第2セット、感覚派プレーを要所要所で取り入れたエーちゃんは12ゲームを、久しぶりに危なげなくキープ。
タイブレイクへと持ち込む。
このキープは今までとは違い、「不安定なジャンプショット」と「なっちゃん的なショット」に効果があった証拠。
だからデュースを繰り返すことなくキープできたのだと実感。
ちゃんとキープできれば、短期決戦のタイブレイクでも対等に戦える、タイブレイクを取れば、最終セットと意気込むエーちゃん。
一方観客席では、エーちゃんの両親が、ルールブックを手にタイブレイクのルールを確認中。
タイブレイクを対等に戦えたとしてもこのままでは緒方には勝てない。今のゲームは撹乱してキープしただけ。
この試合、準決勝、決勝と勝ち抜くには球威が大事。全てのポイントとはいかないまでも、全国トップレベルの球威で勝負していかないといけない。
チェンジオブペースの中で撹乱しつつ要所でジャンプショットを使う。
この試合の中でどこまでジャンプショットを自分のものにできるかが重要となる。
一方緒方。
うまくかわされたことを痛感。
トラのように機会をうかがって、ガブっといこうとしたらネコじゃらしだったようだと。
ドラになれず、気づいたらネコだったみたいだと。
しかし、たとえ自分がネコだとしても、あれだけチョロチョロされたら、どうしても仕留めたくなると、渾身のサーブを放つ。
それはフォルトになったものの、今日最速のサーブ。
セカンドサーブを際どい所を狙う緒方。
結果ダブルフォルトとなり、ポイントはエーちゃんに。
大事なファーストポイントを落とした緒方だが、それは緊張し萎縮してのプレーではなく、あえて強気で一気に決めにきているからこそのもの。
強気で攻めてきている緒方に対して、エーちゃんはあえて得意のフォアに緩いサーブを放ち意表をつこうとする。
が、今度は緒方も動揺することなく、ストレートに強烈なショットを決め、1-1とする。
撹乱も適度でないと単なるチャンスボールとなってしまい逆効果となってしまう。
エーちゃんの意外性のあるショットにも慣れ始め、意識さえしていれば何とかなると考える緒方はこのタイブレイクで勝負に決めにかかる。
続くエーちゃんのサーブにも強烈なリターンで返し、続くショットで前へ。
エーちゃんは重いショットをなんとか沈める。
そして前に詰めた緒方、先ほどはドロップショットを決められたことが脳裏をよぎる。
そして意識を前へ。
しかし緒方が狙ってきたのは、予想とは逆の深いショット。
追い詰められたエーちゃんは、強引にジャンプショットを打つものの、これがネットにひっかかり、2-1となる。
リードした緒方、相手の細かい反応にうまく対応でき、強い闘争心でガンガン抑え込めていることを実感。
一方2本のサーブ両方をやられたエーちゃんは、緒方がここにきて更に攻撃的になっていることを感じ、次の緒方のサーブ2本のうち最低1本はブレイクしたいと考える。
緒方のアドコートのサーブ。
コレまではワイドが6割、そして先ほどはセンター狙いでダブルフォルトとなっている。
加えて緒方の基本はオーソドックスということを考え、ここは一か八かでワイドにかけての勝負。
それが当たり、強烈なリターンを返す。
緒方もエーちゃんがヤマを張 ってのリターンなのを理解し、片手バックで返球。
これがネットに当たり、コードボールに。
エーちゃんは必死に走り、最後は飛び込んで打つものの、その球はネットに引っかかり、3-1と緒方のリードが広がる。
これにエーちゃんは思わず「クソッ」と声を上げて悔しがる。
それでもリターンで追い込んだから悪くないと考え、緒方を睨みつける。
このエーちゃんの様子に思わずビックリする緒方だが、スグに闘争心を出す不適な笑顔を浮かべる。
続く緒方のサーブ。
これに対応するものの、最後は両手バックをストレートに決められてしまい、4-1となってしまう。
この場面でさらに球が伸びてきている緒方に、苦しい表情を浮かべるエーちゃん。
次のサーブ2本ともキープできなければ、ほぼ勝ち目はなくなる。
撹乱作戦は効果が薄くなっていて、そうなるとジャンプショットに持ち込んでの勝負しかない。
ミスはできず、最悪あと3ポイントで終わってしまう。
ここで仕留める、絶対勝つと強い意思を見せる緒方。
そして強烈な重圧の中、エーちゃんはどうするというところで次回<#224 自信過剰>につづく。
トラになったつもりがネコだったと自己評価した緒方ですが、このタイブレイクに入って、強烈な闘争心を見せ、一段と際立った強さを見せ始めているわけです。
前回の勢いなら、このままエーちゃんがタイブレイクも一気に流れをもっていくかと思いきや、完全に緒方ペースで、完璧に追い込まれてしまったエーちゃん。
流石に、第2セットはすんなりエーちゃんが取るだろうと思っていただけに、このタイブレイクまでこんな混戦になるとは予想していませんでした。
いや、本当に。
さて、エーちゃんはジャンプショットに持ち込み、2本のサーブをキープできるのか。
気になるところです。
ベイビーステップ(22) (講談社コミックス)