Christof Lauer / Evidence
Label: CMP Records
Rec. Date: Sept. 1994
Personnel: Cristof Lauer (ts, ss), Anthony Cox (b), Daniel Humair (ds)
1. What's New [Bob Haggart, Johnny Burke]
2. Evidence [Thelonious Monk]
3. In a Sentimental Mood [Duke Ellington]
4. Gravenstein [Humair]
5. Rosemary's Baby [Krzysztof Komeda]
6. Blue in Green [Miles Davis]
7. Take the Coltrane [Duke Ellington]
8. You [Lauer, Cox, Humair]
9. There Will Never be Another You [ Harry Warren, Mack Gordon]
リーダーのChristof Lauerは1953年ドイツMelsungen生まれのサックス奏者で、ネット情報によると10枚以上のリーダーアルバムを出しており、1994年録音の本作は比較的初期のリーダーアルバムにあたります。なお、本作から4年後のリーダーアルバム「Fragile Network(1998年録音、ACT)」は、異才のフランス人ギタリストMarc Ducretが参加した面白いアルバムでした。
ベースのAnthony Coxは、手元CDではGeri Allen、Marty Ehrlich、Gary Thomasらのアルバムに参加するアメリカ人、それに贔屓のフランス人ドラマーDaniel Humairが参加する独・米・仏のピアノレストリオのアルバムです。取り上げられた楽曲は4、8曲目を除き、スタンダードやジャズメンのオリジナルです。このアルバムを入手した時点ではリーダーとは初対面でしたが、もちろんDaniel Humairの参加が唯一の入手動機でした。
まずリズムの二人についてですが、Anthony Coxは「堅実なリズム」「正しい音程」「デカイ音量」・・・Scott Colley / Initial Wisdomの記事で述べましたが、私がベーシストには欠かせないと思う三つの要素を持ち合わせたミュージシャンで、本作でも彼のベーシストとしての実力がバランスよく発揮されています。特に、6曲目"Blue in Green"でのテナーとベースとのデュオを聴けば、彼のベーシストとしての腕の確かさがよくわかります。
一方のDaniel Humairですが、このようなミニマムな編成での演奏ですので、小技・大技が冴え渡るプレイが圧倒的な存在感を示しています。特に彼の鋭く激しいシンバルワークを聴けることは、私にとって快感以外の何ものでもありません。
リーダーのChristof Lauerのプレイは、1953年生まれというこの世代では避けようがないColtraneからの影響を感じさせる細かく早いパッセージを連続して繰り出すスタイルですが、私の苦手な「ヨーロッパ臭」はほとんどしませんし、「色気」(或いは「ダンディズム」?)みたいなものを持ち合わせています・・・贔屓目すぎるでしょうか。このアルバムが録音されてから20年以上が経ちますが、今聴いてもその感覚の新しさと力強さ~聴き手に挑んでくるようなパワー~が伝わってきますし、それだけではない上記の「色気」からくる「暖かさ」のようなものも感じます・・・このあたりは極めて個人的な印象ですが。
切れ味鋭いドラムのイントロから始まるアップテンポ3/4の5曲目"Rosemary's Baby"は、各人がそれぞれに見せ場をつくる熱演、また前に述べましたが、テナーとベースのデュオでしっとりと演奏されるMiles Davisの6曲目"Blue in Green"などはなかなか聴かせます。一方メンバーのオリジナルの8曲目は、ほとんど三人のフリー・インプロによる演奏ですが、三人三様の踏ん張りで、冗長さを感じさせない引き締まったトラックになっています。
贔屓のプレイヤー~特にドラマーやベーシスト~を聴きたくて初対面のミュージシャンのアルバムに手を出すと、経験上ハズレを引かされることしばしばですが、この初対面のドイツ人サックス奏者のアルバムはアタリでした。スタンダードやジャズメンオリジナル中心の選曲も気が利いており、何よりも鋭いリズムの二人の技に支えられたピアノレストリオの力作と言ってよい出来です。
