「限界集落」を取り上げた一昨日のエントリには、10件以上の 「はてなブックマーク」 をいただき、そのおかげで初回訪問アクセスがいつもより多かった。
「限界集落」については、昨日(12月3日)の読売新聞(大阪本社版)が3面で取り上げているが、ネットでは読めないようだ。限界集落の再生を目指す30都道府県の146自治体が「全国水源の里連絡協議会」を11月30日に設立し、新たな交付金制度の創設など国の支援を求めて始動し、福田内閣も「格差問題の象徴」として対策に力を入れる方針だという。東京で11月30日に行われた同会の設立総会では、与党議員が「皆さんがふるさとを誇りに思って生きていける施策を推し進めたい」(谷垣禎一・自民党政調会長)などと応じ、支援策に本腰を入れる考えを繰り返したそうだが、読売新聞も指摘するように、与党議員の発言の裏側には、7月の参院選で農山村部を多く抱える「1人区」で自民党が惨敗した影響がある。確かに、国交省と総務省の調べ(2006年4月)で全国に7878箇所を数える限界集落は、中国地方が2270箇所、九州地方が1635箇所、四国地方が1357箇所、東北地方が736箇所を数え、この4地方の合計で5998箇所の集落を数える。これらは、いずれも強固だった自民党の支持基盤が崩れた地方だ。読売の記事は、総務省幹部の「参院選を通じ、(限界集落が)都市と地方の格差の象徴として注目が集まった」との指摘と、吉川富夫・県立広島大(公共経済学)の「放っておけない問題と社会がようやく認識した」とのコメントを紹介している。
いただいた「はてなブックマーク」には、「居住性を維持するコストを考えると、限界集落はたたんだ方がいい。現状は一般人を山林の守り人のように扱っている面がある」などという新自由主義者のコメントもついているが、食料自給率を下げ、台風でもないのに山の斜面が突如崩壊する(12月2日のサンプロでは、四国のほかに奈良県の例も紹介されていた)自然破壊まで起きている現状を考えると、コストがかかるから切り捨ててしまえ、という暴論には、当ブログは賛成できない。
なお、九州の限界集落については、10月に西日本新聞が連載記事を掲載していたようだ。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/feature/genkaishuraku/
さて、いつもの政治記事に戻ると、額賀福志郎財務相に対する参院の証人喚問は、結局共産党など一部野党も全会一致の原則にもとるなどとして反対に回るなどして中止された。これをめぐって、共産党などを批判する意見や、それにさらに反発する意見なども出たが、当ブログとしては、額賀福志郎ごとき小物でこの問題を打ち止めにしてほしくない。11月17日のエントリでも指摘したように、守屋武昌・前防衛事務次官は、もともとは旧竹下派とつながっていたが、コイズミ政権下では一転して、それまで旧竹下派が持っていた防衛利権を竹下派からシャットアウトして、森派(現町村派)に移し変える役割を担っていたとされるのである。朝日新聞は沖縄利権も捜査の対象になると観測しているが、行き着く先には元首相・コイズミがいる。
魚住昭氏などは、防衛疑獄の検察捜査もまた国策捜査であって、今回の捜査そのものを歓迎する気には全然ならないと言っている(「SIGHT」 2008年冬号)。魚住さんは、検察が新保守である新自由主義者によって制御されていると信じているフシがあり、これは佐藤優に影響を受けているのではないかと思うが、私にはむしろライブドアや村上ファンド、それに今回の防衛利権の捜査などは、新保守に対する旧保守の挑戦ではないかと思われる。旧保守とは、たとえば野中広務のような人物を指す。野中の最大の宿敵はコイズミだ。もし防衛疑獄の捜査がコイズミ逮捕に行き着くのであれば、それは「良い国策捜査」(大谷昭宏がライブドア事件について用いた表現)であるとして歓迎したい気持ちが私にはある。
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「限界集落」については、昨日(12月3日)の読売新聞(大阪本社版)が3面で取り上げているが、ネットでは読めないようだ。限界集落の再生を目指す30都道府県の146自治体が「全国水源の里連絡協議会」を11月30日に設立し、新たな交付金制度の創設など国の支援を求めて始動し、福田内閣も「格差問題の象徴」として対策に力を入れる方針だという。東京で11月30日に行われた同会の設立総会では、与党議員が「皆さんがふるさとを誇りに思って生きていける施策を推し進めたい」(谷垣禎一・自民党政調会長)などと応じ、支援策に本腰を入れる考えを繰り返したそうだが、読売新聞も指摘するように、与党議員の発言の裏側には、7月の参院選で農山村部を多く抱える「1人区」で自民党が惨敗した影響がある。確かに、国交省と総務省の調べ(2006年4月)で全国に7878箇所を数える限界集落は、中国地方が2270箇所、九州地方が1635箇所、四国地方が1357箇所、東北地方が736箇所を数え、この4地方の合計で5998箇所の集落を数える。これらは、いずれも強固だった自民党の支持基盤が崩れた地方だ。読売の記事は、総務省幹部の「参院選を通じ、(限界集落が)都市と地方の格差の象徴として注目が集まった」との指摘と、吉川富夫・県立広島大(公共経済学)の「放っておけない問題と社会がようやく認識した」とのコメントを紹介している。
いただいた「はてなブックマーク」には、「居住性を維持するコストを考えると、限界集落はたたんだ方がいい。現状は一般人を山林の守り人のように扱っている面がある」などという新自由主義者のコメントもついているが、食料自給率を下げ、台風でもないのに山の斜面が突如崩壊する(12月2日のサンプロでは、四国のほかに奈良県の例も紹介されていた)自然破壊まで起きている現状を考えると、コストがかかるから切り捨ててしまえ、という暴論には、当ブログは賛成できない。
