う……。
めまぐるしく事態が展開していくような疾走感も、全てが明らかにされて事態が収束する瞬間の爽快感も(あまり)感じなかったのですけれど、なんでしょうか、この高揚感は……。
思うに増えてきたキャラクターたちが多方面で動いていることで、全体として「なにかが起こる」ような期待を抱かせるのではないかとー。
ザッピングシステムといいますかー。
もちろん動くキャラクターのことを知らずにこれをやられていても、物語優先として作者の姑息な意図を感じてしまって鼻白むことに終わるのかもしれませんけれど、8巻まで続いているシリーズにおいてはそれも無くて。
むしろ離れた場所にあっても息のあった行動をしている様を見せられると嬉しくなってしまうわ!(≧▽≦)
そう思うと今回は白兎の団員のあいだの信頼感や絆のようなものを強調して描いていたような。
伝令としてセリノスを送る場面でも、アスカに対する新雛小隊の評価にしても、そしていざ動くとなったレフレンシアの心中にしても。
レフレンシア様が「熱血」なんて設定あったかな~とも思ったのですけれど、自分のモノが自分の意図しないところで弄ばれたとあっては、なるほど怒り出しそうだなぁ……とは思ったりして(笑)。
身内と外を明確に別しているというか。
そのことは今回の作戦での注意事項としても伝えられていましたし。
作戦において目標を明確にすることはもちろん大切なことですけれど、そのために切り捨てられるモノを明確にしておくことも重要なことだと思うのです。
成功のためへの覚悟を示すことになりますし。
それは非情で冷徹なことと受け取られるかもしれませんけれど――実際、レフレンシア様はそう見られますし――、守るべき数少ないことを胸の内にたしかに持っているということは、やはり「熱い」人なのかも、ね。
今回の作戦は戦術というより戦略で勝利を得るものなのでスッキリとした爽快感が無いのも無理からぬことかも。
んでも、すぐに効果を表さないだろうことが予感できたので、こちらも読みながらガブリエラの意図を探ることができたので、そういう楽しみは十分に感じられました。
最初の一手さえ見逃さなければ、戦略的には見通すことができました♪
ガブリエラの作戦上、「あの場所」で起こることに対しては相手の出方に因る部分が大きかったので、普段のわたしならその都合の良さに眉をひそめるところかもしれないのですがー。
そこでの状況が十分に成功へ傾く可能性を秘めていたことは、それまでにしっかりと説明されていたので納得納得。
むしろあの世界に生きる人々の常識を逆手にとった作戦だと思えて、そういうところはガブリエラらしいなぁ……と思えもしました。
もちろんそうした「非常識」な作戦も、同じように「非常識」な組織である白兎騎士団であるからこそ行えたものでしょうけれど(^_^;)。
レフレンシア様がウェルネシアを連れて行ったところでは「彼女の特技を利用するんだろうなぁ」……と思いつつも、頭のどこかでは「彼女の胸の大きさを利用するのでは?」とか疑ってました(笑)。
今巻の表紙、パネェっすよ、ウェルは!!
デイレィだってそんなに貧乳ってわけでもないのに、並ばれると……なんだか可哀相な子みたいじゃないですか!(失礼な!)
でも本編ではデイレィの描写がわりと多くて、彼女が好きなわたしとしては満足満足。
アフレアと生い立ちのことを会話する描写もありましたし、そろそろebのサイトで公開されたものをまとめて短編集ですか~?(^-^)
……いや、でも、そろそろまとめてもらわないと、文庫のみの読者に悪いような気がするのですよーん。
あ、アスカ姉さんも好きなので、幕間劇での展開は喝采をもって迎えましたよ!
YEAH!(≧▽≦)
「久しぶりに十人全員が揃いましたわね」
顔を見渡したドゥイエンヌがそう言うと、その言葉をセリノスが引き取った。
「本当だね。勢揃いしたみんなの顔を見ていると、なんだってできそうな気がする」
まさにセリノスの言うとおり。
ちうか正確には「なんだってできそう」ではなく「なんだってやりそう」なのかもしれません。
それだけに読み手のわたしも、次はなにをやらかすのだろう……とドキドキするというか。
セビリィノの件からしばらくは十人が揃わなくて、そして状況から急かされるようにして動いていたように思います。
しかしここにきてついに仲間がそろった、いよいよ攻勢に出たのだと。
さぁ、なにをしてくれるのかな、欠けること無い【元祖】雛小隊は!
わたしが抱いた高揚感とは、じつはそういうことだったのかもしれません。
ああ、そうか。
10人が揃ったことが、わたしは嬉しかったのですね。
今巻で描かれたいちばんの絆は、やぱしそういうトコロであったのでしょう。