主張
沖縄戦教科書
沖縄の心軍靴で踏みにじった
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アジア・太平洋戦争末期の沖縄戦での「集団自決」(強制集団死)をめぐり、文部科学省が高校用教科書の検定で「軍の強制」記述を削除させた問題で、同省は二十六日、検定意見の撤回は行わず、教科書会社の訂正申請でも住民が「自決せざるを得ないような状況に追い込まれた」とは書いても「強制」記述は認めないとする検討結果を明らかにしました。
「集団自決」が日本軍の強制抜きに起こりえなかったことは歴史の真実です。文科省があくまで「強制」記述削除を押し通したのは、日本軍による残虐行為を美化し沖縄の心を軍靴で踏みにじったのも同然です。
11万人超す県民大会
文部科学省の「強制」記述削除にたいしては、沖縄県議会をはじめ県内のすべての自治体が撤回を求める意見書を出し、検定撤回を求めて九月末開かれた県民大会には、復帰後最大規模の十一万人を超す県民が参加するなど、党派を超えた運動が続けられてきました。検定撤回を求める声は全国に広がっています。
こうしたなか、政府も「沖縄の思いを重く受け止める」(福田康夫首相)といわざるを得なくなり、文部科学省も、教科書会社から訂正申請があれば検討すると答えてきました。今回の文科省の決定は、国民世論を無視できないところに追い込まれながら、検定は撤回せず、教科書会社の訂正申請さえ書き換えさせたもので、政府の責任はきわめて重大です。
もともと「集団自決」は、住民の虐殺などと並んで、沖縄戦での日本軍の残虐行為としてよく知られています。島ぐるみで戦争に動員された沖縄の住民は、米軍の攻撃が迫っても投降は許されず、軍からあらかじめ手りゅう弾などの武器を渡されていたことからも、「集団自決」が日本軍による強制・強要・誘導によって起きたことは明白です。
これまでも教科書には「日本軍に『集団自決』を強いられ」などの記述があったのに、削除を求められたことはありません。にもかかわらず、二〇〇八年からの高校教科書の検定で「沖縄戦の実態について誤解するおそれ」との意見がつき、「強制」記述が削除されたのです。自衛隊が海外に派兵され、再び「戦争する国」になろうとしているなかで、軍事最優先の体制をつくる動きに呼応していると見るのは当然です。
文科省はあくまで学問的な研究の結果にもとづくものだといいはろうとしましたが、「集団自決」から「軍の強制」を否定する意見はまともに通用するものではありません。一部の軍関係者などが現地の守備隊長の直接の命令はなかったと裁判を起こしましたが、直接の命令の有無にかかわらず、住民は軍から「強制」されるなかで「自決」に追い込まれたことが逆に明らかにされました(来年三月判決)。裁判の一方の当事者の主張で教科書の記述が削除されたとすれば、それこそ異常のきわみです。
検定制度にメスを
「集団自決」から「軍の強制」の記述を削除する教科書検定は、学問的な通説を逸脱した、文字通り一方的な立場から行われたものです。まさに教育への政治介入そのものであり、文部科学省が検定を撤回しなかったばかりか、訂正申請を修正させてまで「強制」記述を認めなかったのは、教科書検定制度の危険性を浮き彫りにしています。
誤った検定意見を撤回し、正しい記述を回復するのは当然であり、政治的な検定がまかり通る密室の教科書検定制度そのものを、抜本的に見直すことが不可欠です。
検定意見は戦争美化勢力の政治介入
文科省誤り認め撤回を
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沖縄戦「集団自決」での軍の強制は、「南京大虐殺」や日本軍「慰安婦」問題とともに、侵略戦争の正当化を狙う「靖国」派が、教科書などから消すことを目標にしてきたものです。
侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の現会長、藤岡信勝氏らは二〇〇五年に「軍の強制」を削除する運動を開始しました。
同年、「集団自決」を命令していないと主張する元守備隊長らが、軍の命令を記述した著書は名誉棄損などにあたるとして岩波書店と大江健三郎氏を訴える裁判を起こしました。この裁判の支援者や弁護団には、藤岡氏をはじめ「つくる会」の関係者が多数参加しています。
文部科学省は「軍の強制」を削除した検定意見の根拠の一つにこの裁判での原告の主張をあげています。
