空想の世界『Avalon』にあなたも飛び込もう! ──amiinA・プロデューサー、齊藤州一インタヴュー
ジャンルに捉われない楽曲群と唯一無二のライヴ・パフォーマンスで注目を集めているガールズ・ユニットamiinA(アミイナ)。なぜこんなにも彼女たちのパフォーマンスは自由で胸を熱くさせるのか。その世界観をamiinAのプロデューサーである齊藤州一が、物語の序章を読み解くように語ってくれた。このインタヴューがamiinAの入り口になってくれたら幸いだ。1stアルバム『Avalon』を経て、戦っていくことを決意した彼女たちの渾身の1stミニ・アルバム『Valkyrie』と共にぜひ楽しんでいただきたい。あなたも空想の世界『Avalon』に飛び込もう。
待望の1stミニアルバム『Valkyrie』配信中!
amiinA / Valkyrie
【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(16bit/44.1kHz) / AAC
単曲 257円(税込) / まとめ 1,080円(税込)
【収録曲】
1. Valkyrie
2. Callin'
3. 〇△□
4. atom
3. I'm home
INTERVIEW : 齊藤州一(amiinAプロデューサー)
唯一無二の世界観を表現し続けるamiinA。彼女たちによって誘われた世界『Avalon』に天井はなく、大きな空が広がっている。その世界観を探るべくamiinAのプロデューサー・齊藤州一にインタヴューを敢行。 すると、音楽、ダンス、演出、衣装、アートワークなど、全てが自信をもって人々に届けられていることや、チームの在り方、作家としての姿が伺えた。 あなたの心臓をばくんっと跳ね上げさせた理由がここには記されているだろう。
インタヴュー : 飯田仁一郎
構成 : 宮尾茉実
写真 : 大橋祐希、Miyoko Tamai(ライヴ写真)
好きな事をやっても聞いてくれるユーザーがいることがわかった
──amiinA、盛り上がってきていますね。やはり手応えなどは感じているんですか?
齊藤州一(以下 齊藤) : メンバーが変わって2016年の5月に再始動してからは、以前より感じる部分はありますね。
──新メンバーのmiyuちゃん、凄いですよね。とんでもない子が入りましたね。
齊藤 : 本当に出会いに感謝です。新体制お披露目の自主イベント〈WonderTraveller!!! act.4〉の2ヶ月前に決まったんで。劇団四季の『ライオンキング』に出てたんです。『ライオンキング』のヒロイン、ナラの子ども時代を2年間彼女がやっていました。でもそれまで、彼女はライヴをしたことがなく、生まれて初めてのライヴが〈WonderTraveller!!! act.4〉@WWWのトリだったんです!
──でも堂々としていましたよね。
齊藤 : 音が大きすぎてびっくりして、最初miyuちゃんは耳を塞いでいました(笑)。あと座っているお客さんの前でしかステージに立ったことがなかったから、その異常状態に飲まれながら一発目をやった感じですね。凄い子です。
──齊藤さんが、amiinAに関わるまでの経緯をおしえていただけますか。
齊藤 : まず、amiちゃんと前メンバーのmiinaちゃんが所属していたモデル事務所でアイドル活動を先に始めていたお姉さんグループがいたんです。それを見て「私たちもアイドルやりたーい」って言って帰りの車の中で決めたらしいです。「あみとみいなだから『あみいな』だねー」って。
──へええ。
齊藤 : 結成当初は、ももクロとかAKBのカヴァーや、miinaちゃんのお父さんが作ったオリジナルの曲をやっていたんです。そして、CDを出したいってなった時に、その事務所を手伝っていた方から共通の知り合いである女優さんを通じて、曲を作れないかと僕に連絡が来たんです(余談ですが、その女優さんは『ライオンキング』のナラ役の方でした!)。1回ライヴを見に来て考えて欲しいということで、彼女たちが当時出演していたライヴハウスに観に行ったんです。そこは、お客さん5人しかいないような場所で、その独特の世界観を見たときに、正直これはちょっと難しいなぁって思ったんですよ(笑)。でも繋がりも大切だから、CD用に1度やってみようか、という話になったんです。
──そこにはどんな楽曲を入れたんですか?
