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Jukkis Uotila / Hunters and Gatherers

Label: Double-Time Records
Rec. Date: May 1997
Personnel: David Liebman (ss, ts), Jarmo Savolainen (p), Anders Jormin (b), Jukkis Uotila (ds)
Uotila Jukkis_199705_Hunters 
1. The Gatherers [Savolainen]
2. My Child at Play [Liebman]
3. "0" [Jormin]
4. Blues [Jormin]
5. Wayne [Uotila]
6. Steeplechase [Charlie Parker]
7. Tranquility [Uotila]
8. The Hunters [Savolainen]

 我らがDavid Liebmanが参加するドラマーJukkis Uotila(ユッキス・ウオティーラと表記されることが多いようです、以下同様、1960年フィンランド生まれ)の1997年録音のリーダーアルバムです。
 リーブマンのワンホーン・カルテットの編成で、他のリズムはJarmo Savolainen(ヤルモ・サヴォライネン、1961年フィンランド産)のピアノ、Anders Jormin(アンデルス・ヨルミン、1957年スウェーデン産)と、リズム陣全員が北欧出身で固められており、Double-Timeはアメリカのレーベルですが、フィンランド・ヘルシンキでの録音ということで、「Dave Liebman and Lluis Vidal Trio」と同様に、彼が渡欧して現地のミュージシャンと録音した「単身赴任」アルバムです。

 このようにリズムの三人は北欧出身ですが、いずれも私にとっては馴染みのあったミュージシャンで、例えば、ピアノのJarmo Savolainenは自身のリーダーアルバム「First Sight(1991年録音、Timeless)」(Wallace Roney参加)、「True Image(1994年録音、A Records)」(全11曲中5曲にリーブマン参加)、ベースのAnders Jorminは「Charles Lloyd / The Call(1993年録音、ECM)」などで既に聴いていました。
 中でもリーダーのJukkis Uotilaは、本作から遡ること14年、リーブマンが参加(ただしLPのA面のみ)した「Introspection(1983年録音、Fnac Music)」(ジャケット写真は本記事の最下段に掲載、CDもあります)というアルバムがあって、ビル・フリーゼルの変態ギターも炸裂し、強い印象を残す快作でした。

 1983年の「Introspection」以来、Jukkis Uotilaが久しぶりにリーブマンを迎えた本作「Hunters and Gatherers」ということになりますが、リーブマンがテナーに本格復帰した「The Return of the Tenor」の翌年の録音で、ここでは5曲目を除く他の7曲はソプラノを吹いています。

 思索的で高い透明度を感じさせるサウンド・・・こういうのが私が漠然と、或いは無責任に抱いている北欧のジャズに対する印象ですが、このカルテットはストレートで小難しい仕掛けのない「ど真ん中直球」のコンテンポラリー・ハードバップのサウンドです。
 とにかく、冒頭曲からリーブマンのブチ切れのソプラノが全開で、それに呼応するかのように、リズム陣も思索的・高透明度とは対極にある熱いプレイを聴かせてくれます。例えば、3曲目はしっとりと静かなソプラノで曲が始まるのですが、彼のソプラノが徐々に熱くなるにしたがって、バンドもどんどん温度が上昇していき、まるでステージを聴いているような「ライブ感」に溢れた演奏です。これは他のトラックも同様で、このような生々しさが前面に出た演奏がアルバム全体に貫かれています。確かに当時のバリバリのNYコンテンポラリーなサウンドに比べると、リズムに欧州ならではの良く言えば「几帳面さ」、悪く言えば「辛気臭さ」みたいなものが、ほんの僅か見え隠れはするものの、そのような微かな「ヨーロッパ臭」をリーブマンのパワーが封じ込めている、といったところでしょうか。
 最後に録音についてですが、シンバルの高音からベース、バスドラの低音まで、広いレンジをしっかりと捉えた良好な録音で、左右に広げた音場の設定も私の好みとするところです。このような良好な録音が、本作の魅力をさらに高めていることは間違いないと思います。

 David Liebmanが欧州に渡って現地のミュージシャンと録音したアルバムは、「リーブマンは良いんだけど、リズムがイマイチなんだよね」というのが正直申し上げて多いのですが、本作での三人の北欧ミュージシャンが叩き出すリズムに文句はなく、数あるリーブマンの「単身赴任」アルバムの中ではトップクラスの出来と言ってよいでしょう。

「Jukkis Uotila /Introspection(1983年録音、Fnac Music)」
Uotila Jukkis_198311_Introspection

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半世紀ジャズを聴いている新米高齢者♂です

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