水蒸気に姿を変えた水
Q 水の中を見ても空気は入っていないのに、どうして温めて沸騰させると水の中から空気が出てくるのですか?(三重県四日市市、小5、藤木孝太郎さん)
A 鍋に入った水をコンロの火で温めると、底から泡がボコボコと出てきますね。この泡は、どこから出てくるのでしょうか。泡の正体は空気なのでしょうか?
「空気ではありません。液体の水が水蒸気に姿を変えたものです」と話すのは、日本科学未来館の科学コミュニケーター、雨宮崇さんです。
水は冷やすと固まって固体の氷になります。逆に温めると100度で沸騰して、気体の水蒸気になります。鍋の中で温められた水の一部が水蒸気となり、泡になって出てきているというわけです。雨宮さんはこの仕組みについて、「水はたくさんの水分子が集まってできています。その分子一つ一つを、子どもたちに例えると分かりやすいでしょう」と教えてくれました。
液体の水は、子どもたちが静かに一か所にたくさん集まっている状態です。ここに熱を加えると、子どもたちはだんだん元気になってきて、100度を超えると、好き勝手に広がって走り回るようになります。これが気体の状態で、突然鍋の底にボコッと現れた水蒸気の泡、というわけです。なお、水が水蒸気に変わる温度は、空気の薄い富士山の頂上などでは、もっと低くなります。
ところで、お茶やお風呂から出る「湯気」は、「水蒸気」と同じものではありません。湯気は目に見えますが、水蒸気は目に見えないのです。
お湯を沸かしているやかんの口を、よく観察してみてください。口から少し離れたところから白い煙のようなものが出ているのが分かると思います。これが湯気で、やかんの口と湯気の間にある見えないものが水蒸気です。
沸騰した水は、まず目に見えない水蒸気になってやかんの口から出た後、まわりの空気に冷やされて細かい水滴になり、目に見える湯気になります。【斎藤広子】