なお、九州の限界集落については、10月に西日本新聞が連載記事を掲載していたようだ。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/feature/genkaishuraku/
さて、いつもの政治記事に戻ると、額賀福志郎財務相に対する参院の証人喚問は、結局共産党など一部野党も全会一致の原則にもとるなどとして反対に回るなどして中止された。これをめぐって、共産党などを批判する意見や、それにさらに反発する意見なども出たが、当ブログとしては、額賀福志郎ごとき小物でこの問題を打ち止めにしてほしくない。11月17日のエントリでも指摘したように、守屋武昌・前防衛事務次官は、もともとは旧竹下派とつながっていたが、コイズミ政権下では一転して、それまで旧竹下派が持っていた防衛利権を竹下派からシャットアウトして、森派(現町村派)に移し変える役割を担っていたとされるのである。朝日新聞は沖縄利権も捜査の対象になると観測しているが、行き着く先には元首相・コイズミがいる。
魚住昭氏などは、防衛疑獄の検察捜査もまた国策捜査であって、今回の捜査そのものを歓迎する気には全然ならないと言っている(「SIGHT」 2008年冬号)。魚住さんは、検察が新保守である新自由主義者によって制御されていると信じているフシがあり、これは佐藤優に影響を受けているのではないかと思うが、私にはむしろライブドアや村上ファンド、それに今回の防衛利権の捜査などは、新保守に対する旧保守の挑戦ではないかと思われる。旧保守とは、たとえば野中広務のような人物を指す。野中の最大の宿敵はコイズミだ。もし防衛疑獄の捜査がコイズミ逮捕に行き着くのであれば、それは「良い国策捜査」(大谷昭宏がライブドア事件について用いた表現)であるとして歓迎したい気持ちが私にはある。
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新聞報道によると、参院財政金融委員会は27日夜、山田洋行元専務の宮崎元伸容疑者との宴席同席問題をめぐって額賀福志郎財務相と守屋武昌前防衛事務次官の証人喚問を12月3日に行う日程を野党単独で議決した。証人喚問は全会一致で議決されるのが慣例で、与党が反対する中での議決は極めて異例、また衆院議員が衆院での喚問を受けないまま参院で喚問されるのは1955年の国会法改正以来初めてとのことで、与党側は峰崎直樹委員長(民主党)に抗議し、議決に加わらなかったとのことである。
しかし、同じ今朝の新聞は、東京地検特捜部が、山田洋行事件に絡んで、証人喚問が決定した守屋前次官をきょう収賄容疑で逮捕する方針を固めたと報じている。これによって、守屋氏の証人喚問は不可能になる。守屋氏の逮捕はかなり前から週刊誌などで予測されていた通りであり、与野党とも守屋氏を実際に喚問するのは不可能と知りつつ、泥仕合を演じていると考えてよいだろう。
泥仕合というのは額賀財務相が宴席に同席したか否かをめぐる自民党と民主党の激突のことだ。民主党は証言をもとに額賀財務相を詰問し、額賀氏は言葉を詰まらせていたが、昨日(27日)、自民党は額賀氏が該当日(昨年12月4日)には都内の勉強会に出席しており、その時の写真や録音テープが残っていて、宴席出席はあり得ないと主張、昨年の「偽メール事件」も出して民主党を皮肉った。一方民主党は証言者が守屋前次官であることを明かし、自民党の物証に対して守屋氏の証言で「全面対決」する構えだそうだが、守屋氏の逮捕で問題がウヤムヤ、というシナリオが今から見えている。
そもそも宴席に同席したか否かなど、誤解を恐れずに言えば些細な問題であり、本丸はあくまで巨大な防衛利権、中でも沖縄利権である。そして何度も書くようにラスボスは小泉純一郎(コイズミ)であって、民主党の小沢一郎や前原誠司、長島昭久らにも疑惑がささやかれている。もちろん自民党旧竹下派の面々は、彼らに行き着く前段階の疑惑の人物たちだ。
これまでほとんど手のつけられてこなかった防衛利権の闇を暴き、この分野における国の無駄遣いをただすことなくして、消費税増税などの国民負担増は許されない。これが当ブログの基本的なスタンスであって、額賀をめぐるドンパチについては勝手にやってくれ、どうせスネに傷を持つ同士の自民党と民主党のなれ合いではないかとさめた目で見ている次第だ。
森永卓郎氏は、日経BPのサイトの 「構造改革をどう生きるか」 の最新コラム 「飄々と始まった増税論議」 で、福田政権の増税路線を批判しているが、最後にこんなことを書いている。
森永氏一流の皮肉たっぷりな文章だが、福田康夫と小沢一郎なら本当にこんなことをやりかねないと思えてしまう。思えば、かつて細川内閣は消費税7%という国民福祉税構想を唱えたが、即日白紙撤回させられた。当時3%だった消費税率を7%に引き上げようとした張本人が新生党の小沢一郎だった。そのことを知っている人間が、「小沢代表の力で消費税10%が7%になった!」という森永氏の文章を読むと、思わず吹き出してしまうのである。
だが、笑っている場合ではない。自民党と民主党が、額賀財務相をめぐって派手なドンパチをやったあと問題をうやむやにして、防衛疑獄が宮崎元伸と守屋武昌の2人で幕引きされてしまうなら、これは国民をバカにした茶番である。そんなことをさせないように監視の目を光らせ、適宜声をあげていかなければならないと考えている。