Rec. Date: Sept. 1994
Personnel: Cristof Lauer (ts, ss), Anthony Cox (b), Daniel Humair (ds)
1. What's New [Bob Haggart, Johnny Burke]
2. Evidence [Thelonious Monk]
3. In a Sentimental Mood [Duke Ellington]
4. Gravenstein [Humair]
5. Rosemary's Baby [Krzysztof Komeda]
6. Blue in Green [Miles Davis]
7. Take the Coltrane [Duke Ellington]
8. You [Lauer, Cox, Humair]
9. There Will Never be Another You [ Harry Warren, Mack Gordon]
リーダーのChristof Lauerは1953年ドイツMelsungen生まれのサックス奏者で、ネット情報によると10枚以上のリーダーアルバムを出しており、1994年録音の本作は比較的初期のリーダーアルバムにあたります。なお、本作から4年後のリーダーアルバム「Fragile Network(1998年録音、ACT)」は、異才のフランス人ギタリストMarc Ducretが参加した面白いアルバムでした。
ベースのAnthony Coxは、手元CDではGeri Allen、Marty Ehrlich、Gary Thomasらのアルバムに参加するアメリカ人、それに贔屓のフランス人ドラマーDaniel Humairが参加する独・米・仏のピアノレストリオのアルバムです。取り上げられた楽曲は4、8曲目を除き、スタンダードやジャズメンのオリジナルです。このアルバムを入手した時点ではリーダーとは初対面でしたが、もちろんDaniel Humairの参加が唯一の入手動機でした。
まずリズムの二人についてですが、Anthony Coxは「堅実なリズム」「正しい音程」「デカイ音量」・・・Scott Colley / Initial Wisdomの記事で述べましたが、私がベーシストには欠かせないと思う三つの要素を持ち合わせたミュージシャンで、本作でも彼のベーシストとしての実力がバランスよく発揮されています。特に、6曲目"Blue in Green"でのテナーとベースとのデュオを聴けば、彼のベーシストとしての腕の確かさがよくわかります。
一方のDaniel Humairですが、このようなミニマムな編成での演奏ですので、小技・大技が冴え渡るプレイが圧倒的な存在感を示しています。特に彼の鋭く激しいシンバルワークを聴けることは、私にとって快感以外の何ものでもありません。
リーダーのChristof Lauerのプレイは、1953年生まれというこの世代では避けようがないColtraneからの影響を感じさせる細かく早いパッセージを連続して繰り出すスタイルですが、私の苦手な「ヨーロッパ臭」はほとんどしませんし、「色気」(或いは「ダンディズム」?)みたいなものを持ち合わせています・・・贔屓目すぎるでしょうか。このアルバムが録音されてから20年以上が経ちますが、今聴いてもその感覚の新しさと力強さ~聴き手に挑んでくるようなパワー~が伝わってきますし、それだけではない上記の「色気」からくる「暖かさ」のようなものも感じます・・・このあたりは極めて個人的な印象ですが。
切れ味鋭いドラムのイントロから始まるアップテンポ3/4の5曲目"Rosemary's Baby"は、各人がそれぞれに見せ場をつくる熱演、また前に述べましたが、テナーとベースのデュオでしっとりと演奏されるMiles Davisの6曲目"Blue in Green"などはなかなか聴かせます。一方メンバーのオリジナルの8曲目は、ほとんど三人のフリー・インプロによる演奏ですが、三人三様の踏ん張りで、冗長さを感じさせない引き締まったトラックになっています。
贔屓のプレイヤー~特にドラマーやベーシスト~を聴きたくて初対面のミュージシャンのアルバムに手を出すと、経験上ハズレを引かされることしばしばですが、この初対面のドイツ人サックス奏者のアルバムはアタリでした。スタンダードやジャズメンオリジナル中心の選曲も気が利いており、何よりも鋭いリズムの二人の技に支えられたピアノレストリオの力作と言ってよい出来です。