2023-07-09

【全文書き起こし】山下達郎のサンデー・ソングブック 7月9日(日)

この度、私のオフィススマイルカンパニー業務提携をしていた松尾潔氏が契約終了となり、そのことについて私の名を挙げたことで、ネット週刊誌等で色々と書かれております。私は、Twitterfacebookinstagramといったものを一切やっておりませんので、ネットで発信することができません。そのため、私の唯一の発信基地であるこの「サンデーソングブック」にて、私の話をみなさんにお聞きをいただこうと思います

少々長くなりますがお付き合いください。

まずもって、私の事務所松尾氏とはですね、彼から顧問料をいただく形での業務提携でありましたので、雇用関係にあったわけではない。

また、彼が所属アーティストだったわけでもなく、従って、「解雇」にはあたりません。弁護士同士の合意文書存在しておきます

松尾氏との契約終了についてはですね、事務所社長判断に委ねる形で行われました。松尾氏と私は、直接何も話をしておりませんし、私が、社長に対して契約を終了するよう促したわけでもありません。そもそも、彼とはもう長い間会っておりません。年にメールが数通という関係です。

今回、松尾氏がジャニー喜多川氏の性加害問題に対して、憶測に基づく一方的批判したことが、契約終了の一因であったってことは認めますけれど、理由は決してそれだけではありません。他にも色々あるんですけれど、今日この場では、そのことについては触れることを差し控えたいと思います

ネット週刊誌の最大の関心事はですね、私が、ジャニーズ事務所への「忖度」があって、今回の一件も、それに基づいて関与してるのでは?と言う根拠のない憶測です。

今の世の中は、なまじ黙っていると言った者勝ちで、どんどんどんどんウソ情報拡散しますので、こちからも思うところを、正直に率直にお話ししておく必要性を感じた次第であります

今、話題となっている性加害問題については、今回の一連の報道が始まるまでは、漠然とした噂でしかなくて、私自身は1999年裁判のことすら聞かされておりませんでした。当時、私のビジネスパートナージャニーズ業務兼務していましたけれど、マネージャーでもある彼が、いちタレントである私にそのような内情を伝えることはありませんでした。性加害が、本当にあったとすれば、それはもちろん許しがたいことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での事実関係調査っていうのは必須であると考えます

しかし、私自身がそれについて知ってることは何もない以上、コメントの出しようがありません。自分あくまでいち作曲家楽曲提供者でありますジャニーズ事務所は他にもダンス演劇映画テレビなど、業務人材も多岐にわたっておりまして、音楽業界の片隅にいる私にジャニーズ事務所の内部事情など、全くあずかり知らぬことですし、性加害の事実について私が知るすべも全くありません。

私は中学生だった1960年代初代ジャニーズ楽曲出会って、ジャニー喜多川さんという存在を知りました。何年か後に、初代ジャニーズ海外レコーディング作品を聞いて、私はとても感動してこの「サンデーソングブック」でも特集したことがあります

1970年代の末に、私の音楽を偶然に聞いたジャニーさんに褒めていただいて、そのご縁で、数年後に私のビジネスパートナーが、近藤真彦さんのディレクターとなったこから、「ハイティーンブギ」という作品が生まれました。その後も、ジャニーズ楽曲提供する中で多くの優れた才能と出会私自身も作品の幅を大きく広げることができ、成長させていただきました。

たくさんのジャニーズライブに接することができたおかげでkinki_kidsとの出会いがあって、そっから硝子の少年」という作品を書くことができて昨年の「アメージングラブ」まで、彼らとの絆はずっと続いております

芸能というのは人間が作るものである上人間同士のコミュニケーション必須です。どんな業界会社組織でおそらく変わらないでしょう。人間同士の密な関係が構築できなければ良い作品など生まれません。そうした、数々の才能あるタレントさんを輩出したジャニーさんの功績に対する尊敬の念は今も変わっていません。

私の人生にとって一番大切なことは「御縁」と「御恩」です。

ジャニーさんの育てた数多くのタレントさんたちが戦後日本でどれだけの人の心を暖め幸せにし夢を与えてきたか。私にとっては素晴らしいタレントさん達やミュージシャンたちとのご縁を頂いて、時代を超えて長く歌い続けてもらえる作品を創れたこと。そのような機会を与えていただいたことに心から恩義を感じています。私の一個人、一ミュージシャンとしてジャニーさんへのご恩を忘れないことや、ジャニーさんプロデューサーとしての才能を認めることと社会的倫理的意味での性加害を容認することとは、全くの別問題だと考えております作品に罪はありませんしタレントさん達も同様です。

繰り返しますが私は性加害を擁護しているのではありません。アイドル達の芸事に対するひたむきな努力を、間近で見てきた者として、彼らに敬意をもって接したいというだけなのです。ですから、正直残念なのは、例えば素晴らしいグループだったSMAPの皆さんが解散することになったり、最近ではキンプリが分裂してしまったり、あんなに才能を感じるユニットがどうして?と疑問に思います。私には何も分かりませんけど、とっても残念です。

願わくば、皆が仲良く連帯して素晴らしい活動を続けていって欲しいと思うのは私だけではないはずです。キンキ、嵐、他のグループみんな末長活動していって欲しいと思うばかりです。先日、あの男闘呼組再結成って嬉しいニュースがありましたが、同じようにいつか近い将来SMAPや嵐キンプリの再集合も実現するような日が来ることを竹内まりや共々に願っております

性加害に対する様々な告発や行動というのが飛び交う今でも、そして、彼らの音楽活動に対する私のこうした気持ちに変わりはありません。

私の48年のミュージシャン生活の中で、沢山の方々からいただいたご恩に報いることができるように、私はあくまミュージシャンという立場からタレントさん達を応援していこうと思っとります。彼らの才能を引き出し、良い楽曲を共に創ることこそが、私を本分だと思ってやってまいりました。

このような私の姿勢をですね、「忖度」あるいは「長いものに巻かれている」とそのように解釈されるのであれば、それでも構いません。

きっと、そういう方々には私の音楽不要でしょう。

以上が今回のことに対する私からのご報告です。

長々失礼しました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます

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