世界はあなたのものだ
本当は実力があるのに認められない苦しみを耐える者は案外多いかもしれない。
いくつか思いつくが、プロレスラーの藤原喜明さんは、デビューして10年以上、プロレスファンすら、ほとんど誰も知らない前座レスラーだったが、実は恐ろしく強かった。しかし、ファイティングスタイルがあまりに地味なため、一度も試合をテレビ放映してもらえなかった。
だが、試合前の花道で、超人気レスラーの長州力選手を襲撃し、一夜でスターになってからは、「関節技の鬼」の異名を取る技の冴えを見せつけていき、生き様にも共感を得て人気を博す。
前田日明さんの自伝「パワーオブドリーム」によれば、藤原さんはクビになってもおかしくなかったが、団体では道場破り対策のために本当に強い選手が必要だったので残っていられたらしい。しかし、実際は強いのに前座に甘んじるのは悔しいものであったはずだ。
「ハリー・ポッター」だって、作者のジョアン・ローリングは、その原稿を数多くの出版社に持ち込んだが、どこにも相手にされなかったのだ。
ところが、ある出版社の社長の幼い娘が、たまたまその原稿を読み、社長である母親に「この続きが読みたい」と言ったことが出版のきっかけだった。
イラストレーターのいとうのいぢさんは、美術専門学校を出て就職先を探していたが、なんとか大阪のゲームソフト会社に原画家として採用された。
しかし、いとうのいぢさんは、そこがアダルトゲームソフトの会社とは知らなかった。うら若き女性でありながら、アダルトゲームの超猥褻な絵を一生懸命に描き続けていた中、ほんの偶然に、谷川流さんの小説「涼宮ハルヒの憂鬱」の挿絵を依頼される。この小説は現在までシリーズ560万部という大ヒットとなり、アニメも大ヒットした。
さらに、シリーズ600万部の大ヒットとなる高橋弥七郎さんの小説「灼眼のシャナ」の挿絵も担当し、こちらもアニメも大ヒット。いとうのいぢさんは、現在、日本で最も忙しいイラストレーターで、最近は筒井康隆さんの小説の挿絵も担当している。
ちなみに、今月30日に、いとうのいぢさんの画集「ハルヒ主義」が出るが、私は予約した。
お話としてのものも色々ある。
中国の「戦国策」の、一夜で千里を駆ける名馬の話は有名だ。それほどの名馬でありながら、その力を知られず、石運びをさせられていた。そんな仕事では、脚の太い駄馬に全く敵わない。しかし、その馬を見た白楽天は、馬の力を見抜き、汗をぬぐってやると、名馬は喜びのいななきを上げる。
近松門左衛門の「鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)」も印象深い。
25歳の鑓の名手である権三(ごんざ)は、なりゆきで浅香市之進の妻おさゐと駆け落ちする。
やがて、やむなく、市之進と決闘となるが、権三は形ばかりの相手をする。それでも、得意である鑓がなかったので、「せめて竹槍でもあれば」と思う。
この決闘の場面は、郷ひろみさんが権三役を演じた映画では、市之進に切られた権三は、断末魔の中、無念そうに「せめて竹槍でもあれば、鑓の権三の異名を取った鑓さばき、見せてやれたものを」と言って果てる。
「フランダースの犬」もそうだ。
ネロは死んだ後で、「彼こそ天才だった」と言われたが、生きている時には誰にも認められなかった。
いや、それで言えば、ゴッホだって、生きている時は1枚の絵も売れなかった(予約は1枚だけあったらしい)。
さて、みなさんもテレビでご覧になったかもしれないが、イギリス人で47歳のスーザン・ボイルは、求職中で、一見ただの肥満したオバサンだった。
オーディション番組に出演し、有名なミュージカル女優エイレン・ペイジのようなプロの歌手になりたいと言い、観客と審査員の失笑(馬鹿にした爆笑だった)を買う。
しかし、彼女が歌い始めるとすぐに誰もが驚愕した。
今や彼女は世界で注目される存在だ。
若くして認められる者もいるが、実力はあるのにいっこう認められない者もいる。
いや、私は、全ての人が、本当は「眠れる巨人」であると確信している。
あなたにだって奇跡は起こる。
名曲の誉れ高いフランス国歌が、実は日曜音楽家が天啓を得て一夜で作ったものだということはあまり知られていない。
何が足りないのか?
