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ゼンザブロニカがやってきた

いやあ、ずいぶんと更新をサボってたもんです。
(サボってる間にFC2のブログ管理画面まで変わっていてびっくり)

ブログの更新をサボっていたということは、納得のいく作品が撮れてなかったということです。まあ、そこそこいつも通りの写真は撮れていたんですが、このところ遠征もできなくて、いつもの場所でいつものような写真を撮りました、という流れに自分自身少々倦んでいたというのもホントのところです。
言ってみれば、ちょっとだけスランプだったわけです。

しかし、先日思いがけず嬉しい出来事があったので、ご報告いたします。
パソコン通信時代からの年長の知人I氏という方がいまして、この方はなかなかにすごい人なんですが、一時期一緒にバンドをやらせていただいたりして、仲良くさせていただいていたんです。そのI氏がご自宅を引っ越しなさる、それに伴って身辺の不要なものを思い切って処分するということになったそうで。
最初は不要になった露出計を譲っていただくだけのつもりだったんですが(I氏が写真を嗜んでいるなんてことはいままで知りませんでしたが……)その後の話の流れから、なんと大変なものを譲り受けることになってしまったんです。
それがコイツです。




機種: X-T1
ISO: 6400
露出: 1/80 秒
絞り: 4.0
焦点距離: 35mm
フラッシュを使用: いいえ
XF35mmF1.4R


中判フィルムカメラ、ゼンザブロニカです。
I氏から詳しいことはまったく聞いてこなかったのでよくわかりませんでしたが、おそらく初期の普及型S2型だと思われます。
だとすると、1965年発売。ほぼ俺と同い年のカメラということになります!

※追記
うちに来たブロニカは、シリアルナンバーが "CB 52***"なので、こちらのサイトによるとS2型でも最初期に作られたもののようです。おそらく1965年製造は間違いないでしょう。1級下の後輩……でも撮影キャリアは49年ということで、やっぱり大先輩かも(笑)



機種: X-T1
ISO: 6400
露出: 1/60 秒
絞り: 4.0
焦点距離: 35mm
フラッシュを使用: いいえ
XF35mmF1.4R


35mmフィルムカメラの経験すらろくにない俺がいきなり中判、というのもビビりますが、6x6サイズの真四角な世界にはずっと憧れがありました。かといって、ハッセルブラッドなどは中古でもなかなかの値段です。そちらに手を出すきっかけも必然性もないままだったんですが、思いがけず中判カメラが手元にやってきたわけです。
I氏は「もう目がかすんで写真も撮れないから、使ってくれる人が持っててくれれば」と言ってくださったんですが、感謝するばかりです。
ステンレスボディのゼンザブロニカは、いまでもピカピカで、とても半世紀近く前の工業製品とは思えません。
手にするとずっしりと重く、まさに鉄の精密機械。当時の日本の工業技術のレベルの高さを思い知らされます。




機種: X-T1
ISO: 6400
露出: 1/80 秒
絞り: 4.0
焦点距離: 35mm
フラッシュを使用: いいえ
XF35mmF1.4R


レンズは2本付属していました。最初の2枚の写真にあるのは、標準で付属していたニッコールPレンズ、75mmF2.8です。35mm換算で41mm相当のレンズになります。なんと当時のゼンザブロニカはニコンからレンズの供給を受けていたんだそうです。
そして上の写真のレンズは、ゼンザブロニカが独自に開発した、ゼンザノン150mmF3.5レンズ。35mm換算で85mm相当の中望遠レンズです。少々のチリの混入はありますが、どちらのレンズも曇りなどなく、いい状態です。




機種: X-T1
ISO: 6400
露出: 1/80 秒
絞り: 4.0
焦点距離: 35mm
フラッシュを使用: いいえ
XF35mmF1.4R


35mmのペンタプリズム方式の一眼レフと違って、この時代の中判カメラ(これも一眼レフには違いないんですが)は、レンズを通ってレフレックスミラーに反射した像を、上からのぞき込むスタイルになります。大きなファインダースクリーンに浮かび上がる像は何とも言えない趣があります。ただ、そのままでは厳密なフォーカスを合わせることが難しいので、ファインダー上部にルーペがついています。このルーペで像を拡大してフォーカスを合わせるわけです。
フタを開くとバネ仕掛けで残り3枚の板が立ち上がって、四角いファインダーボックスになり、もう一度フタ部分を手前に引くとまたバネ仕掛けでルーペが現れます。当然ながら全てが機械仕掛け。金属を触っているカンジが、いいですね。