齊藤 : 2曲入りのCDで、1曲目に「1☆2☆3☆」ってドラムンベースをちょっと小味に入れたくらいの“ザ・アイドルソング”的な曲を作って、2曲目は、誰も聞いてないだろうと思って、完全に僕らの趣向と遊びで「マインドトラベル」という曲を作ったんです。そこから半年以上、一切お客さんが増える気配も無かったんですが、新木場STUDIO COASTで「マインドトラベル」を披露した時に物販に走ってくるお客さんが何人かいて「この曲なんですか!? 誰が作ってるんですか!?」って言われて。その後、CDを買ってくれたお客さんが南波一海さんの番組(「南波一海のアイドル三十六房」)に持っていって流してくれたんですよ。そのあたり辺から、音楽的に僕たちが好きな事をやっても聞いてくれるユーザーがいるんだってことがわかってきて、もう少し自由に、色々なことにトライ出来るのかもしれないって思い始めたんです。それで「Drop」を出しました。その後「Canvas」に続きますね。
──齊藤さんが手応えを感じたのは「マインドトラベル」なんですね。
齊藤 : 「マインドトラベル」で感じて、そこから「Drop」で本気で勝負してみたって感じですね。
──なるほど。今や、「Drop」はメイン曲。そして「Canvas」はライヴのトリですもんね。齊藤さん含めての楽曲集団nanolineとは?
齊藤 : 専門学校の同級生です。サウンドクリエイター科っていう、DTMの科があって、僕はデジタル・ハードコアとかミクスチャーとかが好きだったのでバンドに打ち込みを入れたくて入学しました。「マインドトラベル」とか「○△□」を作曲した櫻井幸太、「Drop」や「Canvas」を作曲した藤本藍とは同級生です。それぞれみんな趣向も考え方も違ったので、コンタクトはあったんですが、そのまま卒業したんです。実はこの時にはBABYMETALの神バンドのBOHちゃんが先輩にいたりしました。その繋がりで「lilla」のベースを彼に弾いてもらっています。
──みなさんそれぞれどういう活動をしていたんですか?
齊藤 : 僕はもともとバンドマンでした。藤本藍は作家の道にすでに進んでいて、さらに歌も本当に上手いピアニストとしても活動していました。今はLeolaさんと一緒にやったりしてますね。櫻井はゲーム音楽などの仕事を受けていました。卒業してから僕はライターの真似事のようなことをやっていて、なんか違うなって生まれて初めて挫折しまして。作曲家の集団やってみない? って声をかけたのは僕で、一時期は舞台、ミュージカル、CMとかの音楽をたくさん作っていました。今はもう、僕はamiinAを中心にして動いているので、みんなそれぞれ独立して、amiinAを動かすときとアレンジのときだけこの名前を使ってますね。
立ち位置を線引きしちゃうほうが面白くない
──その時の齊藤さんの役割は何ですか?
齊藤 : ディレクターです。仕事を取ってきたり曲の方向性を決めたり。
──チームnanolineは、どんな音楽が好きだったんですか?
齊藤 : 3人ともそれぞれ好きなものは違ったのですが、大きな共通点はクラムボンですかね。あとは菅野よう子さん。僕はバンドが1番だと思っていたし。
──齊藤さんは、それこそポスト・ロックとか音響とかが好きだったんですか?
齊藤 : そうですね。ハウスとかエレクトロな方は櫻井が好きでしたね。藍ちゃんはもう少しポップス色が強かったかな。
──だから色んなジャンルが混じり合うのか...。
齊藤 : そうですね。もちろん他にも共通点はたくさんあったので、それがちょうど良く混ざり合ってるんだと思います。
──amiinAのチームは、nanoline以外はどのように構成されているんですか?