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しかし、同じ今朝の新聞は、東京地検特捜部が、山田洋行事件に絡んで、証人喚問が決定した守屋前次官をきょう収賄容疑で逮捕する方針を固めたと報じている。これによって、守屋氏の証人喚問は不可能になる。守屋氏の逮捕はかなり前から週刊誌などで予測されていた通りであり、与野党とも守屋氏を実際に喚問するのは不可能と知りつつ、泥仕合を演じていると考えてよいだろう。
泥仕合というのは額賀財務相が宴席に同席したか否かをめぐる自民党と民主党の激突のことだ。民主党は証言をもとに額賀財務相を詰問し、額賀氏は言葉を詰まらせていたが、昨日(27日)、自民党は額賀氏が該当日(昨年12月4日)には都内の勉強会に出席しており、その時の写真や録音テープが残っていて、宴席出席はあり得ないと主張、昨年の「偽メール事件」も出して民主党を皮肉った。一方民主党は証言者が守屋前次官であることを明かし、自民党の物証に対して守屋氏の証言で「全面対決」する構えだそうだが、守屋氏の逮捕で問題がウヤムヤ、というシナリオが今から見えている。
そもそも宴席に同席したか否かなど、誤解を恐れずに言えば些細な問題であり、本丸はあくまで巨大な防衛利権、中でも沖縄利権である。そして何度も書くようにラスボスは小泉純一郎(コイズミ)であって、民主党の小沢一郎や前原誠司、長島昭久らにも疑惑がささやかれている。もちろん自民党旧竹下派の面々は、彼らに行き着く前段階の疑惑の人物たちだ。
これまでほとんど手のつけられてこなかった防衛利権の闇を暴き、この分野における国の無駄遣いをただすことなくして、消費税増税などの国民負担増は許されない。これが当ブログの基本的なスタンスであって、額賀をめぐるドンパチについては勝手にやってくれ、どうせスネに傷を持つ同士の自民党と民主党のなれ合いではないかとさめた目で見ている次第だ。
森永卓郎氏は、日経BPのサイトの 「構造改革をどう生きるか」 の最新コラム 「飄々と始まった増税論議」 で、福田政権の増税路線を批判しているが、最後にこんなことを書いている。
では、今後どのような展開が待ち受けているのか。ちょっと想像してみよう。
おそらく(消費税)17%はブラフであり、そのまま通るとは誰も思っていないだろう。そこで、総選挙が終わったところで、自民党は10%という法案を出してくるのではないか。ところが参議院は与野党逆転しているために、そんな法案は通るわけがない。そもそも、総選挙の結果がどうなるか分からないが、それはここではおいておくとしよう。
そこで福田総理はどう出るか。ここからはわたしの勝手な予想である。民主党が反対したところで、小沢代表にまた党首会談を持ちかけるのではないか。そこで、前回の党首会談に怒っている小沢代表に花を持たせて、ちょっと数字を下げる。「小沢代表の力で消費税10%が7%になった!」。
7%というところが落としどころと見ているのではないか。だからなのか、どこからも7%という数字が出てこないのが不思議なのである。
前回の党首会談に懲りずに、こんなふうにして、もう一度小沢代表を利用するシナリオを考えているのではないかという気がしてならないのだ。
(森永卓郎 「構造改革をどう生きるか」 第109回 「飄々と始まった増税論議」より)
森永氏一流の皮肉たっぷりな文章だが、福田康夫と小沢一郎なら本当にこんなことをやりかねないと思えてしまう。思えば、かつて細川内閣は消費税7%という国民福祉税構想を唱えたが、即日白紙撤回させられた。当時3%だった消費税率を7%に引き上げようとした張本人が新生党の小沢一郎だった。そのことを知っている人間が、「小沢代表の力で消費税10%が7%になった!」という森永氏の文章を読むと、思わず吹き出してしまうのである。
だが、笑っている場合ではない。自民党と民主党が、額賀財務相をめぐって派手なドンパチをやったあと問題をうやむやにして、防衛疑獄が宮崎元伸と守屋武昌の2人で幕引きされてしまうなら、これは国民をバカにした茶番である。そんなことをさせないように監視の目を光らせ、適宜声をあげていかなければならないと考えている。
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防衛疑獄をめぐって、小沢一郎・民主党代表の周辺がキナ臭さを増してきた。
トラックバックいただいた 「大津留公彦のブログ2」 のエントリ 「平成のロッキード事件」 に、「週刊現代」に松田賢弥氏(昨年、安倍晋三を追及する記事を同誌に連載したフリージャーナリスト)の記事 " 野中広務と「小沢一郎と消えた湾岸戦費1兆円」 " が紹介されているが、野中広務は 「サンデー毎日」 の11月25日号でも小沢一郎批判を展開している。
野中は、小沢一郎の側近だった中西啓介元防衛庁長官(故人)と田村秀昭元参院議員の2人をめぐる「防衛利権」の疑惑に言及している。
野中の著書 『私は闘う』 から 「サンデー毎日」 が引用している部分を以下に孫引きする。
野中によると、中西防衛庁長官(当時)は、1993年12月1日に、「半世紀前に作った憲法にしがみついているようなあり方はどう考えてもまずい」と改憲発言を行い、この責任を問われて翌日防衛庁長官を辞任したが、野中による中西への「防衛利権」の追及から逃れるためではなかったかと推測している。野中はこの件を12月8日の衆院予算委員会で取り上げたが、その時には中西は防衛庁長官の座を去っていた。そして、野中が中西の訪米時の日程について防衛庁幹部に問い合わせたのは12月1日で、その日の夜のパーティーで中西が「改憲発言」をしたのだという。