機種: X-T1
ISO: 6400
露出: 1/80 秒
絞り: 2.8
焦点距離: 35mm
フラッシュを使用: いいえ
XF35mmF1.4R


ずんぐりとしたボディの後ろ三分の一ほどの部分は、ブローニーフィルムを収めるフィルムバックになります。フタを開けるとこんなカンジ。フィルムは下から上へ巻き取られていくわけですが、中判カメラなんて見たこともなかった俺には、この基本的な仕組みがわからず苦労しました。
というのも、webなどでフィルム交換の解説ページなどはあるんですが、そもそもの知識として、ブローニーフィルムはただの巻物で、一方通行に巻き取られて終わり、ということを知らないとどうにも理解できないわけです。
35mmフィルムだったら、フィルムケースにもう一度 ”巻き戻して” 撮り終わったフィルムを取り出すわけですが、ブローニーフィルムは下から上に巻き取ったらそれで終わり。フィルムを巻き取った軸はそのまま現像に出して、残った下の軸を上に移動させて、新しいフィルムロールを下にセットするわけです。それを知らずに、撮影済みロールを抜いた上の軸のところに新しいフィルムをセットしようとしても、どうしてもフィルムがセットできないんですね。

仕方がないので、吉祥寺のヨドバシカメラのベテランの店員さんに教えを請いました。その人も20年ぶりに中判に触れた、と言っていましたが、やってみせてもらえば一目瞭然。まさかフィルムロールの軸が世間の回り物として流通するなんて思いもしませんでした(笑)。おかげでもともと入っていたフィルムと新しいフィルムの2本をダメにしてしまいましたよ。




機種: X-T1
ISO: 6400
露出: 1/80 秒
絞り: 4.0
焦点距離: 35mm
フラッシュを使用: いいえ
XF35mmF1.4R


フィルムバックと本体を分離した様子です。左の本体の窓に見える黒い幕が、まさにシャッター幕です。そして右のフィルムバックの方の窓に見えるステンレスの板ですが、この板がフィルムの前にあって窓を塞いでいる状態です。これがあるので、フィルム装填中にこうしてフィルムバックを外しても、フィルムは感光しません。撮影途中でのフィルムバックの交換を可能にしているわけです。
撮影するときは、当然忘れずにこの板を抜き取らなければなりません。
また、この板が入ってる状態ではシャッターが切れない仕組みになっていて、さらにこの板は、本体とフィルムバックを分離するためのスイッチの替わりにもなっています。(挿入した状態で、板をさらに強く押すと分離します)
実に合理的で考えられた仕組みです。そしてその全てが機械仕掛け。ハッセルブラッドにもこのような先進的な仕組みはないそうです。当時、ハッセルを超えた「夢のカメラ」と報じられたそうですが、それもうなずけます。




機種: X-T1
ISO: 5000
露出: 1/80 秒
絞り: 4.0
焦点距離: 35mm
フラッシュを使用: いいえ
XF35mmF1.4R


さっそくハモニカ横丁あたりをうろうろして撮影してみたんですが、ブローニーフィルムの撮影枚数はたった12枚。あっという間に撮り終えてしまいます。そして当然この時代のカメラにTTL測光なんてないですから、露出は露出計を見ながら自分で決定しなければなりません。慣れない露出計(これまたセコニックスタジオデラックスという昔ながらのアナログ露出計で……)と格闘しながら、最後は勘を頼りに撮影したわけですが、結果は現像があがってくるまでわかりません。失敗写真はその場で確認して消してしまえるデジタルカメラとは当たり前ながら大違いですね。
吉祥寺では、ヨドバシカメラに頼むと現像は一週間かかるそうですが、アトレ内のコイデカメラだと2日であがるそうです。現像ができあがるのは明日。久しぶりにちょっとドキドキしながら待ちたいと思います。

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2014/06/14 (Sat) 17:23 | # | | 編集

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