贔屓が歌伴 三題
三題噺の第四回は、お気に入りのサックス奏者の「歌伴」です。ヴォーカルはあまり聴く方ではありませんが、ファンとしてスルーできなかったアルバムです。
①Karen Francis / Little Sunflower ~ Mark Turner
Label: SteepleChase
Rec Date: Sept. 1997
Personnel: Karen Francis (vo), Mark Turner (ts), Gerry Eastman (g), George Cables (p), Lonnie Plaxico (b), Aaron Walker (ds)
1. The Great City 2. Here's That Rainy Day 3. I Could Have Danced All Night 4. Brown Skin Gal 5. Love Yourself 6. Little Sunflower 7. Learn from Your Mistakes 8. Dindi 9. You Go to My Head 10. Man, That was a Dream
ネット情報によるとKaren Francisは4枚のリーダーアルバムを出していて、本作は2作目にあたるようです。「黒人らしい素直さを感じさせる歌手」という印象で、個性際立つというレベルではありませんが、まあ嫌味のない歌い手さんです。
Mark Turnerは「らしさ」が出ている、というか「らしさ」が隠せない、ある意味「不器用」な歌伴で、ヴォーカル・アルバムとして聴くと、彼の存在は少々「居心地が悪い」或いは「居場所がない」という印象を受けてしまいます。アレンジは超B級ピアニストのLarry Willisと、本作に参加しているギターのGerry Eastmanという人が担当していますが、これもまた熟(こな)れていない、もっとわかりやすく言うと「ダサい」印象です。
Mark Turnerが歌伴をやっている珍盤・・・ファンとしてもこれ以上の価値はなかなか見出し難いアルバムでした。
②Jacinta / Day Dream ~ Greg Osby
Label: Blue Note
Rec Date: Aug. 2005
Personnel: Jacinta (vo), Greg Osby (ss), James Weidman (p), Matt Brewer (b), Rodney Green (ds)
1. Enfim (Day Dream) 2. Decide La (I'm Beginning to See the Light) 3. My Heart Belongs to Daddy 4. I'm All Smiles 5. In a Sentimental Mood 6. Alma Confusa (Azure) 7. Jogral 8. Cancao de Embalar 9. Luiza 10. How I Wish 11. Day Dream 12. I'm Beginning to See the Light 13. Eternamente (In a Sentimental Mood)
Jacintaという人が有名かどうか全く知りませんが、どうやらポルトガルの歌手のようです(間違っていたらごめんなさい)。ソプラノサックスで参加するGreg Osbyがプロデュースとアレンジ(2曲を除く)を兼ねており、バックも彼の人脈で固められています。
上記Karen Francis盤とは違って、一定レベル以上の水準にあるサウンドで、特にベースとドラムはゴツゴツした生々しさがあり、これは紛れもなくGreg Osbyのものです。
全13曲中Ellingtonの曲を7曲(3曲は同じ曲のポルトガル語、英語の2つのバージョン)取り上げています。このJacintaという人は、基本的にジャズ・ヴォーカルの素養というかトレーニングはしていないようで、例えば7曲目Djavanの曲のようなボサノバ「方面」の歌手だと思います。
「ジャズ」ヴォーカルのアルバムとして聴くと色々な注文がつくでしょうが、ヴォーカルの引き立て役に徹しているGreg Osbyの控え目なソプラノサックスはなかなか聴かせますし、Osbyがプロデュースするサウンドは上等で、それなりに楽しめるアルバムです。
③J.D. Walter / Clear Day ~David Liebman
Label: Double-Time
Rec. Date: Sept. 2000
Personnel: J.D. Walter (vo), David Liebman (ss, ts, fl), Jim Ridle (p), Steve Varner (b), Ari Hoenig (ds)
1. Kieshas Coy 2. On a Clear Day 3. Here I am There I Go 4. Beyond the Line 5. Mommie Eyes 6. If I Should Lose You 7. Translucence 8. Grace
J.D. Walterという歌手とDavid Liebmanとのコ・リーダーアルバムです。
ネット情報によるとJ.D. Walterは1967年生まれ、7枚のリーダーアルバムを出しており、本作は2作目にあたるようです。
「器楽的」或いは「技巧的」と言うのでしょうか、スキャットを多用するなかなかのテクニシャンで、少し神経質な感じのする歌声ではありますが、Kurt Ellingを連想させる今風のジャズ・シンガーです。
上記の二枚とは違ってカチッとしたコンテンポラリー・ジャズのサウンドで、ベースは初対面でしたがリズム陣の腕前も確かです。全8曲中5曲はJ.D. Walter又はLiebmanのオリジナルで、テーマ部などもしっかりと作り込まれたアレンジが施されており、まるで「2管」クインテットのように、ヴォーカルとサックスが「器楽的」に絡み合います。
我らがDavid Liebmanはいつものように本気度100%の力が入ったプレイで、ソプラノ、テナーだけでなく、彼が時々手にする木製フルートも実に効果的に使われています。