野中は、「小沢氏自身の防衛利権の話は知らない」としながらも、田村秀昭元参院議員が新進党が分裂しても小沢についていったことに注目しているという。「サンデー毎日」が以前に報じていたところによると、もと「山田洋行」専務の宮崎元伸容疑者は、1989年に田村元議員が初当選した際、2億円くらい山田洋行が選挙資金を田村氏のために用立てたそうだ。但し、11月1日の当ブログ記事にも書いたように、田村元議員は一昨年に民主党の安全保障政策に不満を持って国民新党に参加し、民主党を除籍処分になっている(当時の民主党代表は岡田克也氏)。中西氏や田村氏と防衛業界の関係について「サンデー毎日」の問い合わせを受けた小沢事務所は「全く存じ上げない」と無関係を強調しているそうだが、灰色との印象は拭えない。
しかしながら、小沢一郎を「悪魔」と呼んで敵視する野中広務にしても、率直に言って「決め手不足」の感は否めない。このくだりを読んで、小沢支持の方はやや胸をなで下ろされたかもしれないが、野中は、小沢の「過去」について、既に 『政界裏面史』 に書きためており、それは野中の死後に公表されるようにしてあるのだそうだ。外部の人間としては、生きているうちに公表してほしいものだと思うのだが、これも野中が自らの身の安全を確保するためかもしれないと思うと、無理なお願いはできないような気もする。当ブログ管理人がブログを始めて間がない昨年5月20日に公開した記事 「キーマンが「自殺」した大事件」 にも書いたように、政界がらみの大事件に変死者(多くは「自殺」とされる)はつきものだからだ。昨年のライブドア事件に絡んで、前首相・安倍晋三の非公式後援会 「安晋会」 の理事だった野口英昭・エイチエス証券元副社長が沖縄で変死を遂げた件は、記憶に新しいところだろう。
さて、本エントリでは野中広務が小沢一郎周辺の「防衛利権」疑惑を指摘したことをもっぱら紹介してきたが、野中が小沢一郎以上に敵意を燃やす政治家は、いうまでもなくコイズミである。守屋武昌にしても、もともとは旧竹下派とつながっていたが、コイズミ政権下では一転して、それまで旧竹下派が持っていた防衛利権を竹下派からシャットアウトして、森派(現町村派)に移し変える役割を担っていたとされる。つまり、何度も書くが、防衛疑獄を追及していった時、最後の最後に登場するラスボスはコイズミなのである。
追及がそこまでいくとはとても思えないが、そうでもならない限り日本の政治が良くなることはないと思う今日この頃である。
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トラックバックいただいた 「大津留公彦のブログ2」 のエントリ 「平成のロッキード事件」 に、「週刊現代」に松田賢弥氏(昨年、安倍晋三を追及する記事を同誌に連載したフリージャーナリスト)の記事 " 野中広務と「小沢一郎と消えた湾岸戦費1兆円」 " が紹介されているが、野中広務は 「サンデー毎日」 の11月25日号でも小沢一郎批判を展開している。
野中は、小沢一郎の側近だった中西啓介元防衛庁長官(故人)と田村秀昭元参院議員の2人をめぐる「防衛利権」の疑惑に言及している。
野中の著書 『私は闘う』 から 「サンデー毎日」 が引用している部分を以下に孫引きする。
細川政権時代に小沢さんの側近の中西啓介防衛庁長官(故人)は訪米した際、米国の防衛産業関係のロビイストと接触している。ダグラス・グラマン事件にも関与したジョン・カーボという男である。当時は防衛庁が次期多用途支援機(UX)の選定に入っている時期だった。それを考えると、防衛庁長官の行動はさまざまな疑惑を呼ぶ非常識な行動だ。
(「サンデー毎日」 2007年11月25日号に掲載された野中広務 『私は闘う』 からの引用)
野中によると、中西防衛庁長官(当時)は、1993年12月1日に、「半世紀前に作った憲法にしがみついているようなあり方はどう考えてもまずい」と改憲発言を行い、この責任を問われて翌日防衛庁長官を辞任したが、野中による中西への「防衛利権」の追及から逃れるためではなかったかと推測している。野中はこの件を12月8日の衆院予算委員会で取り上げたが、その時には中西は防衛庁長官の座を去っていた。そして、野中が中西の訪米時の日程について防衛庁幹部に問い合わせたのは12月1日で、その日の夜のパーティーで中西が「改憲発言」をしたのだという。
野中は、「小沢氏自身の防衛利権の話は知らない」としながらも、田村秀昭元参院議員が新進党が分裂しても小沢についていったことに注目しているという。「サンデー毎日」が以前に報じていたところによると、もと「山田洋行」専務の宮崎元伸容疑者は、1989年に田村元議員が初当選した際、2億円くらい山田洋行が選挙資金を田村氏のために用立てたそうだ。但し、11月1日の当ブログ記事にも書いたように、田村元議員は一昨年に民主党の安全保障政策に不満を持って国民新党に参加し、民主党を除籍処分になっている(当時の民主党代表は岡田克也氏)。中西氏や田村氏と防衛業界の関係について「サンデー毎日」の問い合わせを受けた小沢事務所は「全く存じ上げない」と無関係を強調しているそうだが、灰色との印象は拭えない。
しかしながら、小沢一郎を「悪魔」と呼んで敵視する野中広務にしても、率直に言って「決め手不足」の感は否めない。このくだりを読んで、小沢支持の方はやや胸をなで下ろされたかもしれないが、野中は、小沢の「過去」について、既に 『政界裏面史』 に書きためており、それは野中の死後に公表されるようにしてあるのだそうだ。外部の人間としては、生きているうちに公表してほしいものだと思うのだが、これも野中が自らの身の安全を確保するためかもしれないと思うと、無理なお願いはできないような気もする。当ブログ管理人がブログを始めて間がない昨年5月20日に公開した記事 「キーマンが「自殺」した大事件」 にも書いたように、政界がらみの大事件に変死者(多くは「自殺」とされる)はつきものだからだ。昨年のライブドア事件に絡んで、前首相・安倍晋三の非公式後援会 「安晋会」 の理事だった野口英昭・エイチエス証券元副社長が沖縄で変死を遂げた件は、記憶に新しいところだろう。
