大詰め「ソフトバンク」の米通信会社争奪戦の危うさ
「こちらは優位な提案をしているので、買収金額を見直す必要はない」
そう大見えを切っていたソフトバンクの孫正義社長が、一転、15億ドル(1500億円)もの買収金額の上乗せを決めた。携帯電話事業で米国第3位のスプリント・ネクステルを巡る買収合戦が、いよいよ大詰めを迎えている。ソフトバンクに相対するのが、米衛星放送大手のディッシュ・ネットワークだ。
スプリント社の争奪戦は互いに買値を吊りあげるチキンレースのようだ。買収株を2兆100億円で買い取るとしたソフトバンクに対し、ライバルのディッシュは2兆5500億円で発行済み株式の全株式を買い取ると提示。するとソフトバンクは想定から1500億円も上乗せして78%の株を2兆1600億円で買うと対抗した。1%当たりにすると、ディッシュの255億円に対しソフトバンクは276億円。ソフトバンクが上回るという計算だ。(中略)
仮に予定通り買収できれば、世界6位のNTTや8位のKDDIを抜き、米AT&Tと並ぶ3位の通信事業者になる。だが、ここでもまた問題が持ち上がった。ソフトバンクの取引先である中国の通信機器会社「華為技術」と「中興通訊」に、米下院の情報特別委員会が米国へのサイバー攻撃部隊である疑いを指摘。当然、ソフトバンクにも、疑いの目が向けられたのである。中国によるサイバー攻撃問題は、先のオバマ、習近平会談でも取り沙汰されたほどの懸案事項。ソフトバンクにもまだまだ眼を光らせるに違いない。
そんなソフトバンクにとってもっと厄介なのは、資金繰りだ。
かなり危ない橋を渡っているようです。