今回の三枚の中ではダントツでクオリティの高い「歌伴」アルバムです。
①Karen Francis / Little Sunflower ~ Mark Turner
Label: SteepleChase
Rec Date: Sept. 1997
Personnel: Karen Francis (vo), Mark Turner (ts), Gerry Eastman (g), George Cables (p), Lonnie Plaxico (b), Aaron Walker (ds)
1. The Great City 2. Here's That Rainy Day 3. I Could Have Danced All Night 4. Brown Skin Gal 5. Love Yourself 6. Little Sunflower 7. Learn from Your Mistakes 8. Dindi 9. You Go to My Head 10. Man, That was a Dream
ネット情報によるとKaren Francisは4枚のリーダーアルバムを出していて、本作は2作目にあたるようです。「黒人らしい素直さを感じさせる歌手」という印象で、個性際立つというレベルではありませんが、まあ嫌味のない歌い手さんです。
Mark Turnerは「らしさ」が出ている、というか「らしさ」が隠せない、ある意味「不器用」な歌伴で、ヴォーカル・アルバムとして聴くと、彼の存在は少々「居心地が悪い」或いは「居場所がない」という印象を受けてしまいます。アレンジは超B級ピアニストのLarry Willisと、本作に参加しているギターのGerry Eastmanという人が担当していますが、これもまた熟(こな)れていない、もっとわかりやすく言うと「ダサい」印象です。
Mark Turnerが歌伴をやっている珍盤・・・ファンとしてもこれ以上の価値はなかなか見出し難いアルバムでした。
②Jacinta / Day Dream ~ Greg Osby
Label: Blue Note
Rec Date: Aug. 2005
Personnel: Jacinta (vo), Greg Osby (ss), James Weidman (p), Matt Brewer (b), Rodney Green (ds)
1. Enfim (Day Dream) 2. Decide La (I'm Beginning to See the Light) 3. My Heart Belongs to Daddy 4. I'm All Smiles 5. In a Sentimental Mood 6. Alma Confusa (Azure) 7. Jogral 8. Cancao de Embalar 9. Luiza 10. How I Wish 11. Day Dream 12. I'm Beginning to See the Light 13. Eternamente (In a Sentimental Mood)
Jacintaという人が有名かどうか全く知りませんが、どうやらポルトガルの歌手のようです(間違っていたらごめんなさい)。ソプラノサックスで参加するGreg Osbyがプロデュースとアレンジ(2曲を除く)を兼ねており、バックも彼の人脈で固められています。
上記Karen Francis盤とは違って、一定レベル以上の水準にあるサウンドで、特にベースとドラムはゴツゴツした生々しさがあり、これは紛れもなくGreg Osbyのものです。
全13曲中Ellingtonの曲を7曲(3曲は同じ曲のポルトガル語、英語の2つのバージョン)取り上げています。このJacintaという人は、基本的にジャズ・ヴォーカルの素養というかトレーニングはしていないようで、例えば7曲目Djavanの曲のようなボサノバ「方面」の歌手だと思います。
「ジャズ」ヴォーカルのアルバムとして聴くと色々な注文がつくでしょうが、ヴォーカルの引き立て役に徹しているGreg Osbyの控え目なソプラノサックスはなかなか聴かせますし、Osbyがプロデュースするサウンドは上等で、それなりに楽しめるアルバムです。
③J.D. Walter / Clear Day ~David Liebman
Label: Double-Time
Rec. Date: Sept. 2000
Personnel: J.D. Walter (vo), David Liebman (ss, ts, fl), Jim Ridle (p), Steve Varner (b), Ari Hoenig (ds)
1. Kieshas Coy 2. On a Clear Day 3. Here I am There I Go 4. Beyond the Line 5. Mommie Eyes 6. If I Should Lose You 7. Translucence 8. Grace
J.D. Walterという歌手とDavid Liebmanとのコ・リーダーアルバムです。
ネット情報によるとJ.D. Walterは1967年生まれ、7枚のリーダーアルバムを出しており、本作は2作目にあたるようです。
「器楽的」或いは「技巧的」と言うのでしょうか、スキャットを多用するなかなかのテクニシャンで、少し神経質な感じのする歌声ではありますが、Kurt Ellingを連想させる今風のジャズ・シンガーです。
上記の二枚とは違ってカチッとしたコンテンポラリー・ジャズのサウンドで、ベースは初対面でしたがリズム陣の腕前も確かです。全8曲中5曲はJ.D. Walter又はLiebmanのオリジナルで、テーマ部などもしっかりと作り込まれたアレンジが施されており、まるで「2管」クインテットのように、ヴォーカルとサックスが「器楽的」に絡み合います。
我らがDavid Liebmanはいつものように本気度100%の力が入ったプレイで、ソプラノ、テナーだけでなく、彼が時々手にする木製フルートも実に効果的に使われています。
今回の三枚の中ではダントツでクオリティの高い「歌伴」アルバムです。