偉大なる者
世界に不意に登場し、あっという間に最大の成功哲学の座に就いた印象もあるロンダ・バーン女史の「ザ・シークレット」ですが、私はようやく最近、3回熟読し、DVDも2度見ましたが、素晴らしいものであると思います。
話題のものであれば、当然、批判や懸念も多く、その中には善意ある鋭い指摘や、深い洞察もあると思いますが、それはそれで肯定的に使わせていただけば良いと思います。
「ザ・シークレット」が、そのエッセンスを多く取り入れている原典と言われるのが、ウォレス・ワトルズの「お金持ちになる科学」(邦訳は『富を「引き寄せる」科学的法則』他数冊)と、チャールズ・ハアネルの「ザ・マスター・キー」(原題:ザ・マスター・キー・システム)です。
いずれも、百年近いロングセラーを続ける名著で、確かにその主張に共通点が多く、ロンダ・バーンの言う通り、それがシークレットであるということなのかもしれません。
ところで、「ザ・シークレット」には引用されておりませんが、やはり成功哲学の歴史的名著で、ワトルズやハアネルの著作よりさらに前に、ラルフ・ウォルドー・トラインがわずか30歳で書いた「神と調和して」(原題:In Tune with the Infinite 邦訳は『人生の扉をひらく「万能の鍵」』他)があります。
まとめると、
「神と調和して」ラルフ・ウォルドー・トライン(1897)
「お金持ちになる科学」ウォレス・デロイーズ・ワトルズ(1910)
「ザ・マスター・キー」チャールズ・フランシス・ハアネル(1917)
となります。この3冊の至高の知恵の書が、10年の間に書かれたことは実に興味深いことです。
ところで、この3人の著者すら、畏敬の念を抱いていたと思われる思想家が、アメリカのラルフ・ウォルドー・エマーソンです。エマーソンは、「ザ・シークレット」でも何度か引用されていますが、その原典著作家達自体が、その最高の著書の中で何度も引用する驚愕の賢者です。
ワトルズは、エマーソンを研究したことを序文で明かしていますし、トラインにいたっては、ペンネームをエマーソンと同じラルフ・ウォルドーにしたほどですが、それは尊敬のあまりのことと思われ、著書の中でもエマーソンに最大の敬意を表しています。
また、ジョセフ・マーフィーやクラウド・ブリステルらも、彼らの世界的著作で何度もエマーソンの言葉を引用しています。
まさに、エマーソンこそ、成功哲学、あるいは、シークレットの源流と言えるほどの偉大な賢者ではないかと思います。
ところで、そのエマーソンが、人類史上の偉人・天才を6人取り上げています。それは、
プラトン
スウェーデンボルグ
モンテーニュ
シェイクスピア
ナポレオン
ゲーテ
です。
この中で、一般的にはあまり知られていないと思われるのがスウェーデンボルグです。
しかし、エマーソンがスウェーデンボルグを賞賛する言葉はとてつもないもので、エマーソンはスウェーデンボルグこそ、人類史上最大の知恵の持ち主と考えていたように感じます。
このスウェーデンボルグが、英国に滞在していた時のこと(57歳くらいの時のことと思います)、行きつけの店で夕食(昼食とする翻訳もある)を食べていたのですが、ちょっと食べ過ぎたと思いました。
その時、不思議な人物(翻訳によって、天使、あるいは、「神あるいは自分の中の霊かもしれない」と書かれている)が現れ、過食を戒めました。
以降、スウェーデンボルグは食を慎むようになったと日記に書いています。
スウェーデンボルグは、食を慎むことで浄化されたと明言し、いよいよ、霊界に参入する扉が開かれたのだと思われます。
この話から、食の慎みが人におよぼす影響の大きさを思わずにはいられません。また、これほどの人物が、老齢に近くなってもつい過食するのですから、食の欲望とは大きなものであると思い知ると同時に、我々でも、食を慎みさえすれば、大きな進歩向上が得られるという希望を感じます。
天界と地獄―ラテン語原典訳 スウェーデンボルグの代表的著作の1つで、数多くの翻訳が出ていますが、ラテン語原典から訳された貴重なものです。 | |
自己信頼 1841に出版された『エッセイズ 第1集』に収められたエマーソンのエッセイ「自己信頼」の新訳(2009年)です。現代的な言葉遣いで非常に分かりやすく訳されており、エマーソンの偉大な知恵に親しむ良い機会を得られるでしょう。 | |
人生の扉をひらく「万能の鍵」 百年をはるかに超えて世界中で読み継がれる名著です。フォード自動車創業者のヘンリー・フォードは高度な理念を持った偉大な企業家でしたが、彼は、この本が自分の成功の秘訣と言い、親しい人達に無償で配布したと言われます。 | |
富を「引き寄せる」科学的法則 本書も、数多くの翻訳が出ていますが、それは成功哲学書では非常に異例なことと思います。 著者ワトルズの、「富を得るということに関して、この本以上のものは現在はなく、他の本は一切読んではいけない」という驚くべき警告は、揺るぎない自信と同時に愛情ある善意を感じます。 |
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