映画『怪物』
映画『怪物』
人は誰しも他人のことはわからない。
わからないから想像をする。
その想像の過程で膨らむ妄想によって、時に他人を「怪物」とも捉えてしまう。
そんな認知バイアスの怖さや人間の不完全さに考えさせられる映画であった。
物語の舞台も地方で暮らす小学生とその母親(シングルマザー)、担任教師という非常に距離感が近い関係性の中で、それぞれの些細な思いや捉え方の違いが、互いの認知に大きく影響し、それが関係性を破壊されていく描写は、誰でも当てはまるものだと思った。
劇中には、様々な伏線があったが、すべて見終わった後は、あえて、この映画から何か示唆を得ようという気持ちにはならないだろう。
むしろ、そのような「思案」することすら全く意味がなく、ただただ目の前の事実や感情を受け入れるものということが最も大切なのかもしれない。