3時間睡眠、かばんにダンベル… 神田真人さんが明かす財務官の日常
世界の為替当局や投資家らと向き合う財務官の日々はベールに包まれている。歴史的な円安に対抗した「令和のミスター円」こと、神田真人・前財務官に激務の中で編み出した健康維持方法などを聞いた。
歴史的円安に対抗するため、為替介入を実施し「令和のミスター円」として知られる神田真人・前財務官は、その博覧強記ぶりから「宇宙人」との異名もあります。日本経済の処方箋や財務官の日常、ウクライナ電撃訪問の裏側や官僚論にまで及んだインタビューを3回にわたって掲載します。
令和のミスター円・神田真人さん 為替介入「投機に対抗」
「イエスマン」「指示待ち」は許されない 神田真人さんの熱い官僚論
――典型的な財務官時代の一日を教えてください。
為替市場課課長補佐や秘書課企画官時代から今までの約20年間、朝はだいたい7時台には登庁していました。無人で仕事をしやすいので、急ぎの事務処理を済ませたり、直近の内外経済イベントやマーケットの動きを必ず朝一番に確認したりします。日中は永田町などで政財界との調整をし、夜は必ず1件は勉強会などを入れていました。
その後は午後9時か10時から日米欧の当局者らとオンライン会議です。オンライン会議は新型コロナウイルス禍で激増しました。
主要7カ国(G7)など機密性が高い会議や同僚と一緒のほうがよい会議は役所に戻ってきて参加しますし、経済協力開発機構(OECD)のコーポレートガバナンス委員会議長としての仕事や各国の要人とのバイ(2国間)の電話協議などは同僚の残業にならないよう家でやるようにしていました。
――財務官在任中、「3時間以上寝たことがない」と言われていました。
正確には、3時間以上連続で寝ることはあまりないという意味です。理由のひとつは、酒を飲んで帰ってきてもシャワーを浴びると目が覚めちゃう。酒を飲みつつ音楽を聞きながら難しい本を読まないと眠れない、不眠症なんです。
もう一つは海外出張による時差で体内時計が破壊…
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