なにしろ、普天間基地の問題では、朝日、毎日、共同通信を含めて、全マスコミが「右側」から、と言って悪ければ親米保守の側から鳩山政権に圧力をかける論調を展開しているが、朝鮮学校の無償化対象除外の件になると、産経系列を除くすべてのマスコミが無償化除外はおかしいと主張しているのだ。一方、自民系無所属の城内実衆院議員は、10日の衆院文部科学委員会で、「限度を超えた民族教育に国税を投入するのはいかがなものかと思う」と述べて、事実上朝鮮学校の無償化除外を求めた。政権交代前、ネットではこの城内実を「左側」から応援するのが何年もの長きにわたって流行になっており、私はブログを開設した最初の年である2006年11月以来、一貫してこれを批判してきた。この批判が正しかったことが証明された形だが、城内実応援の旗振り役をつとめてきた人間は恥知らずにも口をつぐんでいる。だが、もしほとんどの大マスメディアさえ批判しているけれども城内実の主張には沿っている右翼的な政策を、政権交代のなった民社国政権が行うことになった場合、旗振りした人間及びそれを黙認した者たちの責任は重く、いつまでも沈黙を続けることは許されない。
政権側がこのていたらくだが、野党・自民党とみんなの党はさらにひどい。両党は10日、教員が違法な政治活動をした場合、3年以下の懲役か100万円以下の罰金を科せられるようにする教育公務員特例法の改正案を衆院に提出した(朝日新聞より引用)。
朝日新聞によると、自民党とみんなの党がこの法案を提出したのは、
とのことである。北教組の事件を政治利用していると言わざるを得ない。北教組の事件に関しては、北海道の中学校教師の方(Shuueiさん)からのメールを3月3日付エントリで紹介したが、そのコメント欄でも議論が展開されているので、それを以下に紹介する。北海道教職員組合(北教組)が民主党の小林千代美衆院議員陣営に違法な選挙資金を提供したとされる事件を受けてのことで、自民党の義家弘介参院議員は記者会見で「法律違反の行為を断れる根拠をつくってほしい、という声は教員からもきている」と語った。
管理人さんお久しぶりです。私と同じ道民の方のご意見を紹介して下さることを嬉しく思います。
私は、小林議員の問題と石川議員の問題は全く異質な問題だと考えています。
石川議員は、小沢氏の秘書時代における虚偽記載についての違法行為です。
小林議員は、公職選挙法上の違法行為であり、議員の資質を問われる問題であると考えています。
政治的にも道義的にも小林議員が重いと思いますし、議員辞職もやむを得ないと 考えています。
公務員の政治活動の制限は、最高裁判所の判例によっても、 合憲とされている以上、自治労や日教組が自粛するのが当然だと思います。
労働問題に絞るならば、非正規の公務員の待遇を自分達の待遇を削ってでも、格差を是正をする提案を自治体にする姿勢が必要ではないでしょうか…
2010.03.08 20:52 葉隠
>公務員の政治活動の制限は、最高裁判所の判例によっても、 合憲
がーん、知りませんでした。
(何と言う訴訟でしょうか、自分でも調べますが手元に六法がないので・・・)
それにしても、全米の公務員労組が大統領選の候補者支援を公然とやる時代に、日本ではそんな状況だったのか・・・
なんか、日本って、自身無くしちゃいますね・・・北朝鮮かよ、トホホ。
>非正規の公務員の待遇を自分達の待遇を削ってでも、格差を是正をする提案を自治体にする姿勢が必要では
あ、それは下策です。
ダメダメ。
所得格差の是正は下にあわせてはいけません。
あくまで上に近づくものでなければ有害です。
特に公務員の場合、国費負担分はその地域への一方的な流入だし、公務員の消費はその地域の誰かの所得です。
公務員の給料が高いと地味との民間にとって有利です。下がると民間は不利になります。
所得格差の是正は、所得総額と流動性が増大するものでなければ、町の誰かが殺されるので絶対にダメ。
地域経済のダウンサイジングを促す提案はすべて却下されなければなりません。
臨時採用の公務員の待遇についてはこう要求しなければなりません。
1、さっさと正規に採用しろ
2、良い給料をもらえ
3、ついでに地元で金を使え
・・・実は、ついでのはずの3が重要です。
日本は財政は危機でも何でもありませんから、赤字国債でも何でも発行して兎に角金を使わせれば良いのです。
仮に政府の累積債務が1000兆円を突破しても何の問題も起こりません。
2010.03.09 20:22 sonic
小林議員の件は、検察の「狙い撃ち」のターゲットにされた印象は否定できませんが、違反行為があったことは確かなようです。組合の特定政党支持の強要も問題でしょう。
困ったことにこれに便乗して、今月初めの衆院予算委員会で自民党が、教育公務員特例法第18条2項の削除を求めるという憲法違反のとんでもなく筋違いの主張をしています。これは、教員の政治活動に国家公務員と同様に刑事罰を適用できるようにすることを意味します。教育公務員特例法第18条は、「公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による」となっているのですが、2項で「違反した者の処罰については国家公務員法第110条第1項の例による趣旨を含むものと解してはならない」と定めていることで、教員が違反した場合は「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が課せられた国家公務員と違い、行政処分に限ることになっているのです。
しかも、この自民党の主張に対して鳩山首相は「もっともな部分はある」「文相に検討をさせる」とか答えているんですから。
そもそもsonicさんもお嘆きのように、多くの先進国では、公務員の地位を利用したり、公務に関連することでなければ、公務員であれ勤務外の政治活動の自由は基本的に認められているんですね。刑事罰を課す国は極めてまれで、国連の自由権規約委員会からも廃止を勧告されています。
