主張
北朝鮮核申告
非核化めざし外交努力強めよ
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北朝鮮が核計画の申告を六カ国協議議長国の中国に提出しました。核兵器の材料となる核物質と核施設、核計画が含まれるとされます。これを受け米国は、テロ支援国家指定の解除と「対敵通商法」の適用中止の手続きに入りました。
今回の北朝鮮による核計画の申告は、北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)にある核施設の無能力化とともに、六カ国協議が合意した北朝鮮非核化の「第二段階の措置」とされるものです。近く再開される予定の六カ国協議では、「第二段階」の終了の確認とともに、北朝鮮の「すべての核兵器及び既存の核計画の放棄」(二〇〇五年九月の六カ国協議共同声明)という最終段階に向けた具体的措置が設定されることになります。
今回の一連の動きはそうした重要なステップであり、関係国は朝鮮半島非核化の目標に向けて外交努力をつくすことが求められます。
「行動対行動」原則で
関係国は北朝鮮の非核化プロセスでの検証を重視するとしており、今回の申告が正確かどうかについても検証作業を通じて明らかになるとの立場です。北朝鮮がすでに提供した一万八千ページを超える原子炉稼働記録がそのよりどころの一つとなると見ています。さらに北朝鮮での現地査察や核開発関係者への聞き取り調査なども行う方針です。
非核化プロセスが新たな段階に進んだことには、直接交渉にあたった米朝双方、とりわけ米国のイニシアチブが大きかったといわれます。ライス米国務長官は十八日の講演で、北朝鮮は非核化の達成によって「人道的・開発支援、非核エネルギー支援、主権の尊重、国連憲章の諸原則の約束、朝鮮半島の永続的平和など」を確保できると指摘。「外交とは一連のインセンティブ(行動の促進要因)とディスインセンティブ(行動の阻止要因)を構築することだ」と述べ、「約束対約束、行動対行動」の原則を強調しています。
米国が、かつては固く拒否していた北朝鮮との直接交渉を、この間強力に進めてきた背景には、イラク戦争のゆきづまりが典型的に示しているように、米国の先制攻撃にもとづく世界戦略が破たんし、国際的に孤立を深め、米国の一国覇権主義が通用しなくなったという世界の大きな変化が横たわっています。
二〇〇五年九月の六カ国協議の共同声明は、朝鮮半島の非核化と並んで「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」をうたい、そのために六カ国協議は「北東アジアの平和及び安全のメカニズム」の構築をめざしています。共同声明の立場で、朝鮮半島の非核化と平和の枠組みづくりのために外交努力を重ねることが必要です。
朝鮮半島の非核化は、日本の平和と安全にとってもきわめて切実な問題であり、日本が積極的な役割を果たすことが求められています。
日朝の懸案を包括的に
日朝間には拉致問題という重大な懸案があります。日本共産党は、〇二年九月の日朝平壌宣言の精神にたって核・ミサイル、拉致、過去の清算という日朝間の諸懸案を包括的に解決する立場が重要だと考えます。この包括的解決の過程で一つの問題の解決が先行することは、他の問題の解決の妨げではなく、促進につながりうるものです。
核問題で日本政府が積極的な姿勢をとることは、拉致問題に対する国際的理解と支援を高める上でも役立つでしょう。こうした立場からの日本外交が求められています。
北朝鮮が核計画申告
米はテロ指定解除へ
非核化第2段階大詰め
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北朝鮮は二十六日、六カ国協議の議長国・中国に対し、同協議の合意に基づいて核開発計画の申告書を提出しました。それを受けてブッシュ米大統領は同日、北朝鮮のテロ支援国指定解除を議会に通告し、対敵国通商法の解除手続きに入ることを表明しました。
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6カ国協議 近く再開
【北京=山田俊英】六カ国協議議長の武大偉・中国外務次官は同日、声明を発表し、北朝鮮の崔鎮洙・中国駐在大使が申告書を提出したことを明らかにしました。声明によれば、六カ国は申告内容を検証する機関の設置に合意しました。
停滞していた六カ国協議は近く九カ月ぶりに再開される見通しで、北朝鮮の非核化プロセスは「第二段階」の完了に向け大詰めを迎えます。非核化「第二段階」は寧辺にある核施設の無能力化と核計画の申告、米国による制裁解除が柱です。北朝鮮は二十七日、原子炉の冷却塔を爆破します。
協議筋によると、申告書は四十―五十ページで、抽出したプルトニウムの量、核施設の稼働記録、核開発関連施設の一覧表などが盛り込まれています。申告書は核兵器に関する情報を除外。この問題は「完全な非核化」をめざす第三段階で扱われます。
六カ国協議発足の発端となったウラン濃縮計画は、シリアへの核技術移転問題とともに、別の非公開文書で提出されます。米国がこれらの問題を指摘し、北朝鮮は米国の懸念を理解するという内容になるといいます。
