「新幹線型経営」に学ぶ、組織人としてのリーダーシップ。
前回記事で紹介した、『リーダーシップの旅』においては、より本質的な経営者タイプのリーダーシップについて言及した。
一方で、実務を担う組織マネジメント寄りのリーダーシップについて、今回は『自問力のリーダーシップ』を参考にしながら、詳しく見ていきたいと思う。
- 作者:鎌田 英治
- 発売日: 2007/08/31
- メディア: 単行本
組織人としてのリーダーシップとは?
結論=組織におけるマネジメントレベルの人間が自律的にリーダーシップを発揮すること。
より分かりやすく言うと…
普通の列車は、時速80~100キロメートル程度で走るが、新幹線は300キロで走れる。それはなぜか。列車は先頭車両が全体を牽引しているのに対し、新幹線は各車両に動力源を積んでいる。これがスピードの差を生む理屈だ。
現代の企業経営も、変化への対応スピードを速め、質の高い経営を実践するには、限られたリーダーが全体を引っ張るモデルではなく、組織のあらゆる階層の人々によってリーダーシップが発揮され、社員一人ひとりが自律的に動ける組織を追求する必要があるのだ。
リーダーの自律性とは?
自分なりの考え(will)を持っていて、それに根差した行動(skill)を行っていること。
ピーター・F・ドラッカーは、リーダーの有様を氷山に例えて考えている。
「そもそもリーダーの定義は、付き従うもの(フォロワー)がいることである。」
フォロワーから見えるのは、実際になされた行動(言動)のみである。
そして、見聞きした行動を通して、リーダーが持つ能力や人間性を(資質)を推し量るのである。
つまり、フォロワーはリーダーの日々の目に見える行動=海の上から見える氷山の一角を観察されることで、リーダーの目には見えない中身=海の下の氷山本体まで予想されているということである。
ここで僕の解釈としては、二つある。
- どれだけ良い資質を持っていても、自発的に行動を起こさなければ、誰も評価してくれない。
- 行動だけをひたすら起こしていても、内面が伴っていなければ見透かされてしまうし、逆に内面が充実していれば、少しの行動からでも評価されることがある。
この2要件においては、行動(skill)<内面(will)といえる。
自律性の高いリーダーにとって重要なskillとは?
・課題設定力
・計画設計
・実行
・成果と育成
この中では、特に課題設定という点が最も難易度が高く、これを中途半端なものや、すぐに片づけられるものにしてしまうと、他のアクションものちの効果が期待できない。
この部分こそが、willと最も関係性が深く、内面の充実度合と比例すると考える。
自律性の高いリーダーにとって重要なwillとは?
・ミッションの設定
自分が組織の中で果たすべき大きなミッションを持つこと。
そして、現在とそのミッションを照らし合わせた差分がskill面の課題設定につながるのである。
・自己否定
常に自分のやり方が本当に正しいのかと自問すること。自分に対して疑いを持つことで、過去の成功体験が現在は陳腐なものになっていたり、自分の世代では当たり前だと思っていたことが、下の世代にとっては非常識であるといったこと気づくことができる。
・継続力
とにかく続けること。続けることで、進むべき道の方向性や計画が正しいのかズレているのか、また、自分の考えそのものが正しいのか正しくないのかを、発見することができる。
継続力が内面の充実と行動の精度に直結する。
まとめ
・現代の組織で求められるのは自律性のあるリーダーシップ。
・自律性は、skillとwillの両面を高めることで磨かれる。
・自分のミッションを探求し、行動を続ける。
・行動を続けながらも、自分を疑うことを忘れない。