「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」読書感想文【まとめ】
ITプロジェクトのマネジメントにおいて、本書はまさに宝の山といえる。
一回の探索では持ちきれないほどのアイディアがザクザクと手に入る。しかも、ひとつひとつの宝が、著者の経験に裏打ちされ、考え抜かれているため、一回読みでは消化不良を起こす。それぞれのフェーズで読み返すことで、順番にモノにしていくやり方が良いかと。
このエントリでは、自分の振り返り読みのために、読書感想文エントリの目次と、次に読むべき本・サイトのをまとめた。わたしだけでなく、誰かの参考にもなればイイナ!
・オーバービュー
その2 1章「プロジェクトマネジメントの簡単な歴史」からの考察
・PMにとっての最重要ツール
・アート ―― 技芸と呼ぶ理由
・ホワイトボード地獄
その3 2章「スケジュールの真実」および、
3章「やるべきことを洗い出す」からの考察
・何のための開発プロセスか?
・見積もり確度を上げる2つの質問
・スケジュールを機能させるためにするべき8つのこと
その4 4章「優れたビジョンを記述する」からの考察
・シンプルにすると、本質が見える
・正しい疑問を持つ
・なぜビジョンが重要なのか
その5 5章「アイディアの源」および、
6章「アイディアを得た後にすること」からの考察
・優れたPMは質問の達人
・「見える」懸案一覧は強力なツール
その6 7章「優れた仕様書の記述」からの考察
・仕様書など書く必要がないと信じているプログラマ
・何をもって「正しい」とするのか(わたしの場合)
・仕様書について犯す最大の過ち
その7 8章「優れた意思決定の行い方」からの考察
・意思決定の重要度を決める
・意思決定をふり返る(死者とドーナッツ:Death and Doughnuts)
・メリット・デメリット表に、ひと工夫
その8 9章「コミュニケーションと人間関係」および、
10章「メンバーの邪魔をしない方法」からの考察
・歩き回るマネジメント
・コミュニケーションにおける銀の弾丸
・目からウロコ!→「優れた電子メールを誉める」
その9 11章「問題発生時に行うこと」からの考察
・問題発生時に行うべき8つの手順
・「責任を取る」とは何か?
・パフォーマンスとプレッシャー
その10 13章「ものごとを成し遂げる方法」からの考察
・ものごとを成し遂げる方法1 ―― どのように、成し遂げるのか?
・ものごとを成し遂げる方法2 ―― いつ、成し遂げられるのか?
なお、以下の章は、消化(昇華?)できるまでマネジメントの経験値が足りない。実践を通じて確かめてみよう。
12章「リーダーシップが信頼に基づく理由」
14章「中盤の戦略」
15章「終盤の戦略」
16章「社内の力関係と政治」
以下、本書を通じて知った読むべき本およびサイトを挙げる。冒頭のカッコ()内は本書で初出の頁数。あくまでも「わたし」にとって読むべき本・サイトなので、ご注意を…
- (p.12)トム・ピーターズの「完璧なプロジェクトマネージャの追求」(英語)[URL]:マネジメントにおいて、どのバランス感覚が重要となりうるかを考察している
- (p.74)ワインバーグ「要求仕様の探検学」[amazon]:設計に先立つ品質の作りこみ。要求仕様の洗い出しと文書化を行う手法を身につけることができる
- (p.107)著者のブログより、「批判の言い方、言われ方」(英語)[URL]:批判の「言われ方」の方が重要。感情に支配されず自分をオープンにすることが建設的な議論になるための鍵だという
- (p.139)「アイディアのまとめ方」(英語)[URL]:洗い出されたアイディアの可能性を検証し、有効性によって分類し、方向付けを行うためのテクニック
- (p.145)著者のブログより、「UIプロトタイピングの技芸」(英語)[URL]:プロトタイプにおける魔法の呪文なぞ、存在しない。それでも、UIプロトタイピングにおいて、ちょっとした経験・コツが確かにある。経験を得るまでの時間短縮のために
- (p.215)「対話テロリズム」(英語)[URL]:対話において卑劣な発言が実例とともに分類されている、コミュニケーションにおけるアンチパターン。ここにある行動・発言は絶対に避けるようにしたい。
- (p.264)「アンチパターンカタログ」(英語)[URL]:マネジメントや開発におけるアンチパターンがwikiでカタログ化されている
- (p.268)「ハーバード流交渉術」[amazon]と、「無理せずに勝てる交渉術」[amazon]の両方必読。交渉テクニックは否が応でも自己流から脱却しないと、いつまでたってもトライ&エラー&後悔の連続だろうから
- (p.326)「アポロ13」[amazon]:どうしようもない状況、限られた時間、非常に高いリスク、疑わしい解決策にさらされたとき、優れたプロジェクトマネージャは何を考え、どう行動するかを知ることができる「好例」だそうな、読むべ
- (p.422)「権力に翻弄されないための48の法則」[amazon]、「人を動かす」[amazon]、「影響力の武器」[amazon]:後2冊は再読だけれど、も一度読む。仕事本として、こんなん読もうとするのは、パワーを意識するお年頃なのかもしれないな
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コメント
はじめまして、「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」読書感想文シリーズ、毎回楽しみに読ませていただきました。(私が読み落としていた箇所の復習にもなって助かりました)
この本のamazonのカスタマーレビューがなんとまだゼロ件なので、dainさんの感想文を全部転用できたら、もっといろんな人の助けになりそうですね。(全文転載は大変そうですが・・・)
投稿: susatadahiro | 2006.11.02 08:14
>> susatadahiro さん
お役に立てて嬉しいです。お読みになった susatadahiro さんならお分かりかと存じますが、本書ほど集約的・網羅的な本はないでしょう。わたし自身が読み落としている箇所があるはずなので、ネットからのフィードバックを探してみようと思っています。
amazon レビューにここのURLを貼り付けることを考えましたが、アサマシ^2 になりそうなので、やめときます。
投稿: Dain | 2006.11.03 00:51
いつもチェックさせていただいています。
特にこのシリーズにはとても参考になり興味深く読ませてもらいました。より多くの人に混乱なく読んでもらえるよう、この記事の「その10」のリンク先へ上手くとべるよう直していただけるとありがたいです。
投稿: kakuda | 2006.11.24 06:53
>> kakuda さん
ご指摘ありがとうございます、張りなおしておきました。長いエントリですが、本書のノウハウのわずか1/10程度だと思っています。また、人により得るもの・気づきが異なるはずです。ぜひ手にとってみることをオススメします。
投稿: Dain | 2006.11.25 00:35