植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 17:22 UTC 版)
植物界の生物では、個体のあり方は動物とは大いに異なる。そもそも植物界の生物では、細胞を既存の体の外側に積み重ねることで成長が行われる。その結果、その形は成長に連れて積み上げ式に変化し、もとの体そのものは失われている。その点、同一の体の中で細胞の入れ替えを行う動物では個体の同一性が把握し易い。 一応は植物においても個体を区別できる。地下に根を広げ、地表に茎を伸ばし、葉をつけ、生殖器官を作るひとまとまり、より具体的には根元が共通の茎を持つものを一個体とみなせばよい。ただし、それが通用しない事例が多い。 植物の場合、成長点を頂点として、それに続く一連の同化器官を含む枝が形態的な単位として全体を構成している。それが一つしかないような、単一の茎の先に同化器官や花を、基部に根をもつものであれば、これを個体として認識するのは当然であり、そのような体をもつものもある。しかし、多くの植物においては一つの茎に複数の成長点があり、それぞれに植物体の単位と見なせる構造を備える。そのうち一つだけが活動している場合でも、他の芽が動き始める可能性がある。複数の芽が動いていれば、つまり複数の枝があれば、それだけ構造の単位が複数あることになる。それが根元から離れた部分であれば、基部の同一性は確保できるが、根元から枝が出れば、これを同一個体と見なす根拠は危うくなる。実際、そのような状態で、その枝から根が出れば、これをたやすく切り離して独立させることができる。いわゆる株分けである。 このように、植物においてはごく簡単に無性生殖によって株数が増えるものが多い。その結果、同じ遺伝子を持つ、いわゆるクローンが一つのかたまりとなって生存するものが多い。この場合、個々には個体と判断できるが、本来は同一個体であったものがひとまとまりに生活している。無性生殖で増えたのであるから、別の個体と考えることに何等問題はないが、匍匐茎などによって連絡が続いている場合もある。また、タケのように一つのコロニーが一度に開花して枯死する例など、コロニー全体を一つの個体と見た方がよいかもしれない例もある。
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 02:26 UTC 版)
陸上植物の表皮系(epidermis)には根・茎・葉・花などの体表面のほとんどを覆う表皮細胞(epidermal cell)と表皮細胞が不当分裂して出来る呼吸をつかさどる孔辺細胞(気孔 stoma)、様々な形態・機能を持つ毛状突起(trichome)、表皮細胞を守るクチクラ層(cuticle)等がある。 維管束植物では、表皮は一層の細胞が密に並んだ構造で、その表面に非細胞性のクチクラ層を持つ。ほぼ一様な細胞からなるが、種によっては毛を生じる。また、ガスの出入りを保証する気孔があり、これは孔辺細胞という細長い細胞が二つ並んだ間にあり、これらの細胞の変形によって開閉する。通常葉の裏面に多く分布する。なお、表皮細胞は葉緑体を持たないが、孔辺細胞はこれを持っている。植物の場合、表皮は表皮組織系として一つの組織系と認識される。
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 18:18 UTC 版)
花は、種子植物にとっての生殖器官である。単複世代交代型の生活環をもつ種子植物の受精は花粉と胚珠の接触(受粉)によって起こる。被子植物では花粉が雄蕊の葯、胚珠は雌蕊の子房で形成される。雄蕊にはその下に柄である花糸が、雌蕊にはその先端に柱頭があり、花にはこのほかに花びらや萼・蜜腺などの構造がある。裸子植物には子房は存在せず、雌花の露出した胚珠の表面に雄花で作られた花粉を直接受粉する。 これらの構造・形状は花粉の媒介方法の違い(風媒花・虫媒花など)により特徴付けられる。この構造と花粉媒介者の相互作用によって花は受粉を実現し、受粉後に形成される精子および精核を花粉管を通じて胚珠の卵細胞と接触させ受精に至るための器官である。花は植物の種によって雄蕊(雄性生殖器)・雌蕊(雌性生殖器)を併せ持つ両性花となるもの、同株上に雄蕊のみの雄花と雌蕊のみの雌花をつけるもの(単性花・雌雄同株)、株自体に雌雄の性別があり、それぞれ別個に雄花・雌花のみをつけるもの(単性花・雌雄異株)の違いがある。 バラ属の一種:雌蕊を取り囲む雄蕊(雌雄同株・両性花) 雌蕊の断面/n : 柱頭、p : 花粉、ps : 花粉管、e : 胚珠、fw : 子房 ザゼンソウ(両性花・雌雄同株、但し性表現が遷移する) アケビ(単性花・雌雄同株)/左:雄花、右:雌花 イチョウの雄花花穂(単性花・雌雄異株) 種子植物の場合、生活環の内で有性生殖に絡む部分が花に集約されているが、それ以外の有性生殖を行う植物ではシダ植物や藻類のように配偶子である細胞単位で直接に交接するなど、肉眼上では目立った生殖器官として観察できる部分を持つものは少ない。 コケ植物(蘚苔類)の場合、配偶体である葉状体(配偶体、コケのからだ)の上に独特の構造をもつ雌性生殖器である造卵器と雄性生殖器である造精器を形成し、それぞれに卵細胞と精子をつくる。雌・雄生殖器は直接的に交接はしないが、降雨の際などで冠水すると精子が水中に流れ出して遊泳し造卵器に達すると受精して、胞子を形成する。たとえば、ゼニゴケの場合は成熟すると、雌雄異株の葉状体上に目立った傘状の造精器・破れ傘状の造卵器を形成する。また、ジャゴケの雌器托(造卵器)はキノコ状だが、造精器は柄のない楕円形ものがそれぞれ葉状体上に形成される。 車軸藻の一種の生殖器官(上が造卵器、下の丸いのが造精器) ゼニゴケの一種の雄器托(造精器) ゼニゴケの一種の雌器托(造卵器) ジャゴケの雄器托(造精器) ジャゴケの雌器托(造卵器)
