宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎自民党の“大票田”が崩落 農業者の内閣支持率が急低下

2008年08月07日 11時44分57秒 | 第45回衆院選(2009年8月)政権交代

 7日付日本農業新聞1面トップは我が目を疑うような見出しが踊っていました。

 「本紙調査 内閣支持24% 原油・飼料高騰 6割が対策要望

 この調査は日本農業新聞の「読者モニター」300人を対象に、郵送、インターネット、ファクスを使って実施したアンケートで、内閣改造の1日~5日に実施。回答率は55%。民間企業の調査はたいてい53~54%を超えると出来がよく、同じ対象者へのトレンド調査ですから、この調査は貴重な資料といえます。同紙の読者ですから、農業者が中心と思われます。

 福田改造内閣の支持率ですが、
 
「①支持する」と答えた人は24・4%、
 「②支持しない」が47・0%、
 「③どちらともいえない」が28・7%。

 昨年12月の前回調査(政権発足3ヶ月目)では、「支持」が39・4%、「不支持」が22・8%でした。この8ヶ月間で、農業者の福田自民党内閣への評価は、支持と不支持が逆転した上、支持が15ポイント減、不支持が25ポイント増となりました。

 自民党の“大票田”である農村部で同党の支持基盤が地滑り的に崩落していることをうかがわせる結果となりました。

 「あなたが農業政策で望むものは何ですか?」との問い(3つ回答)には、
「①原油、飼料高などによる生産資材高騰対策」が61・6%で圧倒的に多く、以下、「②経営安定対策の強化」(39・6%)、「③価格引き上げ」(29・3%)が続きました。
「⑧JA改革」が17・1%で、19の選択肢の中で8番目に付けているのも注目です。

 農政に限らずに、「あなたが関心のあるこは何ですか?」と3つ回答で聞いたところ、①ガソリン・重油の値上げ(60・4%)、②飼料や肥料など生産資材の高騰(52・4%)で、3番目には「年金問題」と「地球温暖化・環境問題」がともに30・5%で並びました。

 支持政党は、①自民党36・6%、②民主党30・5%、③支持政党なし25・8%、④国民新党3・0%、⑤日本共産党1・8%、⑥新党日本が0・6%となりました。都市型政党である公明党と社民党は回答がありませんでした。

 「今、衆院選があれば、比例区はどの政党の候補者に投票しますか?」との問いは、①民主党37・2%、②自民党28・0%、③決めていない25・0%、④国民新党4・3%、⑤日本共産党3・0%、⑥新党日本と社民党がともに0・6%。公明党の回答はありませんでした。




[奈良県葛城市で大和葱を見つめる小沢代表]

 「生産資材の高騰」は、主要農作物に限れば、民主党の農業者戸別所得補償法案(168臨時国会で参院可決、169通常国会で衆院否決)が衆院でも通れば、国が主要農産物の生産額と販売額の差額を補償する(直接支払い)ことで解決できるでしょう。


[写真は太田農相]

 一方、政府・自民党が力を入れている「農地規制の緩和・企業の農業参入」に関心があると答えた人は2・4%、「輸出拡大」4・3%、「米粉(ビーフン)の振興」4・9%、「米の生産調整・転作推進」5・5%と、政府・自民党の農業政策がどれも人気がないことが判然としました。

 北海道洞爺湖サミットについては、「食料高騰対策を出したが、これで改善に向かうと思うか?」との問いに「改善する」と答えた人は3・7%、「改善しない」が62・8%というスーパー低評価でした。

 「衆議院解散・総選挙の時期」についての回答を合算すると、「年内」が5割以上になります。「通常国会冒頭の1月まで」ですと、6割を超えました。

 数字を並べましたが、見えてくるのは「農業者が生きていけない日本になってきている」ということではないでしょうか。

 農業者が生きていけない日本=消費者が生きていけない日本

 ですよね? どう考えても。

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前原副代表「不出馬」 仙谷由人さん、枝野幸男さん一本化も?

2008年08月07日 05時38分59秒 | 第45回衆院選(2009年8月)政権交代
 民主党(DPJ)副代表の前原誠司さんが、9月21日投開票の民主党代表選への不出馬を正式表明しました。

 これで、「凌雲会」から代表選出馬を検討しているのは、仙谷由人さん(62歳)、枝野幸男さん(44歳)の2人となりました。

 「凌雲会」(通称:前原グループ)は総務省に正式に届け出た政治団体で、2002年8月9日設立、本部(主たる事務所)は銀座に置かれています=2006年12月現在の資料、以下同様。

 政治団体には責任者として、2人の名前の届け出が必要ですが、凌雲会の代表者は「仙谷由人」、会計責任者は「枝野幸男」となっています。責任者が2人とも代表選に名乗りを上げている状態になってしまいました。

 仙谷さん、枝野さんとも弁護士です。

 仙石由人せんごく・よしと)さんは62歳。小選挙区導入後、徳島1区全勝を含む当選5回。四国唯一の民主党議員だったこともあります。ネクスト厚労相や衆院決算行政監視委員長を務めました。

 枝野幸男えだの・ゆきお)さんは44歳。名門・宇都宮高校から東北大学へ。埼玉5区(旧大宮市・旧与野市)から当選5回。元政調会長で、現在、衆院決算行政監視委員長をしています。

 2人とも1998年4月の民主党統一大会の前から旧民主党(鳩菅民主党)に参加しています。

 仙谷さんが62歳、枝野さんが44歳ですから、「仙谷さんに譲ったら」という声が出そうです。

 ただ、1999年1月18日の「第1回民主党代表選」では、菅代表(当時)の無投票再選が予想される中、当選2回生の松沢成文(まつざわ・しげふみ)さんが出馬しました。松沢さんは当時40歳でした。

 結果は、「菅180票」対「松沢51票」で、

 松沢さんは、自身のHPで、
骨太な政策を訴え51票獲得の善戦で注目を集めた」と自画自賛しています。

[第1回代表選で注目を集めた松沢成文さん]

 松沢さんは現在神奈川県知事2期目、「ローカル・マニフェスト」を掲げ200万票を獲得。やはり「1999年の善戦」が松沢さんを大きく成長させたことは間違いありません。

 「推薦人20人」は、仙谷さんも、枝野さんもギリギリ獲得できる可能性がありそうだし、なさそうだし、なんとも微妙です。もちろん代表選で勝つことを考えれば、どちらかに一本化しないと勝ち目はないと思われます。

 両者は「オリンピック閉幕(8月24日)前にメドをつけたい」との考えのようです。

6月29日付「時代が仙谷由人を求めるなら」民主党代表選出馬に意欲
6月1日付鳩山幹事長、代表選無投票さけるため若手の出馬に期待 

民主代表選、前原氏が不出馬宣言 「小沢氏に及第点」(朝日新聞) - goo ニュース

 民主党の前原誠司副代表は6日に日本記者クラブで会見し、9月の代表選では「コーディネーターの一人に徹したい」と述べ、不出馬を表明した。その理由は「(自分が代表を辞任した06年後の)衆院補選や参院選での勝利で小沢代表の党運営には一定の及第点を与えられる」と語った。

 ただ、前原氏は政策論争が必要との立場から「代表選は必ずあると確信しているし、行われなければならない」と強調。次の衆院選を「最後の決戦」とした小沢代表発言について「選挙に負けたら民主党は空中分解するんじゃないかとみられることへの抵抗感が強くある」と語った。

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