齊藤 : スタイリストのコダンさんは男性なんですけど、振付師の原田美穂さん、デザイナーの松崎裕美さんをはじめ、メインでamiinAに関わってくれているカメラマンさんやメイクさんもみんな女性なんです。amiちゃん、miyuちゃんのそばにいる人たちはできるだけ女性にしたかったんですよ。距離が近いわけだから同性でしか話せないことがたくさんあって、雑多な男たちが近寄る必要がないって思ったんです(笑)。
──で、彼女たちをまとめているのが齊藤さん...。
齊藤 : そうですね。女性がほぼ全員スタッフさんだとすごいですよ。芯がありまくるというか、怖いというか、マジで心強いです(笑)。そして、もちろんですけど、彼女たちも僕もクリエイティヴにはめちゃくちゃこだわります。お互いに意見を言い合って何度も何度もやり直しをしながら、一緒に作っています。
──amiinAというのはどのような立ち位置なんですかね? アーティスト?
齊藤 : なんでもいいと思うんですよね。観る人、聴く人の判断で。アイドルっていうフィールドに括られると思うんですけど、アイドルもみんなミュージシャンでありアーティストで、それってもはや、言葉遊びみたいなものだと思うんです。もともと線引きしちゃうほうが面白くないと思うので、ガールズ・ユニットって言っています。
1つ1つの動きや衣装に意味がないと人前に出しちゃいけないと思うんです
──『Avalon』(1st album)で状況が一気に変わった感じがしますが、この作品はどういったアルバムにしようと思って制作しましたか?
齊藤 : 『Avalon』は miyuちゃんが加入してから、表現できることの幅がかなり広がった部分があって、最初は今まで作ってきた曲を全部なしにしなきゃいけないのかなって思ったんです。でも彼女が歌った時にしっくりきたんですよ。だから曲は作り直さなかったですね。歌詞を変えたりリアレンジはしました。『Avalon』に関しては1つのストーリー・ラインをしっかり伝える大きなチャンスだと考えていました。
──ストーリー・ライン?
齊藤 : amiinAは「awake mind into ideal naked Avalon」の略なんです。簡単に言うと、空想の世界『Avalon』に飛び込もうっていう意味で。だから、その全てを体現したアルバムにしようと思っていました。BLANKEY JET CITYの曲って、ブランキー市長の街の中で起こっているんですよ。amiinAもそれと遠くはなくて、彼女たちがいろんなところを旅していて、たまーに外から戻ってきたり、知らないお客さんがトラベルしてきたりして、空想の楽園で遊んでいる子たちってイメージをしているんです。それが『Avalon』で1番出したかったことなんですよね。
──だからこういうジャケットになったんですね!
齊藤 : 全部島の中のお話なんです。北欧の神話に近いと話されたりするんですけど、たまたまですね(笑)。2人とファンが理想とする島、国は自分たちで作れるよねって。だからamiinAはスタッフもそうですけど、自分たちで国を作っちゃって、島に遊びに来た人たちは拒まないみたいな世界なんです。ビジュアル部分や音楽的部分でもそれを入れ込みたいと考えていました。
──齊藤さんの中では、統一された世界観があるんですね。てっきり好きな音楽を入れ込んだ作品なんだとばかり思っていました。
齊藤 : むしろ世界観のディテールが1番大事にしていることです。僕は全部80点を取れるんですけど、100点を1つも取れない人間なんで、それぞれの分野で120点を取れる尖った人たちを集めれば全部100点にできるんじゃないかと思ったんです。音楽、デザイン、振り付け、衣装って全部同じくらい大切なんですよ。振り付けでも、この動きはなんの意味をもってるの? と聞くし、1つ1つの動きや衣装に意味がないと人前に出しちゃいけないと思うんです。その意味が全部ではなかったとしても人に伝わるわけないじゃないですか。でも、それくらいのレベルで作って見せないと、30分のライヴでは絶対に伝わらないんです。引っかかるポイントは音楽だったり、「amiちゃん、miyuちゃん可愛い!」で全然いいんですけど、その時に『Avalon』(ここでは、amiinAの空想の楽園の意)に飛び込んできた人が、他も面白いよねって思ってくれるようなところじゃないといけない。それって音楽だけに特化してるって言われるよりも、楽しいかなって思うんです。
──1つ1つの要素が100点であるべきなんだ。すごい集団ですね...。
齊藤 : amiinAやスタッフみんな物凄い才能があるんですよ。藤本と櫻井を、僕は作曲家として世界で1番才能がある2人だと思っているし、『Avalon』を作り上げたデザイナーもそうですしね。amiinaのときからずっと同じスタッフでやっていますが、このチームは絶対に変えたくなくて。新しいものを制作するたびに人を入れ替えるんじゃなくて、このチームで彼女たちとやりたいと思っています。amiちゃん、miyuちゃんへの信頼にもつながっていくと思いますしね。
──そして今作『Valkyrie』は最初からインストゥルメンタルって! 驚きましたよ(笑)。
齊藤 : タイトル曲がインストかよってね(笑)。miyuちゃんが入ったことで、2人が持つのダンスのしなやかさの違いを振りに活かすことが出来るようになって、いろんな可能性が生まれたんですよね。miyuちゃんのバレエのスキル、amiちゃんの重心の低いヒップホップの感じ。だからインストにして、ダンスだけで表現できるんじゃないかなって。でも音源だと試聴機で2人の声を待ってもなかなか出てこないっていう(笑)。
ファンも天井に空があることをイメージしていると思う
──目標みたいなものはある?