はっきり言うが、それは「自己信頼」だ。
腐らず、挫けず、自分を信頼する道を進んで欲しい。世界は既にあなたのものなのだ。
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Comments
ドラマ「枯れオヤジ」や「パフェおやじ」で知られる志賀廣太郎さんは、
41歳で俳優になられたそうです。
志賀さんの場合、それまでも短大で演劇を教える立場だったようですが、
ある人との出会いから、自らも俳優になる決意を固めたとのこと。
本当にチャンスはいつ巡ってくるかわからないのですね。
私は普段、ほとんどドラマは見ませんが、志賀さんが出ている
とわかっていれば見てしまう。それくらい好きな俳優です。
小食など慎ましい生活を送れば、志賀さんのような枯れたオヤジ
になれるのでしょうか…(笑)。ぜひなりたいものです。
それと、Kayさんの「眠れる獅子」という言葉で思い出したのが、
マンガ「幽遊白書」の終盤、魔界で登場する妖怪達です。
魔界で国をかけて争っている国王たちは強く、
主人公の幽助も勝つことができませんでしたが、
その国王たちよりもさらに強い者が各地でひっそりと暮らしていたのです。
自らの力を誇示することもなく…。
当時、小学生だった私はその展開に衝撃を受けました。
現実の世界でもそういったことは往々にして起こるようですね。
私も身近な人との出会いを大切にしていきたいと思います。
Posted by: 納豆会計 | 2009.04.26 09:45 AM
いとうのいぢさんの話は初めて聞きました。
ハルヒ以前から人気イラストレーターとばかり思っていました。
>いや、私は、全ての人が、本当は「眠れる巨人」であると確信している。
励みになる言葉です。ありがとう。
Posted by: Uoとしさ | 2009.04.26 02:19 PM
幽々白書と言えば最近は雷禅のように「あ~、腹減った・・・」が口癖になっています。
それはさておき
『心の力は、機会を与えないと、奇跡を現さない。
また、物質に頼っている間は、働こうともしない。
だから、その驚異的な力も一般の人も目を触れない。
しかし、食を断ち、心の力に拠ることを学べば、
それは、病気を治すのにも、事業を成すことにも、
すべてのことにおいて、働き始めていくことだろう。』
とヨガナンダが著書の中で言っていました。
食を断つことによって、物質(食物)依存状態を抜けだして
自身の生命力に依存できる状態になれるらしいです。
そうなると、体重を一定に保つことも可能らしいですが、
まだまだ体重が減り続けている私は、心の力を扱えないようです。
しかしながらヨガナンダのおかげで、私の中でマーフィーを代表とする潜在意識を活用して願望実現する方法と、
節食開運法を主張する水野南北の折り合いが付けられて納得がいきました。
今後とも精進していきます。
それにしても働くのって大変ですね・・・
引き籠りながら金を稼ぐ方法を目下探索中です(笑)
Posted by: | 2009.04.26 03:57 PM
すいません、名前入れ忘れました。
Posted by: テニコ | 2009.04.26 06:17 PM
4月18日にコメントしたものです。
あれから朝抜き間食抜きをやっています。まだ効果とかはわかりませんが、ご飯がかなりおいしくなりますね。
僕は今18歳でもともと回りの同年代にくらべて食が細くてご飯もおかわりしないのに、こんなことしていいのか不安なんですが、とりあえずしばらく続けてみます。
あと質問なんですが飲み物はいくら飲んでもいいんですか?
Posted by: mi | 2009.04.26 07:52 PM
★納豆会計さん
何にでも間違いなくなれますよ。
真に強力な存在は、本当に慎ましくさりげないです。
ひょっとしたら、そこらにいる普通のおじさんが仙人であったりするかもしれません。
私も、そこらの不思議な体験があります。
★Uoとしささん
のいぢさんは、元々腕の良いイラストレーターで、ゲームの世界で人気があったのは確かです。
でも、ここまでの存在になったのは、ハルヒやシャナによってでしょうねえ。
眠れる巨人というのは、マジです。
突然目覚めたという人にも、何人かお会いしました。
★テニコさん
インドの聖者の多くは、金に無関心というよりは、本当にどうでも良いと思っている人が多いようです。
ヨガナンダは、枯れた聖者よりはずっと理解しやすい聖者だったと思います。
心の力で現実世界をマーヤー(幻)として好きなように構築できることも語ってくれてましたね。
ひきこもって稼ぐことも全然可能性ですが、自分の中で、それが出来ないという制限付けが大きいかもしれません。その場合、やはり難しいのです。
★miさん
少食にすれば、どんな食も天国の食事だと私は思います。あまりに美味しく、感激しています(笑)。
世間では、若い男子はよく食べるという変な思い込みがありますが、合わせる必要はないと思います。
飲み物ですが、飲むものによりますし、限度というのはあるでしょうねえ。
しかし、自分で意識的にセーブして無茶飲みしなければ、大体好きなようにすれば良いと思います。
Posted by: Kay | 2009.04.26 08:47 PM
少食をはじめてから、体重は一ヶ月で5キロ減り、精神的にも研ぎ澄まされた感じがしていました。最近ある面では非常に良くなったのですが、反面あることでは理不尽な事で同じ結果に終わっています。今日も同じことが起こり、何でだろうと考えてます。自分は悪くないと考えながらも変えられるところを見つけては直そうとしています。あまりにも同じ問題が起こるのでへこみそうになるのですが、以前Kayさんが書かれていた「夜明け前の暗さを恐れるべからず」のエントリーを励みに前向きに進んでます。「自己信頼」は私の最大の課題です。
Posted by: mamemoyashi | 2009.04.26 09:18 PM
★mamemoyashiさん
面白いなあ。私も同じことが起こっていました。
子供の頃からの苦しいパターンがまた繰り返されたのですが、それが夢の中でもはっきり起こった時に、解決への道が開けました。
夢の中で、それを正面から見据え、心をぐらつくだけぐらつかせました。
すると・・・すっぽりと抜け落ちました。
間違いなく、心の中にそのパターンがあります。
現象面と心をただ観察すれば消滅すると思います。
Posted by: Kay | 2009.04.26 09:25 PM
お返事ありがとうございます。
インドの聖賢のようにお金に無関心になることは
まだ私には難しそうです・・・。
ですがマーフィーの「あなたも金持ちになれる」を何度も読んでいるうちにお金を大量に簡単に得ることへの罪悪感や躊躇のようなものが消し去ったような気がしました。
少食も2か月が経過して多少めまいはしますがかなり慣れてきました。
マーフィーの本にもだいぶ勇気づけられてきたので
ここらで運だめしに宝くじを買ってみようと思います。
当てる気満々です。そのイメージが大事なので。
もちろん自己責任なので外れても誰も恨みません(笑)
Posted by: テニコ | 2009.04.26 11:12 PM
★テニコさん
宝くじか・・・
当てようと思うと当たらないもので・・・^^;
ある人が、母親のために、かなりの数を買いましたら数百万あたりました。
ここらも、マーフィー法則から何となく分かります。
「別に当たらなくていいや」くらいで買わないと当たりませんよ。
Posted by: Kay | 2009.04.26 11:21 PM