしれません。しかし、別に急がない人たちも一杯いるわけですよ。七十円でいい人たちもいるわけです。お
金を別に高く払って今日送ってくれと思わない人たちだって幾らだっているわけです。安くたっていいという人たち一杯いるわけですよね。これは、新幹線でき
て便利になった、便利になったって言いますけど、特急で四時間掛けて仙台から東京まで来て、特急料金の方が安くてよかったという人たちも実際いらっしゃる
んですよ。ですから、そういう意味でちゃんと選択できるような社会が大事だと、ここのところなんですね。
それからもう一つ、今、今二百円のとこ
ろで、二百十円の印紙税のところで印紙税だとおっしゃいました。印紙税だって銀行が支払う、銀行が支払うと言っているわけですよ。しかし、この原資は振り
込み手数料に全部還元されているんです。これは本当に、今日どなたが見ていらっしゃる、くださっているか分かりませんが、主婦の皆さんも改めて家計簿見て
いただければ分かりますが、この振り込み手数料の中に、実は皆さんが知らないうちに税金を払わされているんですね。銀行が払いますよ、それは。銀行がまと
めて二百円払うんですよ。三万円以上の振り込みだと、明治六年にできたしようもない法律で払わなきゃいけないことになっています。しかし、このことの原資
とて、結果的には国民の皆さんにツケ回しているんですよ。それをですね、それを、税金まできちんと払うから、だから国民の皆さんに利益が還元されるなん
て、冗談じゃないですよ。そういう説明をされて、いいですか、そうするとバラ色の社会になってくるような感じがしますが、決してそうではないんですよ。
それからまだ、まだまだあります。
今度はニュージーランドの例についてお話ししたいと思いますが、一枚目の。ニュージーランドの例でお話ししますが、このニュージーランドは民営化されまし
た。で、民営化されて、郵便局の数が千二百四十四から二百四十五と、五分の一に激減いたしました。これは、竹中大臣にこの間御質問さしていただいたときに
は、経営はうまくいっていると。それは、これだけ数を減らしたから経営がうまくいったというだけの話ですよ。ここのところは物すごく大事です。
じゃ、ドイツはどうなのかと。ドイツだって、九五年には一万六千九百幾つあったものが、二〇〇二年には一万二千六百まで減ってきていると。もちろんその前
からも減っていることは、それは分かっていますが、でも大事な点は、だったらなぜユニバーサルサービス令というのを改正して一万二千局を維持しなさいとい
う法律を作んなきゃいけなかったんでしょうか。つまりは、民営化するということはこういうことなんですよ。
今、今ですね、局が減らない、局が減らないというお話をされています。
そして、もう一つ大事な点は、ありがとうございます、過疎地になった、過疎地には広くあまねく措置をするとおっしゃっていますが、過疎地の定義が変わった
らどうなるんですか。これは言っておきますけど、要するに過疎地の定義が変わってしまったら、過疎地に広くあまねくと、担保されていると言ったって、そん
なことは分かんないじゃないですか。つまり、なぜ一万二千という数字を出してきていると。ここが大事なことですが、これ以上減らさないですよという維持
で、安心してもらうためにはその数字を出してくることは大事なんですよ。
我々だけではなくて、多くの、これは地域をまじめに歩いて、だからこの
法案がおかしいんだと言っている方々が一杯いらっしゃるわけですよ。地域を歩いてまじめに皆さんの声を聞いている人たちが、この庶民の皆さんの声の代弁者
としておかしいんじゃないかということをずっと言っているわけですよ。そこのところを理解していただきたいとも言っていますし、このことの数が減らないと
いうことをきちんとした形で法律で明記するべきじゃないか。
こういう前例があるから私は申し上げているんですが、大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(竹中平蔵君) 櫻井委員非常にたくさんのことを今おっしゃいましたので、丁寧に本当はお答えしなきゃいけないと思うんですが、ポイントだけということだと思います。
ただ、最初の印紙税の点は、これは確かにいろんなお立場の考え方あろうかと思いますが、これはまさしくやっぱり民間から見るとイコールフッティングではな
いと。こちらでやればちゃんと税金払うのに、こちらでは税金払わなくていいと、それはやっぱり民業圧迫ではないかという声にもつながっているということだ
と私は思います。
で、ニュージーランドでございますけれども、これは、私が先般申し上げたかったのは、これは国内資本、国内資本の銀行を育てなければいけないという銀行行政上の要請としてキウイバンクが設立されたのであって、そのことを前回申し上げたわけでございます。
そして、ドイツ・ポストの話でございますが、ドイツ・ポストの話に関しましては、これはユニバーサルサービス令を決めた、御指摘のとおりでございます。我
々は、ドイツの例も踏まえながら、当初から設置基準を作るということを決めているわけでございます。ドイツの場合は、そういうことがなかった関係で、実は
やはり社会的に幾つかの問題が起こったということも事実であろうかと思います。我々は、設置基準をそのために作るわけでございます。
そして、日
本の設置基準に関しても、これは、過疎地の定義が変わったらこれは守られないではないかということでございました。しかし過疎地は、これは正に法律に基づ
いて過疎地を定義しておりますから、これは法律を変えない限り過疎地の定義は変わらないということに相なります。その意味でいきますと、これはそのために
しっかりとした法律をも作っているわけでございますので、私たちはそこはまあ、法律を変えるというのは、これは国会の権限でいろんなことが将来的にあり得
るわけでございますが、我々としては、今の法律の枠組みの中で過疎地の定義もしっかりとさせて、その上で設置基準をしっかりと定めるというような仕組みを
取っているわけであります。
○櫻井充君 そういうところを法律できちんと書くことが大事なことなんです。それはなぜかというと、この間国会で、衆議院の答弁、やり取りの中で、
大臣の答弁は法的拘束力を持たないと、これは内閣の法制局長官がそう答弁されているわけですよ。ですから、我々は法律にちゃんと書いてくださいというお願
いをしている。
しかも、法律に書いても、例えば日本郵政公社というのができ上がりました、四年間まずどういう経営をするのかを見て、その後で判
断しようと、そういうふうに決めた法律があるにもかかわらず、四年間見るまでもなく二年何か月でこういう法律をまた提案してくるということを考えてくる
と、法律があるから安心ですよということを本当に言えるのかどうか。そして、大臣から御答弁いただけるから大丈夫なんですよなんていうことは、これは言え
ないんじゃないだろうか。これは、我々はそういう心配をしているから申し上げているんですね。
今、郵便局というのは、すごく便利な、これを見て
ください。(資料提示)郵便局までの距離を、下の方見ていただきたいと思いますけども、何と家から一・一キロです。つまり、各公的機関まで、学校が一・一
キロで、小学校区に一つぐらいずつ、一・一キロあるということですね。で、銀行はというと、どうかというと、もう六・六キロですからね。
つまり
は、銀行に本当にネットワークが必要だったということをおっしゃるんであれば、今なぜ銀行は統廃合していくんでしょうか。支店を廃止していくんでしょう
か。私の周辺で、新しい支店ができたというところよりも、もうはっきり言って廃止しているところの方が多いわけですよ。
それは大臣は、過疎地の
ネットワークが有効でとかいうお話は、これはどれだけの根拠があっておっしゃっているのかよくは私は分かりませんよ。今の民間企業は、もうからないと全部
支店を取り崩していますよ。ですから、今度は郵便局がなくなってきたときに一体どうなるかと。銀行と同じような状況になったら相当不便になるんだというこ
となんですね。
もう一つ申し上げておきますけれども、銀行は、ここに書いてあるとおり、五百五十町村に店舗がないんですね。ですから、そういう
ようなことまで郵便局が今までやってきたと。じゃ、郵便事業とは一体何かといえば、これは社会福祉事業ですよ。社会保障ですよ。その社会保障システムをま
た壊そうかということなんじゃないのかなと、私はそう思いますね。つまり、民業圧迫というお話がありましたけれども、公共性があったとすれば、その部分は
国なり公的機関がやるのは当たり前のことです。これが社会保障システムですよ。
そして、私はもう一度医者の観点から申し上げたいことがありま
す。小泉内閣になってから社会保障政策が一体どうなっていったのか。これを見てください。(資料提示)年金の改悪ですよ。保険料は引き上げられるし、給付
は減らされる。そして、医療費でいえば保険料も引き上げられる、老人の方々の対象年齢が上がるだけではなくて自己負担も引き上げられました。介護保険だっ
て今度はまた保険料が引き上げられるとか、様々な問題があるわけですよ。
こうやって、国民の皆さんがこうやって不安が増えるようなことだけを
