ながら運転、きょうから厳罰化 スマホ操作で懲役刑も
スマホ操作しながらのながら運転に厳罰化で懲役刑も。対策が遅すぎだ。
ながら運転、きょうから厳罰化 スマホ操作で懲役刑も
2019年12月1日 朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201912/CK2019120102000134.html
「ながら運転」厳罰化
スマートフォンなどを使用しながら車を走行させる「ながら運転」について、違反点数と反則金を引き上げ、懲役刑も重くするなど厳罰化した改正道交法が一日、施行された。ドライバーがスマホを操作しながら運転した車による死亡事故が相次ぎ、遺族らが罰則強化を求めていた。
改正法では、運転中の携帯電話での通話や、画面を注視する違反「携帯電話使用等(保持)」の点数をこれまでの一点から三点に、通話や注視により交通の危険を生じさせる違反「携帯電話使用等(交通の危険)」を二点から免許停止となる六点にした。「保持」の反則金は「大型車」は七千円から二万五千円に、「普通車」は六千円から一万八千円、「二輪車」は六千円から一万五千円、「原付車」は五千円から一万二千円に変更。新たに懲役刑を加え、違反を繰り返すと「六月以下の懲役または十万円以下の罰金」の罰則が適用される可能性がある。
「交通の危険」は反則金の納付で刑事責任を免れる交通反則通告制度の適用から除外。直ちに刑事手続きの対象となり、罰則を「三月以下の懲役または五万円以下の罰金」から引き上げ「一年以下の懲役または三十万円以下の罰金」とした。
<ながら運転> 携帯電話の急速な普及を背景に、1999年の改正道交法に初めて罰則規定が盛り込まれた。当初は通話中などに交通の危険を生じさせた場合だけが処罰対象だったが、2004年の法改正で通話自体などにも拡大した。だが、愛知県で16年、スマートフォン向けゲームをしながら運転していた男のトラックに男児がはねられて死亡、18年には、新潟県で漫画をスマホで読みながらワゴン車を運転していた男が死亡事故を起こし、対策強化が検討されてきた。ながら運転による交通事故は増加傾向が続いており、18年中は2790件。死亡事故は42件で、10年前の約2・3倍に上る。
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ながら運転 厳罰化始まる 増える事故 撲滅へ道半ば
2019年12月2日 朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201912/CK2019120202000157.html
ながら運転の啓発イベントであいさつする則竹崇智さん。右手前は敬太君の遺影と、事故の衝撃でつぶれた水筒=10月25日、愛知県一宮市で
スマートフォンなどを使いながら車を走行させる「ながら運転」を厳罰化する改正道交法が一日、施行された。違反点数と反則金を引き上げ、懲役刑も重くする内容。スマホの普及とともに、ながら運転事故は増え続けており、さらなる厳罰化が進む可能性がある。携帯電話会社や自動車関連企業なども含めた総合的な対策が求められている。 (高本容平)
「ながらスマホは殺人行為。少しの油断ですべてを失う。絶対にやめて」。愛知県一宮市で十月にあった啓発イベントで、同市の則竹崇智(たかとし)さん(49)は訴えた。
次男の敬太君=当時(9つ)=は三年前、スマホ向けゲーム「ポケモンGO」をしながら運転するトラックにはねられ、死亡。則竹さんは講演会などで、ながら運転の危険性を伝えてきた。
愛知工科大の小塚一宏名誉教授(交通工学)は「運転中にスマホを使えば、脳の意識も認識もそこに集中してしまう」と指摘。運転者の視線の動きを計測する実験を行うと、左右方向への動きがなくなり、時折、前方を見るだけになった。
時速六十キロで画面を二秒間見ると、進む距離は三十三メートル。小塚名誉教授は「顔を上げたら目の前に人がいたとか、はねた後に気付いたと語る加害者が多い理由だ」と話す。
今回の厳罰化は、あくまで人身事故に至らなかったケースを対象としたもの。相手を死傷させた場合は自動車運転処罰法が適用され、過失として裁かれる。飲酒や無免許などで事故を起こした場合のように、より量刑の重い危険運転致死傷罪が適用されることはない。
名古屋大大学院法学研究科の古川伸彦教授(刑法)は「死傷させることにはならないだろうと高をくくったというだけでは、過失犯の一種」と説明。だが、「危険を冒す行為なのは明らか。今後、(危険運転致死傷罪の)追加の候補になる可能性がある」と語る。
関連業界の対策が進んでいるとは言い難い。携帯大手のソフトバンク、KDDIは「防止策などの取り組みはない」と説明。NTTドコモは「アプリなどの提供で直ちには解決されない。安全教室などで危険性を呼び掛けている」とする。
トヨタ自動車渉外広報部は、脇見や閉眼を検知する技術は存在するとしながらも「スマホと前方を交互に見る、ながら運転を正確に検知することは難しい」という。ドライバーの脇見など運転状態を検出する技術開発を進めていく方針だ。
一方、オリックス自動車(東京)は昨夏、米国企業が開発したながら運転を即時に検知し、運転者に警告する人工知能(AI)搭載型ドライブレコーダーの販売を開始。全国百社以上の物流企業などが導入するが、サービスは法人限定だ。
古川教授は「法律だけでどうにかなる問題ではなく、教育を含めたソフト面と、技術を含めたハード面の対策を重ねていく必要がある」と指摘している。
◆交通の危険 刑事手続き対象
<ながら運転の厳罰化> 警察庁によると、ながら運転による昨年の事故は、2009年の倍以上となる2790件発生。死亡事故は、過去6年で最多の42件に上った。改正道交法で、運転中の通話やカーナビ、タブレットを注視した場合の違反点数は3倍に、罰則は「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」に強化。人身事故に至らなくても交通の危険を生じさせた場合、直ちに刑事手続きの対象となり、罰則は「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」に引き上げられた。
現行スマホ厳罰化 ながら運転、懲役も
2018年12月20日 夕刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018122002000293.html
スマートフォンや携帯電話を使用しながら車を走行させる「ながら運転」について、警察庁は二十日、罰則を強化する方針を固め、道交法改正試案を公表した。現行はながら運転だけだと罰金刑しかないが、懲役刑を設けて厳罰化する。二十五日から約一カ月、意見公募(パブリックコメント)を実施し正式決定する。
ながら運転を巡っては、愛知県一宮市で二〇一六年十月、スマホ向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」をしながら運転していた男のトラックに小四男児がはねられ死亡、遺族や自治体、自民党などから罰則強化を求める声が上がっていた。
携帯電話の使用に起因する死傷事故は昨年、五年前の一・五倍となる二千八百三十二件発生、うち死亡事故は四十件だった。
試案は、車やミニバイクを運転中に携帯電話で通話したり、スマホを注視したりする違反「携帯電話使用等(保持)」について、現行の「五万円以下の罰金」から、懲役刑を加え「六月以下の懲役または十万円以下の罰金」とする。
通話や注視によって交通の危険を生じさせる違反「携帯電話使用等(交通の危険)」は、「三月以下の懲役または五万円以下の罰金」から「一年以下の懲役または三十万円以下の罰金」に引き上げ、死傷事故を起こすと、最長三十日の免許仮停止の対象となる。
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