長く使える美徳から学ぶ
私は、数年前から、家の中での着衣として作務衣(さむえ)を愛用している。
作務衣とは、僧侶の作業着として始まったが、現在では、普段着として愛用する人も多い。
今月(2009年1月)1日に30歳になったKinkiKidsの堂本光一さんも自宅で作務衣を着ているという話を聞いたことがある(彼は、休みはほとんど外出しないらしい)。
私は同じものを2着買ったが、1着だけで3年着ても、全く問題なかった。今年、やっと2着目を出した。もちろん、1着目もまだまだいくらでも着れる。
色は紺だ。自分では、とても似合うと思う。
和式の服というのは、サイズはかなり大雑把で良いという便利さ、気楽さがある。
作務衣も同様で、全体的にゆったりとしており、痩せている人と太っている人が同じものが着れる。
作務衣は、上下2対の和式の衣で、下側はズボンに似ているが、腰は、衣に通した紐で締めるので、ウエストサイズはほとんど関係がない。また、足首も紐で締めるので、脚の長さも関係なく着れる。
もともと、和服というのは長く着れるものであり、親から子、子から孫と受け継ぐものであった。良い和服となると、使えば使うほど、深みが出てくるものである。よって、流行を超え、時代を超えて着れるのが和服だ。
このあたりは、現代的な大量生産、大量消費と全く異なる。
長く使える。これは日本人にとって大切なことであると思う。
刃物でも、良いものは長く使える。
祖父から伝わる小刀を使っているというマタギ(日本式の狩猟者)の話を聞いたこともある。
資本主義的経済から言えば、同じものを大切に長く使うと、物が売れず、経済は発展しない。
しかし、大量消費が生み出す物的な豊かさが行き着く果ては見えたように思う。
もちろん、日々消費するものも多いし、それらの生産やリサイクルは効率的であった方が良い場合もあるだろう。
例えば、鉛筆である。ただ、筆記具でも、筆や万年筆であれば、やはり良いものは長く使えるのである。
ひょっとしたら、効率的に大量な生産が必要なものは、食料と燃料、あるいは染料(インク)といった、料の付くものくらいかもしれない。それと紙であるが、昔から、日本では紙の無駄遣いは戒められてきた。
自動車だって、日米の自動車メーカーはできるだけ早いサイクルで新車に乗り換えてもらえる戦略で儲けてきており、もともとが、10年、20年と乗れる車作りをしていない。それが間違いであることが、日米の自動車産業の衰退ではっきりしてくると思う。
ヨーロッパ、特にドイツ車は、長く乗れる車作りをしている。ポルシェなどは、モデルチェンジ前の車種が値上がりすることも珍しくはないが、これは日本では考えられない。そして、不況は不況かもしれないが、ポルシェやフォルクスワーゲンは案外に販売好調であるらしい。ただ、日本車的な車作りになってきていたベンツは打撃が大きいとも聞く。
経済の回復とは言っても、以前と同じに戻しては絶対にいけない。
金融が市場を支配するなんて馬鹿なことをさせてはいけない。
幸福に生きるために金融など必要ない。金融で利益を上げようと思うことが間違いであることをいい加減学ばなければならない。
真面目に物を作り、販売し、サービスすることに価値を認める世界にしなければ人類は終わりである。
正しい仕事でのビジネスチャンスはまだまだ沢山あるはずだ。本当に頭の良い人は、そのためのアイディアを出せるだろう。そこでは、個人が膨大な利益を得る可能性はあまりない。しかし、多くの人を安楽にすることで、真の満足が得られるに違いない。
良い和式ナイフは、刃も鞘も、使えば使うほど深みが出るし、手に馴染む。錆びる材質の刃は研ぎ直しで復活する。
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Comments
甚平(じんべい)とかも売れてたりしますよね。
風土で培われた服装には憧れますが、自分の地元の服装ってなんだろう・・。
Posted by: minami | 2009.01.11 01:37 PM
けいさんへ
こんにちは^^
良いものは単純で美しい。和服もナイフも機械もプログラムもよい物は長く人々に愛されます。私は機械技術者の端くれですが、よい図面は何十年も更新されることなく使い続けられています。
ドイツのおばちゃんがお気に入りの傘が壊れたので修理に出すという場面をテレビで見たことがあります。そのための店があるのですね。日本では考えられません。傘なんかは今では使い捨て感覚になっています。
日本の高度成長期に生まれ育った私ですが、現在の消費しなさい政策には違和感を感じます。
お袋は言ってました^^不景気不景気とテレビは毎日言ってるが、不景気なことはなにもない。今までがおかしかったのだと。
もったいないおばさんばんざいw日本は変革期にきていると思いますね^^昨日はおかか入りおのぎり一個ですごしました^^ちょっと贅沢にのり付きw
furom ゆう
Posted by: ゆう | 2009.01.11 03:17 PM
★minamiさん
甚平は作務衣とよく似てますね。
夏は甚平が良さそうですね。
私も、地元の服装までは分かりませんが、日本人なら作務衣かと。
★ゆうさん
ゆうさんのお母さんと同意見です。
傘にしろ、靴にしろ、服、カバン、何でも、修理屋がいなくなりましたね。生活できないでしょうからね。また、修理不能な製品が多いように思います。
物を大事にする日本の美徳は、年寄りすらなくしています。私の母は物を大事にしないので、よく私が怒っています(笑)。ちょっと贅沢させ過ぎたようです。
ゆうさんは、機械技術者さんでしたか?
ドイツには、使い込んで歯車が磨耗すればするほど動きが良くなる機械がよくあるそうですが、日本製品はそんなものはないと聞きます。
ドイツ製品は、やや高いが本物というものが多いと感じますね、
1日おにぎり1個とは、私以上の少食ですね。素晴らしい。。。
Posted by: Kay | 2009.01.11 07:00 PM