ずっとやり続けている。そこの中で、老後が心配なんですね、皆さん、本当に。老後が心配な中で、安心して預け入れることができる郵便貯金だけが頼りだった
人たちにとってですよ、こういうものまで奪われてしまうということは国民の皆さんの不安を増長することになっていくんじゃないのかなと、そう思います。
各国は、各国はこういったものを、郵便貯金にしても郵便にしても、みんなほとんどが公的セクターがやってきているんですよ。ですから、それはなぜかといえば、先ほどから申し上げているとおり、公共性を維持するとか社会保障政策の一環としてやっていっているわけです。
そこで、もう一点お伺いしておきたいことがあります。ここからが本論になりますが、だれのための要するに郵政民営化なのかなんです。
まず、外務省にお伺いいたします。
ここに、日本とアメリカの対日要望書、対米要望書というのがございます。これはアメリカの大使館のホームページ、それから日本の外務省のホームページに掲
載されていて、お互いにこういうことを基に話合いをされているようです、要望しているようですが、基本的なことをちょっと外務省にお伺いしたいんですが、
この要望書というのは、例えば日本がアメリカに規制改革の要望をしているわけですが、これは日本の利益を得るためにこういう要望書を提出しているわけです
よね。
○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、この日米規制改革イニシアティブというこの対話の下におきまして、日米間の対等性、双方向性、そして十分な対話の機会を確保しながら毎年双方向で規制改革に関する包括的な改善提案を行っております。
アメリカに対する要望書につきましては、私どもとしても記者発表を行うとともに、外務省のホームページでも公開しておりまして、私どもとしてのアメリカに対する要望ということを行っている次第でございます。
○櫻井充君 これの中身を見させて、見ました。そこの中で大事な点申し上げますと、アメリカの要望書は極めて具体的でございます。一方、日本の要望
書は、ちなみに御紹介させて、御紹介いたしておきますが、要するにパスポートを何とかしてくれとか、それからいわゆる陳情みたいな形で、ここの部分を何と
かしてほしいので以下を要望するとか、そういうレベルでしか書かれていないんですね。これで、アメリカは一体どうなってくるのかというと、今回の、まずこ
こ大事なことなんですが、本年の要望書において米国は日本における民営化の動きに特段の関心を寄せた、これは郵政公社の話ですが、日本郵政公社の民営化は
意欲的かつ市場原理に基づくべきだという原則が米国の提言の柱となっていると。つまりは、市場原理に基づけとかそういうことをやれというのは実は米国の提
言の柱になっていると。もしかすると、これはアメリカの意向を受けてやってきているのかもしれないと思うところがあるわけです。
これは、もう一
つ、その前にもう一点大事なことだけ申し上げておきますが、先ほど対等関係というお話がありましたが、これは外務省のホームページに載っているので是非皆
さんごらんになっていただきたいと思いますけど、上級会合で日米の対日要望、対米要望というのを全部比較してみますと、例えば、私の専門である医療の分野
だけ申し上げますと、日本側からは対米要望に対して、医療機器、医療機器価格算定、再算定制度の見直しや、四月に発足する医薬品医療機器総合機構における
承認審査、短期、期間短縮の方向性等につき、米国政府の意見も十分に踏まえた改革が進んでいる旨を説明したとか、これ大事なことです。これは、これも米国
の意向です。米側、米側より高く評価する旨発言があったと。
日本側からはどうかというと、日本側からは医療機械承認申請に係る国際的に調和され
た手続を米国が遵守していない問題について改善を申し入れた。申し入れただけです。また、医療機械、医薬品の品質管理規制相互承認に向けた米側の真摯な対
応を要望したと、これで終わりです。そして、こんな、要するにこういうふうにしか評価されていないし、この程度のこういう内容なんです。要するに、何を申
し上げたいかというと、とても公平とは思えないということなんです。
そして、そこの中で、今度は郵政の民営化に対してですね、相当な提案があり
ます。例えば、競争条件の均等化であるとか、保険と銀行の公正な競争をやれるようにしろとか、それから相互補助の防止というのは一体何かというと、日本郵
政公社の保険及び銀行事業と公社の非金融事業間で相互補助が行われないよう十分な方策を取るというふうに言われていて、三位一体でやれるはずがないです
よ、アメリカの言うとおりやってくると。
これは委員の皆さんに資料で配らしていただいておりますが、「米国政府・団体からの対日要望と郵政民営
化関連法案との対応等」というのがございます。そこの中で、例えば「民間企業と同一な競争条件の整備」というところ、米国政府からは民間企業と同様の法
律、規制、それから規制監督を適用するというふうに言われております。そうすると、郵政民営化整備法の第二条のところに、「次に掲げる法律は、廃止す
る。」と、郵便貯金法、郵便為替法、郵便振替法、簡易生命保険法と、こうやって全部意向を受けていると。
ここに資料がございますが、例えば郵便
保険会社・郵貯銀行の政府保有の株式完全売却という項目がありますけれども、米国政府からは完全売却しろと、そういうふうに書いてあります。それに対し
て、段階的に処分しろとか、要するにアメリカ政府からいろんな要望を受けると、それに従ってこうやって法律が整備されてきております。
このことを踏まえてくると、果たしてこの民営化というのは国民の皆さんのための改正なのか、米国の意向を受けた改正なのか分からなくなってくるということでございますが、竹中大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(竹中平蔵君) これは総理にお答えいただく方がよいかもしれませんが、アメリカがそういうことを言い出す前から小泉総理はずっと郵政民
営化を言っておられるではないですか。これは、郵政民営化というのはもう十年二十年言っておられるわけですから、アメリカはどういう意図で言っておられる
か私は知りませんが、かつ、これはもう私たち、これはもう国のためにやっております。
かつ、このまあ一年二年ですね、わき目も振らず一生懸命国内の調整やっておりまして、ここで読み上げる、読み上げていただくまで私は、ちょっと外務省には申し訳ありませんが、アメリカのそういう報告書、見たこともありません。それはそういう、私たちはそういうこととは全く関係なく、国益のために、将来のために民営化を議論しているわけでございます。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは櫻井さんね、思い過ごし。何でもアメリカの言っているとおりやっていると思い込ませたいんでしょうけれども、そこまで考える必要はないと思うんです。私はアメリカが言い出す前からこの郵政民営化の必要性を説いていたんですから。
アメリカがどういう要求出しているかというのは、私もぺらぺらっと表面だけ見たことありますよ。しかしながら、アメリカの言っていることと日本が言っていること、常にアメリカの言うことを聞いているわけでもなし、日本は日本独自のやり方がある。
同時に、必要なことは、お互い投資環境を良くしようということです。日本も日本の製品なりサービスがアメリカ市場で展開されるように、アメリカ市場、よく
考えてくださいよと。同時に、日本もアメリカの資本が来てもらうように、日本の市場もアメリカの企業にとって魅力ある市場として思われるように環境整備し
ます。それが必要なんです。今の日本の余りにも社会主義的な官製市場をいかに市場経済に統合しようかという、そういう方向の下に民営化が必要だと言ってい
るんです。
今も、すぐアメリカが株を買う、買収される、乗っ取られる、心配はありますけれども、私は就任以来、外資警戒論よりも外資歓迎論を取
るべきだと言っているんです。今でも、アメリカの企業が、ヨーロッパの企業が日本の企業の株を買いたくないと思われたら、日本の経済なんか発展しません。
世界の経済から、アメリカであれヨーロッパであれ、東南アジアだろうが、ああ、日本の企業の株を買いたい、そういうように思われる企業がどんどん出てもら
わなきゃ日本経済は活性化しないんです。
今、世界の市場を見ても、アメリカからの日本の投資、ヨーロッパからの日本の投資、これは世界先進国に
比べて極めて少数です。だから、私は就任以来、倍増、外資倍増計画、外国資本もっと、日本の市場は魅力があるんだから、どんどん投資してくれと、そのよう
な環境を整備すると。そして、日本も世界の市場に、アメリカの一流企業、ヨーロッパの一流企業に負けないように、トヨタだけじゃない、ホンダだけじゃな
い、いろんな企業が外国の市場で十分活動できるような投資環境を整備してくれというのをいろんな首脳会議で言っているわけです。ところが、日本だけ閉鎖す
るなんという考えを持っていたらどうなるんですか。
もう外資警戒論から外資歓迎論を取って、外国の資本投入というもの、外国の、日本の株を買い