2010.03.10 02:22 ぽむ
↑のコメントで書いたことですが。
自民党が動き出しました。
教員の政治活動に罰則 自民、法案を決定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100310-00000528-san-pol
更に
教員の政治活動罰則検討…衆院予算委で首相表明
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100301-OYT1T01172.htm
教員の罰則強化、議論は容認=輿石氏
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100306-00000095-jij-pol
今回の事件は、労組が法で禁止されている政治家個人への団体献金を行ったことが問題となっているのです。政治資金規正法違反の疑いで捜査が入ったのですから。これに便乗して、教員の政治活動への規制強化を図るなどというのは、とんでもないこじつけ。一般国民がいだく公務員や日教組への反発も利用しようとの意図も感じられます。
くりかえしますが、多くの先進国では、公務員も政治活動の自由は基本的に認められており、日本のように刑事罰を課す国は主要国では皆無なんです。「日本の常識は世界の非常識」というわけです。
それにしても、「検察の暴走」や「国策捜査」にあれだけ騒ぎ立てる「左派ブロガー」さんたちって、与野党一緒になっての基本的人権の侵害・締め付け強化に結びつく動きにはさっぱり無頓着なようですね。
2010.03.11 01:38 ぽむ
ぽむさんご指摘ありがとうございます。 私は海外の事例は、不勉強で知りませんでした。
ただ、私が前回の提案をしたのは、日本は根強い官尊民卑国家であるからです。
(北教組問題では)北教組に貯まる主任制度反対によってプールされた公金の使われ方は、大変不明朗であるとされています。
勤務時間外の政治活動の制限は論外ですが、特定の政党を支持することを現場の先生方に求める組合の体質は批判しなければなりません。
教育問題に絞るなら、『日の丸・君が問題』で裁判を起こす暇があるなら、不登校や学力低下の問題に本気で取り組めと言いたいですね。
民間教育に携わった私としては、公教育を担う方々の奮起を期待します。
2010.03.11 15:33 葉隠
いうまでもなく輿石東は日教組出身の政治家だが、その弱腰ぶりは驚くべきほどで、自民党とみんなの党がトンデモ法案を出して攻勢をかけている。3月3日付エントリでも書いたように、日本の公務員の労働基本権が奪われている件も、高校で習うような話なのに、全然マスコミの議題に上がらない。鳩山首相は昨年秋に公務員の労働基本権回復を口にしたのだが、そうした「なすべき改革」を行うどころか、極右政党と化した自民党とみんなの党に押しまくられているのだからお話にならない。
こんなことになるのも、小沢一郎の権勢が、ちょっと考えられないほど衰えているのが影響しているように思う。というのは、労組政治家に転向したといわれる小沢一郎だが、特に岩手県教職員組合(岩教組)から支援を受けていると以前聞いたことがあるのだ。輿石東と近いことからも納得できる話だが、自民党とみんなの党の日教組狙い撃ちは、小沢一郎狙い撃ちでもあるように思える。
それに、小沢一郎云々以前に、ただでさえ公務員が労働基本権を制限されている現状において、あらゆる教育活動を「違法な政治活動」の名のもとに恣意的に弾圧することが可能な教育公務員特例法の改正案を自民党とみんなの党が提出したのに、その恐るべき極右的内容を批判する声が極めて小さいことは大問題だ。ま、「リベラル・左派」か「リベラル・平和」か知らないけれども、城内実を容認するような人たちでは無理もないかもしれないが。
今日は、本当は『文藝春秋』4月号に掲載された与謝野馨の「論文」を批判するエントリにするつもりで準備していたのだが、それは次回以降に回す。少しだけ書いておくと、これは予想通り「右」からの改革を唱えたもので、「論文」中にナベツネや中曽根康弘が出てくるなど、与謝野が中曽根?ナベツネラインと直結していることは明白である。全くどいつもこいつも、一億総極右化しているのではないかと思えるほどの醜態である。岡田克也外相が、核密約を含む日米の密約についての報告書を公開したことで、政権交代を評価する声もあるが、私が感じるのはむしろ政治の極端な右翼化だ。
なぜこれほどまでに急激な右翼化の機運が生じたかと考えると、かつて安倍晋三のような極右政治家が総理大臣をやっていた頃は、野党だった民主党は安倍政権に反対するために、本来右派的な議員も「左」側から反対意見を述べたのに対し、政権交代後は「左」側から政権を批判する政党は共産党しか存在しないためだろう。
自民党やみんなの党は政権を「右」側から批判する勢力であって、政権へのブレーキ役は社民党と国民新党(但し後者は経済政策に限る)、それに小沢一郎が果たしてきたのだが、その小沢一郎の権勢が異様なほど衰えているので、右傾化に歯止めがかからなくなっていると私は見ている。かくして、政権交代で右派政権が倒れることによって、かえって右翼化が進むというパラドックスが生じた。かつて日本における右派政治家の代名詞だった小沢一郎に辛うじて歯止めをかけられていたという状態自体が情けない限りだったのだが、その歯止めさえ失いつつある今、日本の政治と社会の将来に対しては悲観的な展望しか持ち得ない今日この頃である。
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党大会で発表された自民党の運動方針案は、事前に産経新聞がデフォルメして要約したほど極端なものではなかったけれども、いわゆる「保守」を前面に打ち出したものだった。
