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不祥事相次ぐ維新議員 ガバナンスの不全が問題

 もはや個人の問題として済ませていい状況ではあるまい。

 日本維新の会の国会議員による不祥事が相次いでいる。

 石井章参院議員が今夏の参院栃木選挙区で維新から立候補予定の女性候補について「顔で選んでくれれば1番」と発言した。

 批判を浴びて撤回したが、女性を政治家としての能力や将来性でなく、見た目で判断する「ルッキズム」と呼ばれる差別的言動だ。

 日本は女性の政治進出が遅れている。女性議員を増やすのは多様な声を反映させるためだ。その目的を理解しているとは思えない。

 また岬麻紀衆院議員は過去の選挙公報の経歴が不正確だったと認めた。二つの大学の「非常勤講師」と記したが、実際は講座などの講師を委嘱されたものだった。

 藤田文武幹事長は両氏を厳重注意した。

 2019年参院選では、候補予定者が部落差別を助長する発言で公認辞退に追い込まれた。その直前には、当時衆院議員だった丸山穂高氏が北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言をし、除名された。

 松井一郎代表は候補者の選定にあたり「面接を重視する」と語っていたが、資質をきちんと見極めているのか疑問だ。国会議員には節度と常識が求められる。

 維新を立ち上げた橋下徹元大阪市長は、率直な物言いが物議を醸した一方、注目や支持も集めた。所属議員らの言動にも同じような傾向がみられる。

 ガバナンスの機能不全もうかがえる。国会議員団幹部の足立康史氏は国会で他党を中傷する発言を繰り返し、懲罰動議を何度も出された。党の役職を一旦解かれたが、今は要職に復帰している。

 党重鎮で副代表だった今井豊元大阪府議は昨年8月、違法な献金を受け取ったとして議員辞職し、党から除名された。ところが今年に入り処分は撤回された。身内への甘さが規律の乱れを招いているのではないか。

 維新は本拠地の大阪で、自らが唱える「改革」のためなら手段を選ばない政治姿勢で人気を集めた。国政でも「身を切る改革」を訴え、昨年の衆院選で躍進した。

 参院選では改選議席の倍増を目指すという。そうならばなおさら、政党としての責任は重くなる。

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