たいというものは、それは日本経済に活性化を与えるんだと、経営者にも刺激を与えるんだと、そういう気持ちを持たないと島国だけで終わっちゃいますよ。余
り島国根性持たない方がいい。
○櫻井充君 まず、外資から、外資から投資を受けるような企業にならなければいけない、それはもう当然のことでございます。大事な点は、そういうところを、じゃ全部買収されないようにしなきゃいけないということが一つあるわけです。
それからもう一点は、もう一点は、じゃニュージーランドの場合は一体どうだったのかということです。ニュージーランドの場合は、さっき竹中大臣が私が質問
していないのに御答弁されましたけれども、結局は民間の金融機関のほとんどが外資に買収されました。その結果、その結果、その結果、国民がちゃんと使い勝
手のいいような銀行、郵便局をつくんなきゃいけないといってキウイバンクが設立されているんですよ、総理。そういうことを御存じないんですか。逆に申し上
げておきたいと思います。
それからもう一つは、同じような投資環境になっていきましょうというのであれば、例えば保険関連の規制に対したらもっと、もっと改善するように要求したらどうなんですか。
例えばですよ、ここに書いてありますけれども、米国には依然、外国保険事業者が米国内で保険事業を営む上で障害となる規制が複数存在していると、もうここ
にこういうふうに書いてあるわけですよ。アメリカの場合には監督が、規制が州によって異なったりとか様々なことがあって、実は日本の会社だって、その保険
会社が進出したいと思ったって、そういうような規制が随分掛かっているわけなんですね。
ですから、そこのところを、そこのところは私は重々承知してこれは質問しております。そのことについてきちんとした形で、双方向とおっしゃるんであれば、もっときちんとした態度に、関係になるように努力されたらどうですか。
ちょっと話は違いますが、例えばBSEの問題で、日本でBSEが発生したら、その翌日からアメリカは輸入制限したじゃないですか。そして、全頭検査をやっ
て安全だと言ったって、いまだに輸入は再開されてませんよ、アメリカで。アメリカの危ない牛に関して、検査不十分なものは輸入しろ、輸入しろってこっちに
勧めてきているじゃないですか。こういう一つを取ってみたって、対等関係にやれているとはとても私は思えないですね。
もう一点申し上げておきま
すが、じゃ大臣、大臣、ここのところは大事なことですが、アメリカと、アメリカの要望書の中で我々の意見を聞けということがあって、十七回ぐらいたしかア
メリカの要望を、意見交換をしているはずなんですね、十八回でしょうか。これは十八回やっているはずなんです。
そうすると、そこの中で、米国の意向を先ほど知らなかったというお話をされますが、そんなことないんじゃないですか。こうやってやり取りをしていること自体、準備室でやり取りしていることの中で、そこのトップである大臣がそんなことを知らないんですか、本当に。
○国務大臣(竹中平蔵君) 私は、その今読み上げていただいた報告の詳細を別に聞いていないというふうに言っているんです。
十八回、これ準備室にはいろんな海外の方からいらっしゃいますから事務的に対応しております。私は忙しいですから、私自身が海外の方とお目に掛かってそういう話をしたことはございません。
まあしかし、事務、事務方としては当然御説明をしなきゃいけないし、対応はしなければいけません。そのことはやっておりますけれども、私が先ほど申し上げた趣旨は少し違うことでございますので、そこは御理解を賜りたいと思います。
○櫻井充君 じゃ、竹中大臣、大臣は、例えば外国の要人の方から、大臣がよく民営化一生懸命頑張っていると、それから金融改革ですか、銀行とのとか、そういうことに関して評価されているとか、もうそういうことも一切ないんですか。
つまり、今外国の要人と会ったこともない、何もないというようなお話をされていますが、僕は、そうすると、まあ大臣は大臣になってアメリカに何回行かれた
かちょっと分かりませんけど、僕は議運の理事として、どこどこ大臣の方が、大臣がどこどこに出張したいと、そういうふうにおっしゃるから、はい、国益のた
めに行ってきてくださいと、そうやってこちら側はお願いしている立場にございます。
そうすると、大臣は、アメリカの方とこういう問題について話
し合ったことすらないんですか。そして、そういうような例えば、竹中大臣、よく頑張っていらっしゃいますね、我々と一緒にやっていきましょうとか、そうい
うような、まあ例えばの話ですけど、そういうようなやり取りなんということはないんですか、本当に。
○国務大臣(竹中平蔵君) 郵政の問題につきまして外国の方から直接要望を受けたことは一度もございません。これ、先方から会いたいとかということはこれは当然来ますけれども、私はそういう立場にありませんので、それはお断りをしております。
もちろん国際会議等々に出て、日本の経済全体のこと、マクロ経済のこと、そして金融改革のこと、これは小泉改革全体についてお話をします。そういう点に関して評価をいただいておりますし、しっかり頑張ってくれという、こういうことはございます。
しかし、これは個別のアイテムについて、保険はこうしてくれ、株はこうしてくれと、そのような要望に関して、外国の方から私が具体的な要望をいただいたこと、そのような場を設けたことは一度もございません。
○櫻井充君 それでは、ここにアメリカの通商代表、代表の、まあこの間まで、前ですね、ゼーリックさんから竹中大臣にあてた手紙がございます。現在は国務副長官でございます。その方から竹中大臣にあてた手紙の写しがございます。
これ、ちょっと確認していただきたいんですけど、委員長、ちょっと議事止めていただいていいですか。
○委員長(陣内孝雄君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(陣内孝雄君) 速記を起こしてください。
○櫻井充君 ここには、要するにこれはどういう手紙なのかといいますと、これは竹中大臣が郵政担当大臣、経済財政担当大臣に再任されたときのお祝いの手紙でございます。
そこの中に、そこの中に、貴殿の業務の成功に対する報償がより多くの仕事を得たということを見て喜ばしく思いますと。その後るる書いてありますが、そこの
ところから後半の方ですが、保険、銀行業務、速配業務で競争の条件を完全に平等することを生み出し実行することは私たちにとって根本的に重要です。郵便保
険それから郵便貯金を民間セクターとイコールフッティングにするためにも、私たちは経済財政諮問会議からの連絡を歓迎しております。そしてまた、現在民間
企業に適用されている郵便保険と郵便貯金への税制、セーフティーネット上の義務の義務化、それから郵便保険商品に対する政府保証を廃止することを諮問した
ことに私たちは勇気付けられました。
私は、また、以下の点で丁重に貴殿を後押しいたしますと。二〇〇七年の民営化開始時から、郵便保険と郵便貯
金業務に対する保険業法、銀行法の下での同様の規制、義務、監督、完全な競争、競争条件の平等が実現するまで新商品、商品見直しは郵便保険、郵便貯金に認
めてはならず、平等が実現された場合にはバランスある形で商品が導入されること。新しい郵便保険と郵便貯金は相互補助により利益を得てはならないこと。民
営化過程においていかなる新たな特典も郵便局に対して与えてはならないこと。民営化の過程は常に透明で、関係団体に自分たちの意見を表明する意義ある機会
を与え、決定要素となることとする。今日まで私たちの政府がこの問題について行った対話を高く評価するものですし、貴殿が郵政民営化での野心的で市場志向
的な目標を実現しようとしていることに密接な協力を続けていくことを楽しみにしております。貴殿がこの新たな挑戦に取り掛かるときに私が助けになるのであ
れば、遠慮なくおっしゃってください。
しかもです、これはタイプで打たれたものですが、ここにです、ここに自筆の文章もございます。自筆の文章
です。そこの中で、わざわざここに竹中さんとまで書いてあります、竹中さんと。貴殿は大変すばらしい仕事をされ、数少ない困難な挑戦の中で進歩を実現しま
した。あなたの新たな責務における達成と幸運をお祝いいたしますと。これは去年の十月四日の時点ですので、貴殿と仕事をすることに楽しみにしておりますと
いう形で手紙も来ております。
ですから、今までそういうようなことに対しての要望がなかったということでは僕はないんだろうと、そういうふうに思っています。
ですから、ここは本当に大事なことなんですね。まあ今日はテレビが入っていますから委員会は止めませんけれどね。ですが、ですが大事な点は、総理が先ほど
アメリカ、アメリカと言うなとおっしゃっていますが、こういう形で送られてきて、事実を私は申し上げているだけでございます。
総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、アメリカのいいところはどんどん吸収していった方がいいと。日本には独自の対応もありますし、先ほど
BSEのこともありましたけれども、日本はアメリカに対して、日本の牛肉うまいから、アメリカの肉を買えと言うんだったら日本の国も買ってくれと今盛んに