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 00:28 UTC 版)
詳細は「植物病理学」を参照 植物ウイルスには多くの種類があるものの、多くの場合は収量(英語版)の低下を引き起こすだけで、防除しようとしても経済的に成り立たないことが多い。植物ウイルスは「ベクター」と呼ばれる生物によって植物から植物へと繁盛に拡散する。これらの生物は通常は昆虫で、一部の真菌、線虫、単細胞生物もベクターであることが示されている。植物ウイルス感染症の防除が経済的であると考えられる場合は (例えば多年草の果実)、ベクターを殺し、雑草などの代替宿主を除去することに集中する。植物ウイルスは、生きている植物細胞内でしか繁殖できないため、人間や他の動物には無害である。
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 03:03 UTC 版)
柔組織は、細胞壁が木質化されていない柔細胞からなる組織を指す。貯蔵組織と同化組織に大別される。貯蔵組織は、根や芽、茎の中心にある髄と、表皮と中心柱の間のことである皮層に見られ、デンプンなどを蓄える。同化組織は葉肉(さく状組織と海綿状組織を合わせて葉肉と呼ぶ)のことで、葉緑体を含み、光合成と呼吸を担っている。
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/06 05:32 UTC 版)
一次細胞壁は顕著な引っ張り強度を持ち、それはセルロース分子または水素結合によって安定化したグルコース残基の長鎖から引き出されている。セルロース鎖は重なり合って平行に配列していることが観察され、類似する極性によりセルロースミクロフィブリルを形成する。植物においては、これらのセルロースミクロフィブリルは層状(正式にはラメラ(英語版)として知られる)に配置され、表面の長い架橋糖鎖分子によって細胞壁内で安定化している。糖鎖分子は、植物由来のセルロースがそれ自身を構成できる潜在的なネットワークの複雑さを増大させる。一次細胞壁で、セルロースミクロフィブリルと、相補的な糖鎖ネットワークの両方に隣接しているペクチンは、負に帯電したガラクツロン酸単位を多く含む多糖類である。さらに、セルロースミクロフィブリルは、制御された細胞増殖を介して植物の形状にも寄与している。細胞壁内のミクロフィブリルの立体的な配置は、最終的に細胞の成長と増殖につながる膨圧システムを形成する。セルロースミクロフィブリルは、細胞膜の細胞外表面にあるセルロース合成酵素によって組み立てられるという点で、独特なマトリックス高分子である。植物は、セルロースミクロフィブリルが微小管の皮質配列の上に配置される機構により、「ミクロフィブリルの配向を制御することで、その将来の形態を予測することができる」と考えられている。
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/28 06:22 UTC 版)
植物の場合、成長はすでにある栄養器官(根・茎・葉)を新たにつくっては積み上げてゆく過程である。生殖器官は成長が一定段階に達したときに、新たに作り出される。 このようになるのは、植物細胞は細胞壁に囲まれ、互いに密着しているので、新たな構造は既成の構造の上に積み上げる形でしか作り得ないからである。したがって、細胞分裂の部位も成長の最前線に限定される。このことを前川文夫は積み重ね体制と表現した。 植物の生長は、大きく分けると2つの段階がある。1つは細胞数の増加であり、もう1つは細胞の大きさの増加である。
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/01/16 12:40 UTC 版)
種子植物において、ある花期のうちに、個体内の個々の花が雌から雄へと性表現を変えることを指す。すなわち、開花時点では雌しべのみが成熟して花粉を受け取ることができるが(雌性期)、やがて雄しべが成熟し花粉を放出するようになる(雄性期)。性表現が変わる時期には、雌しべも雄しべも機能を持った両性期を伴うこともある(例; ザゼンソウ)。 両性花(ひとつの花に雌しべと雄しべがある)の場合、個体内の個々の花で性表現が雌から雄へと変わるものもあれば、花序単位で性表現が変わる場合もある。単性花(雄しべと雌しべが別々の花に分かれている)をつける場合、まず雌花が咲き、そのあと雄花が開花する。性表現の変化が個体全体で同調することもあり、この場合は、同じ個体が雌株として振る舞った後で雄株として機能することになる。