テロ支援国の指定解除は、四十五日後に発効します。この間に米国は申告内容を検証。北朝鮮が検証に非協力的だった場合、テロ支援国家指定解除の撤回もありうるとしています。
五カ国が申告を了承すれば、北朝鮮のすべての核兵器、核計画放棄を目指す「第三段階」に進みます。無能力化が昨年十一月から進行する一方、申告内容について米朝間の調整が難航していました。
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北朝鮮の核計画申告について
志位委員長が談話
日本共産党の志位和夫委員長は二十六日、北朝鮮による核開発計画の申告書提出について、次の談話を発表しました。
◇
北朝鮮は二十六日、同国の核開発計画にかかわる申告を六カ国協議の議長国・中国に提出した。また、米国政府は、北朝鮮をテロ支援国家指定から解除する手続きに入ると発表した。わが党は、この動きを昨年十月の六カ国協議の合意にもとづいた朝鮮半島の非核化に向けた一歩として歓迎する。これが北朝鮮の核兵器の完全放棄につながることを強く期待する。
核兵器問題が道理ある形で解決されるなら、日朝間の懸案である拉致問題の解決についても、その進展をうながす新しい条件となりうる。日朝平壌宣言にもとづいて核兵器、拉致、過去の清算を含む日朝間の諸懸案の包括的解決をめざす日朝両国政府の努力を期待する。
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六カ国協議 北朝鮮の核問題を解決するための協議の場として、二〇〇三年に開始。北朝鮮、韓国、中国、日本、米国、ロシアの六カ国で構成。議長国は中国。〇五年九月の第四回協議で、基本原則や目標を定めた共同声明を採択。〇七年二月の第五回協議第三次会合で「初期段階」の措置、同年十月の第六回第二次会合で「第二段階」の措置に合意し、共同文書として確認しました。
ウラン濃縮 核兵器には、プルトニウムを用いる方法とウランを用いる方法があります。プルトニウムは原子炉の副産物としてできるため、北朝鮮はこれを利用して核開発を進めてきました。ウラン方式の場合、核兵器に使われるウラン235が天然ウランには、わずか0・7%しか含まれていないため、これを90%以上に引き上げるウラン濃縮作業が必要になります。米国は二〇〇二年の米朝高官協議で北朝鮮側がウラン濃縮計画を認めたと主張。北朝鮮は否定してきました。
(出所:日本共産党HP 2008年6月27日(金)「しんぶん赤旗」)
北朝鮮核申告
非核化めざし外交努力強めよ
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北朝鮮が核計画の申告を六カ国協議議長国の中国に提出しました。核兵器の材料となる核物質と核施設、核計画が含まれるとされます。これを受け米国は、テロ支援国家指定の解除と「対敵通商法」の適用中止の手続きに入りました。
今回の北朝鮮による核計画の申告は、北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)にある核施設の無能力化とともに、六カ国協議が合意した北朝鮮非核化の「第二段階の措置」とされるものです。近く再開される予定の六カ国協議では、「第二段階」の終了の確認とともに、北朝鮮の「すべての核兵器及び既存の核計画の放棄」(二〇〇五年九月の六カ国協議共同声明)という最終段階に向けた具体的措置が設定されることになります。
今回の一連の動きはそうした重要なステップであり、関係国は朝鮮半島非核化の目標に向けて外交努力をつくすことが求められます。
「行動対行動」原則で
関係国は北朝鮮の非核化プロセスでの検証を重視するとしており、今回の申告が正確かどうかについても検証作業を通じて明らかになるとの立場です。北朝鮮がすでに提供した一万八千ページを超える原子炉稼働記録がそのよりどころの一つとなると見ています。さらに北朝鮮での現地査察や核開発関係者への聞き取り調査なども行う方針です。
非核化プロセスが新たな段階に進んだことには、直接交渉にあたった米朝双方、とりわけ米国のイニシアチブが大きかったといわれます。ライス米国務長官は十八日の講演で、北朝鮮は非核化の達成によって「人道的・開発支援、非核エネルギー支援、主権の尊重、国連憲章の諸原則の約束、朝鮮半島の永続的平和など」を確保できると指摘。「外交とは一連のインセンティブ(行動の促進要因)とディスインセンティブ(行動の阻止要因)を構築することだ」と述べ、「約束対約束、行動対行動」の原則を強調しています。
米国が、かつては固く拒否していた北朝鮮との直接交渉を、この間強力に進めてきた背景には、イラク戦争のゆきづまりが典型的に示しているように、米国の先制攻撃にもとづく世界戦略が破たんし、国際的に孤立を深め、米国の一国覇権主義が通用しなくなったという世界の大きな変化が横たわっています。
二〇〇五年九月の六カ国協議の共同声明は、朝鮮半島の非核化と並んで「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」をうたい、そのために六カ国協議は「北東アジアの平和及び安全のメカニズム」の構築をめざしています。共同声明の立場で、朝鮮半島の非核化と平和の枠組みづくりのために外交努力を重ねることが必要です。