齊藤 : 〈フジロックフェスティバル〉ですかね。フジロックに出るためにはどうしたらいいかっていうことを、miyuちゃんの受験勉強での活動休止中にずっと考えていましたし、そのために今年は大型フェスに出ていこうと決めました。ファンも天井に空があることをイメージしていると思うので、みんなで行かないと、思っています。そんな『Valkyrie』っていう戦う彼女たちの姿を夏から今年の末に向けて出してみたかった感じですね。
──フジロックなのは、なんで?
齊藤 : 僕の自然なイメージなんですよね。2人が1番合う場所だと思うんです。彼女たちは100%フジロックというものを体感でわからないままでも、ステージに立って欲しいっていうのが、理想としてあります。開けたステージで彼女たちを見たいなって。
──そこで「Canvas」観たいですよね。
齊藤 : ファンのおかげですね。そこまで辿り着いたら、amiinAとみんなで楽しむ気満々です。
──客層も最近変わってきた印象がありますがどうですか?
齊藤 : 若い人たちや女性ファンも少しずつ増えてきましたね。amiinAのファンは細かいことを言わないし、こうしろ、ああしろっていう決まりみたいなものがないんです。最前列に行きたい人、音が聴きたくてスピーカー前にいる人、後ろでゆっくり見たい人、真ん中でわーってしたい人、それぞれがすごく良い形で共存していて色々な意味で「自由」だと思います。変に強制力を持ち過ぎず、干渉し合わないのにものすごい一体感が出るっていうところがかなり特徴的だと思います。こうやって集まってくれたファンがどんどん増えていって、1000人、2000人ってなったら楽しいなって思います。
──amiinAってワンマンしたことないですよね?
齊藤 : amiinAとファンにとってワンマンは、特に今年はそこまで重要じゃないのかもしれません。もちろん長い時間のパフォーマンスを見てほしいとは思いますけど。僕はワンマンを作り上げるなら今まで楽曲に携わってくれたミュージシャンたちのフルバンドじゃないと意味がないと思っているんです。バンドがいて、尚且つ2人がフルで踊れるハコのサイズってなるともう1000人規模のライヴハウスになるんですよ。もちろんスケジュールも問題になってくるんですけど、でもできる限り参加しているミュージシャンに出て欲しいんです。プロがちゃんと演奏しているところを見せないと、マイナスになると思いますしね。
──ということは、大きなステージを目指して大きくなっていくことが第1目標という感じではないんですね。
齊藤 : もちろん目標のひとつではあります。〈WonderTraveller!!!〉をいつか日比谷野音でやりたいです。ワンマンの時期は、もう少しタイミングを考えてからかなと。自分の中に、やってみたい演出のイメージがあるんです。その理想を実現させるためにも、もっとファンを増やして大きくなりたいと思っています。
──これからが楽しみで仕方がないですね! ありがとうございました。
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時間 : OPEN 15:30 / START 16:00
PROFILE
amiinA
2012年結成。
2016年 新メンバーを加え、表記をamiinAに変更、活動を再開した。
amiとmiyuとが作り出すパフォーマンスと、様々な音楽性が散りばめられた楽曲群で
唯一無二の世界を作り出している。