いささか、いやかなり不満な出来映えの『ヤマトよ永遠に』から約2ヶ月後、 この『宇宙戦艦ヤマトⅢ』は始まりました。『さらば宇宙戦艦ヤマト』と『宇宙戦艦ヤマト2』の 関係のようにこの『ヤマトⅢ』も映画のリメイクになるかと思ってたんですが、 ガルマン帝国とボラー連邦という銀河系を二分する大勢力同士の抗争に巻き込まれ、 その戦闘の流れ弾である惑星破壊ミサイルが命中し、太陽が異常核融合反応を起こして 地球が滅亡するという、『ヤマトよ永遠に』とは全然違うスケールの大きくなりそうな物語が、 あの壮大な「太陽のシンフォニー」の旋律に乗せて始まったんだから、 今度は良い意味で期待を裏切られましたよ。ヽ(´ー`)ノ
『永遠に』にデスラーが出ないことについて「彼にはもっと壮大な舞台を用意している」と 西崎プロデューサーが公開時のインタビューで答えてましたが、 なるほど、すでにこの太陽の物語を制作中であったかと納得しきりでした。 そのデスラーの再登場、それもガミラス人の故郷であるガルマン星を見つけ解放し、 以前より壮大なガルマン=ガミラス帝国を築いているなんて実にうれしい趣向です。 しかもちゃんと地球とヤマトへの友情も忘れていないのがいい! 部下の独断で最初こそ戦闘があったものの、和解してからは旧交を温め合い、 本星での歓迎パレードまで催してくれるという、独裁者という立場のデスラーができる 最大限の厚意を示してくれたのです。そこで語られたガルマン星の伴星を 惑星スターシアと名付けたエピソードは涙無くては見れない純情さで、 他の男と子供を作り自分の命を懸けた愛情を自爆までして拒否した女に対して、 よくもまあそこまでの変わらぬ愛情をいだけるものだとデスラーの侠気に惚れ直しました。 このデスラーを選ばずに、ウジウジイジイジの特攻自爆男を伴侶に選ぶとは、 スターシアってのは実は男を見る目が無い女だったんでしょうねぇ(オヒ
『ヤマトⅢ』の悪役のボラー連邦はソ連を戯画化した存在ですが徹底した悪趣味で統一されており、 高官の腐りきった人間性を初め、サツマイモみたいな戦艦のカッコ悪さや、 最後にベムラーゼ首相が乗ってきた決戦兵器である機動要塞デスバーデの腐ったブドウ振りまで 実に徹底されています(笑)。そういう状態なんで放映当時は商品化は少なく、 メカコレでは支配下にあるバース星のラジェンドラ号のみで他のプラモも出ませんでした。 後にガレージキットでは戦艦はいくつか出たみたいですがデスバーデはたぶん出てないと思います。
「太陽の核融合反応に異常が起こり太陽系を呑み込んで破滅する」というのは、 ゲームの暗黒星団3部作で聖総統が古代に話したウソの未来の歴史と同じで、 あのゲームで加えられたディテールが明らかにこの『ヤマトⅢ』を踏まえたものであることが解ります。
この未曾有の危機を救うためにヤマトだけでなく各国の宇宙艦隊が出撃しますが、その旗艦である アリゾナ、ビスマルク、プリンスオブウェールズ等はいずれも第2次世界大戦の戦艦と同じ名なので、 いわば各国の「ヤマト」にあたり、さすがにその起源の戦艦とはデザインは変えてありましたが、 それでもルーツを充分に感じさせる造形と配色で、かなり燃える設定でした。
やがてこれらがヤマトと共闘し、『ヤマト2』の土星海戦を上回る艦隊戦が見られるに違いないと 期待に胸膨らませていたのですが、その日はついに来ることはなかったのです。 次にこの護衛戦艦が時間を割いて描かれるのは終盤の23話で、 アリゾナがボラーに撃墜された哀れな残骸として横たわっている姿でした…。 なぜこんなことになったかと言うと、この『ヤマトⅢ』も低視聴率で途中で短縮されたんですね…。 別に話の展開が単調だった訳ではなく、序盤のダゴン将軍との激闘に、中盤のガイデル提督配下の ガルマンウルフ戦での敗北&デスラーとの再会、ボラーとの対立、シャルバート星を巡る攻防等、 実に変化ある面白い話が繰り広げられていたのに……。 不調とは言え視聴率は15%を取っていたとのデータもあり、短縮される程の酷い状態ではなかった ように思いますが、ひょっとしたらオモチャの売れ行きが、マイナーチェンジはされているとは言え 一見、変わり映えしないヤマトのポピニカが主力商品では、良くなかったのかも知れませんねぇ…。 プラモの方も600円サイズで3種、メカコレで8種出ましたが、 板橋メカばかりで、ちょっと単調だったのも良くなかったのかなぁ…。 板橋メカは悪くないんだけど、ボラー側とガルマン=ガミラス側のデザインがそう変わらない 致命的な欠点があるんですよ…。私もラジェンドラ号の他は一個も買ってないし(爆)。
18話の劇中、ガルマン=ガミラスの科学士官を地球圏に長官が出迎えるシーンがあって、 その時に長官はシリーズ2のパトロール艦のデザインを流用したと思われる 明らかにぬえメカっぽい航宙艦に乗って来るんですが、それがまたカッコいいこと! ボラーとガルマンガミラスの艦が同じような形で辟易した後だけに、宮武メカの繊細さが 余計目立ったんでしょうが、敵対する国同士は全然違うデザインで見せて欲しいですよねぇ…。 ラフデザインの中には松本零士さんのや出渕裕さんのもあるんですが、松本御大はこの時点では もう本格的参加は無理だろうから、ブチさんにもっと頑張って欲しかったですが、 そうならなかったのはこの頃から仕事が死ぬほど遅かったからだったりして(爆
