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デュオ 三題

 そろそろネタ切れという感じの三題噺ですが、5回目はデュオのアルバムです。
 デュオの個人的定番と言えばPat MartinoとGil Goldsteinの「We'll be Together Again(1976、Muse)」、Gil EvansとSteve Lacyの「Paris Blues(1987、Owl)」あたりですが、ここでは1990年代以降のデュオのアルバムを古い順に例によって3枚取り上げます。

①Steve Coleman, Dave Holland / Phase Space
Label: DIW
Rec. Date: Jan. 1991
Personnel: Steve Coleman (as), Dave Holland (b) 
Coleman Steve_199101_Phase Space
1. Ah-Leu-Cha  2. Dream of the Elders  3. Syzygy  4. Straight Ahead  5. In Brief  6. Prescience  7. Cud Ba-Rith  8. Little Girl I'll Miss You  9. See Saw

 1990年代前半くらいまでは好感を持って聴いていましたが、その後、何だか色んなことをやり過ぎて「正体不明」のミュージシャンになっちゃった・・・Steve Colemanは私にとってそういう存在です。
 このアルバムは、私が彼をまだ理解(支持?)していた頃の1991年に、日本のDIWが録音したDave Hollandとのデュオです。マウスピースをぎゅっと強く噛み無心に吹くSteve Colemanを、安定度抜群のDave Hollandがしっかりと支え、しみじみ聴かせます。
 二人のオリジナルの他、Parkerの"Ah-Leu-Cha"、Mal Waldronのバラード"Straight Ahead"、Bunky Greenの美メロ"Little Girl I'll Miss You"を取り上げた選曲もナイスです。


②Sam Rivers, Alexander von Schlippenbach / Tangens
Label: FMP
Rec. Date: Nov. 1997
Personnel: Sam Rivers (ts, ss, fl), Alexander von Schlippenbach (p)
Rivers Sam_199711_Tangens
1. Tangens α (alpha)  2. Tangens β (beta)  3. Tangens γ (gamma)  4. Tangens δ (delta)  5. Tangens ε (epsilon)

 フリージャズの巨匠(?)のデュオ、しかも危険レーベルFMP(Free Music Production)、さらに無愛想な曲タイトル・・・善良なジャズファンを遠ざける要素に事欠かないアルバムですが、何も臆することはありません。
 基本フリーフォームのインプロですが、サウンドを支配するキーワードは「静寂」で、Sam Riversに合わせているのでしょうか、この強面ピアニストはグッと抑制を効かせたプレイで御大に寄り添っているように聴こえます。Sam Riversはいつもの「暖かさ」を感じさせるプレイで、テナー、ソプラノ、フルートの三つの楽器を操りますが、とりわけテナーのどこまでも「深い」プレイが強い印象を与えます。


③Andrew Cyrille, Greg Osby / Low Blue Flame
 Label: Tum Records
Rac. Date: Jan. 2005
Personnel: Greg Osby (as, ss), Andrew Cyrille (ds)
Cyrille Andrew_200512_Low
1. Equalatogram  2. Work  3. With You in Mind (instrumental)  4. Cyrille in Motion  5. No. 11  6. Noodle  7. Striation  8. With You in Mind (ricital)  9. Low Blue Flame  10. Pop Pop  11. Concepticus  12. The Music in Us  13. Roscoe

 Andrew Cyrilleとサックス奏者とのデュオと言えば、私の大好物Jimmy Lyonsと共演した「Something in Return(1981、Black Saint)」がありましたが、本作はそれから四半世紀後に録音された、これまた贔屓のGreg Osbyとのデュオアルバムです。
 「Something...」のやや攻撃的で力強いサウンドとは対照的に、静かに優しく、そして丁寧に演奏されるデュオです。Greg Osbyファンとしては彼の深い音色のサックスを味わうには持ってこいのアルバムですし、Andrew Cyrilleが叩き出すプリミティブなリズムは、彼でしか成し得ない独特の世界を創り出し、これは名人芸と言ってよいでしょう。

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半世紀ジャズを聴いている新米高齢者♂です

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