【良い上司の定義】人望がある上司がすべてではないと思った話。
【良い上司の定義】人望がある上司がすべてではないと思った話。
会社に入社して年数が浅い時は、
「良い上司=人望のある上司」
だと思っていました。
しかし、僕はある部署に4年間在籍した時、
2年ごとに全くタイプの異なる上司のもとで、
上司以外は同じメンバーと一緒に過ごした経験から、
その定義は自分の中で少し変わりました。
今回の記事では、その話をしたいと思います。
全くタイプの違う二人の上司。
前半の2年間はAさん。後半の2年間はBさん。
という上司のもとで仕事をしました。
Aさんは、人情味があり、常に部下であるメンバーの事を気にかけてくれていて、
とても人望の厚い人でした。
Bさんは、人に全く興味がなく、部下の顔と名前も覚えないで、
ひたすら何かに打ち込んでいましたが、何をやっているのか?
さっぱりわからず、人望のカケラもない人でした。
出世したのはどちら?
とても皮肉な話なのですが、
会社から評価され、出世したのはBさんでした。
理由は、目に見える成果を残したからです。
どういうことかと言うと、
Bさんは目の前の仕事はすべて無視してほったらかしにしていたのですが、
一方で、残りの時間とリソースをすべて将来の長期的な大きな仕事に費やしていたのです。
ある意味、部下であるメンバーから不信や陰口に耐えながら、
自分の信念に従って地道に仕事に打ち込んでいていたと言えます。
逆に、人望のあったAさんは、日々の仕事に対する情熱や感謝は素晴らしかったのですが、
長期的に何かを成し遂げるという視点が欠けていたのかもしれません。
2年の在籍期間を終えて、メンバーはみな「とてもいい上司だったよね」と思っていましたが、経営的な視点に立った時に、目に見える成果は残っていませんでした。
なぜBさんは、自分の仕事について部下に言わなかったのか?
Bさんは物静かで不愛想なタイプでしたがとても改革派でした。
物事を大きく変えようという局面において、
最大の敵は現状を維持したいと思う「現状維持バイアス」です。
Aさんという人望あふれる上司が築き上げてきた「現状」を壊したくない。
と、メンバーの誰もが思っていましたし、それをBさんも感じていたのだと思います。
自分の計画をすぐに部下に話してしまったら絶対に、「現状維持バイアス」が働き、
反対を受けてしまう。と。
だから、孤独にじっくりと計画を練り、実行フェーズに移すまでは、
一切部下に話していなかったのだと思います。
人間誰しもそんな器用ではない。
短期的な視点と長期的な視点を併せ持ち、
部下の人望も得ながら、大きな成果も成し遂げる。
これが理想的な上司の在り方だと思います。
しかし、限られた時間の中で、これらを両立できるようなスーパーマンは、
ほとんどいないのではないでしょうか?
せいぜい、理想は掲げるものの両方中途半端になってしまい、
「何者でもない人」になってしまうのが多くの場合ではないでしょうか。
その意味で、僕の経験した上司は、二人とも、
「自分の役割」をしっかり持ち、それを全うしている点では、
どちらの在り方も間違っていなかったのではないかと思っています。
そこから得られる教訓
長期的な視点と短期的な視点。
人望と実績。
相反する要素ですが、僕が大切だと思うのは、
長期スパンでの使い分けです。
年単位という長期スパンにおいて、
部下の育成にコミットして場を成熟させる期間も必要であれば、
計画を練りこんで改革をしていく期間も必要だと思います。
個人の適性もさることながら、
今、職場がどのフェーズに置かれているかを見極め、
その状況に応じた対応に注力していくというスタイルが大切ではないか。
そんな風に思っています。