松岡正剛さんオススメの劇薬小説
読書は毒書。読んだことを後悔する、トラウマ本を正剛さんにぶつけてみた。
10月23日、松丸本舗でお話できるチャンスがあったので、食いつく。まず、わたしの渾身の劇薬小説をリストアップし、正剛さんの反応を見る。次に、そこからオススメ本をディスカッションするという流れ。
まずはわたしのターン!
読んだことを後悔するような小説、読後感サイアクの作品を教えて欲しい。「期待して読んだら外れだった」ではなく、「読んだという記憶を消し去りたい」と思うくらい嫌あぁぁな気分にさせてくれるもの。不快、不愉快、気持ちわるい、吐きそう、夢に出そう、呪われそう、生きる気力が失せた……ホラー、マンガ、ノンフィクション、ジャンル不問で。そして、[この記事]をプリントアウトしたのを渡す。
- 真・現代猟奇伝(氏賀Y太)
- 隣の家の少女(ジャック・ケッチャム)
- 忌中(車谷長吉)
- 骨餓身峠死人葛(野坂昭如)
- 城の中のイギリス人(マンディアルグ)
- 狂鬼降臨(友成純一)
- 児童性愛者(ヤコブ・ビリング)
- インスマウスの影(ラヴクラフト)
- 地獄の子守唄(日野日出志)
- 消された一家―北九州・連続監禁殺人事件(豊田 正義)
セイゴォ師、「ほォ……」とニッコリ笑う。口もとはほころんでいるけれど眼ぇは炯炯としているからちょっと怖いよ!そして、やおらペンを取り出すと、「車谷長吉」「マンディアルグ」「ラヴクラフト」にチェックを入れる。なんだ、結構読んでるじゃないか、とつぶやく。
松岡氏 「車谷長吉は痛いよね、『赤目四十八瀧心中未遂』は読んだ?」
わたし 「いえ、まだです。覚悟キめて読むつもりです」
松岡氏 「では、コンラッドの『闇の奥』は?」
わたし 「読みました」
松岡氏 「ゴールディングの『蝿の王』は?」
わたし 「読みました、そのうえで、このリストの選外にしています」
松岡氏 「じゃあ、ジョージ・マクドナルドの『リリス』なんてどう?」
おっ、それは読んでいないぞ嬉しいぞ。曰く、とても西洋的な恐怖があるんだと。同行していたデザイナーのMさんが読んだというのでさらに嬉しくなる。で、一緒に探してもらう。なんか黄色っぽい背表紙の文庫で、女の子の表紙だったなぁ……松丸のあの辺にあるだろうなぁとウロウロするのだが、見つからない。松丸本舗って探すと逃げるんだよなぁ、放っておくと寄ってくるのに…とグチると、「女の子といっしょですね」と言われる。うーん、逃げられたことはあれど、寄ってこられたことがないので、肯定できない。
松丸本舗は、折に触れて大々的に棚の入れ替えをするので油断がならない。バラバラになって移動するのではなく、ある一定のカタマリを保持しつつ、新たな本も飲み込みつつ、流動するような感覚。さながら溶岩の流れか、蠕動する消化器官をくぐりぬける食物といったところ。結局、スタッフにお願いして探し出してもらう。
というわけで、次なる劇薬課題図書。
持ち時間は5分だったけれど、ものスゴく濃密かつ強烈(そう)な本が出てきた。企画していただいた松丸本舗のスタッフさま、同行いただいたMさん、そして応えていただいた松岡さん、ありがとうございます。またやりますぞ、本屋オフ。ちなみに、次のスゴ本オフは「ミステリ」。詳しくはスゴ本オフ@ミステリをどうぞ。
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コメント
「リリス」が劇薬?!
そんな読み方が出来るんですね。
その視点でまた読み返してみます。
別の視点を教えていただき、ありがとうございます!!
投稿: 十萌 | 2010.10.29 20:53
>>十萌さん
いま「リリス」を読んでいるのですが、わたしが「劇薬小説」と銘打ったものと趣旨が違うような気が……いわゆるスーパーナチュラルな作品の流れでファンタジーの元祖を挙げていただいたのではないか、と思います。
チャンスがあれば、質問してみようかと。そして、「隣の家の少女」あたりをオススメしようかと……
投稿: Dain | 2010.10.30 14:00
こんにちわ,今回初めて書き込みさせて頂きます(*^_^*)♪
内容がとても斬新でいつも楽しみにブログ拝見させて頂いております。
投稿: 相続税 計算 | 2010.11.02 00:40