米国内のヒスパニックの間では近年、従来のキリスト教カトリックの信者の割合が減っている。プロテスタント系の福音派に改宗したり、無宗教になったりする人が増えている。多様化を象徴する一例だ。とりわけ福音派が増えていることに目を付けたのが、長年ヒスパニック票の取り込みに苦労してきた共和党のトランプ前大統領の陣営だった。
11月の米大統領選では、総人口の2割を占めるヒスパニック(中南米系)の住民の動向が注目されています。西部ネバダ州を中心に現状を報告します(全4回)。
第1回 「元不法移民」がトランプ氏に投票する理由
第2回 支持固めに動く民主党 ハリス新候補への反応
第3回 ヒスパニック≠カトリック 攻める共和党
第4回 ハリス、トランプ両陣営のヒスパニック戦略は?
増加する福音派
「トランプ氏と初めて会ったのは、彼が2016年の大統領選に出馬表明する直前だった。私を含めて地域のヒスパニックの指導者数人が参加した」。こう明かすのは西部ネバダ州ラスベガス郊外にあり、ヒスパニックが集まるキリスト教福音派の教会「ストロング・タワー・クリスチャン・センター」の牧師のカミーロ・ペレス氏(39)だ。
自身も南米コロンビア出身のペレス氏はこの会合で、「トランプ氏にヒスパニックだからといって、全ての人を同一視しないでほしいと伝えた。一生懸命法律を守って生きている人々と、不法移民や犯罪者は違うのだと。そうでなければ支援できないと明確にした」と振り返る。トランプ氏は笑みを浮かべて聞き、ペレス氏は「意見が受け入れられた」と感じたという。
ペレス氏はそれまで民主党を支持していたが、これ以降トランプ氏の熱烈な支持者になった。「当初はオバマ政権下でヒスパニックの権利が擁護され、生活も良くなると思ったが、そうではなかった。トランプ氏の人工妊娠中絶に反対する…
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