言っておりますよ。ちゃんと同等の対応をしろと、言うべきことは言っているんです。
そして、ゼーリックさんでもだれだろうが、それだけ親愛の情
を込めて竹中さんと書いたような手紙をよこすほど外国の要人と交友関係を持っているということはいいことだなと思っております。私もたまには外国から小泉
さんと呼ばれることもありますし、小泉と呼び捨てにされることもありますし、いろいろあります。別に竹中さんと呼ばれるというのが特別問題になるとは思っ
ておりません。
○櫻井充君 要するに、どのぐらい親密なのかということを私は一点申し上げたかったわけです。自筆のサインで、そして、しかも竹中さんというふうに
書かれてくることを見てみると、決して一度も会ったことのない方からそういう形の手紙をいただくことはないんじゃないのかなと、そう思います。
これは、もう一点ここで申し上げておきたいことがあります。
それは、これはまた決め付けだとかなんとかだという御指摘を受けるかもしれませんが、例えば今、日本は米国債をどのぐらい保有しているのかというと、七十
五兆円保有しております。そして、その七十五兆円ですけれども、世界の国々で断トツの一位でございます。次が中国でして、この三分の一ぐらいの量であっ
て、日本は米国債を相当持っております。そして、今度は逆に言うと、郵便貯金は日本国債を百五兆円、これを保有しております。
ここでもしアメリ
カが今現在、郵便貯金や簡易保険の完全売却を求めておりまして、それに合った内容の民営化案が出てきております。ここで、株式交換制度などの変更による、
外資による完全買収を容易にする会社法が今国会で成立しているわけです。これ、そしてそこの中で、今度はびっくりすることに、シティグループなどが、
あっ、あれはゴールドマン・サックスだったかも分かりません、ゴールドマン・サックスがもう一兆円の資金を用意したという話もありましたけれども、いずれ
にしても、例えばそういうファンドが巨大な金融グループを使って郵貯銀行を買収すると、百兆円規模の日本国債が米国企業の手にゆだねられる可能性がないわ
けではないということになりました。これは極めて大事なことだと私は思っています。
そして、若しくは、そういう巨額な資金がなくても、資本を、株式を交換するとかいうことでも、実を言うと、そういう形で買収することもできるということになるわけです。
例えば、株式交換による買収は世界各国で当たり前のように行われているわけですが、日本の郵便貯金銀行や日本の簡易保険会社の資本金というのは大体どのぐらいを想定しているんでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 骨格経営試算でお示ししている数字でございますけれども、これは、民営化時点の自己資本の合計は、四社合計七・五兆円を想定をしております。
○櫻井充君 そうしますと、二〇〇〇年のイギリスで、イギリスのボーダフォンがドイツのマンネスマンというんでしょうか、ここのところは株式会社交
換の買収は実は二十兆円の買収を行っています。自己資本ゼロで二十兆円分の買収を実施、これが過去最大の買収なんだそうですけれども、わずかそのぐらいの
資本金であるとすると、その買収が絶対に起こらないという保証はないということだけ指摘させていただきたいと、そう思います。
るるいろいろ申し
上げてきましたが、最後にもう一点、ちょっと許し難いことがありましたので、このことについてお話をさせていただきますが、先ほど、午前中、政府の広報の
ビラの問題がございました。その政府の広報のビラというのは、本来は政府の政策が決定し、ごめんなさい、政府ではなくて、国会で法律が通ってから本当はこ
ういう内容になりますよということをきちんとした形で広報するべきものなんだと思うんです。
随意契約を結びまして、その随意契約もかなり、契約
の日付を変えるなど、ちょっとおかしいんじゃないかという指摘が一杯ありました。そこの随意契約ということは、この会社がいいからこの会社と契約を結んで
いるんですが、その会社がこういう戦略を持った方がいいですよということを政府にお示ししたこれは分析図です。(資料提示)
そうすると、縦軸に
何を取っているかというと、IQ軸というのを取っています。このIQ軸ということは知能指数です。知能指数の高い人、低い人、要するに、簡単に言えば、頭
のいい人、悪い人ということを縦軸に取っている。まずこういう分析をすること自体が非常識だと思います。これは、本来であれば政治的に関心があるとかない
とか、そういう形で取るべきなんだと思うんですね。
そしてもっとすごいことは、ここの中でBのところ、つまりはIQ軸の低い部分のところに、低
い部分のところ、Lowのところに「小泉内閣支持基盤」と書いてあるんですね。しかもそこのところに、失礼なことに主婦アンド子供を中心、それからシル
バー層と。具体的なことは分からないが、小泉内閣、小泉総理のキャラクターを支持する層だというような分析をされているわけです。
こういう会社の分析が本当に適切なんでしょうか。そして、こういう会社となぜ随意契約を結ばなきゃいけないんでしょうか。総理、今の分析、どう思われますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、私は知りませんけれども、私の支持基盤が主婦層、シルバー層、何で分かるんですか。私は全く知らない。政
府は全く関係ない。各種新聞社がよく世論調査をしておりますけれども、どういう方たちが支持しているのか、私分かりませんよ。これはどうしてそういうこと
を言うのか、ちょっと分かりませんね。
私は、どういう層に支持してもらいたいとか、そういう気持ちはありません。ただただ国民のためにどういう政策がいいかと、それを遂行するには最大限の努力をしていこうということだけであって、どういう支持層とかそういうのを余り関心を持っておりません。
○櫻井充君 今のは、私が分析したのではなくて、政府が依頼した会社が分析したものです。その会社がすばらしい、会社のその分析も含めてプレゼンテーションがすばらしいといって随意契約を結んだところなんですよ。おかしいんじゃないですかと言っているんです。
それで、ここの広報の中のここを、ここを、上の方を見ていただきたいんですが、「分ければ巻き添えなし」と。(資料提示)ここがポイントになると私は思っ
ていますけれども、この絵は分割したら、分割したら、なぜ分割するんですかというところに、ちょっと済みません、ここですね、なぜ分割するんですかという
ことを説明したものです。
そのときに、何てかいてあるか。一つ窓か扉が開いていて、みんな、三人が寒いよ寒いよと言っている。だから、分社化してやって三つに分けたら一人だけ寒くて二人が暖かい、分ければ巻き添えなしだ、これこそ切捨てなんですね。
今までの郵政事業は違いますよ。下げていただいて結構です。要するに、下にある、あっ、ごめんなさい、三本の矢がばらばらだったら、一本一本だったら折れるけど、三本まとまったら強いって毛利元就の教えですよ、これは。オーケーです、オーケーです。
要するに、三事業一体できちんとやってきたからうまくいっているものに対して、今のように一つ窓が開いたから全員寒い寒い寒いと言っている。そして、なお
かつ、それをばらばらにしたら一つのところだけが寒くなって、あと残りの二つは巻き添えを食わないからいいでしょうというのが、これは竹中大臣の僕は基本
的な考え方なんだと思う。
そして、そこの中でもう一つだけ、本の中に竹中大臣何とおっしゃっているかというと、コンビニや物流で、コンビニや物
流のところで実はもしかすると赤字になるかもしれないから、だからそういうときには、その危険を回避するために、金融システムを守るためにはそういうこと
をやらなきゃいけないというふうに本にも書かれています。
しかし、もう一度考えていただきたいのは、三事業一体でやってきたから今までうまく
いってきたということ、そしてもう一つは国民の皆さんはこのことに対して不便を感じていないということ。問題は、問題は郵貯が、郵貯が今持っている巨額の
マネーであって、それは私や山崎養世さんが申し上げているとおり、例えば住宅ローンの証券化を行っている、中小企業のところの証券化を行っているところに
貸し出す、その際証券化を買うとか、民間にちゃんとお金を流す方法なんて幾らでもあるわけですよ。
○委員長(陣内孝雄君) 時間が来ております。
○櫻井充君 分かりました。
そういうことを考えてくれば、拙速にこういう民営化などする必要性はないということを申し上げて、私の質問を終わります。
(略)
161-衆-予算委員会-3号 平成16年10月19日
平成十六年十月十九日(火曜日)
午前九時十分開議
(略)
○甘利委員長 これにて中津川君の質疑は終了いたしました。
次に、小泉俊明君。
○小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。
