月光は真理の反映
古来より、秘法とか秘教というものがあり、あまりに強力で高度なことは門外不出の秘密とされた。
なぜ秘密にするかというと、悪人に利用されることを恐れるというのとは違うと思う。
本当は、そのような秘密を全ての人々が知ることは良いことなのかもしれないが、無闇に公開すると、この秘密の効力が発揮されない事態となり、さらに、その偉大な力が長く、あるいは、永遠に失われる可能性があるからなのかもしれない。
その秘密を知り、使用することに関し、本来は修行も特別な勉強も必要ないかもしれないが、秘密が、一般大衆とは言わないまでも、霊的には拓けていないリーダーに知られた文明はことごとに滅んでいると思われるのであるから、やはりあまりに危険なものなのであろう。
しかし、人類は、この秘密と縁を切ることは絶対にできない。それは人類の終焉を意味することになる。
そこで、知恵ある人々は、秘密を直接には教えず、特別な弟子や学ぶ意志のある者達が自ずから発見できるように導くのだろう。
世の中で、「これこそ究極の秘法」とか「隠されたシークレットをついに公開」とか言われることがよくある。それらが完全な嘘であるとは思わないが、やはり直接的な秘密ではないのである。
よって、単にそれらを知り、書かれているとおりにやったところで顕著な効果が発揮されることは、実際の話としてほとんどない。しかし、やはり、全く価値のないものでもないのである。
効力がどのくらい発揮されるかは、切実さや心の純粋さにかかっている。大衆心理に飲み込まれないほどの切実さや心の純粋さである。
例えば、私はひきこもり気質の強いニートで、一生働く可能性はないと確信していたが、ジョセフ・マーフィーの本を読み、富豪とは言わないまでも、それ以降、職と金に困ったことはない。私は、子供の頃から精神的に学校を脱走し続けてきたので、世間の教義や信念の影響が他より少なかったのが幸いしたのかもしれない。
さて、真の秘法の、水滴に映った月のごとく、ほんの僅かな反映を取り上げる。
正しく解釈されないまま、なぜ聖書がかくも大きな影響を持ちつつ、絶えることがなく、これからも絶えないのだろうか?
日本では、古事記が、ほとんど顧みられていないように見えるに関わらず、なぜ全ての日本人の心の奥にあるのだろう?
世俗においても、ノーマン・ビンセント・ピールの著書が爆発的に売れ、トラインやワトルズの著書が百年を超える長命を保ち、陰りも見られないのはなぜだろう。あえて言えば、単に、内容の優れた本なら、他にいくらでもある。
日本にも、歴史的に数多くの大天才が出現し、偉大な書を残したが、私なら、正しく解釈できなくても古事記を薦める。原文ではあまりに退屈であろうから、現代語訳を薦めるが、どの現代語訳が良いかは、根本的に言うなら、どうでも良いのである。
これらのことからも、真の秘法を感じることもできるかもしれないのである。
我々の見る秘法は、月光のように反射された光だ。だが、そのしじまを友にすれば真実を知ることができる。
【新約聖書 福音書】 大正の終わりごろ、あるきっかけで、聖職者でない著者による、誰でも理解できる福音書の口語訳という、半生をかけた大事業が始まった。著者の8歳の娘にすらよく分かったような翻訳は困難を極めたと思うが、第二次世界大戦中には完成したようである。ただ、事情があり、出版までには年月を要した。我々がこれを読めるのは、大変な幸運であるかもしれない。 | |
【古事記物語】 明治15年(1882年)生まれの、児童文学者、小説家である鈴木三重吉による、子供からお年寄りまで読める、分かりやすい、しかし、端正で高貴な文章の古事記の名著。ハードカバー。 | |
【古事記物語】 鈴木三重吉の古事記物語の、PHP研究所による新書。解説が充実している。 | |
【あなたも幸せになれる】 本文でご紹介した、私をニートから脱出させたジョセフ・マーフィーの潜在意識活用の名著。顕著に真の秘法を反映している月光のような本だ。 |
The comments to this entry are closed.
Comments