21世紀のBunky Green 三題
デュオ 三題の記事のSteve Colemanの項で、アルトサックス奏者Bunky Greenのことを少し触れました。
Bunky Green・・・名前を聞いたことはある、1960年代からリーダーアルバムを出していたらしい、ひょっとすると彼のレコードをどこかで聴いたことがあるかもしれない、そんなミュージシャンでしたが、今世紀に入って、遅ればせながら彼の素晴らしさを認識したところです。
そこで前回の記事に引き続いての三題噺になりますが、長いブランクを経てBunky Greenが今世紀に入って発表した3枚のリーダーアルバムを取り上げることにします。
①Bunky Green / Another Place
Label: Label Bleu
Rec. Date: Nov. 2004
Personnel: Bunky Green (as), Jason Moran (p), Lonnie Placxico (b), Nasheet Waits (ds)
1. It Could Happen to You 2. With All My Love 3. Another Love 4. Tune X 5. BE 6. Soul Eyes
1989年録音の「Healing the Pain(Delos International)」から15年後に録音された実に久々のリーダーアルバムです。1935年生まれのBunkyは録音当時69歳。プロデューサーはSteve Coleman。CDに掲載されているBunky本人の謝辞には"Thanks again to Steve Coleman for finding me"と記されています。
私はこのアルバムでのウネウネと上下する個性的なフレーズを吹き切るBunkyのアルトを聴いて、Greg OsbyやSteve Colemanの「源流」近くにはBunky Greenが居たということを確信しました。また下記2枚のアルバムも同様ですが、彼の手によるオリジナルも、彼のプレイと同様に実に個性的です。
Jason Moranらのピリッとしたリズム陣が支える緊張感に包まれたサウンドで、Bunkyのプレイには、理想的なメンバーと共に久しぶりにリーダーアルバムを録音できる喜びが溢れているように聴こえます。
②Bunky Green / The Salzau Quartet Live at Jazz Baltica
Label: Traumton Records
Rec. Date: July 2007
Personnel: Bunky Green (as), Carsten Daerr (p), Eva Kruse (b), Nasheet Waits (ds)
1. Tunex 2. It Could Happen to You 3. Little Girl I'll Miss You 4. Another Place 5. With All My Love 6. Blues for Vienne
ドラムはお馴染みのNasheet Waits、ピアノと女流ベースはドイツのミュージシャンのようで、臨時編成のカルテット(Salzauとはドイツの川の名前)による当地で開催されたジャズフェスティバルJazz Balticaでのライブです。
アルバムの完成度は上記「Another Place」、或いは下記「Apex」には及びませんが、Bunkyのライブならではの生々しいプレイには、スタジオ盤とは違った魅力があります。
このアルバムも2曲目以外は彼のオリジナルで固められており、終曲は少々アブストラクトな高速ブルースをブロウし、最後まで自由にやりきってステージを閉じる・・・70歳を過ぎてたいしたものです。
③Rudresh Mahanthappa & Bunky Green / Apex
Label: Pi Redordings
Rec. Date: Apr. 2010
Personnel: Rudresh Mahanthappa (as), Bunky Green (as), Jason Moran (p), François Moutin (b), Jack DeJohnette (ds) [1.2.9.10.], Damion Reid (ds) [3.4.5.6.7.8.]
1. Welcome 2. Summit 3. Soft 4. Playing with Stones 5. Lamenting 6. Eastern Echoes 7. Little Girl I'll Miss You 8. Who? 9. Rainer and Theresia 10. The Journey
Bunkyの相方のRudresh Mahanthappaは、私の知る限り今世紀に入って注目を浴びるようになったアジア系アメリカ人で、その出自も影響してか、実に個性的かつ変態的なプレイを聴かせるアルト奏者です。バックは「Another Place」にも参加していたJason Moran、ベースFrançois Moutin、ドラムは4曲にJack DeJohnetteが参加する豪華メンバーです。
フロント二人は頑なに個性を主張しますが、二人の~似ているようで似ていない~際立つ個性の絡み合いによって、実に「聴かせる」2管フロントのアルバムになっています。「Another Place」も同様ですが、これはJason Moranに負うところも大きいと思います。
このアルバムが録音されて以来Bunkyの消息は聞こえてきませんが、ジャズを聴き始めて三十年ほど経った今世紀に入って、Bunky Greenという輝かしい個性に巡り会えたことに感謝したいという気持ちです。
Bunky Green・・・名前を聞いたことはある、1960年代からリーダーアルバムを出していたらしい、ひょっとすると彼のレコードをどこかで聴いたことがあるかもしれない、そんなミュージシャンでしたが、今世紀に入って、遅ればせながら彼の素晴らしさを認識したところです。
そこで前回の記事に引き続いての三題噺になりますが、長いブランクを経てBunky Greenが今世紀に入って発表した3枚のリーダーアルバムを取り上げることにします。
①Bunky Green / Another Place
Label: Label Bleu
Rec. Date: Nov. 2004
Personnel: Bunky Green (as), Jason Moran (p), Lonnie Placxico (b), Nasheet Waits (ds)

