林間学校最終日、天気は快晴。
しかし、昨晩、倉庫に二人でいた風太郎と一花を目撃してしまった三玖の心は未だ晴れず――。

(私たちは平等…。だとしたら、私はどうしたら…)
そして当の風太郎。
一花との一件は先生にも説明することになり、大目玉。
そして疲労から、そのまま倒れるように寝てしまった。
一緒に説明を聞いてた五月と三玖も半信半疑といった様子だったため、もう一度話をする機会を作りたいと思う風太郎だが。
「だるいし、寝よう」
二度寝を敢行。
と、それを阻止するべく現れた四葉。
「自由参加だからって逃しませんよ! スキー行きましょう、スキー!!」
そのまま風太郎をスキーに連行。
滑り倒すべくハイテンションの四葉と、寒くて眠くて滑れない風太郎はローテンション。
「寝るなんてもったいない! どうしても無理なら私が手を引いて滑ってあげます」
スキーで、スケートのようなその図は、さすがにそれは恥ずかしいため、風太郎も普通に練習することに。
そして風太郎は他の姉妹を探すも、辺りにはいない。
というのも、一花は体調を崩してベッドの上。
五月はその看病。
そして二乃はもう滑っていて、四葉スキー教室の生徒は風太郎と。
ゴーグルまで完全防備の三玖。
「み、三玖か…。顔だけだと、本当にわからないな」

思わず顔を覗き込もうとする風太郎に対して、思わず三玖は体を引いてしまい、盛大に転んでしまう。
「平気か?」
手を差し出す風太郎。
しかし対応を決めかねている三玖は、その手をする。
自力で起き上がる。
そして練習中の風太郎だが、その滑りはぎこちない。

そんな風太郎に声をかけてきたのは一花?
「体調はよくなったのか?」
「ゴホ、ゴホッ。まだ万全じゃないけど、心配しないで。あと五月ちゃんは顔を合わせづらいから、一人で滑ってるってさ」
「そうか…」
「一花ー!! この二人、全然言ったこと覚えてくれない!」
「それは俺がいつもお前に思ってることだよ」
生徒二人に不満を持つ四葉。
そして思わず風太郎もその発言にツッコミ。
「じゃあ楽しく覚えようよ」
と、一つ提案をする一花(?)。
「おいかけっこ。上手な四葉が鬼ね!」
と、そのまま滑り出してしまう。
ようやく進めるようになった程度の風太郎には無茶ぶりもいいところ。
しかし、考えようによっては、これは昨日しっかり話せなかった三玖に弁明するチャンスでもある。
「三玖一緒に…」
一緒に逃げようと誘おうとした三玖も、一人滑り出してしまっている。
「あ、あいつ。いつの間にあんな上達したんだ」
追いかける風太郎だが、三玖のペースに追いつけない。
そんな風太郎に並走してきたのは一花(?)。
「確認したいんだけど…。昨日のこと、誰にも言ってない?」
それを『一花が学校をやめるかもしれない』という話だと感じ取った風太郎。
「言えないだろ、あんなこと…」
「……。それって…」
核心的な話を聞き出そうとする一花(?)。
しかし。
「これ、どうやって止まんの?」
慣れていない風太郎は、滑りを制御できず。

「えええっ、上杉君!?」
一花(?)の悲鳴を背に、そのままそのまま直滑降。

そして何とか雪の塊に激突して、止まることのできた風太郎。
(四葉…。教える時は、しっかり教えてくれ…)
点を見上げたまま、そんな独白をする風太郎。
「あのー、大丈夫? というか生きてる?」
動かない風太郎を心配して、そんな声をかけてくれる人物が。
「お構いなく!」
ド派手なコケ方をしたため、注目を集めてしまっているため、そそくさとその場を立ち去る風太郎。
と、その手から、二乃からもらった絆創膏が落ちてしまい――。
「この絆創膏…」

「キンタロー君?」
先ほど声をかけてきたのは二乃。
しかも、絆創膏を落としたことで、自分が金太郎だとバレる始末。
注目を避けるため、フードを被ったからこそ、風太郎だとはバレていないものの、このままではピンチ。
「え? 違いますよ、なんですか、その変な名前」
と、誤魔化すことに。
「嘘! だって、これキミにしかあげてないもん。って、なんで逃げるの?」
バレるとまずい風太郎はとりあえず逃げることに。
(まずい! どうする…。ここで打ち明けるか、だましていたと。なんとか穏便に済ませる方法は…)
そして、そんな逃げる風太郎の先には、なんと四葉が。

