【自分軸】自分なりの軸を持てずに悩む部下のケアについて考えた。
【自分軸】自分なりの軸を持てずに悩む部下のケアについて考えた。
「まじめな性格ゆえに、周囲の主張や意見をぜんぶ真に受けて、必要以上に悩み、自分にとっての正解がわからない。」
先日、自分の部下のCさんからそんな悩みを打ち明けられる。という出来事がありました。
僕自身、過去に同じような経験をしたことがあり、今の部下の状況が当時の自分と重なるような感覚がありました。
当時の僕も、一緒に働くメンバー全員年上で、最年少の僕は先輩たちから常に色々なダメ出しをされ続けていた状況を思い出しました。
やはり、そのような状況においては、いろんな人にバラバラにいろんなことを言われ、しかも、知識や経験も浅い自分にとっては、すべてが正論のように聞こえてしまい、自分がどこに一番力を注げばよいのか?がわからないでいました。
その経験から、現在部下のCさんが抱えている状況の整理と、今後どのような考え方をするべきなのかについてアドバイスした内容をこのブログにもまとめたいと思います。
現在のCさん状況
当時の僕と同じく、Cさんも年上のメンバーに囲まれて仕事をしている状態です。
周囲のメンバーは、Cさんよりも経験と知識があって、「Cさんのため」という思いで、日々アドバイスをしているのだと思います。
しかし、いくらアドバイスをもらっても、そのすべてを実行に移すことは困難です。
1つ1つ実行して、それが正しいことなのか?間違っているのか?また、自分に向いているのか?向いていないのか?という判断をすることは、仕事の実務上、現実的ではありません。
現実的ではないにも関わらず、後輩の立場としては、先輩たちに対して「いい顔をしたい」「認めてもらいたい」という思いも同時に生まれるのです。
すると、どうなるか?
「最新で言われたことを信じてしまう。」
こんな状況に、Cさんは陥ってしまっていました。
つまり、Xという仕事に対して…
- 「Aというやり方が正しい」と言われたらAが正解だと信じ…
- 「Bというやり方が正しい」と言われたらBが正解だと信じ…
- 「Cというやり方が正しい」と言われたらCが正解だと信じ…
といった具合に、自分の中での判断基準が、最新情報によってどんどん書き換え続けてしまう現象が発生してしまうのです。
これは、心理学における「リーセンシー効果」と呼ばれるものです。
博報堂がアーウィン・エフロンのリーセンシー論を紹介したことで関心を集めるようになった、直前に接触した広告が購買行動に影響を与える効果(日本民間放送連盟による定義)。「広告メッセージは商品を購入しようとしている消費者に対して、最も直接的に機能する」という考え方に基づく。空間・行動的に購入に近い「近接性」、心理的に購入準備のできているときに広告メッセージを届ける「受容性」による2つの切り口がある。投資効果を上げるため、高いリーセンシーを持つ消費者に対する広告露出を高める方法を考えることをリーセンシー・プランニングという。
一般的に、広告ビジネスにおいて応用される心理学ですが、職場の人間関係においても同じことが言えると思っています。
結局、自分にとっての「正しさ」が、直近の情報で更新を繰り返してしまうことで、すべてが中途半端な理解のまま、本当に自分が信じるべき軸を見失ってしまっているのではないかと思います。
Cさんはどうすれば良いか?
自分なりの判断材料となるものをメモに残しておく。
まじめゆえすべてを受け入れようとする姿勢は、大切だと思います。
問題なのは、一度受け入れた物事をすぐに意識の外に出してしまうことだと思います。
ただし、全てのことを意識に留めておくのは、人間の能力として限界があります。
そこで有効なのが、メモに残しておくというシンプルなことだと思います。
箇条書きでも大丈夫なので、自分が先輩たちから受けたアドバイスを、すぐに実行に移すのではなく、<「誰」に「何」を言われた>という情報をいったん文字にして残しておくということが有効です。
思考の整理の時間を取る。
その場で言われて正しいと思ってしまうようなことでも、後からメモを見て冷静に振り返ってみると、意外と同じ人が場面によって矛盾するようなことを言っていたり、それぞれ違った人が違う場面において同じようなことを言っていたりする。という事実が見えてきます。
そのような情報を整理してしると、多くの人のアドバイスに共通している自分に足りない部分が少しずつ見えてきます。
一つ一つはバラバラな情報に思えても、いくつもの情報をつなぎ合わせることで、見えてくる共通点は、そこまで多くはないはずです。(せいぜい1つか2つ。多くて3つ。)
そんな自分の思考の整理をゆっくりと確保することが、まずCさんにとって大切なことだと思います。
全員の期待には応えなくていい。
自分に足りない部分や、出来ることが見えてくることで、アドバイスを受けた中で、それが自分にとって本当に必要なものかどうかが見てきます。
その判断基準を持つことができれば、「全員の期待に応えよう」という感情に左右される必要はなくなります。
そのアドバイスは、本当に自分の為のものなのか?もしくは、単なるおせっかいなのか?その見極めができるようになるだけで、だいぶ心に余裕ができるはずです。
まとめ
プレッシャーのある環境にいると、どうしても目の前の事に意識が集中しがちになってしまいます。
しかし、そんな時こそ、一歩引いた目線から自分を見つめなおすことで、本当に必要なことというのが見えてくるのだと思います。
Cさんには、「周囲の期待」という部分に焦り過ぎず、吸収したものを一度、頭の中で咀嚼する時間を設けることで、「悩む」⇒「考える」というマインドセットの切り替えをして欲しいと感じました。