 今日の御題は『一発寛太くん』ですが、この作品はタツノコプロ製作で1977年9月から1年間、 フジテレビ系にて毎週日曜18:00-18:30の時間帯で全53話が放映されたアニメです。 放映中にタツノコの創設者である吉田竜夫さんが亡くなられたため、同時期放映の 『風船少女テンプルちゃん』『ヤッターマン』と共に彼の遺作となりました。 日本のTVアニメ界初期を牽引した偉大な才能が去った一方で、タツノコプロへ入社したての 押井守がこの作品でデビューしてるので、アニメ界の世代交代を告げる作品とも言えますね…。
『一発貫太くん』は、これまでスポーツものというとド根性物語一辺倒だったため、 それを嫌った読売広告社の依頼に応じて制作されたらしく、タツノコの得意の 『ハクション大魔王』的ギャグや、『てんとう虫の歌』的なホームドラマを 織り込んだ作品を目指したようですが、こういう成立だし、原作の無いオリジナル作品のため、 ネタが野球になったのにもあまり必然性は無く、ひょっとしたら前年の『がんばれ!ベアーズ』の ヒットがヒントになったのかも?(笑) 『ベアーズ』は明らかなパクもといオマージュ作品の 『レッドビッキーズ』シリーズも生んだので、日本の子供文化への影響は小さくなかったようです。
スポ根でないために舞台は草野球の世界で、メンバーが全員兄弟で犬までも入っているという、 明らかに「てんとう虫の歌」を意識した、でもリアリティ0のチーム構成ですが、
 メンバーが全員家族というのは、誰もが幼い時に一度は夢想したことであり、 普通はキャプテンはお父さんなのが、この戸馳家の父は元プロ野球選手で、試合中の事故で 帰らぬ人となった悲劇的テイストが織り込まれているため、長男の一郎がキャプテンです。 それで監督兼オーナーは母親の久美子で、夫の死で野球嫌いになり子どもにも禁じていたのが、 寛太の野球への情熱に折れ、以降は陰日向で積極的に支えていく泣ける展開です…。(ノД`)
 その母親が一家の糧として経営しているのが、今回のミニカーであるホームランカーです。 普段はこの車でのラーメンの移動販売で稼ぎ、時にはアタッチメントを装着して、 野球の特訓の道具としても使われるという大活躍を見せるスペシャルカーで、 日常の世界観にそぐわない突飛な形をしてます。その理由としては、もちろんウリが少ない 作品世界中にムリヤリ押し込まれたマーチャンダイズであることはひとまずオイトイテ、 最初は普通の屋台だったのを、4話の「夢のホームランカー」というエピソードで、 ある事件が起こって、その結果この形で登場したようです。ようですというのは、 私、このエピソードは見てないので、もし間違ってたらゴメンナサイ。m(_ _)m
無理やり押し込まれたからには当然商品化される訳で、タカトクのZ合金として出されました。 そのおかげで、『巨人の星』のミツルハナガタ2000と並んで「2大野球アニメミニカー」として 一つのジャンルが成立した訳です。とは言え、3台目は(今のところ)ありませんが(爆)。
 商品化されたホームランカーですが、全長約11cmで、一部にプラスチック使用のダイキャスト製。 野球帽やバックスクリーン、そして野球ボールを本体の意匠に取り入れるだけでなく、 バックミラーはグローブ型、窓はホームベース型、両脇にはバット型のステップ、 そしてフロントグリルはキャッチャーのマスク型と、まさに野球少年の夢の結晶 という感じで微笑ましい限りです。そしてリアウインドウにはラーメンを売る お母さんの姿がちゃんと描写され、夢や遊びだけでない現実の厳しさも忘れていません…。 ホームランとラーメンというと「ホームラン軒」というカップラーメンのシリーズがあるし、 同じ名前のラーメン屋も各地にあるので、なぜかしら親密性が高いようですが、 そのルーツは何なんでしょうねぇ?(笑)
 合金玩具に付き物のギミックとしては、天井が三角形に開き中に仕込まれたピッチングマシンから 小さいボールが打ち出されます。それを両脇のバットを外して手に持って打ち返し、 後部ボール状ドーム両脇の「H」文字の位置にネットを差し込み、受け止める仕組みらしいですが、 もちろん、そんな遊びは一回もやったことないのでよく解りません。(°∀° )
こんなマイナー作品の『一発貫太くん』ですが、昨年、ちょっとだけ脚光を浴びる機会が有りました。 2012年の夏に、タツノコプロの創立50周年を記念して東京MXテレビと組んで行われた 「見たい番組はあなたが決める!タツノコ名作アニメ総選挙」と題したアンケートが行われ、
 キラ星のように並ぶタツノコの人気アニメからエントリーされた候補作品の1話を順に放送し、 続きを見たい作品はどれかを投票して、見事1位になった作品は全話放送という催しでしたが、 候補作中に『一発貫太くん』もなぜかエントリーされたのです。 一番人気の『ガッチャマン』や『ヤッターマン』抜きという多少チョイスに疑問の残る メンツだったので、1位が最初から決まってるヤラセだろうとクールな目で見てたんですが、 その中でも一番知名度が低い『一発貫太くん』が選ばれたら面白いなぁとも思ったけど、 10作品中9位という納得の低い順位でした(爆)。 1位は『未来警察ウラシマン』というシブさだったし、ドンケツ10位は『マッハGoGoGo』で、 ヤラセなら上位に持ってくるであろうこの作品に屈辱の順位を与えてる辺りも、 この投票が若い層中心に行われたガチだったことが伺えますねw 再放送の機会が少ない 『一発貫太くん』を全話見る絶好の機会だったけど、そうは上手く行きませんね。 もっとも今は時期によっては有料配信もあるし、ビデオソフト化もされてるので、 本当に見たいなら見る手段はあるんですが、そこまで見たいかと聞かれると……(笑)。 ま、このミニカーを見ながらあれこれ妄想するだけで充分です。(°∀° )
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