矮小銀河の中心にも重いブラックホール
多くの銀河の中心にある超巨大質量ブラックホールはどのように生まれたのか。そのヒントとして観測された矮小銀河のブラックホールが、予測よりも重いことがわかった。現在の有力説に異を唱える結果となるか、さらなる確認が待たれる。
NASAの天文衛星「WISE」の全天赤外線観測データから、数百個の矮小銀河の中心にブラックホールが見つかった。これらのブラックホールは予測よりも重い、太陽の1000~1万倍の質量を持つ。
矮小銀河は大規模な進化プロセスを経ていないので、宇宙初期のころの原始的な銀河と類似していると考えられる。研究では、こうした矮小銀河のブラックホールを見ることで、宇宙初期にブラックホールがどのように生まれ、現在のような太陽の数百万~数十億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールに成長したのか、そのヒントを得ようとした。
矮小銀河の中心ブラックホールが意外に重いということは、現時点で広く知られる「銀河合体説」に異を唱えるものだ。この説のシナリオは、宇宙初期に銀河同士が衝突合体し、それぞれの中心ブラックホール同士も合体してどんどん重いブラックホールができていく、というものだ。だが、もし原始銀河のブラックホールが今回観測された矮小銀河のブラックホールくらいの質量があったならば、合体を経ずともすでにじゅうぶん大きいということになってしまう。
(※全文はソースにて)
矮小銀河 - Wikipedia
数十億個以下の恒星からなる小さな銀河である。我々の銀河系には2000億~4000億個の星が含まれているが、矮小銀河の規模はこの約1/100以下であり、特に小規模な矮小楕円銀河は球状星団と区別できないほどである。銀河系の伴銀河の一つである大マゼラン銀河には300億個以上の星があるが、矮小銀河に分類される場合もある。
我々の銀河系が属する局部銀河群にはたくさんの矮小銀河が存在する。これらの小さな銀河は、銀河系やアンドロメダ銀河、さんかく座のM33銀河など、より大きな銀河の周りを周回していることが多い。銀河系の周囲には12個の矮小銀河が周回していることが知られている。星の数が少なく絶対光度も低いため、局部銀河群に属するもの以外はわずかしか知られていないが、宇宙全体にわたって多数存在し、多くは大型の銀河の周囲を回っているものと考えられる。
矮小銀河の大部分は星間物質をほとんど持っておらず、主として種族IIの星で構成されている。矮小銀河は質量が小さく重力も弱いため、誕生の際に起こったスターバーストにより星間物質が加熱されて銀河外へ拡散してしまったためと推測される。
NGC 4395 - Wikipedia
NGC 4395は、直径約8分のハロを持つ低表面輝度の渦巻銀河である。北西から南東にかけて、いくつかの幅広い明るい領域が走っている。そのうち、最も南東にあるものが最も明るい。3つのパッチは、それぞれのNGCを持っており、東から西に向かって、4401、4400、4399が割り当てられている。
NGC 4395の核は活性であり、この銀河はセイファート銀河に分類される。質量が正確に決定されている最小の超大質量ブラックホールの1つを含むことで知られている。中央のブラックホールの質量は「たった」30万太陽質量であるため、いわゆる「中間質量ブラックホール」とも呼ばれている。
GALAXによって撮影されたNGC 4395の紫外線画像
ハッブル宇宙望遠鏡による画像
中間質量ブラックホール - Wikipedia
その質量が恒星質量ブラックホール(質量が太陽質量の10~数十倍)よりも著しく大きく、かつ超大質量ブラックホール(質量が太陽質量の100万倍以上)よりも遥かに小さいブラックホールのこと。
形成
2013年現在、中間質量ブラックホールが形成されるメカニズムには不明確な点が多いことから、恒星質量ブラックホールや超大質量ブラックホールと比べて少ない理由もわかっていない。
中間質量ブラックホールは、恒星質量ブラックホールと同じように1つの星の重力崩壊で生ずるには重過ぎる。また、超大質量ブラックホールを形成すると思われる銀河中心部の高密度高速度といった極端な環境を欠く。
中間質量ブラックホールの形成には次のようなシナリオが提唱されている。
・球状星団で形成された恒星質量ブラックホールが他の天体と衝突・結合しながら周囲のガスやちりを吸収して成長したもの。
・宇宙の草創期に密集したガスから誕生した太陽質量の1万倍以上の質量を持つ巨大な恒星がブラックホールに進化したもの。
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