朝鮮半島の非核化は、日本の平和と安全にとってもきわめて切実な問題であり、日本が積極的な役割を果たすことが求められています。
日朝の懸案を包括的に
日朝間には拉致問題という重大な懸案があります。日本共産党は、〇二年九月の日朝平壌宣言の精神にたって核・ミサイル、拉致、過去の清算という日朝間の諸懸案を包括的に解決する立場が重要だと考えます。この包括的解決の過程で一つの問題の解決が先行することは、他の問題の解決の妨げではなく、促進につながりうるものです。
核問題で日本政府が積極的な姿勢をとることは、拉致問題に対する国際的理解と支援を高める上でも役立つでしょう。こうした立場からの日本外交が求められています。
北朝鮮が核計画申告
米はテロ指定解除へ
非核化第2段階大詰め
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北朝鮮は二十六日、六カ国協議の議長国・中国に対し、同協議の合意に基づいて核開発計画の申告書を提出しました。それを受けてブッシュ米大統領は同日、北朝鮮のテロ支援国指定解除を議会に通告し、対敵国通商法の解除手続きに入ることを表明しました。
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6カ国協議 近く再開
【北京=山田俊英】六カ国協議議長の武大偉・中国外務次官は同日、声明を発表し、北朝鮮の崔鎮洙・中国駐在大使が申告書を提出したことを明らかにしました。声明によれば、六カ国は申告内容を検証する機関の設置に合意しました。
停滞していた六カ国協議は近く九カ月ぶりに再開される見通しで、北朝鮮の非核化プロセスは「第二段階」の完了に向け大詰めを迎えます。非核化「第二段階」は寧辺にある核施設の無能力化と核計画の申告、米国による制裁解除が柱です。北朝鮮は二十七日、原子炉の冷却塔を爆破します。
協議筋によると、申告書は四十―五十ページで、抽出したプルトニウムの量、核施設の稼働記録、核開発関連施設の一覧表などが盛り込まれています。申告書は核兵器に関する情報を除外。この問題は「完全な非核化」をめざす第三段階で扱われます。
六カ国協議発足の発端となったウラン濃縮計画は、シリアへの核技術移転問題とともに、別の非公開文書で提出されます。米国がこれらの問題を指摘し、北朝鮮は米国の懸念を理解するという内容になるといいます。
テロ支援国の指定解除は、四十五日後に発効します。この間に米国は申告内容を検証。北朝鮮が検証に非協力的だった場合、テロ支援国家指定解除の撤回もありうるとしています。
五カ国が申告を了承すれば、北朝鮮のすべての核兵器、核計画放棄を目指す「第三段階」に進みます。無能力化が昨年十一月から進行する一方、申告内容について米朝間の調整が難航していました。
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北朝鮮の核計画申告について
志位委員長が談話
日本共産党の志位和夫委員長は二十六日、北朝鮮による核開発計画の申告書提出について、次の談話を発表しました。
◇
北朝鮮は二十六日、同国の核開発計画にかかわる申告を六カ国協議の議長国・中国に提出した。また、米国政府は、北朝鮮をテロ支援国家指定から解除する手続きに入ると発表した。わが党は、この動きを昨年十月の六カ国協議の合意にもとづいた朝鮮半島の非核化に向けた一歩として歓迎する。これが北朝鮮の核兵器の完全放棄につながることを強く期待する。
核兵器問題が道理ある形で解決されるなら、日朝間の懸案である拉致問題の解決についても、その進展をうながす新しい条件となりうる。日朝平壌宣言にもとづいて核兵器、拉致、過去の清算を含む日朝間の諸懸案の包括的解決をめざす日朝両国政府の努力を期待する。
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六カ国協議 北朝鮮の核問題を解決するための協議の場として、二〇〇三年に開始。北朝鮮、韓国、中国、日本、米国、ロシアの六カ国で構成。議長国は中国。〇五年九月の第四回協議で、基本原則や目標を定めた共同声明を採択。〇七年二月の第五回協議第三次会合で「初期段階」の措置、同年十月の第六回第二次会合で「第二段階」の措置に合意し、共同文書として確認しました。
ウラン濃縮 核兵器には、プルトニウムを用いる方法とウランを用いる方法があります。プルトニウムは原子炉の副産物としてできるため、北朝鮮はこれを利用して核開発を進めてきました。ウラン方式の場合、核兵器に使われるウラン235が天然ウランには、わずか0・7%しか含まれていないため、これを90%以上に引き上げるウラン濃縮作業が必要になります。米国は二〇〇二年の米朝高官協議で北朝鮮側がウラン濃縮計画を認めたと主張。北朝鮮は否定してきました。
(出所:日本共産党HP 2008年6月27日(金)「しんぶん赤旗」)
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