1. It Could Happen to You 2. With All My Love 3. Another Love 4. Tune X 5. BE 6. Soul Eyes
1989年録音の「Healing the Pain(Delos International)」から15年後に録音された実に久々のリーダーアルバムです。1935年生まれのBunkyは録音当時69歳。プロデューサーはSteve Coleman。CDに掲載されているBunky本人の謝辞には"Thanks again to Steve Coleman for finding me"と記されています。
私はこのアルバムでのウネウネと上下する個性的なフレーズを吹き切るBunkyのアルトを聴いて、Greg OsbyやSteve Colemanの「源流」近くにはBunky Greenが居たということを確信しました。また下記2枚のアルバムも同様ですが、彼の手によるオリジナルも、彼のプレイと同様に実に個性的です。
Jason Moranらのピリッとしたリズム陣が支える緊張感に包まれたサウンドで、Bunkyのプレイには、理想的なメンバーと共に久しぶりにリーダーアルバムを録音できる喜びが溢れているように聴こえます。
②Bunky Green / The Salzau Quartet Live at Jazz Baltica
Label: Traumton Records
Rec. Date: July 2007
Personnel: Bunky Green (as), Carsten Daerr (p), Eva Kruse (b), Nasheet Waits (ds)

1. Tunex 2. It Could Happen to You 3. Little Girl I'll Miss You 4. Another Place 5. With All My Love 6. Blues for Vienne
ドラムはお馴染みのNasheet Waits、ピアノと女流ベースはドイツのミュージシャンのようで、臨時編成のカルテット(Salzauとはドイツの川の名前)による当地で開催されたジャズフェスティバルJazz Balticaでのライブです。
アルバムの完成度は上記「Another Place」、或いは下記「Apex」には及びませんが、Bunkyのライブならではの生々しいプレイには、スタジオ盤とは違った魅力があります。
このアルバムも2曲目以外は彼のオリジナルで固められており、終曲は少々アブストラクトな高速ブルースをブロウし、最後まで自由にやりきってステージを閉じる・・・70歳を過ぎてたいしたものです。
③Rudresh Mahanthappa & Bunky Green / Apex
Label: Pi Redordings
Rec. Date: Apr. 2010
Personnel: Rudresh Mahanthappa (as), Bunky Green (as), Jason Moran (p), François Moutin (b), Jack DeJohnette (ds) [1.2.9.10.], Damion Reid (ds) [3.4.5.6.7.8.]

1. Welcome 2. Summit 3. Soft 4. Playing with Stones 5. Lamenting 6. Eastern Echoes 7. Little Girl I'll Miss You 8. Who? 9. Rainer and Theresia 10. The Journey
Bunkyの相方のRudresh Mahanthappaは、私の知る限り今世紀に入って注目を浴びるようになったアジア系アメリカ人で、その出自も影響してか、実に個性的かつ変態的なプレイを聴かせるアルト奏者です。バックは「Another Place」にも参加していたJason Moran、ベースFrançois Moutin、ドラムは4曲にJack DeJohnetteが参加する豪華メンバーです。
フロント二人は頑なに個性を主張しますが、二人の~似ているようで似ていない~際立つ個性の絡み合いによって、実に「聴かせる」2管フロントのアルバムになっています。「Another Place」も同様ですが、これはJason Moranに負うところも大きいと思います。
このアルバムが録音されて以来Bunkyの消息は聞こえてきませんが、ジャズを聴き始めて三十年ほど経った今世紀に入って、Bunky Greenという輝かしい個性に巡り会えたことに感謝したいという気持ちです。