四葉に捕まれば、そのまま二乃にもバレる。
誤魔化すには人気がなさすぎる。
前門の二乃に、後門の四葉。
逃げ場を失った風太郎。
もう、いっぱいいっぱい。
「キンタロー君」
「上杉さん」
二人に見つかる――タイミングだったが、その場に風太郎の姿はない。
「あれ…。四葉じゃない」
「二乃見っけ」
「そっちに金髪の男の子行ってない?」
「二乃こそ、上杉さんを見なかった?」
「おかしいわね…」
そんな二人の会話を聞く風太郎。
風太郎が逃げ込んだ先、それはボードとスキーが立てかけてある雪の塊の中。

それがかまくらになっていた。
しかも、その中に先客の三玖が。
「そうか、中は結構温かいな」
身じろぎする風太郎。
「フ、フータロー。狭いから…、あんんまり動いちゃだめ…」
とても広いとは言い難いかまくらなため、身体が接触してしまう。
「…悪い。じゃあ俺は出るから」
出て行こうとする風太郎の裾を掴む三玖。
「い、行かないで。出るのも…だめ…。もう…よくわかんない…」
「三玖?」
「ほ、ほら。まだ四葉がいるかも」
「確かに…」
「また追いかけられるのはごめんだな。もうしばらく邪魔させてくれ」
「! それがいいよ」
「そもそもあの無尽蔵のスタミナはなんだ。お前たちと同じ五つ子とは思えん」
「私も、ここがなかったら捕まってた」
「途中からスキー関係なくなったな」
(私…なんで、こんなこと…)
「どうやって逃げ切ろうか」
「……それなら…。そうだ、四葉にはハンデ貰おうよ」
「ハンデ?」
「何か…荷物を持ってもらって。足の速さを平等に」
「ま、その方が盛り上がるな」
「うん、じゃあ…」

「だが、俺は、あまり好きじゃないな」
三玖の提案に乗り気かと思われた風太郎の思わぬ言葉。
「え…」
「お前達5人は恐らく元は同じ身体能力だったろ、五つ子だし」
「だったらあの運動能力は四葉が後天的に身に着けたものだ」
「そうだけど…」

「遊びで何言ってんだって話だけどさ、その努力を否定したくない」
風太郎の言葉に、これまで風太郎と一花に対する何とも言えない感情がプレイバックし。
「全員平等もいいが、そこに至るまでを否定しちゃいけない。
平等じゃなく、公平にいこうぜ」
この言葉を聞いた瞬間、思わず立ち上がってしまう三玖。
が、かまくらの中ということで、頭をぶつけてしまう。
痛みに蹲る三玖だが。

「公平にいこうぜ」
この言葉を、噛みしめる様に口にする。
「って本格的に何言ってんだ。暑くて変なこと言っちまった。外の空気吸ってくる」
かまくらから出ていく風太郎。

そして一人になった三玖は一花に電話。
「何? どうしたの?」
「一花、あのね。話したいことがある」
みんな一緒の“平等”から、それぞれの努力に応じた“公平”へ。
吹っ切れた三玖の想いは――。
というところで次回に続く。
前回、三玖と五月に見られちゃったという所からの、林間学校3日目。
うん、まぁ、センサー反応させちゃったりと、そりゃ、教師に説明もしなきゃいけなくなりますよね。
むしろ、それだけで無罪放免されているのは、軽いまであるかも。
ですが、教師はともかくとして、三玖と五月は納得してないってのが、ありありと分かります。
三玖は、風太郎に対して素っ気ないですし。
というか、それ以上に、どう接すればいいのか、戸惑うって感じですね。
平等と自身に言い聞かせて、嫉妬もしきれなかった。
それが、今回の平等ではなく、公平という言葉でどう変わるのか。
そしてちゃっかり一花に成りすましていると思われる五月。
まぁ、風太郎への咄嗟の呼び方が『上杉君』、ワザとらしい咳。
その上で確認するとピアスもしていませんから、おそらくは間違いないかと。
強いて言うなら、18、19話で姉妹の真似があまり得意そうではなかった印象があるかなぁくらい。
まぁ、これはアドリブに弱い、人を騙すのに抵抗がある程度のものかなぁと。
そのことを鑑みると、今回の一花変装は、五月の意思もあるのでしょうが、一花プロデュースの可能性まであるのでは?
と思ったりもします。
まぁ、ちょっと穿ちすぎかもしれませんが。
五月が一花の看病をしている際に、二人にどんな会話があったのか次第といったところかと。
そして、二乃との絆創膏というアイテムをこの場面で、さらっと切ってくるとか。
もっと引っ張るかと思いましたが……。
二乃はこの林間学校中にもう一度金太郎と出会うことができるのか、どうか。
しかし、一花が体調不良。
風太郎もってフラグはずっと立っている気がするのですが、実際のところどうなるのか。
あっ、あと、五つ子は元は同じ身体能力だった云々のところで書きたいことがあったのですが、忘れていました。
まぁ、後日追記でいいかと。