さて、本エントリでは野中広務が小沢一郎周辺の「防衛利権」疑惑を指摘したことをもっぱら紹介してきたが、野中が小沢一郎以上に敵意を燃やす政治家は、いうまでもなくコイズミである。守屋武昌にしても、もともとは旧竹下派とつながっていたが、コイズミ政権下では一転して、それまで旧竹下派が持っていた防衛利権を竹下派からシャットアウトして、森派(現町村派)に移し変える役割を担っていたとされる。つまり、何度も書くが、防衛疑獄を追及していった時、最後の最後に登場するラスボスはコイズミなのである。
追及がそこまでいくとはとても思えないが、そうでもならない限り日本の政治が良くなることはないと思う今日この頃である。
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守屋武昌・前防衛事務次官の2度目となる証人喚問が15日午後、参院外交防衛委員会で行われ、守屋証人は、山田洋行元専務の宮崎元伸容疑者(69)の飲食接待の場に政治家が同席していたとされる問題で、「久間(章生)先生と額賀(福志郎)先生じゃなかったかと思う」と述べた。
守屋証人がこう述べた時、議場は騒然となったというが、久間や額賀は、もうとっくの昔から疑惑が濃厚な議員として噂されていた人物だ。たまたま額賀が財務相だから大騒ぎになっているが、こんな人物を財務省に起用した福田康夫の不明が問われるだけの話である。
防衛利権の闇は、そんな程度のものじゃない。11月14日の「きっこの日記」 (「アメリカにシッポを振り続ける自民党」)にも書かれているが、今回の「防衛疑獄」(贈収賄事件に発展してきているので、こう呼ばせていただく)の本命は、「沖縄利権」であるとはよく指摘されるところだ。
普天間飛行場の移転問題や、「きっこの日記」にも書かれている沖縄米軍のグァムへの移転に伴う利権が指摘されているのだが、これらは従来ほとんどメスが入っていなかった分野で、これが本格的に追及されたら、自民党議員や民主党の自民党出身議員が大パニックに陥るかもしれない。
とはいえ、その具体的な中身を当ブログ管理人が知っていようはずはない。だから、そこらへんについては事情通の方におまかせするとして、本エントリでは、この利権構造を生み出すもととなった「沖縄密約」について述べてみたい。
沖縄が日本に返還されたのは、35年前の1972年(昭和47年)だが、これは佐藤栄作内閣の最後の大仕事だった。前任の池田勇人内閣は、「所得倍増」政策を掲げ、日本経済の高度成長を成し遂げたとして高く評価されていたから、池田をライバル視してきた佐藤は、池田に劣らない成果を挙げて退任しようと思っていた。その「成果」として佐藤が力を入れたのが沖縄返還だった。
沖縄は、当時アメリカが施政権を持っていたが、72年に予定された返還について、佐藤は「沖縄はタダで帰ってくる」と言っていた。しかし、その言葉は真っ赤なウソだったのである。
1971年6月に調印、翌72年5月に発効した沖縄返還協定において、米軍用地復元補償費400万ドル(当時のレートで12億円強)は、アメリカが日本に「自発的支払を行なう」と記されていた。しかし、実際には日本側がこの400万ドルを「肩代わり」する密約があったことを、毎日新聞の西山太吉記者が突き止め、これをスクープした。ところが、西山記者と情報提供者だった外務省の女性事務官は国家公務員法違反容疑で逮捕されてしまった。毎日新聞はこれに反発して、国民の「知る権利」を政府が侵害していると主張する大キャンペーンを張ったが、権力や週刊誌、テレビのワイドショーなどによって、問題を下半身スキャンダルにすり替えられてしまい、密約疑惑は追及されることなくうやむやになってしまった(いわゆる「西山事件」)。
しかし、2000年になって、朝日新聞が米公文書をもとに、沖縄返還をめぐる密約の存在を暴いた。72年に西山記者が暴いた400万ドルはほんの氷山の一角に過ぎず、2億ドルもの「裏負担」を日本がしていたのだ。
さらに2006年、当時の外務省アメリカ局長・吉野文六氏が密約の事実を認める発言を行った。吉野氏は、2000年の朝日新聞報道で「密約」の存在が明るみに出た時には、その損座を否定していたのだが、06年、北海道新聞の記者に対し、一転して密約の存在を認めたのである。だが、資料が明らかにされ、当時の外務官僚の証言もあるのに、政府はなお「密約」の存在を否定し続けている。ここまで恥知らずな政府が、他の先進国にあるだろうか。
前記の毎日新聞・西山元記者が、『沖縄密約』 (岩波新書)という本を今年5月に出したが、この本によると、当時の佐藤首相は秘密交渉を好み、その任に当たったのが大蔵省ルートであり、外務省には何の連絡もないまま秘密交渉が行われ、外務省アメリカ局長だった吉野文六氏はそれにずいぶん振り回されたようである。吉野氏にはそのことへのわだかまりがあり、それが「沖縄密約」の存在を認めた発言につながったのかもしれない。佐藤首相から秘密交渉の命を受けた責任者は福田赳夫外相だった。いうまでもなく、佐藤栄作は前首相・安倍晋三の大叔父、福田赳夫は現首相・福田康夫の父である。
とにかく、密約の実体は、アメリカが払うとされていた費用の多くを、実際には日本が負担するというあきれ返ったもので、現在の「思いやり予算」も、この密約が隠し切れなくなってある時期に表面化させたものだ。佐藤が言った「沖縄はタダで帰ってくる」どころではない。この時の流れは現在まで続いており、米軍再現に伴う沖縄基地のグァム移転の費用も、そのかなりの割合を日本が負担することになった。「きっこの日記」に
今回、アメリカに「ホイホイと支払う約束をしちゃった」のは、もちろんコイズミだが、そのレールを敷いたのは、安倍晋三の大叔父・佐藤栄作であり、福田康夫の父・福田赳夫だった。佐藤も福田も、自民党の政治家の中でも対米従属の傾向の強かった人たちだ。それが、佐藤栄作最後の業績を挙げるために、国益を犠牲にして沖縄返還に伴う「密約」を行い、「沖縄利権」はそこから生まれた。
