新装開店の『キャラクターミニカー秘密基地』、今後はミニカー以外も取り上げますが、 まずはロボット玩具の登場で、今回のメインはロビー・ザ・ロボットです。
1956年公開の『禁断の惑星』で初登場したロビーは、SF的作品の中で ロボットと言えば人型か四角い箱形のが圧倒的多数だった時代に、 それらとは全く違う円筒を組み合わせた様な独特の形状を持っていました。 それ以前の著名な例外として『メトロポリス』(1927)に登場したロボットのマリアが ありますが、あのメカニカルな外観は未完成の状態で、表面に本人からトレースして 電送された皮膚を被せ全く人間と変わらぬ外見が完成体で、劇中大部分その状態なので、 この丸っこい形で活躍するロビーがいかに当時インパクト大だったことでしょうか…。 ロビーのデザインがいかに革新的だったかは、メインタイトルでも人間の主演が 三人一緒の紹介なのにロビーだけ一枚看板でドーンと紹介されていたことからも解り、
いかに周囲がロビーに自信を持ち、期待していたかを表しています。
この『禁断の惑星』がいかに優れた映画かは今さら多くを語る必要はないですが、 もし御覧になっていない方がいたら、なるべく早く観て下さい。 SFを全く評価しない人以外は、観なければならない映画の1本だし、
SF音痴の人でも、ヒロインのアルテア役のアン・フランシスの美しさには 目を奪われること間違い無しですぞ(笑)。 後に『裸の銃』シリーズで人気を呼んだコメディ俳優のレスリー・ニールセンが さっそうとヒーロー役やってるのも貴重だし。(°∀° )
ロビー人気は印象的な外見に加え、この映画が傑作だっただけに爆発し、 翌年にロビーをスピンオフさせた続編『宇宙への冒険』が作られました。
しかし予算はかなり削られたようで、前作のカラー・ワイドから モノクロ・スタンダードになってしまい、この種の続編モノが低予算なのは オヤクソクですが、あまりに酷い仕打ちだと思います…。 舞台は現代の地球で、『禁断の惑星』は23世紀の話だったのと矛盾しますが、 一応は、ある研究で行方不明だった某博士が実はタイムマシンを完成させていて、 2309年の未来からロビーを現代に持ってきたという説明がなされます…。('A`) 苦しいなんてもんじゃない突飛な設定だけど、そこは子供向け映画なのでガマンです(笑)。 それから、こんな邦題ですが、前作の最後で宇宙船を操縦していたロビーが、 再び宇宙へと乗り出す話じゃなく、現代の研究所の巨大コンピュータが自我を持ちはじめ、 少年ティミーを天才にしてしまい、そのコンピュータに操られるティミーが手足として ロビーを動かし様々な悪事を試みるのがメインのストーリー。300年以上未来のしかも その当時の地球より遥かに進んだクレル文明のテクノロジーで作られたロボットである ロビーより、現代の巨大コンピュータの方が全ての面で優れている設定も腑に落ちず、 どうもこの続編の脚本家はちゃんと『禁断の惑星』を観ずに仕事をしたようです。('A`)
せっかく美術さんがいい仕事をして、コンピュータのメイン部分の外見をロビーの頭に似た 透明ドームにして「コンピュータに操られるロビー」という絵柄に少し説得力を持たせてるので 「ロビーを研究した解析結果でコンピュータが作られた」等の設定にすればよかったのに…。 「知能を持ったコンピュータが、動けない自分の手足代わりの機械を装備する」ことは あの超傑作SF映画『2001年宇宙の旅』でも使われるSF的要素の高い概念だけに、 13年も先んじたこの『宇宙への冒険』がそれをあまり活かせなかったのは残念です。 「イドの怪物を生み出したテクノロジーが、今度はマシン自体をイドの怪物化させる」 これがメインテーマとして前面に打ち出されていたら、続編にふさわしかったのになぁ…。
ただ、有名ホラー研究家の石田一氏の指摘によると、 「算数の簡単な計算も出来ないオバカな少年が、未来から来たロボットと仲良くなり、 イロイロな道具を作ってもらい空を飛んだり透明になったりして悪戯をする…」という この映画のあらすじは『ドラえもん』とそっくりで、元ネタじゃないかとのこと。 確かにその通りで、もしかしてドラえもんの外見が丸っこいのもロビーの影響かも?(笑)
その他にもロビーが出る作品はたくさんありますが、顔見せ程度の登場が多く、 やはり『宇宙家族ロビンソン』に登場し、フライデーと戦ったことが一番記憶に残ります。 ロビーとフライデーとはデザインが同じ日系人のロバート木下さんなことも このエピソードをより印象深くしているのかも知れませんねぇ…。
ロビー登場の1950年代中盤は、日本ではブリキ製玩具が盛んに作られていた時代でした。 丸みを帯びた円筒形の組み合わせでも、何とかブリキ加工で作れる形だったこのスターに オモチャ業界が飛びつかぬ訳がなく、たぶん四角いロボットは作り飽きていた職人達も このロビーの独特の形には腕が鳴ったのか、多数のロビー型ロボット玩具が登場しましたが、 当時の日本の玩具業界は「版権って何?おいしいの?」というデタラメもとい大らかな 時代だったので、もちろんほぼ全てが無版権モノでした(苦笑)。
このKO(吉屋)製プラネット・ロボットはそんな中でも後期まで作られ続けた品で、 初期のブリキとゴム製から、ブリキとプラスチックの併用でシャープさを増した後期、 さらには近年の復刻版まで、いくつかのバリエーションがありますが、 今回のはオリジナル販売分の後期型。1980年頃、やはり日本版『スターログ』の ブリキ玩具特集に「コレは今でも売っているのです」と書かれてたので、必死で探すも 高校生の行動半径では見つからず、結局、東京の青山のビリケン商会で4000円で入手。 しかし、その後、大学に入って行動力が増したオモチャハンティングで、九州全域を回り、 福岡県の端の田川や母の里の宮崎県高千穂の玩具店で定価の数百円で見つけ、 悔しかったり嬉しかったりしたものでした。ヽ(´ー`)ノ 手元に残っているのは最初にビリケンで買った個体で、本来は足先が赤いのを、 当時は潔癖性気味で映画の仕様に近づけたかったので黒く塗ってしまい、 ほとんど売値は付きませんが、完品箱付きなら3万円は下らぬシロモノです。 (画面左のゼンマイのネジ部分が覆われてるのは、横に何か並べた場合に キズが付かないようにした応急措置で、これはすぐに外せます) 私のオイタで傷物にしちゃったので、一生手元で可愛がってあげようと思います。(°∀° )
テーマ:ホビー・おもちゃ - ジャンル:趣味・実用
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