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2013-06

医薬品ネット販売解禁にひと言

 うっかり今週号のアサヒ芸能「森功のニッポン裏経済新聞」の紹介を忘れていました。遅ればせながら、さわりを。

 案の定といえばそれまでだが、いっときあれだけ勢いのあった安倍晋三政権に陰りが見え始めている。アベノミクス三本の矢の最後、成長戦略の素案について6月5日、東京都内でご本人が鼻を膨らませて講演している最中、株式相場が急落。ようやく世間が、中身のない経済政策の正体に気付き始めている。
 本欄で書いてきた通り、今度の成長戦略は、ほとんどが小泉政権時代の焼き直しだ。が、実はここへ来てそれすらも後退。成長戦略の素案では、参院選を気にして農業への株式会社参入や医療分野の混同診療などのテーマを先送りした。
 ゆえに限りなく具体性の乏しい政策に落ち着いているわけだが、その中でも数少ない具体策が市販医薬品のインターネット販売だ。ここだけは、「すべての販売を解禁する」と威勢がいい。
 この薬のネット販売におけるキーマンが、楽天社長の三木谷浩史である。安倍が頼りにする有識者で構成された3つの諮問会議「経済財政諮問会議」「規制改革会議」とともに設置された「産業競争力会議」の中核メンバーだ。
 三木谷率いる楽天にとって、従来禁止されてきた医薬品のネット販売は新たなビジネスチャンスになる。まるでそれを狙ったかのような〝我田引水政策〟だという指摘が絶えない。いまや新たな政商として、注目されているのが、楽天の三木谷浩史なのである。
 今回の成長戦略では、副作用のリスクの高い25の薬品をネット販売品目に加えるかどうか、これから厚生労働省の検討会で判断をするという。が、その25品目は風邪薬や胃薬など、市販薬全体のわずか1%にも満たない。検討会でそれらが医師の処方箋が必要な薬局扱いとなり市販薬から除外される可能性も高いが、となれば市販薬はネットと店頭販売の垣根がなくなる。
 わが意を得たりの楽天三木谷、税金を使ったインターネットのインフラ整備を言い出す始末だ。

 もともと多くの医薬品は緊急時に必要だから、ネット販売にそぐわないと思います。

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)、「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)、「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)、「鬼才 伝説の編集人齋藤十一」など。最新刊「バブルの王様森下安道 日本を操った地下金融」(小学館)、「国商 最後のフィクサー葛西敬之」(講談社)

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