職場でぼっちな女性部下のケアについて考える。
目立つ部下、目立たない部下
マネージャーとして約50名の部下のマネジメントをしていると、
様々なタイプの部下がいます。
常に全員が最大限のパフォーマンを発揮して、
最高の成果を出せるように後押しするのが、
僕の役割だと思っています。
もちろん、いつも全員のコンディションが良いということはありません。
多くの部下には浮き沈みがあり、良いときもあれば、微妙な時もあります。
時期によって、でっこみ、ひっこみがあることで、
それぞれのメンバーの個性が見えてくるように感じています。
しかし、中には沈んだまま浮上してこないメンバーもいます。
どちらか言えば、褒めて伸ばすタイプの僕からすると、
なかなか接点を持つタイミングを逃している部下もいました。
入社2年目のMさん
入社2年目のMさんは、
とてもおとなしくて、繊細な性格の女性で、
僕も適度な接点を持ちながら彼女をモチベートすることに、
とても苦労をしました。
彼女は、いわゆる「ぼっち」でした。
- お昼の休憩時間なども、ほとんど一人で休憩所の隅でスマホ。
- 同じ部署の同期入社の社員ともほとんど話さない。
- 一緒に働くメンバーとも必要最低限だけの会話。
- もちろん、会社の飲み会には一切参加しない。
- プライベートも謎に包まれている。
このようなスタンスは、
個人の自由で僕に咎める権利はもちろんありません。
しかし、社会人としては少しもったいない気持ちもありました。
なぜなら、彼女の仕事ぶりに関しては非常に丁寧で、
ミスしたところもほとんど見たことがないですし、
仕事自体も実はやる気があって、
長く続けていきたいという希望も聞いていました。
キャリアアップはしないにしても、
今のスタンスで仕事を続けるよりは、周囲との関係性を持つことで、
より仕事のやりがいや楽しさを見出してほしい。
と僕は思っていました。
(本当に彼女にとっては、余計なお世話かもしれませんが…)
Mさんに対してケアした3つのコト。
課題を与える。
彼女に対して、休憩時間やプライベートの時間に、
無理に周囲とのコミュケーションを取らせるようなことは、
全く意味のないことですし、誰も幸せにできないだろう。
と思っていました。
しかし、業務の中で周囲との接点を増やしていくのであれば、
彼女も割り切って考えられるだろうと僕は考えました。
そこで、担当を跨ぐとりまとめ的な業務や、
複数名にヒアリングが必要な業務を、
積極的にMさんに任せるようにしました。
Mさんは、やはり真面目な性格なので、
嫌な顔せず、その仕事を引き受けてくれてました。
正直、僕はそのような仕事は彼女には向いてないかな?
という思い込みからこれまで一切お願いしたことがなかったのですが、
予想以上にしっかりとこなしてくれました。
それとなく周囲に努力を伝える。
彼女がやってくれた仕事の結果は、
他部署やチームメンバーに報告する時に、
「Mさんが集計してくれた〇〇の資料」
「Mさんがまとめてくれたアンケート結果」
など、
必ずMさんを主語に入れるようにしました。
そのことで、少しでも周囲に対して、
彼女の努力を認識してもらうことが狙いでした。
メールでは、自分の「仕事に対する貢献」を感じてもえるように、
本人にも必ずCCを入れるようにしました。
そのようなことを習慣づけることで、
少しずつですが、メンバーからも「Mさん」の働きに対して、
以前のネガティブなものではなく、
ポジティブな発言も聞こえてくるようになりました。
少しだけ仕事の導線をつくる。
Mさんの得意なことや仕事レベル、スキルがある程度わかってきた僕は、
次のステップに移ろうと思っていました。
僕のところには、いろんな部下から相談が舞い込みます。
その中には、わざわざマネージャーである僕がやらなくて、
問題のないレベルの仕事もあります。
しかし、それらを無下に断るのも、自分の信条に反していました。
そのような時、その問題は誰に任せたら、一番スムーズに解決するかな?
とメンバーの顔を思い浮かべます。
僕は、Mさんに解決できそうな問題であれば、なるべく相談相手の部下には、
「それ、Mさんが前に同じことやってたから、彼女に頼んでみたら?」
とMさんへの仕事の導線をつないでいきました。
キャパオーバーになってはいけないので、
ほどほどにしていましたが、
徐々に、自分からMさんのところに困りごとを相談に行く人も現れました。
Mさんのその後
その後も彼女は、休憩時間は一人で過ごしていましたし、
退勤時間になると、すぐに一人で退社していました。
たぶん、一人でいるのが好きで、
そのような時間も大切にしたいのだろう。
彼女の本意はわかりませんが、
僕はそのように解釈しています。
仕事の精度は今もどんどん上がっており、
職場の中でも一目置かれる存在になってきています。
そのような彼女なりの仕事のスタンスを大切にしてもらいながら、
これからもチームに貢献してもらえるように、
陰ながら見守っていきたいと思います。