この党大会では、新綱領も採択された。河野洋平総裁時代の1995年から綱領に盛り込まれた「小さな政府」の項目が、格差社会を生んだ市場原理主義の負のイメージを招くとの観点から(共同通信による)「すべての人に平等な政策を実行する政府」と改められた点が注目される。但し、自民党HPを見ると、なぜか小泉純一郎総裁時代の2005年11月22日に採択された旧綱領が、新綱領の下に掲載されている。「小さな政府」の項目の記載は下記の通り。
- 小さな政府を
私たちは、国、地方を通じて行財政改革を政治の責任で徹底的に進め、簡省を旨とし、行政の肥大化を防ぎ、効率的な、透明性の高い、信頼される行政をめざします。また、国、地方の適切な責任分担のもとで、地方の特色を活かす地方分権を推進します。
この項目が削除されたのは良いが、「保守色」を強めるようではこの党の前途は暗い。これでは、小泉純一郎路線から安倍晋三路線への転換でしかなく、それでは2006年に総理総裁が小泉から安倍に代わった時から何の進歩もない、いや、「小さな政府」の看板を取り下げただけが変化だとすると、自民党は「国家社会主義」路線へと舵を切ろうとしているといえるかもしれない。
さすがに、「靖国参拝」は綱領には出てこず、運動方針案でも1箇所に書かれているだけではある。しかし、谷垣禎一が総裁をやっていながらこんな運動方針案が出てくるところに、私は失望する。とは書いたものの、実際にはもう谷垣には何の期待もしていないのだけれど。
そもそも、「歴史と伝統、文化を尊び、道徳の高揚に努めます」と言ったあとに、「靖国神社参拝を受け継ぎ」という文章が続くことがおかしい。靖国神社にいったいどんな歴史があるというのか。梅原猛は、「日本古来の神道では、えらい人を神に祀るということはあり得ない」と言っている(『梅原猛の授業 仏教』(朝日文庫、2006年)251頁)。神に祀る人はみな、世の中を恨んで死んだ人、高い位につきながら流されたり殺されたりして世の中を恨んでいる人が神さまに祀られていると言う。国のために死んだ人だけ靖国神社に祀り、戦犯の東条英機まで祀るのは日本の神道の精神ではない、中国や韓国の被害を受けた人を祀るのが日本の神道の精神だと梅原は主張する(前掲書251-252頁)。当ブログ2006年10月4日付エントリ「梅原猛さんの新刊『神殺しの日本?反時代的密語』」で、梅原猛が教育勅語を「伝統精神の上ではなくむしろ伝統の破壊の上に立っている」と批判していることを紹介しているが、自民党の運動方針案にはさすがに「教育勅語」までは登場しない。しかし、靖国神社に参拝することを「歴史と伝統、文化の尊重」だとか「道徳の高揚」だ、などと勘違いしている自民党運動方針案の行きつく先が「大日本帝国憲法」や「教育勅語」の復活であることは当然だ。梅原猛は、『梅原猛の授業 仏教』で、「教育勅語の本当の思想は儒教でも神道でもなく、実は西欧から取りいれた十九世紀の国家主義思想で、それを儒教と神道で少し色をつけたに過ぎないのです」と指摘している。こんな方向性を持つ政党が「小さな政府」を捨てたら、それこそ「国家社会主義」の再来だ。自民党の目指す方向が、産経新聞が書くような「保守」ではなく、明治時代から先の戦争に敗戦した時代へ時計の針を戻そうとする反動的な国家主義に過ぎないことは明らかである。自民党は民主党政府の政策を「国家社会主義だ」と批判するが、実は下野した自民党こそ「国家社会主義政党」なのである。
よく指摘されるように、自民党が今なお「小泉構造改革」を総括できていないのも一面の真実なのだが、新自由主義政党としては既に「みんなの党」があり、民主党にも自民党にも飽き足らず、かつ「小泉構造改革」に今なお幻想を持つ層の支持を集めて、昨年の総選挙でも善戦したし、現在の電波芸者の中でも三宅久之などは「みんなの党」を持ち上げる発言をしている。河野太郎なども、しばしば心はもはや自民党にはあらず、と思われる発言をしているが、私は自民党は早く新自由主義勢力と国家主義勢力の2つに分裂すればよいと思う。安倍晋三、森喜朗、稲田朋美らは後者に属するし、分裂した自民党の国家主義勢力側には、平沼赳夫や城内実も参加して、この2人と安倍晋三によるトロイカ体制で、華々しく「真正保守」たちの新党を立ち上げればよいのではないだろうか。きっと、「確かな野党」として一定の勢力を国会で確保することができるに違いない。何しろ、彼らにはネット右翼という強い味方がついている(笑)。
ところで、小沢一郎の政治資金問題についてだが、城内実は下記のように「憶測」している。
一、検察側は水谷建設などから関係者の供述だけではなくかなりの物的証拠を握っている。
二、先般の東京地検特捜部による小沢一郎幹事長に対する事情聴取はあくまで形式的なもので、「最後にいいわけの機会を与えてあげよう。実際にどういういいわけをするか聞いてみようではないか。」という程度のもの。
三、2月4日に逮捕された石川知裕代議士の拘留期限が切れるが、再逮捕されると思われる。その際、政治資金規正法事件からより刑罰の重いあっせん利得罪、贈収賄事件に切り替わる可能性が高い。小沢一郎幹事長までいくかで現在水面下で最後のせめぎあいをしているところであるが、世間一般の予想に反して相当厳しい状況である。
(『城内実の「とことん信念」ブログ』 2010年1月30日付エントリ「◎ 政 治 ◎ 小沢一郎幹事長と「陸山会」の問題」より)
どうやら政界の一部では、小沢一郎と検察の対決は、今週いよいよおおごとになりそうだと見られているようだ。それを見越してか、自民党の右派議員と無所属、それに「改革クラブ」などの連中が、田母神俊雄を担いで、全国規模の大衆組織だという「頑張れ日本! 全国行動委員会」を結成し、明日(2日)にその結成大会を東京都内で開催するそうだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100131/stt1001310946001-n1.htm
この組織は代表が田母神俊雄、幹事長が水島総(さとる)で、結成大会には安倍晋三や平沼赳夫が来賓として出席すると産経新聞は報じているが、「チャンネル桜」には、登壇予定者のリストが掲載されており、下記の人たちが登壇する予定だ。