まず、質問に先立ち、先ほど法務大臣の御意見を後ろで聞かせていただいておりましたが、法務省は、死刑の執行までする大変重要な官庁であります。私は、はっきり申し上げて、その役職を法務大臣ができるのかなということに本当に疑問を感じました。また、小泉総理大臣の任命責任は重いというのも、まず冒頭に申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。
まず、通告に従い、景気の現状についてお伺いいたします。
我が国は、毎年食糧を約七兆二千億円、そしてエネルギーを七兆六千億円以上輸入しなければ国民生活が成り立たない国であります。戦争放棄によって軍備を放棄し、そしてまた資源の乏しい日本におきましては、何よりも国力の源泉は経済力、これだけしかないわけであります。ですから、私は、景気、経済という問題は、昔も今も、この私たち日本の国にとってまさに最も重要な問題だと思っております。
きのうも、この予算委員会におきまして、小泉総理大臣や竹中大臣の景気の現状等についての発言を聞いておりましたが、どうもやはり現状認識がずれている。
私は、当選以来、景気、経済を中心とします大蔵委員会、財務金融委員会、そしてこの予算委員会、二十五回質問させていただきました。その中でわかりましたことは、この大臣たちの現状認識のずれ、この認識が狂っているところに、いつまでたっても日本の国が長期的な低迷から本格的に立ち直ることができないこの最大の原因があるということでありました。
現状認識が狂っているため、当然、原因分析も狂います。そこから出てくる対策も狂います。禅の教えではありませんが、激動期における最も大切なものは、私は、ありのままの現実をしっかりと見据えるということだと思います。
この思いから、今お手元に資料をまずお配りさせていただいておりますが、番号を振っておりませんけれども、このコピー、私が月刊現代八月号に書いた論文であります。これは、中身はといいますと、小泉総理の今までの三年間を詳細なデータを使って検証した論文であります。ぜひとも後でまた大臣たちもお読みいただきたいと思います。この資料を参考に、今の日本の現状を、もう一度この予算委員会におきましても確認をしておきたいと思います。
まず、小泉総理、きのうも、景気は堅調に回復している、竹中さんも似たようなことを言っていました。それでは、日本の政治が非常にうまくいっているということをおっしゃっているわけでありますが、この日本で今、一体何人の人が自殺に追い込まれているんでしょうか。これは大臣の口から、もう一度確認のためにお聞きしたいと思います。官房長官、お願いできますでしょうか。昨年の自殺者数をお願いいたします。
○細田国務大臣 警察庁の統計によりますと、平成十五年中の自殺者の総数は三万四千四百二十七人であります。
○小泉(俊)委員 私は、政治の最も基本的な責務は国民の命を守ることだと思っています。ですから、今まで二十五回、十四人の、総理を含め大臣、いろいろな方に質問しました。必ずこの質問をしています。しかし、質問通告なしに答えられた大臣というのは一人も実はいないんです。
今、質問通告しておきましたのでお答えいただきましたが、平成十五年、三万四千四百二十七人、これは統計をとり始めた昭和五十三年から最悪の数字になりました。そして、ついに日本で初めて六年連続三万人を超えたわけであります。そして、この自殺者は交通事故の死亡者の何と四・五倍、一日九十人、先ほどの南野法務大臣とのやりとりの一時間の間に四人死んでいるんですね。また、精神科医などの専門家によりますと、統計に載らない自殺の実数、大体これは三倍あります。暗数がありますので、毎年十万人自殺していると言われています。また、自殺未遂者は三十万人とも言われているわけであります。
御案内のように、これは中高年の自殺が、特に男性の自殺もかなり数があるわけでありますが、先日、私の知り合いの方の御主人が亡くなりました。何ででしょうか。それは、リストラをされ、住宅ローンを払うことができなくなった、何とかして奥さんと子供たちに家だけは残してあげたい、生命保険で住宅ローンを支払うために自殺をしたわけであります。そういった方は一人や二人じゃありません。
それでは、細田官房長官と竹中大臣にお聞きいたしますが、どうして日本ではこんなに自殺者が多いんでしょうか。どう思われますか。
○細田国務大臣 自殺者の原因につきましては、警察庁等、多くの方が遺書を残されておられるということから、原因をある程度推察しておるわけでございます。
自殺の主な原因といたしましては、健康問題が一番多く四四・八%でございますが……(小泉(俊)委員「三七・六でしょう」と呼ぶ)いや、これは平成十五年なんでございますが。それで、経済の問題であることがはっきりしております方が二五・八%、家庭の問題が八・五%等が挙げられます。もちろん、不詳の方もおられますし、分類にもいろいろあると思いますが、概略、そのようなことでございます。やはり近年、さまざまな経済上の問題によりましてふえていることは事実だと思っております。
○竹中国務大臣 今、官房長官から御説明がありましたように、私も同じ認識を持っております。言うまでもなく、自分で自分の命を絶つというのは本当に痛ましいことでございます。その中のかなりの要因として経済的要因があるということも認識をしております。
例えば、この委員会でも御議論をいただきました包括根保証の問題、そういう法的な制度の問題、再挑戦できるような仕組みをつくっていく、そういった仕組みををさらに強化する、そういうことが構造改革の中でも大変重要になっているというふうに認識をしております。
○小泉(俊)委員 今、官房長官もお答えいただきましたが、統計上出ているだけでも自殺者の二五%、八千九百人が経済問題、過去最高になってまいりました。また、三十代、四十代の働き盛りの自殺者が急増しているというのも十五年の特徴であります。しかし、私は、この背景となっている日本の現状をしっかりとやはり見ることが必要だと思います。
そこで、今までの、小泉政権発足してからのいろいろな数字を少し述べさせていただきますが、まず企業倒産。小泉政権、三年四カ月間、これは八月までのデータしかないんですが、三年四カ月間で倒産が五万七千六百六十六社を突破しました。倒産による直接の失業者だけでも、これは五十五万人を超えると言われています。また、家族を含めると、百五十万人もの人たちがこの倒産による失業によって深刻な影響を受けているわけであります。
失業は、きのう総理が答えておりました。最近少し減ってきたとは言っているんですが、依然三百万人をはるかに超えているわけでありますね。
個人破産。これはよく話が出ますが、二〇〇三年度、史上最多の二十四万件を突破しましたが、小泉総理の三年四カ月間、八月までで七十一万五千四百八件。
あとまた、実際の収入ですね、実収入、可処分所得、消費支出は六年連続で減少をしています。また、貯蓄のない家庭が、ゼロの方が全体の二割になってきています。そして、六月の所得再分配調査、所得の高い方から四分の一の世帯が全体の所得の四分の三を占めるようになってきた。これは、貧富の差が本当にますます拡大をしてきています。
総理も、努力をすれば報われる社会を実現するということを何度もおっしゃっています。しかし、現実には、個人の努力では超えられないほどの経済環境激変によって、将来に対する希望を失ってしまったんですね。人間は、将来とか未来に夢と希望があれば生きていけるんですよ。ただ、これを失ってしまったことが、私はやはりこの自殺者が急増している、それも統計が始まって以来最高の自殺者という結果をもたらした大きな要因になっていると思います。
一言で言いますと、どうも小泉改革は、強きを助け弱きをくじくという、私は、この政治の失敗が大きな、この自殺者の急増している、なおかつ六年連続の自殺者の原因になっていると思うわけであります。
小泉さんの三年だけでも軽く九万人を突破しました、自殺者が。この惨たんたる現状に対して、やはり私は、この小泉内閣を支えてきた大臣の皆さん、これは責任があると思うんですが、責任を本当に感じませんか、竹中大臣、そして細田官房長官。
○細田国務大臣 個々の方、竹中さんと私が一〇〇%見解が一致するかどうかわかりません。しかし、平成に入りまして、大変なバブルの崩壊がありまして、例えばこのバブルの崩壊前の株価のピークとそれから株価のボトムは一〇〇対二〇、五分の一になりました。そして地価は、大都市圏の地価がやはり一〇〇対二〇であります。今でもなお一〇〇対二〇。
その二割に減るということが金融機関のあらゆる信用に大きな影響を与えたのは御存じのとおりですし、デフレによりまして需要が減ってくる、GDPも初めてのマイナスを示す等々、本当に苦難の道をたどってきたと思うわけですが、その間、大きな公共事業等でこれをしのぐ場面もありましたが、いよいよそれも借金がふえてきて、そして今、小泉改革のもとでは、やはりそのボトムから脱却をして、しかも金融的にも再生をしつつあって、今非常にいい方向に向かっておる。
だから、あらゆる意味で非常に苦難の道をたどったこと、企業がリストラをしたこと、すべて事実でございますが、これは、そのバブル崩壊ということには我々政府は責任を負わなくちゃいけないと思いますが、今の小泉内閣は、懸命にそれを回復する努力は、実現を一歩一歩しておると考えております。
