劣勢を打破!!
巻頭カラーです。
第1セットダウン直後の、最重要ゲームでブレイクを許してしまったエーちゃん。
しかもダブルフォルトという自滅。
少なからず、ショットを受け、思考もまとまらない。
初対戦の地元選手への対策、海外でのセルフジャッジの対応、体験したことのない暴風での試合、練習不足のコートで、しかも傾斜がある。
ここまで色々な要素があると、相手の戦術まで頭が回らず、自分のテニスをすることができない。
それでも今、できる限りのことはしている。
全部やり続けるしかない。
奇襲も頭に入れて相手をよく見ることに、努める。
風上でのリターンゲーム。
相手のサーブは伸びずに跳ねる。
それを意識してプレー。
そんな中、クリストフは、浅いロブを打ち上げる。
チャンスボールなのだが、風で球がブレる。
エーちゃんのスマッシュはタイミングが合わずに、ネットに引っかかってしまう。
これを計算した上でのロブだった。
それを皮切りに、ここまで単調だったクリストフの攻撃が変わる。
技で躱してきた思えば、力で押してきたりという戦術の多彩さ。
対策を講じると戦術が変わってしまう、難波江のようなスタイル。
だからいいところまでいっても、ブレイクに届かない。
とはいえ、ここままではどこかでブレイクしなければ負けてしまう。
とにかく集中し、焦らないようクリストフの戦略の情報を積み重ねる。
それでようやくクリストフの戦術の全体像が見えてきたセット終盤、賭けに出ようと思った矢先に、そのテニスを超攻撃的スタイルに変貌させる。
(どんな攻撃にも、すぐ対応してくる・・・・。あのノートでいったい何してるんだ? このセットで終わらせないと、最終セットは危ない・・・・。ここで断ち切る!)
これによって、クリストフがこのゲームをキープ。
ゲームカウントは5-3となる。
追い込まれたエーちゃんは、第9ゲームをキープ。
第10ゲームのブレイクに全てをかける。
クリストフのサーブを読んだりと、風上な分攻めたりと、ブレイクに向け全力を尽くす。
が、最後にクリストフのドロップ。
これに反応し、上手くすくい上げるが、ネットに引っかかり、越えず。
これでゲームセット。
6-1、6-4でエーちゃんは予選敗退となってしまう。
試合を終え、エーちゃんのプレースタイルを得体が知れず、危なかったと評化したクリストフ。
そして、そんなエーちゃん達の試合を観て、ふーんと興味を示した人物が。
わずか1日で帰路につくことになってしまったエーちゃん。
電車の中で、実力が出し切れなかったと悔やむ。
しかし、そういったことも含め、これが今の自分の実力だと実感することに。
まだ海外で戦うということが分かっていなかったのだと。
エーちゃんの海外遠征の初戦は、予選敗退という苦いものとなった。
そして後日。
エーちゃんはSTCに行き、青井コーチに詳細を報告。
と言っても、資金援助までしてもらったにもかかわらず、この結果ということで未だに引きずっているエーちゃん。
それを青井コーチはいい経験させてもらった分、いつかお返しするしかないと。
そして話題は次の試合。
中国、タイ、インドとどこにするかと。
エーちゃんとしても行きたいのは山々なものの、資金が厳しい。
ということで、青井コーチはスポンサーにプロテインのリポートをきっちりやって、敗戦を活かして積極的に海外挑戦する姿勢をアピールしたらどうかとアドバイス。
ということで、エーちゃんはすぐに連絡してみると。
そして青井コーチが、海外遠征を経験させようとしたのは、実際に行ってみないことにはコートも気候も風土も文化も分からないからこそ。
世界のトップはデ杯やGSを含め、年間最低でも17大会に出ることとなる。
世界中に散らばったその試合を、ポイント獲得のために転戦し続けなければならない。
要するに、それだけの体力、精神力、技術力に加えて資金力、順応性、知識も必要となる。
それを常にキープしながら向上させていかなければならない。
エーちゃんはそういう世界を目指しているのだから、まず何より海外遠征に慣れる必要があると。
そしてエーちゃんは、日本で試合のないシーズン、海外遠征を優先することに。
まず2月に中国、3月は国内で4月、5月はインド等アジア諸国での下部ツアー突破に挑戦することになる。
底辺からの挑戦、行く先は――というところで次回<#380 未体験ゾーン>につづく。
というわけで、エーちゃんのオーストラリアツアーは、予選1回戦負けという非常に残念な結果となってしまいました。
正直、思いのか、あっさり負けてしまってビックリですよ。
関東カラーなのに。
劣勢を打破って煽りだったのに。
まぁ、エーちゃん自身の言葉ではありますが。
「俺は・・海外で戦うってことが、全くわかってなかったんだ・・・・」
これが全てを表しているのだと思います。
実力とは別に、まだまだ足りないものがあったという。
実績不足により練習相手も確保ができず、言葉の壁でコミュニケーションに苦労し、最悪に近い天候とコートでの試合に、セルフジャッジ。
これでもかってくらいアウェイの洗礼を受けた形になりましたよね。
とはいえ、この敗戦が、逆にエーちゃんにとって、いい結果となるかもしれません。
心構え的なもので。
この辺はすぐにどうこうできるものではないでしょうが、一度それで失敗したエーちゃんは、もう大丈夫な気がしますので。
次の大会での躍進が期待できると思います。
まぁ、次回サブタイが未体験ゾーンですし、まだまだ何か波乱がありそうな雰囲気もありますが……。
ベイビーステップ(39): 週刊少年マガジン (少年マガジンコミックス)