安倍晋三、平沼赳夫、下村博文、高市早苗、山谷えり子、衛藤晟一、西田昌司、稲田朋美、大江康弘、城内実、中山成彬、西村眞悟、赤池誠章、萩生田光一、馬渡龍治、林潤、田母神俊雄、小田村四郎、日下公人、加瀬英明、西尾幹二、田久保忠衛、井尻千男、小林 正、福地 惇、西岡力、すぎやまこういち、増元照明、富岡幸一郎、藤井厳喜、潮 匡人、西村幸祐、井上和彦、大高未貴、高清水有子、三橋貴明、石平、小山和伸、土屋たかゆき、三宅 博、松浦芳子、三輪和雄、村田春樹、坂東忠信、英霊来世、saya、各地方議員 ほか多数
なんとも香ばしいメンバーである。上記には政治家のほか産経文化人らも大勢いるが、だいたいこういった人たちが現在「極右」に分類される政治家とその応援団である。たとえば麻生太郎あたりは、これらの人々からは若干距離を置いている。政治家でいえば、なんといっても安倍晋三と平沼赳夫が両巨頭だ。
ところで、『kojitakenの日記』にいただいたコメントには、下記のような指摘もあった。
rebma129 2010/01/31 20:19
田母神をトップに担いでるけど、実質的な主催者は水島と松浦芳子。
産経の報道を一見すると、大規模な政治運動の始まりと錯覚しそうだが
これまでチャンネル桜がやってきた運動の名前を変えただけ。
水島はトランスデジタルの捜査の進捗と石垣島の件で告訴されて焦ってると思われ、
ずらっと並ぶ政治家も、彼らを看板=盾にした警察・検察への牽制球だろうね。
「トランスデジタル」についてはよく知らなかったのだが、下記記事が検索で引っかかった。
http://outlaws.air-nifty.com/news/2009/01/post-3b5d.html
以下引用する。
【注目記事】週刊金曜日1月9日号「破綻したIT企業トランスデジタルの怪」
先週(注:2009年1月)発売された「週刊金曜日」(=左写真)に、トランスデジタルをめぐるレポートが掲載された。
周知のように、トランス社には山口組系2代目古川組の企業舎弟・永本壹桂ら反社会勢力が増資に関与し、破綻前には小切手、手形が乱発されていた。この事件には捜査当局も重大な関心を寄せているが、同レポートはトランス社と「日本文化チャンネル桜」(水島総代表)との疑惑に迫っている。
昨年8月7日、防衛省市ヶ谷本部に隣接する「ホテルグランドヒル市ヶ谷」で400人を超える参加者を集めた盛大なパーティーが催された。歴代の防衛大臣3人や田母神前空幕長らを呼んだパーティーは、トランス社の子会社「メディア241」が主催した。当時、チャンネル桜は、メディア241が運営するCSチャンネルの放送枠を借りており、同パーティーで発表された「ガンバレ自衛隊!・安全保障アワー」なる新番組も実質上、チャンネル桜が制作するという関係にあった。すでに、防衛省が全面的にバックアップするこの新番組は数本の収録も終え、9月からの放送開始を待つばかりであったが、その直前にトランス社が破綻し、番組自体も立ち消えになってしまった。
そして、注目されるのは、トランス社がこうした一連の「防衛省プロジェクト」を名目に2億円もの資金を使っていた、と同レポートが指摘している点だ。トランス社には後藤幸英社長のほか防衛大卒の役員も顔を揃えていたわけで、一体この資金はどこにどのように消えたのか。詳しくは同レポートをご覧いただきたい。
(東京アウトローズWEB速報版 2009年1月15日付)
なるほどねえ、それで政治家たちを集めてデモンストレーションってわけなのかねえ。そういえば、「頑張れ日本! 全国行動委員会」に参加する政治家たちは、安倍晋三、城内実、稲田朋美、高市早苗(以下略)ら、「取り調べの全面可視化」に反対する議員がずらり並んでいる。但し、平沼赳夫はなぜか取り調べの可視化に賛成している(以上、毎日新聞「えらぼーと」への回答より)
そういえば、先に引用した城内実のブログには、書き手の意図を測りかねる文章が含まれている。
四、検察側や特定の政党に大変詳細な情報を提供をしている個人ないし団体関係者がいる。某国情報機関か。いずれにせよ、その存在は不明。事実だとすると田中角栄が逮捕されたロッキード事件に似ている。
五、国策捜査だとか取り調べの全面可視化が必要だと叫び、検察に対する悪のイメージを流布したり、挑発するようなことを言えば言うほど、検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるをえなくなる。
小沢一郎と検察の対決の激化を期待しているような文章の中にあって、この「四、」はCIAが小沢一郎を陥れるために検察や自民党に情報を提供しているといわんばかりの書き方をしており、なぜか城内実を批判しないことでも知られる植草一秀の「悪徳ペンタゴン」を思わせる陰謀論になっている。一方、「五、」は「取り調べの可視化」を要求して検察を刺激したら、「検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるを得なくなる」とのことで、このくだりは城内が何を言いたいのかさっぱりわからない。淡々と法と正義にのっとって処理するって、それこそ検察のあるべき姿じゃん。
さすがに城内実のブログにも突っ込みのコメントが入っている。
ゲスト 2010/01/31 16:15:56
感じたことというか、推測を述べているんですね。
少し質問をさせてください。
五、国策捜査だとか取り調べの全面可視化が必要だと叫び、検察に対する悪のイメージを流布したり、挑発するようなことを言えば言うほど、検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるをえなくなる。・・・について
→国策捜査と言っている方は少ないと思います。同種の事件・案件と比較して、法の適用や捜査方法がバランスを欠いたものであるから、恣意的な検察権力の行使ではないかという指摘をしているのだと思います。先生はこの指摘に対してどういうご見解を持っていますか?