○竹中国務大臣 内閣は連帯して責任を負っておりますから、私もその一人として大変重い責務がある、大変重要な仕事を任されているというふうに思っております。
今委員御指摘になった点は、倒産、失業、破産等々、基本的には経済が停滞しているという点と、それと、その中で格差が拡大している、その停滞、それと格差に言及されて、それが自殺等々の基本的な背景であるという御指摘であったかと思います。
経済停滞に関しては、今官房長官がお話しになりましたように、ようやくにしてそれを今反転できるような状況になってきている。実質GDPはようやく増加の方向に今向かっておりますし、失業も、実は失業は九〇年代を通してずっとふえてきたわけですけれども、失業率は高まってきたわけですが、小泉内閣において、初めて失業率を下げるという方向が出てきた。やはりこの努力をぜひ続けたいと思っております。
格差そのものについては、やはりこれまた重要な問題であります。実は、世界を見渡すと、南北間の格差が広がり、アメリカや中国でも国内の格差が広がり、そうした世界的な格差の拡大の中に日本も置かれている。であるからこそ、地域の再生、中小企業の再生、雇用の安定等々、新しい構造改革が求められるということだと思っております。
自殺の問題ということに関しては、基本的には債務の急増というのが非常に大きい。経済の中でも、失業、倒産よりは債務が大きいというふうに認識をしておりますが、これに関しては、国会の御協力も得て、例のやみ金対策等々もとられておりますので、そうした努力をぜひ続けたいと思っております。
○小泉(俊)委員 私が冒頭申し上げましたように、現実をありのまま直視してください。
小泉内閣になって三年間、着実に自殺はふえているんです。そして、小泉さんが政治をやられて二年、去年ですよ、やったばかりじゃないですよ、やってきて、統計をとって以来最高の自殺者になったんです。それに対しては責任があると私は思いますよ。
特に、ベトナム戦争で死んだ方というのは十年で七万人と言われています。今のイラク戦争で亡くなった方が一万人と言われています。しかし、皆さんが政権を担当しているこの国では、一年間に、表に出る数字だけでも去年三万四千人、実数は十万人も死んでいます。戦争以上の死亡者、死んだ人が出ていて、責任がないという認識はおかしいと私は思いますよ。やはり強きを助け弱きをくじくという小泉政治の何らかのその要因によってこれだけの自殺者がふえている、皆さん全員に責任があるということを明確に私は言っておきたいと思います。
そしてまた、これだけ、過去最高を記録した自殺者です。私は、これも今のような一般論で逃げてはいけないと思います。やはりこれは構造的な要因からいろいろな問題があります。私は、やはり各省庁が横断的にこの自殺者を減らすための対策を早急に立ち上げるべきだと思うんですが、全省庁を統括して横断的にできるのは官房長官だと思うんですが、官房長官、いかがでしょうか。
○細田国務大臣 自殺死亡者の増大傾向は非常に憂慮すべき事態と考えております。心の健康という問題もありますし、職域、地域におけるメンタルヘルスの相談体制とか、あるいは自殺予防に対する正しい知識の普及啓発とか、学校における命を大切にする教育等も大事でございますが、なかなか、すぐに効果の見えるような対策があるかといえば、地道に取り組んでいかなければなりません。
しかしながら、議員おっしゃるように、大変大切な問題であり、また、先ほどのことで申し上げましたが、バブルが崩壊して、我慢に我慢をしていろいろな、借金を返したり、苦難の中で、とうとう最後行き詰まって亡くなられるということで、最近ふえておられる。したがって、長い間のバブル崩壊の結果が出てきておるんだと思いますけれども、何とかして政府もさまざまな努力を今後ともしていきたいと思いますが、一方で、経済の問題については、しっかりとした雇用対策、そして経済の発展を実現しなければならないと思っております。
○小泉(俊)委員 何度も言います。政治の根本は国民の命を守ることであります。これができない政治はもう政治じゃないんですよ、国家じゃないんですよ。ですから、官房長官、ちゃんとこれは明確に対策をとっていただくことをまずお願いします。
次、郵政民営化の問題についてお尋ねいたします。
世論調査によれば、どこの新聞、テレビを見ましても、郵政民営化に対する国民の関心は二、三%しかないですよね。しかし、小泉総理はこれを国政の最重要課題としています。そして、今度の新内閣は郵政民営化実現内閣と言っているわけであります。
そこでお尋ねしますが、これは麻生総務大臣と島村農水大臣にお尋ねします。
政治家としてお尋ねいたしますが、郵政民営化が、今のこの日本の現状において、国政の最重要で最優先に取り組まなければならない課題だと本当に思われていますか。お二人の大臣にお尋ねいたします。
○麻生国務大臣 最優先課題の一つであるとは思います。ほかにも年金等々いろいろございますので、これがと言われるとちょっと言いようがないんですが、最優先の一つだとは思っております。
○島村国務大臣 総務大臣と同じでして、やはりいろいろなこれから改革をしなきゃならない、一切のタブーを設けずに前向きに検討することが改革、こう考えています。
○小泉(俊)委員 やはり、私は冒頭に申し上げました、日本がよくならない本当の理由は大臣たちがずれちゃっているんですよ。郵政民営化の国民的関心が三%ぐらいしかないということは、国民は、もっと先にやることがあるんじゃないの、優先順位の高いものがあるんじゃないのと言っているんですよ。
諸先輩方は当然御存じだと思いますが、太公望の書いた兵書「三略」があります。あの中で、数千年前に書かれた文章の中にも、政治の要諦は「衆心を察して百務を施す」と言っているんですよ。これは、国民の望むこと、国民の一番不安に思っていることを解消してあげるのが政治だと言っているんですよ。これは数千年前から言われていますよ。
私は、最優先に取り組むべきは、今、麻生大臣はほかのことを言われましたが、国民のやはり八割が関心を持っている年金と景気の問題だと思います。
イギリスの政治学者デビット・イーストンが言っていますが、政治は希少資源の権威的配分です。平たく言えば、政策に優先順位をつけるのが政治なんですよ。ですから、まさにいろいろな山積する問題の中でどれが最優先なのかというのを選択するのが大臣たちの役目じゃないですか。
私は、たとえ総理大臣であろうと、間違っているんだったら正々堂々と、国民の負託を受けている、命を預かっている大臣ですから、はっきり物を言わなければいけないと思いますよ、それは。
次の質問に行きますが、それでは、観点を変えて質問します。
私は、この郵政民営化で一番問題なのは、実は、郵政民営化の真の目的が一体どこにあるのか、そしてこれを実行した場合に本当に日本国民の利益になるのか、その効果、これにちょっと疑問があるわけであります。
ここに、今一番、非常に話題の「拒否できない日本」という関岡英之さんが書いた本があります。これは非常におもしろい内容の本でありまして、毎年十月、アメリカ政府から、米国企業の日本市場への参入を拡大するため、日本政府に対し年次改革要望書という文書が提出され、この要望書に沿って審議会に諮問され、答申書がつくられ、法改正が行われるということをかなり具体例を挙げて詳述に書いてあります。
そこで、この中に出てきます年次改革要望書、これはアメリカから来る文書でありますが、ここに、添付資料の資料一に、実は、この年次改革要望、どの程度これがちゃんとされているかというのを確認する文書がちゃんとここに出ています。ことしの六月八日に、日米間の規制改革及び競争政策イニシアティブに関する日米両国首脳への第三回報告書というものであります。それがこの資料一であります。
これはどこからとったものじゃないですよ。在日米国大使館のホームページで公開されている公式文書であります。
そこで、この規制改革イニシアティブの第三回報告書、この文書というのは、麻生総務大臣、竹中大臣、当然これは御存じですよね。
○麻生国務大臣 ファクトシートのことだと思いますが。
○竹中国務大臣 存じ上げております。
○小泉(俊)委員 ちょっとこの資料の一ページ目、傍線を引いてあります。一番下のところに、「規制改革イニシアティブは、ブッシュ大統領と小泉首相により二〇〇一年六月にキャンプデービッドで、「成長のための日米経済パートナーシップ」の重要な要素として立ち上げられた。」その中で、二段目であります。「これらの措置は、」「米国企業に対して日本市場を開放するものである。」また、下の線になりますが、「規制改革イニシアティブは、規制上の障壁を削減し、政府慣行の簡素化を図ることにより、米国企業の日本市場へのアクセス拡大のための重要なメカニズムとしての役割を持つ。」
七ページ目をごらんください。七ページ目も、透明性その他政府慣行、傍線を読みます。「日本における日本郵政公社その他の公団・公社の民営化計画は、」下に飛びますよ、「外国企業が同一条件の下で競争し、国内の日本企業が従来から享受してきた特典を削減することにつながるような改革をさらに進める必要がある。」