政府・文科省はこの検定意見について、教科用図書検定調査審議会が「専門的、学術的観点」で調査・審議して決めたものだとしてきました。
しかし、検定意見の原案である「調査意見書」は文科省の職員である教科書調査官がつくり、初等中等教育局長らが決裁したもので、それが審議会では意見が出ないまま検定意見になったことが、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の国会質問で明らかになりました。
さらに、日本史担当の教科書調査官や審議会委員の中に『新しい歴史教科書』監修者の門下生や共同研究者が多数いることが、石井郁子衆院議員の追及で浮かび上がりました。検定意見は侵略戦争を美化する勢力が、沖縄戦研究の到達点に反して持ち込んだ政治介入だったことが明白になったのです。
沖縄県民をはじめとする検定意見撤回の声が高まり、各出版社は「軍の強制」を明らかにした訂正申請をしました。これに対しても「つくる会」は数回にわたって「訂正を不承認にせよ」と文科省に要請し、宣伝や集会を繰り返しおこないました。
こうした中で、審議会と文科省は、検定意見撤回要求を拒否、訂正申請で出された「軍による強制」という記述も認めませんでした。
沖縄県民の思いにこたえるには、文科省が誤りを認めて検定意見を撤回し、「軍の強制」の記述を復活させ、政治的介入でゆがめられた教科書を事実にもとづいたものにする以外にありません。(高間史人)
(出所:日本共産党HP 2007年12月27日(木)「しんぶん赤旗」)
<神戸新聞12月22日付け朝刊一面記事の引用です>
沖縄戦 集団自決 教科書問題
「軍強制」記述認めず 検定審小委 訂正申請で一転
沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史の教科書検定問題で、教科書会社からの訂正申請を審査している教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会が、「日本軍の強制」を直接的に記述する訂正は承認すべきでないとする方針を固めたことが二十一日、関係者の話で分かった。
集団自決の背景には、軍の存在を含む「複合的な要因」があるとの見解でまとまった。複数の教科書会社は小委の方針に沿って、訂正申請を出し直しており、表現で最終調整している社もあるという。
軍の強制を示す表現は難しい情勢となり、沖縄県側からは反発も予想される。渡海紀三朗文部科学相は、来週中に示される検定審の結論を踏まえ承認の可否を決めるが、経緯を説明する談話を出し、理解を求めるとみられる。
関係者によると、小委はこれまでの会合で、十人近い沖縄戦の専門家から提出を受けた意見書を検討。その結果、軍の強制性を示す記述を認めなかった当初の検定意見の撤回や変更は必要ないと判断した。
その上で、集団自決には、住民が戦闘に巻き込まれたり、軍から手りゅう弾を配布され捕虜にならないよう教え込まれたりした事実などの複合的な要因があり、沖縄戦を総体としてとらえる記述が望ましいとの見解で一致した。
この問題では、渡海文科相が検定意見に対する沖縄県側の反発を受け、記述の修正を容認。検定意見後に軍強制の記述を削除した教科書会社は十一月、「殺しあいを強制した」「日本軍によって『集団自決』においこまれた」などの強制性を強める内容で訂正申請していた。
文科相は、国会答弁で「最終的に私自身も説明する必要があると考えている」と述べている。
◇沖縄戦の教科書検定問題◇
2008年から使用される高校日本史の教科書検定で今年3月、太平洋戦争末期の沖縄戦で起きた住民の集団自決について、「日本軍の強制」と記述した教科書7点に「沖縄戦の実態について誤解するおそれがある」との検定意見が付き、強制を示す表現がすべて削除された。文部科学省は元軍人らが命令を否定して起こした名誉棄損訴訟などを根拠に「従来の通説に基づく断定はできなくなった」と説明。これに対し、沖縄県内で検定意見の撤回と記述の復活を求める動きが広がり、9月には約11万人(主催者発表)参加の県民大会が開かれた。同省はこれを機に、撤回はせず教科書会社の訂正申請を受ける形で記述の修正を容認することにしていた。
(出所:http://tukui.blog55.fc2.com/blog-entry-576.html#comment)
沖縄戦教科書
沖縄の心軍靴で踏みにじった
