Ron McClure / Inspiration
Label: Ken Music
Rec. Date: April 1991
Personnel: Richie Beirach (p), Ron McClure (b), Adam Nussbaum (ds)
1. Inspiration [McClure]
2. On Green Dolphin Street [Bronislaw Kaper, Ned Washington]
3. Last Rhapsody [Beirach]
4. Dream Tigers [Beirach]
5. Goodbye [Gordon Jenkins]
6. Night and Day [Cole Porter]
7. Fairy Tale Visions [McClure]
8. What are the Rules? [Beirach]
9. Flamenco Sketches [Miles Davis]
10. Footprints [Wayne Shorter]
このように馴染みの三人によるピアノトリオですので、出てくる音は全くの予想どおり、すなわちバイラークの他のアルバムと同じように、硬質な現代ピアノトリオといった感じのサウンドです。この人(バイラーク)は70年代からずっと「ゴリゴリ」を引き継いで(或いは引きずって?)いますね。ただし本アルバムのポイントは、やはりリーダーのマクルーアのプレイでしょう。
例えばマクルーア・オリジナルの冒頭曲、ほとんどリーブマンのユニットQuest(クエスト、マクルーアも参加)の(ゴリゴリの)世界ですが、さすがに自身のリーダアルバムだけあって、中央部に置かれたベースが細かいパッセージを繰り出して存在感を示すとともに、高い緊張感を演出しています。
例えば2曲目のグリーン・ドルフィン、バイラークやリーブマンのアルバムでしばしば用いられたアレンジを踏襲した演奏で、ここでも後半にマクルーアの品の良いソロがフィーチャーされます。
続く3曲目はいかにもバイラークらしいオリジナル・・・あの”Elm”の世界です。ここでのマクルーアの懇ろなソロも見事で、このように曲を追っていくうちにリスナーの耳がどんどんベースに引き寄せられていくという感じでアルバムが進んでいきます。
ラス前マイルスの” Flamenco Sketches”では大きくベースをフィーチャーしながらのしっとりとした演奏、ラストのショーター” Footprints”ではバイラークがゴリゴリと畳みかけるバックでベースとドラムが力強くサポートする力演でアルバムを閉じます。
目新しさはあまりないものの、平均点を間違いなく上回るクオリティのピアノトリオで、この三人であればこれくらいの出来はある意味当然でしょうが、アルバム全体を通して光るマクルーアのプレイのおかげで、バイラーク(やリーブマン)の他のアルバムとは少し別の匂いもするトリオになったと思います。
『Tom Cohen Trio』(1995, 96年録音、Cadence Jazz)
Ron McClure(ロン・マクルーア)のベースに、Richie Beirach(リッチー・バイラーク)のピアノとAdam Nussbaum(アダム・ナッスバウム)のドラムが加わるピアノトリオで、ベーシスト・マクルーアのリーダー名義の『Inspiration』というアルバムです。
実はこの記事の最下段に掲げた二枚のアルバムと一緒に『ベース・ドラムがリーダーのピアノトリオ』という三題噺に最初はしようかなと思ったのですが、特に下記二枚はさんざん話題になったアルバムなのでこれは止めにして、今回は小細工なしにマクルーア盤を単独で取り上げることにしました・・・どーでもよい話ですが。
話を『Inspiration』に戻します。
リッチー・バイラークはもちろんのことロン・マクルーア、アダム・ナッスバウムともに我らがDavid Liebman(デビッド・リーブマン)とはしばしば共演してきた私にとってはお馴染みの面々ですが、この三人によるピアノトリオは本作のみと思われます。
演奏される楽曲は、バイラークとマクルーアのオリジナルの他に、よく知られたスタンダード・ナンバーやジャズメン・オリジナルが選ばれています。
実はこの記事の最下段に掲げた二枚のアルバムと一緒に『ベース・ドラムがリーダーのピアノトリオ』という三題噺に最初はしようかなと思ったのですが、特に下記二枚はさんざん話題になったアルバムなのでこれは止めにして、今回は小細工なしにマクルーア盤を単独で取り上げることにしました・・・どーでもよい話ですが。
話を『Inspiration』に戻します。
リッチー・バイラークはもちろんのことロン・マクルーア、アダム・ナッスバウムともに我らがDavid Liebman(デビッド・リーブマン)とはしばしば共演してきた私にとってはお馴染みの面々ですが、この三人によるピアノトリオは本作のみと思われます。
演奏される楽曲は、バイラークとマクルーアのオリジナルの他に、よく知られたスタンダード・ナンバーやジャズメン・オリジナルが選ばれています。
このように馴染みの三人によるピアノトリオですので、出てくる音は全くの予想どおり、すなわちバイラークの他のアルバムと同じように、硬質な現代ピアノトリオといった感じのサウンドです。この人(バイラーク)は70年代からずっと「ゴリゴリ」を引き継いで(或いは引きずって?)いますね。ただし本アルバムのポイントは、やはりリーダーのマクルーアのプレイでしょう。
例えばマクルーア・オリジナルの冒頭曲、ほとんどリーブマンのユニットQuest(クエスト、マクルーアも参加)の(ゴリゴリの)世界ですが、さすがに自身のリーダアルバムだけあって、中央部に置かれたベースが細かいパッセージを繰り出して存在感を示すとともに、高い緊張感を演出しています。
例えば2曲目のグリーン・ドルフィン、バイラークやリーブマンのアルバムでしばしば用いられたアレンジを踏襲した演奏で、ここでも後半にマクルーアの品の良いソロがフィーチャーされます。
続く3曲目はいかにもバイラークらしいオリジナル・・・あの”Elm”の世界です。ここでのマクルーアの懇ろなソロも見事で、このように曲を追っていくうちにリスナーの耳がどんどんベースに引き寄せられていくという感じでアルバムが進んでいきます。
ラス前マイルスの” Flamenco Sketches”では大きくベースをフィーチャーしながらのしっとりとした演奏、ラストのショーター” Footprints”ではバイラークがゴリゴリと畳みかけるバックでベースとドラムが力強くサポートする力演でアルバムを閉じます。
目新しさはあまりないものの、平均点を間違いなく上回るクオリティのピアノトリオで、この三人であればこれくらいの出来はある意味当然でしょうが、アルバム全体を通して光るマクルーアのプレイのおかげで、バイラーク(やリーブマン)の他のアルバムとは少し別の匂いもするトリオになったと思います。
『Tom Cohen Trio』(1995, 96年録音、Cadence Jazz)
Ron Thomas (p), Mike Richmond or Bill Zinno (b), Tom Cohen (ds)