→全面可視化は過去の冤罪事件への反省から言われてきたことです。これを検察への挑発とらえるとすれば、検察の傲慢以外の何物でもないと思います。先生は全面可視化についてどういう見解を持っていますか?
→検察側の法と正義とは何ですか?先程の指摘(法の適用や捜査方法がバランスを欠いたもの)に対して検察側の見解が全く述べられていない今の段階で、検察に法と正義があると言えると思いますか?
八、・・・事実上の違法な「個人献金」・・・
→「事実上の違法な」という概念は成り立たないと思います。
(『城内実の「とことん信念」ブログ』 2010年1月30日付エントリ「◎ 政 治 ◎ 小沢一郎幹事長と「陸山会」の問題」コメント欄より)
このコメントにはウケた。おそらくコメント主は城内実が取り調べの全面可視化に反対していることを承知の上で、嫌味のコメントを寄せたものだと思う。
それにしても、城内実が民主党の大混乱を期待してwktkしていることだけは十分伝わってくる。こんな城内実を力強く応援したリベラル・左派ブロガー諸賢のご見解を是非とも伺いたい今日この頃である。
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最初に、アパの会長・元谷外志雄は、安倍晋三の非公式後援会「安晋会」の副会長であって、アパの耐震偽装が新聞で報じられるずっと前から「週刊ポスト」の記事(2006年9月29日号)や「きっこの日記」を通じたイーホームズ社長・藤田東吾の告発によって同社のホテルの耐震偽装疑惑が伝えられ、ネットでは安倍晋三に「アパ壷三」というあだ名がついていたことを思い出しておこう。また、アパの本社は石川県金沢市にあり、ここは言わずとしれた森喜朗のお膝元である。ヒューザーの耐震偽装事件が騒がれた時、なぜアパはオトガメなしで放っておかれたか、その理由はおおよそ見当がつくだろう。
そのアパが募集した懸賞論文だが、審査委員長が優生思想の持ち主である渡部昇一であることは、2008年11月5日付エントリにも書いた。
同じエントリで、田母神の「論文」のひどさをさんざんあげつらったが、ひどい「論文」は何も田母神のものだけに限らない。この懸賞論文で「佳作」に入選した、「諸橋茂一」という村山富市と河野洋平を提訴したことのある会社役員が書いた論文には、冒頭に「捏造」として知られる「アインシュタインの予言」が出てきてぶっ飛ぶ。「論文」とやらの内容ももちろんトンデモだし、田母神の「論文」と同様、章節立てもなく、体裁が整っていないひどいものだが、そもそも冒頭に「アインシュタインの予言」が出てきた時点でアウトだろう。こんな駄文を、『知的生活の方法』なる題名の著書のある渡部昇一大先生が「佳作」にお選び遊ばされたのである。なお、「アインシュタインの予言」は日本会議のドン・平沼赳夫も信じていたことをつけ加えておこう。
さらに6日、この懸賞論文には、航空自衛艦78人が応募していたと防衛省が発表した。朝日新聞の報道によると、
とのことである。田母神自身、98年から99年に小松基地トップの司令を務めていたそうだ。またしても石川県である。どうしても森喜朗の顔がちらついて仕方がない。前記朝日の記事によると、空自小松基地(石川県小松市)の第6航空団が、田母神氏が応募した懸賞論文と同じテーマ「真の近現代史観」で幹部隊員に論文指導をしていた
とのことだが、「論文」と称した文章で無知蒙昧、無教養を露呈した無能に違いない田母神が、なぜ航空幕僚長にまでのし上がることができたのか、おぼろげながら想像がつき始めた。ここにも「癒着構造」があるのではないか。そして、この件は一大疑獄事件に発展する可能性を秘めているのではないか。そんな想像もしたくなる。元谷氏は小松市出身で「小松基地金沢友の会」会長。田母神氏は第6航空団司令の時に知り合ったとされる。
朝日の記事に戻ると、
とあるが、アパのサイトにもこの本が宣伝されている。それを見て私は驚いた。懸賞論文は、ホテルチェーンなどを展開するアパグループの主催。グループ代表の元谷外志雄氏の著書「報道されない近現代史」の出版を記念して創設された。本は「鬱積(うっせき)する愛国、憂国の思いを、半ば書き下ろした」と書き、懸賞は「独自の近現代史観で日本の活性化に役立つ論文を」と呼びかけた。
http://www.apa.co.jp/outline/outline07.html
昨夜、メモ代わりに使っている裏ブログ『kojitakenの日記』にも記録しておいたが、なんとあの佐藤優が推薦文を寄せているのである。
元谷の著書にアパがつけた宣伝文句には、「陰謀渦巻く世界の真の姿がここにある」と謳われており、元谷の陰謀史観に基づいて書かれたトンデモ本であることは本を読まずとも明らかなのだが、これをなんと佐藤優は、
と絶賛しているのである。異能の実業家、元谷外志雄氏が描くグローバリセージョン後の帝国主義的国家対立の姿に戦慄した。
佐藤優というと、以前は私もその論考を面白く思い、何度か好意的に取り上げたことがあるのだが、その後認識を改めた。佐藤の正体を知るうえで、『多文化・多民族・多国籍社会で「人として」』のエントリ「脱「植民地主義」という鍵(その2)?「〈佐藤優現象〉批判」を読んで」が大いに参考になる。
http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2008/01/post_c7ee.html
佐藤は、『正論』と『世界』の両方に論文を発表することで知られており、「左右共闘」を主張する人たちから神のように崇め奉られている。たとえば、城内実を熱心に支援しているブログがあるが、当然のごとく佐藤優も絶賛している。
私は一昨年末ごろだったと思うが、「週刊現代」に佐藤が安倍晋三を持ち上げる文章を書いているのを読んだことがあり、それが佐藤に疑問を持った最初のきっかけであった。しかし、その後魚住昭との共著で朝日新聞社から発行された『ナショナリズムという迷宮』(2006年)は結構面白かったので、当ブログで好意的な書評を書いたことがあった。