つうことで今回メインでお見せしているのは、そのメカコレの28番のラジェンドラ号で、 全長約10.5cmのプラ製キットをストレートに組んで、部分部分にちょっとだけ塗装しています。 バース星艦隊の旗艦ですが、その形状やカラーリングからボラー連邦製で 征服したバース星の軍隊に貸与していたと思われます。ボラー連邦人民は顔が青灰色ですが、 あの毅然としていて礼儀正しいラム艦長は顔が薄ミドリ色だったのでバース星人なんでしょうね…。 全般的にあまり強いとは言えないボラー連邦艦ですが、このラジェンドラ号もそう大した武装も無く、 今回は開けた形で制作した上部の3つの砲塔(?)の他は、前部両脇の小型3連ミサイル発射口と 艦首にビーム砲発射口のようにも見える穴が開いてますが、実際にこれらが効果的にわれることは 無かったのでラジェンドラ号の実力は解らないままでした。 ラジェンドラ号はボラー艦にしてはスマートでメカコレの造形はそれを強調した感もありますが、 艦の最前部に目鼻に見えるような意匠があり、ビーム砲発射口がそれこそ「口」の位置にあるので、 「宇宙赤モアイ」のように見えなくもありません(爆笑)。
当ブログで紹介しているヤマトメカコレはつい先日の再販品を組み立てたモノがほとんどですが、 このキットは今から20年程前のメカコレの再販が無く高騰していた時代に1000円で買った個体です。 その頃はヤマトやアンドロメダ等の主役メカで3000円が相場でしたが、不思議なことに 完成品として売っていたスペースコレクションの方は、5~6個のセットが3000円で買えたのは 以前書いたとおりで、このラジェンドラ号はその補完の意味で、ちょっと高かったけど買って、 20年後の今、ようやく完成させ、揃って飾ることができるようになりました。ヽ(´ー`)ノ 写真には写ってませんが、20年前の品なんで箱の横のマークは昔のバンダイのバンザイマークだし、 写真右の中箱に写ってる平行四辺形のセメダインの袋が郷愁をそそりますよねぇ……。
さて、ジャガイモかサツマイモみたいな艦が多くてダサダサのボラー艦隊ですが、 一応、旗艦クラスは赤、それ以外は紫色系と色も区別してあるし、 よく見るとアンコウ型の艦なんかも混じっていて、それなりに魅力的に思えてきました(笑)。 とは言え、バカ高いガレージキットを買う程にも、スクラッチする程にも惚れた訳でなし、 今回の宇宙ジオラマをどうしようかと困ったあげく作った&撮ったのがこの写真です。
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そう、あの「宇宙腐ったブドウ」こと機動要塞デスバーデをでっち上げてみました。 この要塞の名前は画面には出てこなかったし、表記に諸説あるそうですが、 名前に「死」が入ってる方がそれっぽいかなと思ってこちらを採用です。 (他の作品だけど「デスクリムリン」ってのも出てきたし、ソ連に「デス」はふさわしいw)。
これは大球1つと中球3つと小球10個を組み合わせたモノで、大と中は発砲スチロ-ルを削りだして 表面を粘土コーティングし、小はピュアに粘土を丸めて作りました。 大と中は場所の関係と手抜きで、また半分しか球面を作ってませんが(爆)、 その替わり表面の緯線経線はちゃんと彫刻し、それに沿ってライトを爪楊枝を使って描き入れてます。 小球はさすがに15mmほどの直径では緯線経線を掘るのは無理なので、 それっぽい場所に目分量でライト着色です。このデスバーデは設定上は中球のどこからでも ブラックホール砲の砲身を突き出せるようですが、劇中では1カ所からだけだったので、上の中球から 生やしてます。劇中では下の向かって右の中球からだったと思いますが、そこだと目立たないんで 上に変えました。大球の直径が約7cmで、全体の大きさは縦10cm×横13cm程度ですね。 ラジェンドラ号とは全然スケール合ってませんが、合わせるには3~5倍くらいにはなりそうなので、 設置できる現実的な大きさで作りました。
『ヤマトⅢ』には熱血漢の土門やスマートな揚羽を始め、個性豊かな新乗組員達が多数登場します。 その中には複数の女性隊員やアナライザー率いるロボット班も含まれ、土門と揚羽の成長振りを 彼らとの交流を通して描くのがシリーズ当初の大きなテーマだったと思われますが、 短縮で曖昧になり、ロボット班はほぼ出番無し、女性隊員はまた途中でユキ以外は全員退艦と シリーズ1でよく揶揄される「途中でいなくなる女子乗組員」をまたやってしまうハメになりました…。 また、せっかく成長を描いてきた土門と揚羽も最終話では殉職させるという、パートⅢ全体の否定とも 取られかねない後味の悪い結末を迎えますが、この辺は西崎プロデュサーの趣味なんでしょうね…。
そしてこの後味の悪さは続く『宇宙戦艦ヤマト 完結編』にも引き継がれる訳ですが、 それについてはまた後日、お話ししましょう……。
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