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/04 05:47 UTC 版)
生活史は、主として動物に対してつかわれる言葉であったが、植物に対しても使われる。どのように発芽し、どのように成長し、どのように繁殖してどれだけの種子を残すか、といった部分を考えれば、動物に対してと同じように考えることができる。草本であれば、一年生か多年生か、いつ発芽し、どのように葉を広げ、いつ、どのような花を咲かせ、どのような果実・種子を、どれだけ作るか、匍匐枝やムカゴでの増殖をするか、どのように越冬するかなどといった点が問題になる。
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/04 05:47 UTC 版)
コケ植物では、植物体本体が配偶体である。生卵器から卵を、造精器から精子を形成する。多くのコケ類では雌雄別株である。 シダ植物では、胞子から発芽した前葉体上に卵と精子を形成する。多くのシダ類では、同一前葉体上に生卵器も造精器も作られるので、雌雄同株である。サンショウモやデンジソウなど、水生シダなどに、大胞子と小胞子を作り、それぞれからは大小の前葉体を生じ、大きい方は卵のみ、小さい方は精子のみを生じるという、雌雄異株の例がある。 種子植物の生殖は基本的にシダ植物と同じである。種子植物の雄性前葉体は花粉管、雌性前葉体は胚珠の中の胚嚢である。その意味ではすべてが雌雄異株である。それぞれの前葉体は植物体(胞子体)の雌性生殖器(めしべ)、雄性生殖器(おしべ)からそれぞれ生じるが、そのままあたかも胞子体の一部のようにふるまう。そのため、花粉がめしべに受粉することを、類似的に接合のように見なすのが普通である。この意味では、被子植物の多くは雌雄同株と捉えることができる。 多くの雌雄同株の被子植物では、一つの花におしべとめしべを備える。このような花を「両性花」と呼ぶ。裸子植物の多くと一部の被子植物では、おしべのみを含む雄花と、めしべのみを含む雌花を同じ株の上につける。このような花を「単性花」と呼ぶ。植物によっては、同じ株に両性花と単性花をつけるものもある。両性花と雄花をつけるものを雄性両全性同株と呼び(ヤツデ、バイケイソウなど)、両性花と雌花をつけるものを雌性両全性同株と呼ぶ(エゾノヨモギギク)。 イチョウ、ソテツ、ヤマモモ、ヤナギなどは、株によって雄花か雌花かのどちらかしかつけないので、完全に雌雄異株である。 ヤマブドウは両性花をつけるが、各個体は雌しべか雄しべのいずれか一方が不完全な、機能的雌花と機能的雄花のどちらかしか咲かない雌株と雄株に分かれ、構造的には雌雄同株からの分化が不完全な、雌雄異株への過渡的な体制とみることができる。 本来的に雌雄同株であった種子植物が雌雄異株になった理由ははっきりと判っていないが、種子植物のおよそ半分は自身の花粉では受粉・結実しない(自家不和合性)といわれる。これをさらに推し進め、確実に自分以外の相手から受精し、同時に結実できない受粉による無駄を無くせるように進化したものが雌雄異株であると考えられる。 雌雄異株には、性染色体(XY型)によって決定されるもの(スイバ属など)や生育状況によって決定されるものがある。後者では、しばしば性転換がみられる。例えばテンナンショウ(サトイモ科)では、個体が小さい時は雄株になり、大きい時は雌株になる。これは雌株は種子や果実を成熟させるためにより多くの資源(栄養分や水分)を必要とするため、じゅうぶんな貯蔵を持つ大個体でなければその必要を満たすことが出来ないからである。したがって、雌株でも種子生産によって地下部の貯蔵が減少すると雄株に性表現を変える。またウリハダカエデのように、性転換は見られるがその要因がよく判っていない植物もある。
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植物の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/05 00:30 UTC 版)
植物は、弱い部分を枯死させることで冬を生き抜く。たとえば木本では葉を切り捨てるものが多い。これを落葉という。次の年に成長する新芽は厚い鱗片などで被われた冬芽となる。草本ではこのほかに、地上部を枯死させ、地下茎や球根で生き延びるものや、種子のみが生き延びるものもある。一部を捨てることをしない植物は常緑性という。冬のある地域で常緑性のものは、より温暖な地域のものに比べ、背が低く、葉が硬くて厚いなどの特徴を持つ。また、寒さに対して細胞内の糖分濃度を高めるものがあることも知られる。細胞内が氷結しにくくなるための適応と考えられる。 ラウンケルの生活形というのは、植物が冬にどう対処するかを持って植物の生活の型を分ける試みである。
※この「植物の場合」の解説は、「越冬」の解説の一部です。
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