佐藤は、論文を掲載する媒体や議論の相手によって議論を巧みに使い分けるテクニックを持っており、それにころっとダマされてしまうわけだ。もちろん、私自身も例外ではなかった。そして、間違いなく政官業癒着企業であり、安倍晋三や森喜朗らと癒着していると想像される極右思想の持ち主・元谷外志雄が書いたトンデモ本を絶賛するところに、佐藤優という男の本質がある。「優しくなければファシズムではない」というのは他ならぬ佐藤優の指摘だが、その佐藤の名前が「優」であることは、実に面白い偶然の符合である。
『kojitakenの日記』にも書いたが、いいかげんにリベラル・左派の人間は「佐藤優現象」に真剣に向き合う必要があると思う今日この頃である。
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次期大統領が決まったあとも、なお2か月はブッシュ政権が続くが、各国政府はもちろん次期大統領の政策を意識して動く。だが、これまでブッシュ政権に付き従って動くこと行動原理としてきた自民党政権には、急激な世界情勢の変化を後追いするだけしかできないのではないだろうか。もちろん、日本の民主党がうまくやれるとも必ずしも思わないけれども、日本の政治にも「チェンジ」が必要だろうとは思う。
さて、先月末に前航空幕僚長・田母神俊雄が、耐震偽装企業・アパの募集に応じた懸賞論文「日本は侵略国家であったのか」を寄稿し、これが最優秀賞を獲得し、賞金300万円を得た。これを知った政府は、これまでの政府見解と異なる内容だとして、早々と田母神を更迭した。しかし、特に何の処分もせず、田母神は退職金を手にしたわけだから、毎日新聞が書くように、「問題をあいまいにしたままの幕引き優先の対応」としか言いようがないだろう。昔からのことだが、自民党には内心ではこういう意見に賛成の人たちが多い。先日国交相をクビになった中山成彬や、財務相・中川昭一、元首相・安倍晋三、それに先年自民党を追われた平沼赳夫といった人たちの名前がまず思い浮かぶし、麻生太郎首相自身もその中に加えても良いだろう。そういえば、「HANAの会」というのもあった。
だが、いかなる極右思想の持ち主であっても、ひとたび総理大臣に就任したら、もはや本音は言えない。「河野談話」や「村山談話」を踏襲するとしか言えない。それは、国際関係を配慮して、国益のために行動しなければならない総理大臣の職責からくるものだ。安倍晋三などは、首相在任中は心にもない言動をとらざるを得なくて、ストレスがたまりにたまったことだろう。たまりかねて、従軍慰安婦問題について「狭義の意味での強制性を裏付ける資料はなかった」と発言したところ、国際社会から問題視されて、ご主人さまのブッシュに対して謝罪させられる羽目に陥った。田母神を政府が早々と更迭し、麻生太郎が田母神を批判するコメントをしたのは当然のことである。
頭の悪い右翼マスコミや極右ブロガーらは、こんな現状に歯噛みする。産経新聞の客員編集委員・花岡信昭は、同紙に掲載した「【政論探求】田母神氏の重い問いかけ」と題した記事で、
とか、「村山談話」「河野談話」がいかに手かせ足かせになっているか、改めて思い知らされる事態だった。
とか、朝日新聞の社説は「ぞっとする自衛官の暴走」とあった。その見出しにこちらがぞっとした。「自虐史観」「東京裁判史観」にがんじがらめになっているメディアの実態がそこにあった。
などと書いている。田母神氏は「第2の栗栖」として歴史に残ることになった。
だが、実際に田母神の論文を一読した私は思うのだが、あれを読んで花岡信昭は味方陣営の言論に危機感を感じなかったのだろうか。他の産経新聞記者や右翼ブロガーたちはなんとも思わなかったのだろうか。
「kojitakenの日記」にも書いたが、田母神の文章は、「論文」とはとても言えない類の、きわめて質の低いものだった。いわく、蒋介石はコミンテルンに動かされていた、張作霖爆殺事件はコミンテルンの仕業だ(これは、近年産経新聞が広めようとしている説である)、アメリカもコミンテルンに動かされていた、などなど、学術的には全く相手にされないであろう陰謀論に支配されている。一部のブログで、陰謀論を唱えることの是非がまた論じられているが、陰謀論がいかにダメかということを身をもって示しているのが、この田母神の「論文」なのだ。
そもそもこの「論文」には章節立てさえなくて、著者が感情の赴くままに書いたものであることは明らかだ。レイアウトもワープロソフトのデフォルトをそのまま使ったもののようで、文字間隔が異様に開いている。数字は全角と半角が入り混じっていて、中には、「2600人」などと、同じ数字の千の位だけ全角で百の位以下は半角になっている例さえある。引用文献リストも論文の末尾に示されていないし、本文中の引用でも著者と発行元が括弧の中に入っているうえ、発行年さえ明記されていないなど体裁がめちゃくちゃであって、まともな教養を持った人物の手になる文章とはとても思えないのである。
「はてなブックマーク」にも、田母神論文を読んで呆れた人たちのコメントが多数あるので、以下に紹介する。
- 2008年10月31日 katamachi 歴史, 中国, 事件 これが「最優秀藤誠志賞 (懸賞金300 万円・全国アパホテル巡りご招待券)」の作品なのか。航空幕僚長が、既存の入門書や一般雑誌の記述を繋ぎ合わせたレベルの感想文しか書けていないという現実に、絶望した!
- 2008年10月31日 A-xtu 論文 主張どうこう以前に、この程度で何か賞を取っちまうなぞ、査読に何度も落ちてるおいらとしては実に許し難いw
- 2008年11月01日 medapan 事実は小説より奇なり, 軍事 内容がどうこう以前に,これを論文とは言わないと思う.
