情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

「犬」によるコメントとジダンの頭をよぎったこと~辛淑玉「山椒のひとつぶ」より

2006-09-01 23:17:36 | ãã®ã»ã‹æƒ…報流通(ほかにこんな問題が)
辛淑玉さんのコラム「山椒のひとつぶ」(月刊マスコミ市民9月号)にジダンの頭突き事件が取り上げてあった。暴力を止めようとする発言が誰に向けられているのか,そこに注目すべきだとする内容で,いまの「テロ」問題を考えるうえでも示唆的なもの。以下,部分的に引用してご紹介します。

■■引用開始■■

私は最近,非暴力を口にする人を見ると,その人は誰に対してそれを言い続けているのか,ということに目を向ける。多くは,叩かれる側には非暴力を要求するのに,叩く側の暴力には言及しないからだ。
私は,こういうコメントを発する人を「犬」と呼ぶ。

■■引用終了■■

……「テロ」の原因を見つめることをしないで,ブッシュや小泉・安倍の対テロ戦争に賛成する者は,「犬」以下の呼称をご用意しないといけないということですね…。何がいいやろか。でも,辛さんの「犬」発言も,犬にかわいそうな気もする…。

■■引用開始■■

サッカー協会は,マテラッツィ選手の発言(ホモ野郎,お前に姉貴は娼婦だ)を人種差別的ではないとしたが,これはまぎれもなく,異性愛の男による「女性」と「性的少数者」に対する差別であり,「人種差別」そのものである。暴力以外の何ものでもない。

■■引用終了■■

……産経新聞によると,【杉浦正健法相は1日午前の記者会見で、自民、公明両党が「与党人権問題等懇話会」で協議を再開した人権擁護法案について「来年の通常国会に提出したいと(懇話会に)伝えてある」と述べ、法案提出を前提にした議論の早期取りまとめに期待感を示した。
 法相は、日本国籍に事実上限定する案も含めて懇話会に報告したと説明。「与党の議論を待って修正案を取りまとめたい。できるだけ早期に(提出したい)と思っている」と強調した。】という。

暴力防止装置を利用して,国家による少数者への暴力を実現しようとしている日本。頭突きでは足りそうにない!!


■■引用開始■■

姉を娼婦だと言われたとき,彼の脳裏には,貧しい移民の子として育ったその生活が,走馬燈のように回ったのではないだろうか。移民の子どもが這い上がるには,母や姉,他の家族の多くの犠牲がなければならない。そうやって資源を一箇所に集中させることで,ようやく貧しさから這い上がるのだ。
母や姉の犠牲があったからこそ,今の彼がある,一瞬の間に,苦労した母の手や姉の背中や,二人の微笑や涙が思い起こされたのだろうと思えてならない。今の栄光を守るために姉や母への侮辱を受け入れることは,人間としての尊厳を捨て去ることであり,許せなかったのではないか。

■■引用終了■■

……こう解釈することも可能な経過であるにもかかわらず,あの程度の挑発は日常茶飯事だという言い方でジダンを批判するのはやはりバランスを失していると言えるのではないだろうか。発言した方が「挑発すること」を目的としている以上,暴力を受けた方は,痛くもかゆくもないのだから…。



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