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体育教師に「事故と向き合って」 元生徒が求刑超える判決望む理由

「私の体は一生戻らない。家族の平穏な生活も戻らない」と語る内川起龍さん=東京都内の自宅で2021年11月16日午後3時27分、遠山和宏撮影
「私の体は一生戻らない。家族の平穏な生活も戻らない」と語る内川起龍さん=東京都内の自宅で2021年11月16日午後3時27分、遠山和宏撮影

 高校の水泳の授業で5年前、生徒を危険な体勢で飛び込ませて重度の障害を負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた体育教師の判決が22日、東京地裁で言い渡される。検察側の求刑は罰金刑。だが、被害者の元生徒はその軽さに納得できず、難しいと分かりながらも求刑を超える判決を求めた。「先生を辞めて、事故と向き合ってほしい」という強い思いがある。

差し出されたデッキブラシ

 元生徒は東京都内に住む内川起龍(きりゅう)さん(23)。都立墨田工業高校3年だった2016年7月、授業中にプールに飛び込み、底に頭を打って頸髄(けいずい)を損傷。両手足がまひする障害を負い、車椅子で生活する。

 事故は異常な状況で起きた。検察側の冒頭陳述や内川さんへの取材によると、体育教師だった松崎浩史被告(49)は水泳の授業中、デッキブラシの柄の部分を、プールのスタート台の前に70センチ以上の高さで差し出し、それを越えて飛び込むよう求めた。生徒たちは順番に飛び込んだが、1人の生徒が勢いでプールの底に額をぶつけた。「やっぱりぶつかります」と被告に伝えたが、「指導」は続いた。

 内川さんの順番が回ってきた。日ごろの生徒に対する姿勢から、被告を「怖くて面倒な存在」と感じていた内川さんは「やらないと何を言われるか分からない」と思い、飛び込んだ。ブラシを飛び越えると、垂直に水に落ち、頭を底にぶつけた。気づくと、…

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