- 2008年11月01日 weissorvice うーむ。これが最優秀賞か。ませた中学生辺りが、教師にたてついたような文章だ。まぁこの賞に応募したほかの論文がどんなもんだったのかは知らんけど。しかし、アパもこれをよく最優秀賞にしたな。あらゆる意味で。
- 2008年11月01日 trinh これはひどい, トンデモ 註も参考文献リストもなしで論文とはこれ如何に。
- 2008年11月01日 P2C2E 本当にトンデモない。陰謀論を受け売りする人物を空幕長まで昇進させていたとは......自衛隊は組織として大丈夫なのか不安になってきた。
- 2008年11月01日 wackunnpapa 歴史修正主義, 反知性主義 70過ぎてリタイアしたじいさんならまだしも同情の余地はあるが,現役の幕僚長が書くような内容じゃないな.資質を疑われても仕方が無いと思われる.
- 2008年11月01日 good2nd 自衛隊 ものすごい低レベル…同じ主張でももっとマシなものが書けるだろうに/てか体裁もまるでなってない。大学生向けのレポートの書き方でも読んどけ。しかし自衛隊は内部の報告書とかレポートとか大丈夫なのか…?
- 2008年11月01日 rev-9 読んだ。頭が痛い。これが「論文」として内容で評価されたという説よりは、 http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/army/1224694614/374 を鵜呑みにしたくなってきた。
- 2008年11月01日 ryankigz ワロタ これ論文じゃねーwww
- 2008年11月01日 kogarasumaru これはひどい, 歴史修正主義 これを公表できるのがスゴイ/引用文献でその論文の大体の質が決まるとよく聞くが、これは…/擁護している人たちは論文って読んだこと無いんだろうな
- 2008年11月01日 mihrdat 凄い。長い想定引用句が地の文なのは理解しにくい:《さて日本が中国や朝鮮を侵略したために(中略)敗戦を迎えることとなった、日本は(中略)過ちを犯したという人がいる。》。章節見出無。句点少。他滅茶苦茶。
- 2008年11月01日 nornsaffectio 文章 こういうの、大学だったら読まれる前に体裁がなってないって突っ返されるけどな。読んだら読んだで論証らしい論証もないし文献引用も意味をもちうるのはせいぜい秦氏くらいのもの。それですらあの秦氏だし。
- 2008年11月03日 fireflysquid 社会, 自衛隊, 軍 読んだ/「ボクちん悪くないもん」/脳内お花畑/あちら陣営としては空幕長という肩書の人物が欲しかったのかな?/渡部昇一の論文指導の質が知れる
- 2008年11月04日 shichimin 歴史, 社会, 論文 骨子は小林よしのり氏の主張とほぼ同じ。確かにこれ論文とはいえないなぁとおもう。内容というより文章力で更迭されたのでは?あとAPAってのもなんだかな。。。
- 2008年11月04日 IshidaTsuyoshi これはひどい 政府見解と異なるとかシビリアンコントロールが云々とか言ってるけど、これはそれ以前の問題だろう。このまま空自の幹部でいさせては恥ずかしいから更迭したのではないか?なぜこういう方が昇進できたのだろう?
この田母神「論文」が、もっとまともなものだったら、私もその内容を正面から批判するのだが、この内容、この体裁だったら、その気にもならない。むしろ、田母神「論文」を擁護している右翼諸氏に、あんたら、それで良いと思っているのか、その危機感のなさは一体なんなんだ、と思ってしまう。これでいったい「国を思う」人間だといえるのだろうか。
上記「はてなブックマーク」にもあるように、「自衛隊は組織として大丈夫なのか不安になってきた」とは、私も感じた。いや、かつて安倍晋三を総理大臣にして、今また麻生太郎を総理大臣にした自民党政権自体が激しく劣化している。かつて小沢一郎が海部俊樹を指して言ったとされるような「担ぐみこしは軽くてパーがいい」という考え方もあるのかもしれないが、そうではなくて自民党にしても自衛隊にしても組織全体が腐り切っているように思える。立場の違いを超えて、これではアブナイと私などは思ってしまうのである。敵に心配されるようでは右翼もおしまいだろう。
最後に付け加えておきたいのは、この懸賞論文の審査委員長は、かつて『知的生活の方法』というベストセラーを書いた渡部昇一だということだ。「知的」を自認する御仁が選んだのが、あの田母神俊雄の「論文」であったことは、まことに興味深い事実である。
この渡部は優生思想の持ち主であって、1980年の大西巨人との論争で、私は渡部の正体を知った。下記URLの資料をご参照いただきたい。
http://www.livingroom.ne.jp/db/h003.htm
蛇足ながら書き加えておくと、4月16日付エントリでも書いたように、渡部昇一は稲田朋美の後援会「ともみ会」の会長である。また、懸賞論文を募集したアパの会長・元谷外志雄は安倍晋三の非公然後援会「安晋会」の副会長であって、今回の一件によって当ブログの2006年10月24日付エントリ「週刊ポストが取り上げていた「アパ壷三」の疑惑」へのアクセスを数十件いただき、ちょっぴり懐かしさも覚えた今日この頃である(笑)。
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だが、ここしばらくのマスコミ報道を見ていると、その理由もわかるような気がする。もちろん、マスメディアが自民党総裁選に大騒ぎをしたせいもあるのだが、福田首相は確かにコイズミ、安倍晋三と続いた異常な総理大臣ではなく、少なくとも常識の通じる政治家である。国民に安定感を感じさせるという読売新聞の指摘は、必ずしも的外れではないと思った。私は、コイズミ内閣で官房長官を務めていた頃の福田康夫が大嫌いで、福田が憎まれ口を叩くたびに頭に血が昇っていた人間なのだが、そんな私が見てさえ、福田康夫は、安倍晋三というこの世のものとも思えない狂った宰相と比較したら、少なくとも議論のできるマトモな政治家に見える。