こんな罪深い政治家たちの二世や三世が牛耳る日本の政治を、なんとしても変えていかなければならないと思う今日この頃である。
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守屋証人がこう述べた時、議場は騒然となったというが、久間や額賀は、もうとっくの昔から疑惑が濃厚な議員として噂されていた人物だ。たまたま額賀が財務相だから大騒ぎになっているが、こんな人物を財務省に起用した福田康夫の不明が問われるだけの話である。
防衛利権の闇は、そんな程度のものじゃない。11月14日の「きっこの日記」 (「アメリカにシッポを振り続ける自民党」)にも書かれているが、今回の「防衛疑獄」(贈収賄事件に発展してきているので、こう呼ばせていただく)の本命は、「沖縄利権」であるとはよく指摘されるところだ。
普天間飛行場の移転問題や、「きっこの日記」にも書かれている沖縄米軍のグァムへの移転に伴う利権が指摘されているのだが、これらは従来ほとんどメスが入っていなかった分野で、これが本格的に追及されたら、自民党議員や民主党の自民党出身議員が大パニックに陥るかもしれない。
とはいえ、その具体的な中身を当ブログ管理人が知っていようはずはない。だから、そこらへんについては事情通の方におまかせするとして、本エントリでは、この利権構造を生み出すもととなった「沖縄密約」について述べてみたい。
沖縄が日本に返還されたのは、35年前の1972年(昭和47年)だが、これは佐藤栄作内閣の最後の大仕事だった。前任の池田勇人内閣は、「所得倍増」政策を掲げ、日本経済の高度成長を成し遂げたとして高く評価されていたから、池田をライバル視してきた佐藤は、池田に劣らない成果を挙げて退任しようと思っていた。その「成果」として佐藤が力を入れたのが沖縄返還だった。
沖縄は、当時アメリカが施政権を持っていたが、72年に予定された返還について、佐藤は「沖縄はタダで帰ってくる」と言っていた。しかし、その言葉は真っ赤なウソだったのである。
1971年6月に調印、翌72年5月に発効した沖縄返還協定において、米軍用地復元補償費400万ドル(当時のレートで12億円強)は、アメリカが日本に「自発的支払を行なう」と記されていた。しかし、実際には日本側がこの400万ドルを「肩代わり」する密約があったことを、毎日新聞の西山太吉記者が突き止め、これをスクープした。ところが、西山記者と情報提供者だった外務省の女性事務官は国家公務員法違反容疑で逮捕されてしまった。毎日新聞はこれに反発して、国民の「知る権利」を政府が侵害していると主張する大キャンペーンを張ったが、権力や週刊誌、テレビのワイドショーなどによって、問題を下半身スキャンダルにすり替えられてしまい、密約疑惑は追及されることなくうやむやになってしまった(いわゆる「西山事件」)。
しかし、2000年になって、朝日新聞が米公文書をもとに、沖縄返還をめぐる密約の存在を暴いた。72年に西山記者が暴いた400万ドルはほんの氷山の一角に過ぎず、2億ドルもの「裏負担」を日本がしていたのだ。
さらに2006年、当時の外務省アメリカ局長・吉野文六氏が密約の事実を認める発言を行った。吉野氏は、2000年の朝日新聞報道で「密約」の存在が明るみに出た時には、その損座を否定していたのだが、06年、北海道新聞の記者に対し、一転して密約の存在を認めたのである。だが、資料が明らかにされ、当時の外務官僚の証言もあるのに、政府はなお「密約」の存在を否定し続けている。ここまで恥知らずな政府が、他の先進国にあるだろうか。
前記の毎日新聞・西山元記者が、『沖縄密約』 (岩波新書)という本を今年5月に出したが、この本によると、当時の佐藤首相は秘密交渉を好み、その任に当たったのが大蔵省ルートであり、外務省には何の連絡もないまま秘密交渉が行われ、外務省アメリカ局長だった吉野文六氏はそれにずいぶん振り回されたようである。吉野氏にはそのことへのわだかまりがあり、それが「沖縄密約」の存在を認めた発言につながったのかもしれない。佐藤首相から秘密交渉の命を受けた責任者は福田赳夫外相だった。いうまでもなく、佐藤栄作は前首相・安倍晋三の大叔父、福田赳夫は現首相・福田康夫の父である。
とにかく、密約の実体は、アメリカが払うとされていた費用の多くを、実際には日本が負担するというあきれ返ったもので、現在の「思いやり予算」も、この密約が隠し切れなくなってある時期に表面化させたものだ。佐藤が言った「沖縄はタダで帰ってくる」どころではない。この時の流れは現在まで続いており、米軍再現に伴う沖縄基地のグァム移転の費用も、そのかなりの割合を日本が負担することになった。「きっこの日記」に
総額で、1兆2000億円とも言われてる費用のうち、6割にも当たる7000億円をあたしたちから巻き上げた税金から、ホイホイと支払う約束をしちゃったのだと書かれている通りである。そして、日本側の負担の中には米兵の住居施設をグァムに建設する費用が含まれているが、これが積算根拠も示されていないいい加減な試算なのだ。このあたりも、「きっこの日記」にわかりやすく書かれている。そんなところに、巨額の利権が生じるのは当然の話であって、おそらく相当多数の自民党議員や、もと自民党に属していた民主党議員が「沖縄利権」に絡んでいるだろう。コイズミ本人や民主党の小沢一郎代表の名前も取りざたされていることは、皆さまよくご存知の通りだ。
