すぐ不機嫌になってしまう女性部下から学んだ部下の上司に対する期待。
すぐ不機嫌になってしまう女性部下から学んだ部下の上司に対する期待。
多くの部下を抱えてマネジメントしていると、様々なタイプの部下がいます。
僕が一つの意思決定や指示をしたとしても、その反応は様々です。
- 肯定し前向きに捉えてくれるタイプ。
- 否定も肯定もせず従ってくれるタイプ。
- 明らかな不満を示すタイプ。
この場合、どのような反応をしなければならないとか、どのタイプが正しいという絶対的な正解はないことはわかっていても、その個々の反応に対して1つ1つ丁寧に構っていてはマネジメントなどできっこないというのが、当時の僕の持論でした。
そんな利己的な考え方をもって行動をしていると、良好だと思っていた部下との関係性も、ちょっとしたコミュニケーションの不足や行き違いによって崩れてしまう。
そのようなことが頻繁にありました。
しかし、部下の同意や共感が得られない意思決定や指示には、ある共通点があることも同時に気づきました。
それは、部下の上司に対する期待です。
僕自身、何かの決定を下すことそのものが重要であって自分さえ正しいと思っていれば、どんな反応があってもそれを遂行すべきという考えを持っていました。
しかし、ある感情表現豊かな部下と働いたことで、部下の持つ上司に対する期待を理解した上で、決定を行うことの大切さを学びました。
そのYさんという部下は自己肯定感の強い30代の女性部下でした。
Yさんは仕事に対する感情の波が大きく、ノリノリの時はとても頼りになる一方、不機嫌になってしまった時は全く仕事に集中できないといったタイプでした。
そんなYさんは、上司である僕に対するわがまますぎるとも言える強い期待を持っていました。
それは、少なからず誰もが心の中でそういった感情を思っているものであり、彼女は感情表現が豊かすぎるからこそ、そこに気づかせてもらった部分もあります。
部下が持つ上司に対する期待
自分のやっていることを見てくれているものだと思っている。
部下ひとりひとりには、それぞれ仕事の山場というものがあります。
大きくは繁忙期や閑散期といった時期に大別されますが、日ごとに落とし込んでいくと、ほぼ毎日に誰かしらのハイライトがあります。
そこをしっかり認識することは、上司として決して怠ってはいけないことの1つです。
一時期の僕は、自分の抱えている仕事に忙殺されていて、部下がいま何をしているか?など眼中にありませんでした。
ある時、僕が自分の作成している資料の補助的な業務をYさんにお願いしようとしました。
そのときのYさんの「こんな時に何言ってるんですか?」という表情は今も忘れません。
ちょうどそのタイミングは、Yさんが長期間準備をしてきた仕事のまさに仕上げの時期だったからです。
むしろ、Yさんの立場からすれば、上司にも自分の仕事を手伝ってほしいくらいのタイミングだったはずなのに、重要度の低い雑務を押し付けようとしてしまっていた自分を反省しています。
部下のモチベーションの最も大きな低下の要因は、「上司からちゃんと見られていない」という認識を持たせてしまうことかもしれません。
部下の上司に対する発言は受け入れてもらえることが前提となっている。
マネージャーの仕事においては、チーム全体の方向性や仕組みをつくるという役割が大きくあります。
しかし、僕自身も一人ですべてを行えるわけではありません。
部下から声を集めて、形を作っていく。そんな作業になります。
そんな時、部下を呼んで、仕事における現状の問題点や課題、そしてこうありたいという考えを聞きます。
Yさんと面談をした時には、1時間以上たくさんの話を聞かせてもらいました。
しかし、僕が自分で考えていたことと、その内容は大きく異なっていて、ほとんどが実際の計画に反映されることはありませんでした。
その結果、Yさんをはじめ一部の部下が非常にモチベーションを落とし、また僕が最終的に作り上げたものも、非常に中途半端な仕上がりで、多くの部下にとって理解も難しいという代物になってしまいました。
僕に抜け落ちていた視点は2つです。
1つ目は、部下から時間をとって聞くということには責任も伴います。
それは、聞いたからにはしっかりそれらの意見を反映させるということが大切です。
2つ目は、自分の思い込みを無くすということです。
部下の話をいくら聞いても、自分が考えていたことに近い意見しか耳に入らず、それ以外の意見には本来は大切な要素がたくさん含まれていたにも関わらず、聞き逃してしまっていました。
部下が上司に提言をするということは、「自分の考えを聞いてもらえる」というそれなりの期待感を持っていることを認識し、上司もそれをフラット目線から受け入れなければならないということを身をもって感じました。
まとめ
自分が思っている以上に、部下にとっては上司の影響力というのは大きく、そしてそこには責任が発生しているということを再認識させられた出来事でした。
僕はたまたま、Yさんという部下がいてくれたことで、僕の落ち度による不満を感じることができ幸運だったと思います。
もし彼女がいなかったら、もっと多くの部下に対して不満を抱かせてしまうような上司になっていたかもしれません。
「部下が上司に対して期待しているものは何か?」
これからのマネジメントでも、意識し続けるべきポイントだと思います。