こんなことを書くと、気を悪くされるブロガーの方も多いと思うが、私はこのところのブログ言論の方がよほど異常に思える。たとえば、安倍内閣がマスコミに指弾されたのは、安倍がネオリベ路線を放棄しつつあったことに対するネオリベ勢力及び米資の報復だ、などとする「陰謀論」は笑止千万というほかない。安倍内閣の支持率は、内閣発足以来、4月から5月前半にかけての時期を除いてほぼ一本調子で下がって行った。その過程には、安倍が「ホワイトカラー・エグゼンプション」を推進しようとしていた時期もあり、こうした時期には支持率はきわだって下がったものだ。もし、本当にマスコミが新自由主義者や米資に完全に乗っ取られているなら、こういう時にこそマスコミが大々的に安倍内閣を応援して、内閣支持率も高めの数字を弾き出させるはずだ。しかし、実際にはそうはならなかった。安倍内閣は、ネオリベ路線に走ろうとした時に、特に支持率を下げたことは覚えておいた方が良い。そして、参議院選挙で劣勢と見た自民党執行部は、突如として「安倍改革」を唱え、野党第一党の民主党を「抵抗勢力」に見立てて選挙戦を戦おうとした。つまり、コイズミのネオリベ路線への回帰を強めた。これを見た時、私は自民党の自滅を確信し、内心ほくそ笑んだものだった。最後までネオリベ路線を突っ走ろうとした安倍自民党は、選挙に惨敗した。
要するに、安倍政権はそのネオコン路線とネオリベ路線の両方を強く批判されたのである。そもそも、ネオコン(新保守主義)とネオリベ(新自由主義)は、互いに独立した思想ではない。ネオリベが生み出す「格差」からく政府や政治秩序への民衆の反感から目をそらさせるため、権力側は外国を敵視して(安倍政権の場合は特に北朝鮮)民族主義や国家主義を煽ったり、「教育カイカク」と称して共同体主義政策、言いかえればネオコン政策をとるものなのだ。ネオリベとネオコンは、互いに緊張関係にあるのも確かだが、切っても切れない相互依存関係にあることもまた一面の真実である。サッチャーもレーガンも、ネオコンであると同時にネオリベだった。
ところが、コイズミの場合はネオコン政策をとらずに強烈なネオリベ政策だけをとった。従来の自民党の政策が、農村から働き手を都会に送り出して高度成長を遂げたあと、企業が共同体を形成してきたのだが、コイズミの構造カイカクがそれをもぶっ壊してしまったので、ネオコン政策の基盤となる、人々が拠って立つところの共同体がなくなってしまい、そのせいでコイズミのあとを継いだ安倍晋三のネオコン政策がうまくいかなかった。これは、9月26日のエントリ「渡辺治氏「新政権、本当の課題」(日経BP)より」でご紹介した渡辺治氏の指摘だが、実にうまく安倍政権の失敗を説明しているなあと感心したものだ。
私がどうにも居心地悪く感じるのは、ネオリベに「だけ」反対する一部民族主義者たちが、「反ネオリベ」を共通項としてリベラルや左派に連携を呼びかけていることだ。だが、彼らの支持する極右、といって悪ければ温和なmewさん(「日本がアブナイ!」)あたりの表現だと「超保守派」ということになるのだろうが、そういう政治家やそれを支持する人たちの意見が内包する自己矛盾を、私はどうしても見過ごすことができない。例を挙げると、一昨日のエントリでも指摘したように、平沼赳夫はサッチャーの教育改革の礼賛者であるが、サッチャリズムはネオコンとネオリベの融合体であり、サッチャーの教育改革にはネオリベ的要素が相当に強いのである。つまり、「反ネオリベ」のはずの超保守派が「ネオリベ」を肯定しているという自己矛盾が生じている。安倍晋三が「ネオコン」と「ネオリベ」を両立させようとして矛盾が生じた、とは当ブログは再三指摘しているが、「ネオコン」と「反ネオリベ」を両立させようとした場合にも自己矛盾は生じるのだ。このことは、私にとってきわめて興味深く感じられる。
ところで、以前「広島瀬戸内新聞ニュース」が「ブログ版」の頃に指摘していたように、「戦後の日本の右派と左派は、実は近似的な共同体主義であり、新自由主義の隆盛で右翼も左翼も流動化したのち、現在昔の右派と左派は更に近似性を強めている」(注:元記事にたどり着けなくてキャッシュから拾いました。さとうしゅういちさんすみません)ので、超保守派の主張が左翼に受け入れられやすい傾向にあるように思う。私は中道に位置するつもりの人間なので、この傾向にはきわめて強い違和感を持つ。誤解を恐れずに言うと、私は右翼とも左翼とも「共闘」などしたくはない。「共闘」はどうにも私の性には合わず、好き勝手な意見を主張し続けたいと思う人間なのである。
最後に、本エントリを読んで、当ブログが福田内閣に対して融和的だと思われるとしたら、それは大変な誤解であると申し上げておく。自民党は歴史的役割を終えた政党であり、福田内閣には「最後の自民党内閣」になってもらわなければ困ると思っている。特に、福田首相が「構造カイカク」の継続を明言したことは重要であって、これへの徹底的な批判が必要であると考えている。
[参考記事]
「日本がアブナイ!」より
"福田自民の小泉・安倍カラー消しに、麻生&保守系が立ち上がるか?+奨学金制度充実が急務"
http://mewrun7.exblog.jp/6602644
「広島瀬戸内新聞ニュース」より
"構造「改革」継続こそ重大な罪"
http://hiroseto.exblog.jp/6597024
PS
「世界」11月号を買い、民主党・小沢代表の論文を読みました。なんか頭がスッキリしなかったのですが、いずれ当ブログでも取り上げてみたいと思います。
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