自民党の高村正彦前副総裁が外交・安全保障などに関する証言をまとめた新著「冷戦後の日本外交」(新潮社)を出版した。高村氏は副総裁を務めていた当時、靖国神社に合祀(ごうし)されている第二次世界大戦のA級戦犯について、安倍晋三首相(当時)の側近から分祀に向けた相談を受けていたことを明かした。
安倍氏は保守色の強い政策を掲げて第2次政権を発足させ、2013年12月に首相として靖国神社を参拝した。中国、韓国の猛烈な反発に加え、米政府が「失望」を表明するなど外交上の損失を招いたため、分祀により沈静化を図ろうとした可能性がある。
同著は、第2次安倍政権で官房副長官補を務めた兼原信克氏らが高村氏に聞き取ったオーラルヒストリー(口述記録)。高村氏は「安倍さんの超側近が個人の意見だとして分祀ができないかと相談に来たことがあります」と証言。側近の名前は明かさなかったが「安倍さんが生きていたら分祀ができたかもしれません」とし、安倍氏がA級戦犯の分祀を検討していたとの認識を示した。
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