言論の自由や民主主義の役割について分かりやすく解説した児童書「『くうき』が僕らを呑みこむ前に 脱サイレント・マジョリティー」(理論社)が出版された。専修大教授(言論法)の山田健太さん(63)と絵本作家のたまむらさちこさん(52)が作り上げた。謎のイキモノ「くうき」が登場し、空気を読んで自由な発言を控えがちな現代の風潮に警鐘を鳴らす。
理論社は児童書出版の老舗。同社編集者の岸井美恵子さん(63)が、国民の知る権利や言論の自由が制限されつつあると説く山田さんの話に共感し、児童書の執筆を持ちかけた。
山田さんは20年来の知人であるたまむらさんに挿絵を依頼した。「メッセージ性の強い内容なので、自分の言いたいことを理解してもらえる人にお願いしたい」と考えたからだ。たまむらさんは原稿を読み、「子どもが読むには少し難しい」と感じた。絵本作家として「引きつけるための仕掛けをしたい」と考えた。「絵本に『翻訳』したい」と提案。挿絵だけでなく、原稿の内容は変えずに、たとえ話を加えたり4コマ漫画を付けたりして、肉付けをした。
たまむらさんは、頭で考えて学ぶのではなく、子どもたちの心に訴えて、日々の行動の変化につなげてもらいたいと思った。「今、実際に困っていることに結びつけないと伝わらない」と思案して生み出したのが、雲のような形をした謎のイキモノ「くうき」。空気を読みすぎて疲れている子どもたちに向けて「ねえ!やめちゃえば!? (あたしのこと)読むの」と言わせた。
山田さんは「民主主義や自由の大切さ、と言っても言葉が上滑りしてしまう。『くうき』が生まれたことで、自分のこととして捉えてもらいやすくなった」と話す。
「くうき」はさらに言う。…
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