今回、アメリカに「ホイホイと支払う約束をしちゃった」のは、もちろんコイズミだが、そのレールを敷いたのは、安倍晋三の大叔父・佐藤栄作であり、福田康夫の父・福田赳夫だった。佐藤も福田も、自民党の政治家の中でも対米従属の傾向の強かった人たちだ。それが、佐藤栄作最後の業績を挙げるために、国益を犠牲にして沖縄返還に伴う「密約」を行い、「沖縄利権」はそこから生まれた。
こんな罪深い政治家たちの二世や三世が牛耳る日本の政治を、なんとしても変えていかなければならないと思う今日この頃である。
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一昨日のエントリの書き出しで、「『AbEnd』系のリベラル・左派ブログにも分裂傾向が出てきた」と書いたら、さっそくまたプチトラブルがあった。これを見て、かつての社会党系と共産党系の間の平和運動のトラブルや、先人のブログ運動「STOP THE KOIZUMI」におけるトラブルを思い起こされる方も多いだろう。当ブログも、もし「AbEnd」キャンペーンに創始時からかかわっていなかったら、同じ感想を持ったかもしれないが、片側に近い当事者としてはそんなことは言っていられない。
だが、当ブログのなすべきことは、騒ぎを拡大することではない。これまでのことについて、言いたいことはいくらでもあるが、それらにはあえて言及せず、今後のブログの記事で答えを出して行きたいと思う。過ぎたことは、もうしかたがない話だ。
さて、守屋前防衛事務次官の証人喚問で、防衛商社「山田洋行」の元専務による接待攻勢のすさまじさが明らかになった。元防衛庁長官も宴席に同席していたという。だが、多くの方々同様、当ブログも接待攻勢自体には興味はない。その見返りに、元専務側に発注や契約などで便宜を図ったのかどうかが焦点なのだが、守屋氏は「一切ない」「記憶にない」と言い続けた。ロッキード事件の時、故小佐野賢治氏の証人喚問の際に小佐野氏が連発した「記憶にございません」が流行語になったことがあるが、今回もその伝統は守られたようだ。守屋氏は、海上自衛隊の給油量訂正に絡む隠蔽工作への関与も否定した。
とにかく、この証人喚問は疑惑追及のほんの入り口に過ぎない。福田康夫首相は、守屋氏を厳しく批判するコメントを発したが、政府・自民党には全責任を守屋氏に被せて幕引きをしようとしている意図がありありと感じられる。
証人喚問に関しては、書いていてバカバカしくなる。一部で報道されていた沖縄の米軍基地移転問題に絡む疑惑は、報道を流し読みする限り、ほんのわずかに民主党議員が質問で触れた程度だったようで、期待はずれもいいところだった。耐震強度偽装問題に関するヒューザーの小嶋進社長(当時)の証人喚問で、馬淵澄夫議員(民主党)の質問によって、小嶋氏が「安晋会」の会員だったことを明らかにしたようなクリーンヒットもなかった。防衛利権は、もとはというと自民党竹下派の利権であって、民主党の小沢一郎代表も、叩けば埃が出るから、自民・民主両党で手打ちをしたのではないかという見方もある。それならそれで、社民党や共産党にもっと頑張ってほしいところだが、証人喚問の報道を見ていると、それもあまり期待できないかもしれない。
さて、ブログ後半では、27日のエントリ 「極右新党を立ち上げ、自民党との連立をたくらむ平沼赳夫」 へのコメントから少し紹介したい。これは、批判や反論をある程度予想して書いたエントリであり、いつもより多くのコメントをいただいている。
この記事を、「復活!三輪のレッドアラート!」 にTBを送ったところ、三輪さんから2件のコメントをいただいた。そのうち、あとの方のコメントを紹介する。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-484.html#comment2198
私が三輪さんのブログにTBを送ったのは、決して喧嘩を売る意図からではなく(エントリのタイトルを見たら、喧嘩を売っているようにしか見えないかもしれないが)、右派の人たちが期待しがちな平沼赳夫という人物の正体は新自由主義者であって、こんな人物に信を置くことはできないと主張したかったからだ。幸い、三輪さんの記事は平沼に批判的だったので、TBを送った次第だ。
このところ当ブログでは、ずっとネオリベ(新自由主義)とネオコン(新保守主義)の関係を考察しているのだが、私の得た結論は、「ネオリベは、それがもたらす苛烈な結果(格差問題)への不満をそらすために、共同体への同一化というネオコン思想を取り入れざるを得なくなる」というものだ。つまり「ネオリベであればネオコン」だということである。
だが逆に、三輪さんのような民族主義者が新自由主義者かというと、そんなことはなく、三輪さん自身が反例になっている。右派の方々にお願いしたいのは、平沼赳夫のような新自由主義者に肩入れしないでほしいということだ。いくら郵政民営化法案に反対したからといったって、サッチャーの「教育カイカク」なんかを信奉している政治家は、まぎれもない新自由主義者であり、当方は新自由主義者とは決して共闘はできない。
右派の政治家が新自由主義者かどうかは、彼らがサッチャーやレーガンに対してどういうスタンスをとっているかで測れると思う。当ブログは、反新自由主義の民族主義者の方々とは、民をいじめる新自由主義と対決するために、部分共闘が可能であると考えている。
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だが、当ブログのなすべきことは、騒ぎを拡大することではない。これまでのことについて、言いたいことはいくらでもあるが、それらにはあえて言及せず、今後のブログの記事で答えを出して行きたいと思う。過ぎたことは、もうしかたがない話だ。
