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2010.02.08

トヨタ自動車のトラブル問題に思う

トヨタ自動車のブレーキの不具合に関する報道を連日、目にします。
ブレーキペダルが戻らないだの、ブレーキが効かないだのといったトラブルなど、数十年前でもありえないことでした。
それが、今の時代にどうしてと思うのですが、やはり、コンピュータ化、エレクトロニクス化による影響と思います。
私も最近、安価な部類に属するコンパクトな車を買ったのですが、ほとんど余計と思えるような、コンピュータ制御の電子機器が満載されています。

私もソフトウェア技術者として言うなら、コンピュータソフトウェアなんてのは、いくらテストをしても、予想外のトラブルが起こる可能性はなくなりません。ソフトウェアに限らないでしょうが、システム上間違いと認識されないことでも、複合する状況がトラブルを呼ぶことも少なくありません。
医療機器の場合は、万に一つのトラブルも赦されませんから、大変な規模でテストを行いますので、製品コストもそれを反映した高価なものになります。そして、そこまでやっても、間違いが無いなどとは決して言えません。
銀行や証券取引所のコンピュータソフトウェアもまた、開発はもちろんですが、テストにも大変な費用と時間をかけているにも関わらず、とんでもないトラブルを引き起こしてニュースになっています。
また、正直言いまして、昨今は、ソフトウェア技術者の質も低下しているかもしれませんし、開発費用を値切られて十分な品質を保てないという事情も無いとは言えません。

私は、現在の自動車は過剰装備と思います。そのためか、愛着もあまり持てません。
いまや、窓がモーターで開閉しない車など、いかな安価な車でもないかもしれません。しかし、そこそこの高級車で、このパワーウインドウの故障があり、窓が開かなかったり、逆に閉まらなかったりという経験もありますし、そのようなことは時々はあることのようです。私は、窓の開閉など、手動で十分と思います。
照度によって自動でライトがつくといった機能は、私はオフにしています。雨を感知してワイパーの速度調製をする機能もです。

こういった電子機器は、トラブルの際、その自動車のメーカーでしか手が出せないと思います。
そして、耐用年数(6年)が過ぎれば、「出来る限り対応はしますが、保証はできないですよ」などと言われるわけです。
いまや、車を10年、20年と大切に使うことは悪徳とされてしまっています。
しかし、現在の経済指向社会では、それでないと成り立ちません。
そんな世界に人間の幸福は決してありません。

昔、ニッカウヰスキーのテレビCMで、「何もたさない、何もひかない」という名コピーがありました。
しかし、イタリアの自動車メーカーであるフィアット社の小型車「パンダ」のかつての開発ポリシーは「何を足すかでなく、何を引くかを考える」であったらしく、徹底して無駄を省いたシンプルな名車でした。
現在のパンダも良い車だとは思いますが、やはり流行の装備を取り入れ、いまや普通の車になっているように思います。

昔の車には、「三角窓」と言って、前列横の窓の前方に、縦軸を中心に回転して空ける小さな窓がよくありました。走行中、外気を取り入れる快適装備です。
1950年代にはほとんどの車にあったようですが、1960年代以降は少なくなったようです。
しかし、少し前には、「あれが良かった」という人が結構いたものです。
アニメ映画の「アキハバラ電脳組~2011年の夏休み~」(2000年)で、主人公の中学2年生の少女ひばりの父親の車にはエアコンがなく、この三角窓が付いていました。ひばりの両親は、世間の常識からはみ出すところもありませんでしたが、真に愛情深く、人の気持ちに敏感で、縁もゆかりもない、つばめというひばりと同い年の少女を引き取って、わけ隔てなく扱っていました。1990年代に制作された、この映画のテレビ放送版のアニメでは、かつての人類に絶望した天才科学者クレイン・バーンシュタイクが、約百年振りに地上に戻ってきたところ、人類が精神的に進歩していないことに落胆し、2010年に人類の中に現れた5人の進化した意識の持ち主と共に、再び宇宙に戻ろうとするものでした。
そういえば、もう2010年なんですね。


アキハバラ電脳組 2011年の夏休み【劇場版】
「矢沢永吉さんが60歳までなら、私は80歳まで」で知られる、ママさんシンガー奥井雅美さんの歌も素晴らしいアニメ映画の傑作です。
日常と非日常、現実と幻想が微妙に交錯する、温かく、そしてスピリチュアルな作品であると思います。
繰り返された「散歩?」「散歩」の台詞を思い出すだけで、私はいつでも至高体験(大洋感情)を呼び起こすことができるこの作品は、至高の存在がこの世に登場させたものに違いないと私は考えています。

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