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眠る資源、原発23基超 温泉の国・日本が地熱発電大国になるには

山葵沢地熱発電所=秋田県湯沢市で2019年5月17日午後3時14分、佐藤伸撮影
山葵沢地熱発電所=秋田県湯沢市で2019年5月17日午後3時14分、佐藤伸撮影

 「ゴゴゴゴゴー」。谷底から90度以上の熱湯と蒸気がごう音とともに勢いよく噴き出す。8月中旬、秋田県湯沢市の観光スポット「小安峡大噴湯(おやすきょうだいふんとう)」では、白い湯気と硫黄臭が立ちこめる中、家族連れらが記念撮影などを楽しんでいた。

 「地球が生きていることを実感しますね」。県外から訪れたという観光客が興奮ぎみに話した。

 市内には小安峡温泉、秋の宮温泉郷、泥湯(どろゆ)温泉などがあり、古くから観光業の中心となり地域経済を支えてきた。加えて最近は地熱資源を発電に活用する動きが加速している。

 Jパワー(電源開発)などが出資する「湯沢地熱」(湯沢市)は2019年、「山葵(わさび)沢(ざわ)地熱発電所」(出力4万6199キロワット)の運転を開始した。国内で4番目の規模で、出力1万キロワットを超える地熱発電所の新規稼働は23年ぶりだった。

 火山がある地熱地帯の地下数キロには、1000度前後の「マグマだまり」があり、このマグマが地下水を温めている。地熱発電は一般的に地下約2000~3000メートルの「地熱貯留層」にたまった蒸気や熱水を取り出し、タービンを回して発電する。

 地熱発電はほとんど二酸化炭素(CO2)を出さない再生可能エネルギーで、しかも天候などに左右されず安定的に発電できる「ベースロード電源」だ。火山国である日本は、原発23基分以上に相当する2347万キロワットもの地熱資源が地下に眠るとされる。米国、インドネシアに次いで世界3番目の資源量を誇る地熱大国だ。それにもかかわらず、21年3月時点の地熱発電の導入量は61万キロワットにとどまる。

 地熱発電所の適地は温泉地と重なることが多い。国内ではこれまで「温泉が枯渇するのではないか」などの懸念から、地元が地熱開発に反対するケースが多かった。

 だが、湯沢市では近年、山葵沢以外にも大規模な地熱発電の建設計画が相次ぎ、全国から注目を集めている。

 市企画課で地熱開発事業者との調整を続ける白土大地主事は「年に数件は参入を検討する企業から問い合わせがある。発電所が増えれば固定資産税などで税収増を見込める。自然環境と調和させながら市の豊かな地熱資源の活用を進めていきたい」と話す。

「地熱のまち」新たな観光資源に

 JR湯沢駅に降り立つと、看板や旗に書かれた「地熱のまち・ゆざわ」というキャッチフレーズが目に飛び込んでき…

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