さて、守屋前防衛事務次官の証人喚問で、防衛商社「山田洋行」の元専務による接待攻勢のすさまじさが明らかになった。元防衛庁長官も宴席に同席していたという。だが、多くの方々同様、当ブログも接待攻勢自体には興味はない。その見返りに、元専務側に発注や契約などで便宜を図ったのかどうかが焦点なのだが、守屋氏は「一切ない」「記憶にない」と言い続けた。ロッキード事件の時、故小佐野賢治氏の証人喚問の際に小佐野氏が連発した「記憶にございません」が流行語になったことがあるが、今回もその伝統は守られたようだ。守屋氏は、海上自衛隊の給油量訂正に絡む隠蔽工作への関与も否定した。
とにかく、この証人喚問は疑惑追及のほんの入り口に過ぎない。福田康夫首相は、守屋氏を厳しく批判するコメントを発したが、政府・自民党には全責任を守屋氏に被せて幕引きをしようとしている意図がありありと感じられる。
証人喚問に関しては、書いていてバカバカしくなる。一部で報道されていた沖縄の米軍基地移転問題に絡む疑惑は、報道を流し読みする限り、ほんのわずかに民主党議員が質問で触れた程度だったようで、期待はずれもいいところだった。耐震強度偽装問題に関するヒューザーの小嶋進社長(当時)の証人喚問で、馬淵澄夫議員(民主党)の質問によって、小嶋氏が「安晋会」の会員だったことを明らかにしたようなクリーンヒットもなかった。防衛利権は、もとはというと自民党竹下派の利権であって、民主党の小沢一郎代表も、叩けば埃が出るから、自民・民主両党で手打ちをしたのではないかという見方もある。それならそれで、社民党や共産党にもっと頑張ってほしいところだが、証人喚問の報道を見ていると、それもあまり期待できないかもしれない。
さて、ブログ後半では、27日のエントリ 「極右新党を立ち上げ、自民党との連立をたくらむ平沼赳夫」 へのコメントから少し紹介したい。これは、批判や反論をある程度予想して書いたエントリであり、いつもより多くのコメントをいただいている。
この記事を、「復活!三輪のレッドアラート!」 にTBを送ったところ、三輪さんから2件のコメントをいただいた。そのうち、あとの方のコメントを紹介する。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-484.html#comment2198
知っておられる方はご存知でしょうけど、私は連合系の組合の役をしていた自分に、労働基準監督署と組んで、いろいろな人達の賃金問題を解決して来た男です。
その最中に思ったのは、「今の日本はどうにもならないほどに使用者も被雇用者も金に困っているんだ」と言う事でした。
その問題を真面目に考えたのが民主党だったと言う事です。
結局、日本では仁慈の政治以外受け入れられないのです。
我々の本当の敵は貴方がたの言う「極右」ではない。私はここで断言致します。
私はkojitaken様であれ、ぶいっちゃん様であれ、お玉おばさん様であれ、俗に言う「左翼」の人達に対して拒絶反応を示した事はありません。(テサロニケだけはどうにも嫌でしたが)
我々の本当の敵は、社会を不安定にする仕掛けを無理強いする勢力だと思います。
私は前にも申しましたが、固めた拳骨の右手です。
kojitaken様とその支持者の方々は柔らかい左手でしょう。
その様な両手を持つ者が正しい人間だと思います。私はだから右翼ではあっても強すぎる右手の小泉に反旗を翻したのです。
私、貴方がたが大好きです。心が綺麗で私の様に人の善意を心底信じられない男から見れば羨ましいです。
だからこそ、貴方がたに不寛容になって欲しくないとも思います。
人には排除の自由、他者の否定の自由は無いのだと。
そう言う事だけは弁えて頂きたいです。
そう言う方々は「お前達は外国を排除するじゃないか!」と言われるでしょうね。
でも、今のご時世の問題点と言うのはkojitaken様もご指摘のとおり、外国が日本の富を美味しく食べようと群がって来ている事が問題なのです。
まずは当事者であり、同胞でもある我々が結束し、外部の餓鬼道に落ちた国々の干渉を撥ね退ける事から始まると思います。
我々民族主義者の言う事も少しは耳にして頂きたいのです。
三輪は対話を望みます。このブログに集う方々もそうであればと願います。
2007.10.28 16:20 URL | 三輪耀山 #X.Av9vec [ 編集 ]
私が三輪さんのブログにTBを送ったのは、決して喧嘩を売る意図からではなく(エントリのタイトルを見たら、喧嘩を売っているようにしか見えないかもしれないが)、右派の人たちが期待しがちな平沼赳夫という人物の正体は新自由主義者であって、こんな人物に信を置くことはできないと主張したかったからだ。幸い、三輪さんの記事は平沼に批判的だったので、TBを送った次第だ。
このところ当ブログでは、ずっとネオリベ(新自由主義)とネオコン(新保守主義)の関係を考察しているのだが、私の得た結論は、「ネオリベは、それがもたらす苛烈な結果(格差問題)への不満をそらすために、共同体への同一化というネオコン思想を取り入れざるを得なくなる」というものだ。つまり「ネオリベであればネオコン」だということである。
だが逆に、三輪さんのような民族主義者が新自由主義者かというと、そんなことはなく、三輪さん自身が反例になっている。右派の方々にお願いしたいのは、平沼赳夫のような新自由主義者に肩入れしないでほしいということだ。いくら郵政民営化法案に反対したからといったって、サッチャーの「教育カイカク」なんかを信奉している政治家は、まぎれもない新自由主義者であり、当方は新自由主義者とは決して共闘はできない。
右派の政治家が新自由主義者かどうかは、彼らがサッチャーやレーガンに対してどういうスタンスをとっているかで測れると思う。当ブログは、反新自由主義の民族主義者の方々とは、民をいじめる新自由主義と対決するために、部分共闘が可能であると考えている。
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