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アジア・太平洋戦争末期の沖縄戦での「集団自決」(強制集団死)をめぐり、文部科学省が高校用教科書の検定で「軍の強制」記述を削除させた問題で、同省は二十六日、検定意見の撤回は行わず、教科書会社の訂正申請でも住民が「自決せざるを得ないような状況に追い込まれた」とは書いても「強制」記述は認めないとする検討結果を明らかにしました。
「集団自決」が日本軍の強制抜きに起こりえなかったことは歴史の真実です。文科省があくまで「強制」記述削除を押し通したのは、日本軍による残虐行為を美化し沖縄の心を軍靴で踏みにじったのも同然です。
11万人超す県民大会
文部科学省の「強制」記述削除にたいしては、沖縄県議会をはじめ県内のすべての自治体が撤回を求める意見書を出し、検定撤回を求めて九月末開かれた県民大会には、復帰後最大規模の十一万人を超す県民が参加するなど、党派を超えた運動が続けられてきました。検定撤回を求める声は全国に広がっています。
こうしたなか、政府も「沖縄の思いを重く受け止める」(福田康夫首相)といわざるを得なくなり、文部科学省も、教科書会社から訂正申請があれば検討すると答えてきました。今回の文科省の決定は、国民世論を無視できないところに追い込まれながら、検定は撤回せず、教科書会社の訂正申請さえ書き換えさせたもので、政府の責任はきわめて重大です。
もともと「集団自決」は、住民の虐殺などと並んで、沖縄戦での日本軍の残虐行為としてよく知られています。島ぐるみで戦争に動員された沖縄の住民は、米軍の攻撃が迫っても投降は許されず、軍からあらかじめ手りゅう弾などの武器を渡されていたことからも、「集団自決」が日本軍による強制・強要・誘導によって起きたことは明白です。
これまでも教科書には「日本軍に『集団自決』を強いられ」などの記述があったのに、削除を求められたことはありません。にもかかわらず、二〇〇八年からの高校教科書の検定で「沖縄戦の実態について誤解するおそれ」との意見がつき、「強制」記述が削除されたのです。自衛隊が海外に派兵され、再び「戦争する国」になろうとしているなかで、軍事最優先の体制をつくる動きに呼応していると見るのは当然です。
文科省はあくまで学問的な研究の結果にもとづくものだといいはろうとしましたが、「集団自決」から「軍の強制」を否定する意見はまともに通用するものではありません。一部の軍関係者などが現地の守備隊長の直接の命令はなかったと裁判を起こしましたが、直接の命令の有無にかかわらず、住民は軍から「強制」されるなかで「自決」に追い込まれたことが逆に明らかにされました(来年三月判決)。裁判の一方の当事者の主張で教科書の記述が削除されたとすれば、それこそ異常のきわみです。
検定制度にメスを
「集団自決」から「軍の強制」の記述を削除する教科書検定は、学問的な通説を逸脱した、文字通り一方的な立場から行われたものです。まさに教育への政治介入そのものであり、文部科学省が検定を撤回しなかったばかりか、訂正申請を修正させてまで「強制」記述を認めなかったのは、教科書検定制度の危険性を浮き彫りにしています。
誤った検定意見を撤回し、正しい記述を回復するのは当然であり、政治的な検定がまかり通る密室の教科書検定制度そのものを、抜本的に見直すことが不可欠です。
検定意見は戦争美化勢力の政治介入
文科省誤り認め撤回を
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沖縄戦「集団自決」での軍の強制は、「南京大虐殺」や日本軍「慰安婦」問題とともに、侵略戦争の正当化を狙う「靖国」派が、教科書などから消すことを目標にしてきたものです。
侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の現会長、藤岡信勝氏らは二〇〇五年に「軍の強制」を削除する運動を開始しました。
同年、「集団自決」を命令していないと主張する元守備隊長らが、軍の命令を記述した著書は名誉棄損などにあたるとして岩波書店と大江健三郎氏を訴える裁判を起こしました。この裁判の支援者や弁護団には、藤岡氏をはじめ「つくる会」の関係者が多数参加しています。
文部科学省は「軍の強制」を削除した検定意見の根拠の一つにこの裁判での原告の主張をあげています。
政府・文科省はこの検定意見について、教科用図書検定調査審議会が「専門的、学術的観点」で調査・審議して決めたものだとしてきました。