また、きのう竹中大臣は、郵政民営化の質問に対し、透明性を図るということを一つのあれに、これもそれに出ていますね。そして、どういう透明性かといいますと、「日本郵政公社民営化プロセスに対して米国企業が意見を述べる新たな意味のある機会を与えることに同意する。」と書いてあるわけですね。
実は、この文書だけじゃなくて規制改革要望書とかUSTRの文書とか、過去、とれるだけの文書をとって全部読んでみました。どうも、この文書を読んでみますと、郵政民営化というのも、米国企業の市場参入を容易にして、なおかつ郵貯、簡保の巨額資金が結局米国に流れるための改革で終わってしまうのではないか、そういう危惧を私は抱かざるを得なかったのですが、この点につきましては、麻生総務大臣、竹中大臣、いかがでしょうか。
〔委員長退席、茂木委員長代理着席〕
○麻生国務大臣 これは、小泉先生、見解の物すごく分かれるところだと思いますね。
ちょっと世代が少し違うのかもしれませんが、一九七〇年に初めてビッグスリーが乗り込んでくるといって、GM、フォード、クライスラーという三つの会社が乗り込んできて日本の会社は皆つぶれると言われましたけれども、事実は全然違ったという事実があります。
同じく七一年、ドルショックと言われていきなり固定相場から自由相場に移ったときに、三百六十円だったものが一挙に下がって、八五年のプラザ合意で百二十円まで一挙に行って、その後、九四年の四月にはたしか八十円まで、終わり値八十円ちょうどまで行ったんだと思いますが、簡単に言えば三・五分の一にドルは暴落したんですよ。
結果として、一ドルが昔三百六十円、三・五倍すれば一千六十円とか七十円とかいうことになったということと同じ意味なんだと思いますが、そういう時代になったのは、僕はひとえに競争がさせたわざだと思っております。
したがって、国民は、過保護、護送船団でしたかね、いろんな表現がございましたが、そういったものに基づいてやっていた時代と違って、少なくとも製造業は、八五年以降は一ドル百二十円でやらないかぬということになって、猛烈な勢いで企業の構造改革をやってのけた結果、日本という国は、非常に大きく国際競争力を製造業は得た。
しかし、その間、いわゆる金融業はどうであったかといえば、そうではなかったという事実が、結果として、その後非常に厳しいことになっていったという、歴史を見るとそういうことになりますので、前川レポート等々昔からいろいろこの種の話があることは事実で、よく知っておりますが、私どももそれは知らないわけではありませんけれども、それにこたえて、そういう条件下にもかかわらず、結果として日本という経済力は強くなったというのも事実として思わないかぬところですので、これらのところを踏まえて、私どもはこういう意図が向こうにあることは百も二百も知った上で、日本の国益に沿って行動していかねばならぬと思っております。
○竹中国務大臣 郵政の民営化というのは、まさに民間でできることは民間でやろう、それが国民のためになるし国全体のためになる、そういう思いでやっているわけでございます。アメリカのためにやるなどと考えたこともありませんし、そういう見方もあるのかというふうに少し驚いております。
いずれにしましても、このイコールフッティング、民間とのイコールフッティング、これはやっぱり重要でしょう。それと規制改革、重要でしょう。民間でできることは民間でというのは重要でしょう。これは、アメリカのみならず、国内の専門家も長い間言ってきたことでございますし、我々は、あくまで国益のために、そして国民のためになる、それを競争を通して実現するんだ、そういう考え方のもとに、しっかりとした、国民のためになる郵政民営化を実現したいと思っております。
○小泉(俊)委員 実は、建築基準法の改正、時価会計、減損会計という会計制度の導入、ペイオフ、社外取締役など商法の大改正、独禁法の強化と今の改正も出ていますが、実はこれは、要望書を読むと、アメリカのこっちを読んだ方が早いんですよ、内容とかが先にわかるような状態になっております。
ですから、これは私は、麻生大臣、入ってくるのがいけないというんじゃないんですよ。それはいいんです、それで。ただし、やはりこういったものというのは、国民とか国会議員にも公開をきちっとして、これをわかった上で、お互いに国益を考えながら法律をつくったりいろいろな話を進めていかなければならないと私は思っています。
これは実は、アメリカのこの文書が、三年もたちますと日本の省庁にリンクを張られるんですよ。三年後ぐらいですよ。直ちにリンクを張って、そうすれば国民がだれでも、アメリカ大使館のホームページはなかなか見ないんですよ、英語だと思っていますから。実は日本語で全部あるんです。
ところが、三年後、外務省にリンクが張られたから、そっちをクリックすると、アメリカの方はすごく見やすいんです。わざと見づらく変な仕組みにしているわけですよ。これは、読んでほしくないという意図がどうしても見え見えになります。そうではなくて、いいんです、正々堂々とやれば。お互いに、アメリカはアメリカの国益を思い、日本は日本の国益を思い、そしてお互いに切磋琢磨してよくなっていくのが一番いい話でありますよ。ただし、全部秘密にして、そういうのを隠ぺいしたまま、法案を出してきたり、そういうのはちょっとおかしいということを私は申し上げているんですよ。
時間がありませんから先に進みますが、ぜひともこういった文書は、実は、この文書は全省庁横断的に全部やってあるわけですよ。ですから、直ちに省庁のホームページにアップ・ツー・デートの新しい文書を必ずリンクするように大臣方にお願いいたしたいと思います。ちょっと時間がありませんので、先に進みます。
次に、三位一体改革についてであります。
今、国がこの三位一体改革によって交付金を減らし、税源移譲、財源移譲がまだないわけですね。これは、収入が確定できないために、日本全国の市町村長が来年度の予算が立てられないと本当に大変な事態になっています。
ところで、九月二十四日、谷垣大臣の財務省の発表によりますと、二〇〇四年六月末における国の借金の総額は七百二十九兆二千二百八十一億円と発表されました。これは、地方の負債の二百兆は載っていません。国だけの、国債と政府短期証券と、あと、特会からの借り入れ等の総額がこれだけあるわけですね。
そしてまた、ことしの税収というのは四十一兆七千四百七十億円。これは、谷垣さんに前も質問していますが、十八年前の八六年と同じくらいの税収しか今ないんですよね。
そこでお伺いしますが、これは本当に、今の三位一体改革を推し進めていって、地方に財源移譲といって、こんな真っ赤っ赤の国の状態で、谷垣大臣、財源移譲できるんでしょうか。
もう一つ、できるとしたら、いつ、幾らやるかをちょっとお願いします。
○谷垣国務大臣 確かに、平成十六年度予算で見ますと、公債依存率が四四・六%、それから税収と債務残高の比率で見ますと、たしか十七・二倍ということで、非常に悪い財政状態でございます。
こういう中で税源移譲をやろうとすれば、国庫をお預かりする私としては、やはりむだなものは省いて、やめるものはやめる。そういう中で、本当に地方にやっていただくものは何なんだという精査、スリム化をしないと、この話はまずできないということを私は強く思っております。
したがいまして、今後どういう形でやるのかということになりますと、骨太にも書いてありますように、三兆円をめどにやる。そうして、平成十七年度、十八年度、十八年度までに所得税を地方住民税に移行するという形でやるというふうに書いてございますが、現在の段階は、どの補助金をどのぐらいカットするかあるいはスリム化するかというような話がまだついておりませんので、三兆円という大きな目標はございますけれども、今の段階ではそれ以上細かに申し上げるわけにはまいりませんので、これから秋、十一月に大きな工程表をつくる作業を、汗かきたいと思っております。
○麻生国務大臣 小泉先生よく御存じのとおり、これは、財政収支は中立ですので、税源を移譲した分だけは補助金はカットになりますので、その点だけでおかしいというようなことではございません。
今の点につきましては、いわゆる、この十二月の予算に合わせまして、過日、閣議決定に基づいて、地方六団体にどのものが要る、要らないを出していただいておりますので、それに基づいてこの十月末から十一月にかけてきちんとまとめたいと思っております。
○小泉(俊)委員 三位一体改革を見ていますと、どうも、今おっしゃいましたが、量的な分配権限を変えているだけなんですよね。この国家の財政、国債だけでも七百十九兆、そして、先ほど、六月に発表された七百二十九兆の国の借金、私は、これほど膨大な借金がたまったら、量的な解決では解決にならないと思っています。これは質的転換をばかっとしない限り、絶対に国家財政とかこの国の未来をうまくやっていくということは私は難しいと思います。
そこで、何が言いたいかといいますと、私は、日本全国の、議員と公務員の国も地方も入れた総人件費というのは三十七兆なんですよ。これは、どこが幾ら使っているかを見ますと、国が十兆円、三千二百の市町村が十一兆円です。四十七都道府県が十六兆も使っているんです。なおかつ交付金の半分も県が使っておりますので、非常に率は県が突出しちゃっているんですね。
