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Jason Moran / Black Stars

Label: Blue Note
Rec. Date: March 2001
Personnel: Sam Rivers (ts, ss, fl, p), Jason Moran (p), Tarus Mateen (b), Nasheet Waits (ds)
Moran Jason_200103_Black Stars 
1. Foot Under Foot [Moran]
2. Kinda Dukish [Duke Ellington]
3. Gangsterism on a River [Moran]
4. Earth Song [Rivers]
5. Summit [Moran]
6. Say Peace [Moran]
7. Draw the Light Out [Moran]
8. Out Front [Jaki Byard]
9. The Sun at Midnight [Moran]
10. Skitter In [Moran]
11. Sound It Out [Moran]

 前回記事のGreg Osby / The Invisible Handは、Andrew HillとJim Hallの二人のベテランが参加したアルバムでしたが、本作はGreg Osbyと共演の多いピアニストJason MoranがSam Riversを迎えた作品で、Jason Moranとしては三枚目のリーダーアルバムになります。プロデュースは、前二作から引き続いてGreg Osby本人が担当しています。

 リズムはJason Moranのレギュラートリオ(Bandwagon)であるベースTarus MateenとドラムNasheet Waits・・・これは以前このblogで取り上げたNasheet Waits / Equalityと同じメンバーです。
 参考までに本アルバム録音当時のメンバーの年齢は、Sam Rivers77歳、Jason Moran26歳、Tarus Mateen33歳、Nasheet Waits29歳・・・おじいちゃんと孫まではいきませんが、親子以上の世代を超えたセッションといった塩梅です。

 演奏される楽曲はJason Moran本人のオリジナルの他、エリントンの"Kinda Dukish"、Sam Riversの"Earth Song"、Jaki Byardの"Out Front"を取り上げています。
 Sam Riversは2,7,8曲目はお休み、6曲目はテナーとピアノのデュオ、8曲目はピアノソロ、終曲11曲目はなんとSam Riversがピアノとフルートを操ったJason Moranとのデュオによる演奏です。
 このように曲によって編成が変わりますが、サウンドも曲によって実に多彩です。全体としてフリージャズ(この定義は人によって大きくブレるでしょうが、便宜的にフリージャズという用語を用います)の一歩、いや二歩ほど手前に留まっているサウンドで、このblogでしばしば述べてきましたように、この手のサウンドは私の非常に好みとするところです。
 1,4,10曲目は、1960年代Blue NoteのAndrew HillやTony Williamsあたりをさらに先鋭化したような熱い演奏、一方3,5,6,9曲目は、しっとりとしたリズムをバックにSam Riversがどこまでも深く味わいのあるソロを披露、また8曲目はJason Moranの「今世紀のストライド奏法」といった感じのピアノソロのトラックになっています。さらに11曲目では、クレジットに記載されているように、冒頭の短い部分でSam RiversとJason Moranの二人がピアノを弾いて(いるように聴こえないこともない・・・くらいです)、続いてSam RiversのフルートとJasonとのデュオに移るといった演奏です。いやはや、色んなことをやってくれるものです。
 Sam Riverが参加するどのトラックも、或いは彼が操るどの楽器も、時に激しく、時にしみじみと、そしていつものように少々とぼけたような温かみのあるプレイを聴かせ、彼が孫ほどの若い連中とセッションを楽しんでいる様子が伝わってきます。77歳の老兵はまだまだパワー健在のプレイです。
 一方リズムの三人ですが、Jason Moranのリーダーアルバム前作の「Facing Left(2000、Blue Note)」がこのメンバーによる最初のアルバムだと思いますが、Jason Moranのパーカッシブなピアノと三人が叩き出すゴツゴツと重厚で無愛想なリズムを聴いていると、二作目にして「こいつら完全に理解し合っているな」と思わせるような一体感です。こういう独善的なリズムセクションは個人的には大歓迎です。

 Sam Riversの好演・力演はなんといっても嬉しい限りですが、当時26歳のJason Moranの湧き出る豊かなアイディアがどのトラックにも反映されていて、彼のアルバムの中で私が最も気に入っている一枚です。

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半世紀ジャズを聴いている新米高齢者♂です

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