しかし、検定意見の原案である「調査意見書」は文科省の職員である教科書調査官がつくり、初等中等教育局長らが決裁したもので、それが審議会では意見が出ないまま検定意見になったことが、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の国会質問で明らかになりました。
さらに、日本史担当の教科書調査官や審議会委員の中に『新しい歴史教科書』監修者の門下生や共同研究者が多数いることが、石井郁子衆院議員の追及で浮かび上がりました。検定意見は侵略戦争を美化する勢力が、沖縄戦研究の到達点に反して持ち込んだ政治介入だったことが明白になったのです。
沖縄県民をはじめとする検定意見撤回の声が高まり、各出版社は「軍の強制」を明らかにした訂正申請をしました。これに対しても「つくる会」は数回にわたって「訂正を不承認にせよ」と文科省に要請し、宣伝や集会を繰り返しおこないました。
こうした中で、審議会と文科省は、検定意見撤回要求を拒否、訂正申請で出された「軍による強制」という記述も認めませんでした。
沖縄県民の思いにこたえるには、文科省が誤りを認めて検定意見を撤回し、「軍の強制」の記述を復活させ、政治的介入でゆがめられた教科書を事実にもとづいたものにする以外にありません。(高間史人)
(出所:日本共産党HP 2007年12月27日(木)「しんぶん赤旗」)
<神戸新聞12月22日付け朝刊一面記事の引用です>
沖縄戦 集団自決 教科書問題
「軍強制」記述認めず 検定審小委 訂正申請で一転
沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史の教科書検定問題で、教科書会社からの訂正申請を審査している教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会が、「日本軍の強制」を直接的に記述する訂正は承認すべきでないとする方針を固めたことが二十一日、関係者の話で分かった。
集団自決の背景には、軍の存在を含む「複合的な要因」があるとの見解でまとまった。複数の教科書会社は小委の方針に沿って、訂正申請を出し直しており、表現で最終調整している社もあるという。
軍の強制を示す表現は難しい情勢となり、沖縄県側からは反発も予想される。渡海紀三朗文部科学相は、来週中に示される検定審の結論を踏まえ承認の可否を決めるが、経緯を説明する談話を出し、理解を求めるとみられる。
関係者によると、小委はこれまでの会合で、十人近い沖縄戦の専門家から提出を受けた意見書を検討。その結果、軍の強制性を示す記述を認めなかった当初の検定意見の撤回や変更は必要ないと判断した。
その上で、集団自決には、住民が戦闘に巻き込まれたり、軍から手りゅう弾を配布され捕虜にならないよう教え込まれたりした事実などの複合的な要因があり、沖縄戦を総体としてとらえる記述が望ましいとの見解で一致した。
この問題では、渡海文科相が検定意見に対する沖縄県側の反発を受け、記述の修正を容認。検定意見後に軍強制の記述を削除した教科書会社は十一月、「殺しあいを強制した」「日本軍によって『集団自決』においこまれた」などの強制性を強める内容で訂正申請していた。
文科相は、国会答弁で「最終的に私自身も説明する必要があると考えている」と述べている。
◇沖縄戦の教科書検定問題◇
2008年から使用される高校日本史の教科書検定で今年3月、太平洋戦争末期の沖縄戦で起きた住民の集団自決について、「日本軍の強制」と記述した教科書7点に「沖縄戦の実態について誤解するおそれがある」との検定意見が付き、強制を示す表現がすべて削除された。文部科学省は元軍人らが命令を否定して起こした名誉棄損訴訟などを根拠に「従来の通説に基づく断定はできなくなった」と説明。これに対し、沖縄県内で検定意見の撤回と記述の復活を求める動きが広がり、9月には約11万人(主催者発表)参加の県民大会が開かれた。同省はこれを機に、撤回はせず教科書会社の訂正申請を受ける形で記述の修正を容認することにしていた。
(出所:http://tukui.blog55.fc2.com/blog-entry-576.html#comment)
沖縄に限らず広島長崎、各地の空襲についても同様です。
私は、戦没者慰霊施設云々よりも、国が主導して反戦平和教育を推し進める事こそが、最大の「慰霊碑」だと思いますね。