私は、やはり廃藩置県、これが起きてから、一八七一年、明治四年、このとき以来、もうこれほどの時期がたっています。私は、国家構造を大きく転換するぐらいの、例えば国と市町村を直轄にするような、二段階を廃止するような質的構造を転換しない限りなかなか、これほど大きくなった財政の破綻状況を、単なる地方に割り振りをやれとかそういうのではとてもできないと思っています。まあ、これは私たちが政権をとったときにはやらせていただくかもわかりませんので、ひとつ参考になればと思います。
あと、時間がありませんので、ちょっと急ぎますが、もう一つ。実は今、三位一体によって合併が物すごい勢いで起きています。これは何でこんなに急いでいるかといいますと、三月三十一日、来年までに合併調印をすれば合併特例債を発行できるから、これが馬の鼻先にぶら下げたニンジンとなって、今必死にやっているわけですよ。
そこで、端的に数字だけ、総務大臣、お尋ねします。要するに、合併特例債の要件を満たす全国の合併予定自治体の数と、その全国の合併によって発行予定されている合併特例債の総額は幾らになりますでしょうか。
○麻生国務大臣 今、公共団体がいわゆる準備をしているのが、くっついたり離れたりしていますので、そっちの方の数字はちょっと何とも申し上げられない、約千五、六百と思っていただければと存じます。
それで、どれくらい合併特例債が出るかということは、御党の方にも前に質問されたことがあるんですが、そのときに比べて、かなり合併は進んだと思っております。少なくとも私が大臣になりましてから、約三千百が二千七百切るぐらいのところまで来ておりますので、結構進んでおりますので、あのとき七、八兆と申し上げましたけれども、今の感じでいきますと、一年たって、今、九兆から十兆ぐらいの総額に、十年間ですよ、一年間の話じゃございません、十年間で九兆円から十兆円ぐらいになると思っております。これは、何回も申し上げますけれども、前提条件がありますので、その点だけはお忘れなく。
○小泉(俊)委員 そこで、財務大臣にお尋ねいたします。
先ほどから、私はやはり、国家が破綻、財政上から大変な問題になってきていますね。合併特例債をもらえると思って合併して、本当に、これは七割国がいろいろな形で面倒見てくれるということになっていると思うんですが、これは、財務大臣、ちゃんと財源的な裏づけを、責任持って、間違いなくこれは七割出すということをおっしゃっていただけますか。
○谷垣国務大臣 これはむしろ麻生大臣が御答弁になるべきことかもしれませんが、要するに、地方財政計画をつくりまして歳出と歳入のギャップを地方交付税で補てんするという仕組みになっておりますから、今おっしゃったその地方債の元利償還費等についても、マクロでいえばみんなその中に計上されているという姿になっておりまして、そのことについては基準財政需要というような形で総務省において手当てをされると思います。
ただ、私どもの観点からいうと、これは三位一体の問題でもございますけれども、こういう財政状況の中で、今の合併特例債の問題とすぐリンクするわけではございませんけれども、やはり地方財政計画のスリム化ということも必要ではないかと考えております。
○小泉(俊)委員 実は、合併特例債が何に使われるかというのをコンサルタントとか地方自治体でいろいろやっています。これを現実に見られたことありますか。見ると、ほとんどまたかつてのように、多いのが小中学校が耐震構造になるとか、結局、非常に旧公共事業でやっていたようなことに近いことが行われつつあるんですよ。形を変えた、またかつてと全く同じことが地方で起きるという危険性もありますので、それはありますが、ただし、みんな七割来ると思ってやっているものですから、ぜひともその辺は総務大臣も財務大臣も責任を持って、十年後だから知らないとか言わないように、ひとつよろしくお願いをいたします。
時間が迫ってきましたので、島村大臣にお尋ねをいたします。
これは、きのう、実は島村大臣とこちらの委員のやりとりを聞いて僕はびっくりしたんですが、全然、今、日本全国で農家の方たちが一番心配になっていることを、質問されている方も大臣も何もしゃべっていないんですね。
そこで私は一つお尋ねをいたしますが、これは何かといいますと、農村が壊滅するかどうかというところまで今実は来ています。それは、米価が一俵去年は二万二千円だったのが、ことしは一俵一万一千円、半分になっちゃったんですね。このため、小農家じゃないですよ、十町歩、二十町歩、三十町歩も耕作面積を持つ農家まで、減反農地までかかる一反約一万五千円くらいの耕地整理の負担金、これも払えないんですよ。あと、コンバイン等、大体一農家二千万円の借り入れが農協からあるんです。この返済も米価の急落によって支払えなくなっています。
そして、データは出しておりませんが、先ほど出した自殺のデータ等をよく見ますと、今農村の自殺者がかなりふえているんです。去年も六百人ぐらいいるはずですけれども、これは、このままいくと、日本の米農家というのは大農家ですら廃業せざるを得ないんじゃないかということを大農家の経営者から私はここ頻繁に話を聞いているわけでありますが、この米価について一体どうなさるつもりなのか。そしてまた、政府の米政策ですね。
食糧の自給、時間がないですから質問できませんが、食糧の自給率に一番影響するんですよ。日本の食糧自給率はたった二三%です。世界百九十一カ国、下から六番目、ジャマイカ、パプアニューギニア、イスラエル、リビア、アルジェリア、日本ですよ。それで、この天候異変で世界じゅうの生産国が減少しています。オーストラリアは、二〇〇二年五五%も減少したわけであります。
そういった中で、なおかつ人口爆発の中で、やはり日本にとって米というもの、実は一番耕作に適した、気候に適したものなんですね。ですから、食糧危機、来るべき食糧危機にも備えながら、やはりこの米価、米のですね、どうするのかということをお尋ねいたします。
○島村国務大臣 お答えいたします。
まず、米価の問題ですが、平成十六年産米の価格につきまして、コメ価格センターの九月二十八日の入札結果、六十キログラム当たり一万六千二百八十五円でありまして、なるほど、昨年不作により大きく高騰した同時期に比べまして六千五百二十五円下回っております。
ただ、これは、その前年、ほぼ平年作であった十四年産の同時期に比べますと実は百九円上回っているわけで、去年のような特異な例に合わせれば、なるほど大きく下落している、このことをまず申し上げておきたい。
それから、自給率につきましてですが、これは穀物自給率にて二七%であります。これは要するに、確かに自給率を大きく高めませんと、いざというときには経済合理性だけではとてもやっていけません。
そういう意味で、私は国際環境については少しくいろいろな会議でよく承知しているつもりですから、これから国内の農業を守るために、私は、その立場に立って最善を尽くしていきたい、そう考えています。
〔茂木委員長代理退席、委員長着席〕
○小泉(俊)委員 最後にお話しさせていただきますが、日本の農政というのは、米価二万円を基準に今までの耕地整理の負担金とかそういうものの仕組みができているんですよ。これを下ったら農家はもたないんです、実は。大臣、東京ですから、私はちょっと認識が甘いと思いますね。
それで、一つ、もう答弁要らないですから、時間がありません、提案だけします。
耕地整理の負担金の返済の期限を延長するようなシステム、また農協からの借入金の期限を延長するようなことも御検討いただければありがたいと思います。
また、絶対的にやるべきことは、米の絶対的消費量をふやすことなんです。これをやらない限り、日本の自給率は上がりませんからね。それで、私は、幼稚園、小学校、中学校、高校すべての教育や、テレビ等全メディアを通じて、政府を挙げて徹底的な米食キャンペーンを本当にやらなければいけない時代がやってきたと思います。また、公務員が私たちも入れて全国で四百三十九万人もいるんですよ。こういう人たちは米を食べさせるべきです。また、牛とか豚とか鶏などの家畜の飼料への米の積極的推進等、ぜひとも米の消費量、絶対的消費量を上げていくことに全力で取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。
○甘利委員長 これにて小泉君の質疑は終了いたしました。
(略)
※マスコミ批評関連の投稿の時には下記のバナーをはるようにしています。バナーの上にポインタを持っていくとリンクで森田実さんの記事に飛べます。僕はQTClipの上の窓に下記のタグを登録して使っています。とても楽。
・定期購読を中止・ボイコットして翼賛・御用マスコミを震撼たらしめよ。【ブログに、もしこのバナーが星火燎原で拡がるなら、、】
・これってすごいのかも、、。(笑)
・「そうだ、マグマだよマグマ。3419万4372票の怒りのマグマがフツフツと、地中深く静かに滾り(たぎり)はじめている。」
・QTClipは必需品、ココログ・アフィリエイトをやるからには。
関連投稿
「やりきれない悲しみと、満腔の怒りをこめて「改革ファシズムを止めるブロガー同盟」のTB削除に断固抗議する!」
最近のコメント